井の頭歯科

「見えざる手のある風景」を観ました

2024年2月24日 (土) 11:58
https://www.youtube.com/watch?v=lAD81wjRnL8
コリー・フィンリー監督     MGM PlanB     Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は1/15
U-NEXTさん、Netflix、Amazonprimeにお世話になっているのですが、ついついU-NEXTさんばかり検索している気がしたので、思い切って1番利用回数の少ないAmazonprimeを検索してみてみようかな、と思って気になったのが、このタイトル。
有名な画家の書いた作品がタイトルと制作年と素材で示される美術館の様に、稚拙な絵画作品が、その製作年、タイトル、素材で次々示されていくのですが、徐々にその年数は2020年から未来に行き・・・というのが冒頭です。
これは、理解して頂ける方もいるとは思いますがロブ・ライナー監督作品「恋人たちの予感」のインタビュー、本編、インタビュー形式の作品で、凄く手垢のついた表現ではありますが私は大好物な奴です。
予告も観ないで、知らない監督の作品を観る事って希少な事で価値があると思っています。ですので、何も知らないで観ていただきたいのですが、何の映画か?ワカラナイとなかなか難しい方もいらっしゃるとは思いますので、一応説明しておくと、コメディーSF映画です。
そして、シュールです。
とてもコミカルで、設定が最高に面白いです。作り込みも最高なのに、オチ、が弱いのがもったいない・・・でも、この設定を思いついた時点で、勝利!な作品。
そういう作品が好きな方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想です。未見の方はご注意くださいませ。
まず、異星人ヴァ―ヴの存在が面白いです。人間の上位存在で完全にホモサピエンスを支配下に置いています。
それも、1950年代からホモサピエンスを観察、存在を受け入れるのに必要な時間とタイミングを待ってから存在を明かしてきます。テクノロジーでは全く歯が立たず、しかも絶滅をしたり地球を乗っ取るのではなく、経済的支配を行い、文化についてはある程度許容するのですが、さも上位の存在として立ち振る舞ってくるので、完全に下等生物の観察日記的な扱いを受けるのです・・・もうここが秀逸。
なので、食事にしても、異星人ヴァ―ヴから与えられるものは、ほぼ代用品で、ヘンテコなキューブ状の代用食品。しかも経済的に搾取されまくっているので、ホモサピエンスの大半が飢餓状態、ホームレス状態です。
テクノロジーで言えば、おでこに張り付けるノードと呼ばれるデバイスを付ける事で直接脳に働きかけ、現実の上に仮想現実を魅せて混ぜるという相互受信装置を配られています。これはジョージ・オーウェルの「1984」で言う所のテレスクリーン(テレビジョンのような受信装置と監視カメラの監視装置が合体したもの)の上位装置なので、バッテリーもいらず、脳に直接映像を流せて、しかも相手ヴァ―ヴが受信も出来ます。
生活は困窮、教育はヴァ―ヴの教育、荒んだ世界の中で、転校生のクロエと出会うアーティスト志願のアダムは、なんとかこの窮状を脱するために、秘策を思いつくのです。
それが恋愛実況 (broadcasting their dating)です。
ヴァ―ヴは無性生殖なので恋愛感情やデートの文化が無い、興味津々な彼らに恋愛実況をする事で、視聴、配信による稼ぎを得ようというのです。
この発想、とても面白いですし、確かに説得力があります。
で、ここまでの作り込み、発想、関係性、まで含めて大変面白いのに、この先、ラストがちょっと腰砕けで残念・・・
もう少し脚本として練れたと思いますし、折角ここまで丹念に作っていたのに、まぁ原作があるようなので、仕方ないかも知れないけれど、ココで映画ならではのジャンプが欲しかった。
それでも、このストーリィで、どんな結末が望ましいかというと、ちょっとかなりビターな展開にならざるを得ないし、父親の顛末ももう少し明らかにしたいとなると、大変難しく、なかなか良いアイディアが無いのですが、私なら、アーティストとして認められた後、もちろん断って帰ってくるのは一緒で、その後、再度新しい絵をかきながらエンディングまでは一緒にしても、エンドロールをバックに、さらに年代を進めて、父との和解の絵画、さらに、ヴァ―ヴの勝手な改竄点を指摘しつつ、さらに大きな地球の砂漠とか極地の氷の上のアート作品を入れる、とするのはどうでしょうかね。そしてアーティスト器質の異星人枠をホモサピエンスが獲得していく、みたいなエンディングだったらなぁ。

「テオレマ」を観ました

2024年2月20日 (火) 08:52

ピエル・パオロ・パゾリーニ監督     JANUS FILMS    U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は1/13
U-NEXTさんにあの、パゾリーニ監督作品が上がっているのを観たので。
私の初パゾリーニ映画は、中学生の頃に先輩の家で観た「ソドムの市」なのですが、よく分からな方上に、ちょっと凄い映画でして、正直全部覚えていません。なので初パゾリーニ作品とも言えます。その後、有名なマーケットでDVDの購入しようと思ったら、日本ではもう既に販売出来なくなったそうです・・・う~ん、映画ですよ?それもキリスト教圏ならいざ知らず・・・まぁ過激なのである程度は予想してましたけれど。
イタリアのとある工場長が、工場を労働者に譲った、というニュースの聞き込みをその工場の近くでメディアが聞き取りをしています。’’故に 神 荒野より 民を導きたまえり’’という字幕と共に樹木のない山肌を写しつつ・・・というのが冒頭です。
なんというか、不条理のように見える、解釈の開かれた作品。
登場人物にも、ほとんど名前が無いばかりか、何故?の説明もありません。でも、なんとなく、こういう事なのかな?と観た人のこれまでの映画、思想、哲学、神学に訴えかけてくる感じ。
それに絵画にもある程度の教養が求められる作品だと思います。
多分ですけれど、まぁフランシス・ベーコンの作品、という事は分かると思いますが、だからと言って、題名が分かるほどの教養が私に無いので、なんとも感想がふらふらのブレブレなんですけれど・・・
神学とか神話にある程度造詣がないと、解釈の幅がかなり広がり過ぎてしまうような気がしますけれど、これはイタリアの人、楽しめる作品なんでしょう。そう考えると、カトリックとかイタリアの素地が無い日本人には難しいかも。
とも思うし、凄く下世話に、魅力的な訪問者に人生が狂わされる単純なストーリィにも見えます。
その辺は、まさに観客である受け手の問題な気がします。
テレンス・スタンプの眼差し、そのセクシャルな魅力、この人じゃないと成立しない映画、と言う意味で凄いのですが、割合前半で退場してしまうので、そういう監督の思い切りも凄い。
妻役の人の化粧、なんか意味があるとも思えるのですが、化粧について、不勉強なために、細かなディティールの差が分かりません・・・でも、凄く強い、意志みたいなものを感じます。
弟や姉、夫の行動もさることながら、家政婦のパートのぶっ飛び方は、まるで「バクラウ 地図から消された村」を思い起こしました。
それと低く、うっすらと、モーツアルトのアレが流れているので、まぁそういう事だとは思いますけれど、凄く受け手が試されてる映画のような気がします。
最近、アリ・アスターの新作を観ましたが、難解だとか、眠いとか、冗長だとか、いろいろ言われていますけれど、まぁそういう事を言うと教養が無い事になってしまいます。別になくても良いけれど、あった方が人生が楽しいと思う。
それに、よく考えると凄く安部公房みがあるとも言える。
イタリア映画が好きな方にオススメ致します。
イタリア映画なんだから、特に、増村保造監督のパゾリーニ評が読みたい。この映画をどう評したのか?気になりますね。

「マエストロ その音楽と愛と」を観ました

2024年2月16日 (金) 09:13

ブラッドリー・クーパー監督     Netflix
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は1/12
毎年Netflixは年末に大作を公開している印象があります。
2018年 アルフォンソ・キュアロン監督  「ROMA」
2019年 ノア・バームバック監督     「Marriage Story」
2020年 デビッド・フィンチャー監督   「Mank」 (未見です)
2021年 アダム・マッケイ監督      「Don’t Look UP」
2022年 ノア・バームバック監督     「White Noise」  (未見です)
2023年 サム・エスメイル監督      「Leave the world behind」
なんですけれど、2023年はもう1本大作枠があって、それが、この作品です。
俳優ブラッドリー・クーパーは監督業も行う、クリント・イーストウッドに見いだされた方ですけれど、確かに似ていると思います。そしてブラッドリー・クーパーは特に音楽映画を監督する事が多い感覚あります。
役者であり、監督もする人、増えてきていると思います。個人的に、監督作品で主演する人でイイな、と思う作品が少ない傾向にあると思います。客観性が求められる監督業よりも、自分に酔っている様を見せつけられると不快になる、という事なのだと思っていますけれど、他にも理由がありそうです。
「芸術作品がもたらすのは答えではなく問い
その本質的な意義は、矛盾する答えがはらむ緊張の中にある」レナード・バーンスタイン
という字幕と共に、ピアノを弾くバーンスタイン(ブラッドリー・クーパー)をカメラが撮っていて・・・というのが冒頭です。
伝記的な作品だと思いますし、レナード・バーンスタインをよく知っているわけではないのですが、とにかく、まずはブラッドリー・クーパーの顔が異様にバーンスタインに似せていて、驚きです。そっくりさんに見えます。何と言いますか、特殊効果とかではなく、表情で似せている感覚があります。それが凄いと感じました。
そして、またまたまた、キャリー・マリガンの演技が凄い・・・この人どんだけふり幅大きいんだよ・・・ここ数作、全然違う理由で選んだ作品に、キャリー・マリガン出演していて、本当にびっくりです、Saltburn、SHE SAID、に続いてまたキャリー・マリガンです。
今回は青年期から老年期に至るまでをすべてキャリー・マリガンが演じているのですが、50年代から80年代のファッションに身を包んでいるのですが、そのどのタイプの服でも似合うの、凄いと思います、髪の毛の遍歴というか形の変わり方も凄いのですが、とにかく、似合ってると思います。
偉大な人物は得てして捉えどころのない、相反する面を持ち合わせていますが、バーンスタインも同じで、凄く複雑な人に、見えると同時に、才能やgiftedがあるからと言って傍若無人な振る舞いを許せるのか?とも思いますし、才人をどう捉えるのか?というのは難しいですね。
でも、それは家族だけの問題ではないと思いますし、取りようによっては、絶えず意見が食い違ったとしても理解し合えていた、とも言えるし、不良が猫を拾うじゃないですが美談にして良い事なのかとも思います。
あまりマーラーって聞いたことが無かったのですが、興味出てきました。
なんで舞い戻ったのか?について納得いく理由は無かったけれど、きっかけ、を感じる事は出来たし、きっとそういう人もいるだろうな、と言う意味では説得力も感じたし、その時代であれば当然、もっと他者の目は厳しかったはずですし、腑に落ちました。
時々思うのですが、才能あふれる人の周囲にいる人間って、多大な影響を受け、金銭や財産や時間や思考や体の一部を投げ出さないわけにはいかないのであろうな、と思うと、近くにいる、家族になるのって本当に大変だと思います。
私個人の意見ですけれど、家族という檻は逃れる事が出来ない、遺伝的にも絶対に逃れられない鎖であり、恐ろしい。と思っています。周囲からどれだけ恵まれて見えようとも、実感は本人しか分からない上に他者の実感は想像するしかない、わけですから。
音楽が好きな人にオススメ致します。

「SHE SAID」を観ました

2024年2月14日 (水) 09:18

マリア・シュラーダー監督    UNIVERSAL    Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は1/11
2023年公開映画で、劇場に足を運ぶべき作品であったのも理解していたのですが、原作があり、大変ヘヴィーな案件を扱っている作品です。それをどう考えるのか?とか何を感じるのか?という恐ろしさもあって、なかなか手が出せなかったのですが、するりと、この瞬間に、観ようという決意が起こりました。タイミングって重要。そういう時が訪れるのを待つ事も重要なのかも、と思えました。
まず、映画が好きな人なら、自分の好きな作品がいくつもあると思いますし、その中で、ミラマックス、そしてそれ以外でもハーヴィー・ワインスタインが関わった作品、めちゃくちゃにたくさんありますし、有名な作品も多いし、もちろん私も好きな作品があります。そして、ワインスタインが関わっていた、と今となって知る事はとても意味があるし、それも苦い方の意味があると思います。
性的搾取、ハラスメント、そしてパワハラ問題を孕んだ作品ですが、多くの人が観るべき作品。あなたが男性なら必見の作品だし、女性でも学びの多い作品です。
1992年アイルランド。古風な船舶が湾に停泊する中で映画撮影が行われている所に歩み寄る若い女性がいて・・・というのが冒頭です。
ネタバレは無く感想にまとめるのが難しいので、結論だけ。
調査報道の意義を知れる映画。そして映画としても素晴らしく上品で傑作。是非観た方が良い作品でした、生きてる人間全員にオススメします。
キャリー・マリガンとゾーイ・カザンの主演2名のバディムービー。凄く良い演技だった。特にキャリー・マリガンの凄みを感じられた今の所の彼女のベストな演技だと思います。キャリー・マリガンは本当に出演作事にキャリアハイを更新している感覚がありますけれど、今作の記者役は、今までで1番良かったし、実際の彼女に近いのではないか?これは素にかなり近いのではないか?と感じました。
そしてゾーイ・カザンの顔の造形、結構好きなタイプなんですけれど、それだけじゃなく、ポール・ダノとつきあいがあり、しかも脚本も書く才能があり、何と言っても映画監督のエリア・カザンの孫・・・もうスペックが高すぎる!この方の演技も自然で、本当に仲が良いのでは?と思わせるほど自然なバディ感が最高です。
あと、本当にどうでも良い事ですが、当たり前ですけれど、他人の顔について、どうこう言える顔の持ち主じゃないです。ですが、何を感じたのか?を言葉にしておきたいので。そして映画の中の役者さんの顔の表情の、演技、あると思いますし、役者の方はその人を演じているだけで、キャラクターをずっと続けているわけでもないと思います。鑑賞した人にとっての好みの問題で、どう受け取るのか?は観客の自由だとも思います。そして、当然私の感想なんて誰にとっても読む価値などないので、不快に思われる方は読まない自由があります。
そして、どちらも家族がいて、普通の、生活をなんとか維持する努力を続ける、その部分を丁寧に描き出す事で、記者たちの日常性を醸し出しているの、凄く良かった。
脚本も監督も演出も音楽も美術も、凄く高い到達点だと思います。
この後は蛇足だと思いますが、自分が何を感じて、どう考えたのかを文字にしておきたいので。忘れない為に、忘れてもまた思い出せるように。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想です。未見の方はご遠慮くださいませ。
性的搾取もハラスメント、それもセクシャルで権力の上下関係が問題ではあるが、それを正せない事が大きな問題で、隠蔽に繋がる条項を含めるのであれば、後からでも不利な条件を外せる仕掛けが絶対に必要だと気付かされる作品です。
これはかの有名なヤン提督のお言葉「政治の腐敗とは、政治家が賄賂を取る事ではない、それは政治家の腐敗でしかない。政治家が賄賂を取ってもそれを批判出来ない事を政治の腐敗というんだ」と同じで、ハラスメントや性的搾取を行っておいて、示談で後々告発を逃れる構造が問題だという事です。
後に告発される恐れがあるからこそ、秘密条項を入れている訳ですし、後ろ暗い所があるか、示談を示している。
しかも、この一連の問題を、かなり初期に終わらせる事が出来た可能性を、被害者の1人ゼルダが、改善や今後の解決策を、かなりクリアに提示しています。2年以内に同じことがあった場合は彼をクビにしろ、しかも、その後のセラピーを要求して自分も同席させろ、女性やスタッフを守るための システム (構造!)を入れろ。もしこの条件が締結していたら、その後の事件はおおよそ、防げたはずなんです。ゼルダの意見は全く正しく、そして公平でもあります。それなのに、司法も、法律も、そしてそれに関わる全ての人が、性的加害者を守るシステムに加担しているわけです。
ゼルダの立ち去った後の視線、その足取り、資料をゾーイ・カザンに託した事の意味を、そして今でも何もゼルダにとって終わっていない事を理解させる演出、役者の演技、本当に素晴らしかったし、ココが私のこの映画の中でのクライマックスでした。
権力を、金を持っている事で、性的搾取を、仕事の上下関係がある女性に対して行う、という極めて悪質で、しかも常習性のあるワインスタインが、示談をしつつ、証拠を譲渡させ、機密条項を入れて告発を防ぐ、その構造の問題にぞっとします・・・
そう、これは構造の問題ですし、この手の犯罪の常習性を考えると、個人的に映画の結末は良かったとは思うけれど、遅きに失しているとも思うのです。なにしろ被害者の、その後を、決定的に、自尊心まで殺す行為で、しかも告発も改善も望めなかったとすると、極度の人間不信になって当然だと思うのです。
この構造に加担している、という事実があるからこそ、ワインスタイン側、かつて関係があり、現在は関係を断ちたい人からの情報を得られたのは大きいと思います。
それに、この映画の中でも同時代性というだけではなく、あまりに馬鹿々々しい事だし、いくら何でも、と私だって思っていましたけれど、トランプが大統領になる、という事実ひとつとっても、全然、何も変わってないのでは?という気分になります。
当たり前ですけれど、政治家は、政治的能力が高い事が必須条件ですし、態度や人柄よりも重要視されるべきだと思いますけれど、いくらなんでもトランプを大統領にするところまで馬鹿で下品じゃないと思ってましたけれど、現実は本当に恐ろしいです。
もっとも、うちの国の拝金万歳議員、自浄作用が効かない、抵抗権があるのかないのかはっきりしない上に、人民が自由意思によって自分たち自身の制度と精神をおとしめる政体を体現出来ている国も珍しいと思います、やはり美しい国最高ですね。しかも30年以上に渡って、経済的に斜陽を続ける能力の高さ、ちょっとマネできる国は無いと思います。それでいて、他に選択肢が無い、という言い訳が通じる国、美しさで言えば歴史上最高位なのはもはや明白。
ひるがえって、この映画を鑑賞する前も疑問に思っていましたけれど、そして今後もいろいろ考えさせられ続けるので、最初は視聴するのが恐ろしかったわけですけれど、例えばコンビニエンスストアで雑誌を見かけると、男性向け雑誌のおよそ体感で8割くらいの表紙は季節に関係なく水着の女性だったりするわけです。この映画と関係ない、そこまではどうかと思う、と頭の中の客観性小人がささやきはするけれど、気になるようになったりします。それでも、性的衝動やリビドーを感じたりする事の後ろ暗さのようなものを齢50を超えても感じるのかと思うと、ワインスタインを笑う事が出来ないのではないか?とかも考えてしまったり、本当に思考を止める事が出来なくなるので、恐ろしいという予感は当たったな。

「哀れなるもの」を観ました

2024年2月9日 (金) 09:13

 

ヨルゴス・ランティモス監督    サーチライトピクチャーズ   吉祥寺オデヲン

 

2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は1/10

 

原題は「Poor Things」で原作もあってアラスター・グレイというスコットランドの作家の1992年発表の小説です。これは原作を読んでみないと何とも言えないし、監督が何をもって映画化映像化したくなったのか?は原作を読んでみて考えてみたいです。

架空の、もしくはパラレルワールドのようなロンドン。河に架かる橋の上に居る青い服の女性が身投げして・・・というのが冒頭です。

まず、2024年に観たい作品の2本のうちの1本で、それはヨルゴス・ランティモス監督だから、です。何と言っても2009年の「籠の中の乙女」の衝撃、そしてその後知る事になったキャストの悲劇を聞いて、本当に頭がオカシイ(←褒めています)監督だと思っていたのですが、その後2015年の「ロブスター」もかなり変わったSFでしたしなによりもコリン・ファレルの困り顔がこんなに!という作品(その後コリン・ファレルの困り顔映画としてはさらに上を行く「イニシェリン島の精霊」という作品もありますし)で、2017年の「聖なる鹿殺し」では怪演バリー・キョウガンを見出したヘンテコリンな映画で、ここまでは監督自身が脚本を書いていたのです。

それが2018年の「女王陛下のお気に入り」から監督に専念するようになりまして、ちょっと毒が抜けた、エッジが割合少なくなった印象があり、その代りに、知名度が格段に良くなって一般の人気も高まった気がします。なので、監督としては、次作はかなり好き放題出来るタイミングだと思うのです。

製作者やプロデューサーの意見を聞いて作った作品よりも、監督の好きに作った作品の方が面白いと思える事が多いですし、ある程度の大作、製作資金が莫大な作品ほど、難しくなるわけですが、1度ヒット作を出した後ならば、監督の好きに作れる機会が得られたと思ったからです。

で、今作は原作がありますし、しかもはっきりと、女性という事柄を扱った作品で、ヨルゴス・ランティモス監督なら、もっとエッジの効いたことをしそうな感じでしたが、どちらかと言えば、とてもライトな人にも楽しめる作品に仕上がったと思います。

個人的にはちょっと残念でしたけれど、観ている間は大変新鮮で、ちょっと世界観の作り込みではジャン=ピエール・ジュネ監督を思い出しましたし、テーマで言えばグレタ・ガーウィグ監督の「バービー」ですが、もっとセクシャルで哲学的でもあると思います。

結局のところ、本当にもっと困った事態にもなり得たし、好奇心というエンジンにはブレーキが存在しないし、取り返しのつかないダメージは負わないご都合主義とも言える部分もある。

けれど、ここまでの世界観の作り込み、美術、スタイル、衣装、は素晴らしかったです。

個人的には音楽は、もう少し面白くポップでも良かった気がします。ちょっと薄いと感じたし物足りなさも感じました。

そして結局のところ、エマ・ストーンの、エマ・ストーンのよる、エマ・ストーンの為の、ベラ・バクスターな作品。

あ、ウィレム・デフォーとマーク・ラファロは、凄く良かったです。

それとハリーは大変重要なキャラクターで、私はハリーとゴドウィン・バクスターの中間に居たい。

エマ・ストーンが好きな方に、オススメ致します。

だって、もし、エマ・ストーンじゃなかったら?成立しにくい説得力。女性の話し、とも言えるけれど、そこまで大きな話ではない気がする。

 

 

アテンション・プリーズ!

 

ここからはネタバレありの感想になります。

 

未見の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレあり、としては、まず、エマ・ストーンは確かに凄いのだけれど、そんなに難しい役柄ではない気がしました。かなり裸なんですけれど、まぁそこは凄い。誰だって裸を見られたくはないし、まして映画になって映画館で結構世界中の人に見られるのは、どう考えても恥ずかしい。
確かに、すべての女性は、男性と比べて、残念ながら窮屈なしきたりが多いし、そういう身体性があるのだと思うし、それでも、出来るだけ公平に扱われてしかるべきだし、当たり前だと思うのですが、文化とかモラルとか道徳とか羞恥心だとか、いろいろな積み重ねがあって、歴史があって今があるし、だから今の価値観や刷り込みに公平さが必要なのは間違いないし、変化させるべきだとも思う。その事には同意するけれど、なかなか難しい、という事も良く分かるし、男性は成熟しないでも大人になれるので、そういう社会で育ち、刷り込まれた事に無自覚なので、まずは自覚させないと成長はありえないから、この手の映画で、娯楽的に自覚させる機会の一つであるのは素晴らしい事だと思う。
それでも、違和感と共に、もう少し練れなかったかな、と思うのは、結局は、結婚という制度には無自覚に肯定的に描かれる事です。
確かに、ベラから見ればフラットに関われるとも思いますけれど、セクシュアルな事には排泄や尾籠な感覚って皮膚的なモノでもあるし、ここはベラがおおらかな為だと思いますが、秘める事も文化の一つの事象だとも言える気がしました。
それに決定的な傷を負わないのも、やはり気になるところで、好奇心というものは結局のところ都合が悪くなる事にも繋がりかねない、危険な面もあると思いますが、まぁそれは脚本上仕方ないかも。
マーク・ラファロ演じるダンカン・ウェダバーンの女々しさ(という表記が既に刷り込みなんだけれどこの漢字を当てているのもどうかと思うのだが、それでも新語を作り流通させる事を考えると文化の名残とも言える)はだいたいにおいて男性に現れると思いますが、とても上手いキャラクターだと思います。
それと、ハリーの存在はなかなか良かった。皮肉屋だという事は確かに、ナイーブである事でもある。そして同時にゴドウィン・バクスターの医師や科学者としての、感情に流されない覚悟も見逃せないし、親近感がある。男性か女性か?という事ではなく、自分の船を操縦するのが自分であるなら、科学的で感情に流されないようにする事は必然な気がします。でもある種の優しさも必要。
アレクサンドリアではあれだけショックを受け、まさに感情に流されたのに、パリやロンドンでも、同じような立場の人は見えないけれど居たはずで、その辺もオミットされているのもどうかと感じるんだけれど、これだけ魅力的な世界観を作り出されると、確かに鑑賞中は気づかないで楽しめました。
エマ・ストーンが美人か?プロポーションが良いか?とかいろいろ意見はあるだろうけれど、整ったハリウッド女優である事は事実で、だからこそ美しいとされているし、これがもし、エマ・ストーンほどの容姿でなかったら?と思うと、案外なり立ちにくいので、すべての女性の話しにはならないんじゃないかな、持てる者の、話し。
それでも、この映画が出来て(インティマシー・コーディネーターも居たみたい、良かった)良かったし、観ている間現世を忘れる事が出来て良かった。
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