ローラ・ワンデル監督
2026年公開映画/2026年に観た映画 目標52/120 5/22
2025年公開の評判良い作品だったので。
これは見逃していたのを後悔するレベルで素晴らしい作品でした・・・
小学校に上がったノラは兄であるアベルと一緒が良いのですが・・・というのが冒頭です。
大人には理屈が通用しますし、社会性のあるルールの中でのコミュニケーションなので、それが普通と思いますけれど、子供にとっては全然違うルールで動いていますし、そのルールが子供だけだと全く違ったモノに変容します。
そして非常に残酷になれる。
まず主演の子、というか俳優が凄い。
恐らく妹が主演で7歳くらいか?未就学児に見える。しかし、もう既に物憂げな表情を浮かべられるの、恐ろしい子、です。マヤ、です、マジで。
そしてお兄ちゃんアベルですが、背丈は低めなんだけれど、既に哀愁を醸し出せる男・・・怖い!どういう演技指導をしているのか?気になります・・・しかも恐らく歯牙の交換時期から、10歳、もしくは11歳と思われ・・・そんな年齢で、どうしてそんな表情が出来るの?おじいさん、心配になってしまいます・・・
2人とも、飛び抜けた美形では無いのかも知れませんが、私の感覚だと、整ってるし、ふとした瞬間の、瞳の美しさ、瞳の黒目の部分の大きさに反して、瞳孔が小さい事で生まれる気品のようなモノが、2人ともにある。
またノラの斜め後ろからのカットで観られる、幼少期にしか見られない骨格と筋肉の動きの拙さゆえの、もごもごとした動きが皮膚の下の骨の動きが起こしていると思いにくい皮膚の動きも相当にヤバいです。
この年齢だと、私の感覚では男女差なんて無いと思っていましたが、確実にあるのも、怖い感覚になります。
ネタバレ無しではあまり言える事が無いけれど、子供の世界では大人は部外者なんです。
それとこの映画はフランス語を喋っていますが、ベルギーの映画のようです。ルクセンブルグからも近い、実家から行けるはず。
あなたがもし子供時代を過ごしていた自覚があるなら、それだけで観る価値があります。
子供時代の事を覚えている人、覚えていない人にオススメします。良作です。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想になります。未見の方はご遠慮くださいませ。
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ネタバレありですと・・・
とにかく子供のいじめって本当に残酷。
そして、いつも思うのですが、私たち(複数形ですみません)大人になれた人は幸運だっただけ、だと思います。
どんなに収入が高い家に生まれても、どんなに権威のある家に生まれても、関係なく、いじめの対象になってしまえば、皆同様に、ターゲットになるだけで、大人の対応は、恐らく場違い、筋違いなモノになり、そして、エスカレートしていく可能性が高くなり、なんなら陰湿化するでしょうし、非常に恐ろしい。
しかも子供なので、制限が効かない。恐らく結構な進み方をするでしょう。
とは言え大人であっても、やるホモサピエンスはいくらでもいますし、島国根性という言葉の一端を担っていると思います。そして、実は、仲間ではないホモサピエンスを見つけては、それを排除、差別する事で、それ以外の、仲間の結束力が高くなる、という事を無自覚に行っているホモサピエンスがあなたの周囲にも必ずいます、と断言できるくらいうちの国はいっぱいいます。
男女差みたいなモノも結構如実に表現されていて、そこも怖い。
また、結局いくつになっても、排除差別する側のホモサピエンスは、自分がやられる事を想像すらできない、何と言いますか頭が悪い方なので、もう仕方が無いし、離れるしかないと思います。
しかし子供は規則に填められてて、自分の意志が反映されにくいし、躾とかわがままとか言われて結局、ただ単に我慢させられるわけです。
あの監視員の態度は、本当に無いと思うし、監視員の数が足りなさすぎる。
子供っていうだけで大変だし、本当に子育てしようと思える人はエライなぁ。どう考えても私がノラやアベル、なんならいじめっ子側の保護者として、何かが出来る気がしない。その立場を想像するだけで、子供を育てようとすら思わないですね。
是枝監督もうかうかできないのではないか?
関和亮監督 MGMAmazon Amazonprime
2026年公開映画/2026年に観た映画 目標52/120 4/18
原作を読んでいるので。書籍は本当に素晴らしい書籍ですし、著者かげはら史帆さんが素晴らしい仕事をされているんですけれど、どうやってこれ映画にするのか?が気になったので。
脚本に芸人のバカリズムさんが入っているのですが、この方は脚本書かれる人なんでしょうか?なんでこの人なのか?が不明。
監督も初めての方なのですが、唯一、主演を知っています!鬼邪高校の村山さんじゃないですか!!で、観る事にしました。
忘れ物をした中学生の子が、音楽室に向かうと・・・というのが冒頭です。
この中学生の目線を入れる事を考えた人は、エライ。西洋人を東洋人が演じても大丈夫にさせるアイディアは素晴らしい。
また、こういうアクロバティックな事をしないと、映画にはならなかったでしょうね。
そして全部古田さんが持って行きます。もう役者の格が違う感覚。流石です。
でも俺たちの鬼邪高校村山さんも負けてない。演技としてはアレだし、いろいろ頑張ってる。でも、そういう事じゃなくて鬼邪高校の村山さんだから、それでいいです。出来れば轟にも共演して欲しかったです。
脚本としてもそれなりに面白くなってると思いますし、悪くないけど、凄く嫌な事言うけど、これ書籍で読む方が面白い話しなんです・・・
邦画にアレルギーのある人でも大丈夫ですよ、という意味でオススメします。
クリスチャン・アルヴァート監督 コンスタンティンフィルム U-NEXT
2026年公開映画/2026年に観た映画 目標52/120 4/17
SF作品が観たくなった時に偶然見つけたので。
が、凄く変なSF映画。パッセンジャーという映画がありましたけれど、似て非なる映画で、しかもSFとあるジャンルを混ぜていて、それは混ぜるな危険!というモノではないのか、と思いました・・・
あまりネタバレなしで言える事が少ないのですが、ノーマン・リーダスが出ています、びっくり。
えっと、宇宙なんで、アレしないとアレじゃない?とか、本当にいろいろあるんだが、タイトルのパンドラムは造語で新しい病気の話しです。
にしても解決しない物事が多すぎやしないか・・・
デス・ストランディングを遊んだ人にオススメします。
ベネディクト・サンダーソン監督 Netflix
2026年公開映画/2026年に観た映画 目標52/120 4/16
Netflixに再加入したので。でも多分長くは続かない気がする。
ドキュメンタリーが観たくて。
2002年の誘拐事件を扱ったドキュメンタリーです。
深夜に自宅から14歳の少女エリザベスが誘拐され・・・というのが冒頭です。
凄く恐ろしいんですけれど、事実を扱った事件。そして、当時の報道はこのドキュメンタリーの中の描写しか知らないので、何とも言い難いのですが、考えさせられるという意味で興味深いです。
何故なら、普通に考えてこの手の事件の犯人は内部の可能性が高いからです。
そして凄く驚愕の展開なんです・・・
私が警察であったとして、まず信じない展開。
で、やはりホモサピエンスって動物でもあるので、論理を突き詰めた上で、感性も必要なんだけれど、その論理が付き詰まった状況かどうか?が凄く確認取りにくい。
しかし驚きです。
ドキュメンタリーが好きな方にオススメします。
https://www.youtube.com/watch?v=ryh3mVsB-ME
トビー・フーバー監督 松竹 新宿ピカデリー
2026年公開映画/2026年に観た映画 目標52/120 3/15
親しい友人は私の映画の好みを知っていて、この作品をオススメはしてこなかったのですが、いろいろ伺うと、発見が多いそうですし、現代社会において、知らない、という事の価値は相対的に高くなっています。ちょっと指先を操作すれば、概要を簡単に、ネタバレ含めて知る事が出来る世界なので。そして知ってしまったら、知らなかった状態には決して戻れません。
しかし、だからこそ、今この作品を、全くまっさらな状況で接する事が出来るというのは、それなりに価値があるのではないか?と思い、しかも50年前の作品なのに、私は全く何も知識が無いので、そういう意味で貴重なのではないか?と考えて、劇場に足を運ぶことにしました。
1973年8月テキサスでは墓荒らしが横行する事件がラジオで放送され・・・というのが冒頭です。
5名の男女が1台のボックスカー(?)に乗り込み、墓荒らしが横行しているので、自分の祖父母の墓の安全を確認しに出かけています。が、それは恐ろしい惨劇のきっかけで・・・
話の筋は、まぁこういう映画ではあり得ますし、そういうモノなのだと思いますが、ちょっと他では観た事がない肌触りの映画でした。熱狂するファンがいるのも頷ける作品の熱量と芸術性があります。
私はホラー映画に詳しくは無いですし、なんなら驚かせよう、と考え(まさにディアギレフの言う所の)は何時の時代も耳目を集めると思いますが、その最も安易な方法のひとつがホラーなんだと思いますし、その感覚がマヒしている人がホラー映画ファンだとも思います。需要と供給が合致している。
ただ、あまりに安易なホラーが多すぎますし、それこそを愛らしく観られる、ホラー映画ファンの心情を理解は出来ても共感が出来ません。
ですが、当たり前ですけれど、素晴らしいホラー作品もあるわけです。
50年前の作品ですから、ネタバレも何もない気もしますけれど、私のように、何も知らないで味わえる方もいらっしゃると思いますし、ネタバレは無しで言える感想をまとめます。
現代の映画は何かにつけ、非常に観客にとって都合良く、作られるようになりました。ですから、大変に上手であると同時に興醒めする事もあるわけです。そして映画をたくさん見ている人ほど、スレて行きますよね?それはもうどっかで観た、みたいな作品の評価は相対的に低くなりやすいし、とは言え類似性のある、例えば、実は姉妹兄弟だった、みたいな間柄の真相を知る、という事であっても、神話でよく見かけていた人と、初めてSWシリーズを観た人がいるわけで、そういう初回性は大変に覚えている事になりますし、その初回性は選べません。そして生まれる時代によって変わり、ジェネレーションギャップの確認に使えたりします。
ですが、本作「悪魔のいけにえ」は全然、説明しません。また、説明をしない事が、アメリカナイズされているのかも知れない、アメリカの土着の、思想なり哲学なりを、纏っている感覚、あります。そういう意味でホラーで私が知っている、観ているというと、ダリオ・アルジェントと比べて、凄く野性味がある、アウトサイダーアートみたいに見えますし、ダリオ・アルジェントにはある様式美、のような型が無く、それよりもずっと強く、パワフルで原始的。なのに、細かな工夫と言いますか、変な細部へのこだわりを感じるのです。
そして私の知っているもう1名のホラー映画監督と言えば、真摯にネガティヴ、で有名なアリ・アスター監督ですね。この人はどこまで本気なのか?不明なんですけれど、とにかく、真面目にホラーに接している。そして真剣。で、恐らく映画が怖いんじゃなく、この監督が怖いんです。映画作品としてスタイリッシュでもあるし、安い表現は使わないけど、あくまで人が作って人が演じて偽物であり作り物の為に、そこまでやりますか?という態度が怖い。本当に真剣にネガティヴ。
でも今作のトビー・フーバー監督は全然違いますね。凄くアメリカン。それも南部の匂いしかしない。湿度が高く、暴力的。そしてマシーン、機械を使う事を厭わない。文明の利器が入ってくるところが凄くアメリカナイズされている感覚があります。
それなのに、アート性が非常に高いのも特徴。それもオブジェクトに対する偏愛みたいな感覚があります。
ずっと始まりから低い所で不穏感があり、それが占星術だったり、ナイフであったり、ポラロイドカメラなんですけれど、そういう事を伏線にまでしない。ここが潔い。そんな事よりも重要視する、監督が優先順位を付けた細部へのこだわりが、強い。
それと、何かが起こるのが、唐突。であるのに、作為感が無いのも特徴的。というか昔の、なんなら資金の無い今のマイナーな作品だってそういうモノだと思いますが、これが凄く緩急を生んでます。今だったらもっとスローとか使いそうなんですけれど、そういう事はしない、というか出来なかっただけなのかも。つまり撮りっぱなし、撮って出し感があり、だからこそ、妙なリアルがあります。もしかして?狙ったわけではないショット感、みたいな感覚。写り込んでしまった何かを観ている感覚。
ネタバレ無しでは言えない事もあるのですが、ホラー映画、というジャンルだけに留まらないアート性のある作品で、パワフルである事、原始的な渇望をエンジンにしているという意味での野蛮さ、生命そのものの危なさ、を描いた作品。
もしまだ何も知らない人が居るとしたら、是非一見の価値ありなオススメ作品です。
新宿ピカデリーで割合遅い時間に観たのですが、好事家の集まり、でした。30名くらいのほぼ半分が1名で来ている人、老若男女混じってて、どちらかと言えばおひとり様は女子率が高かったです。次いでおじさん一人の人。グループ出来てるには男女5名組みたいな、この映画の登場人物かよ、と思わせる人々がやたらと終焉後にロビーで盛り上がっててましたし、2人組だとおじさん二人組もかなりいました。
何かしらの連帯感があった、なかなかな映画館体験。
あと、このフィルムの肌感覚、今まで見たどんな映画よりもざらつく。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想です、未見の方はご注意ください。
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凄く、エド・ゲインの事を思い出しました。墓荒らしで且つ人体収集癖、なんなら人体で装飾品を作ってますし、誰もが思い浮かべるシリアルキラーだと思います。
ですが、少し違う感覚もあり、なんというか、シンボル化している。そして、個人ではなく、家族というか一族であり、そして家業になってる、ファミリービジネス、という奴ですね。
wiki情報ですけれど、監督のトビー・フーバーはエド・ゲインの事も良くは知らなかったみたいです。それでも、墓荒らしから装飾品を作る発想はなかなか土着宗教を想像させる何かがあり、且つ、ここにマシーン、機械が出てくる。
細い兄の方は、ナイフを使い自傷するし、とにかく不気味で血文字、なのかの説明もしないし、そういう意味不明さ、をそのままで出してくる。例えばアリ・アスターみたいに、ああ、あれってこういう事だったのか!的なクリアな落とす感覚に陥らせない、意味を持たせない、だからこそ怖い、というのがあると思います。
それなのに、弟の方は、マスクしてるし、何もしゃべらない上に、明らかな義歯、それもクリアな素材を用いた、非常に稚拙な、義歯をはめている、少なくとも上顎は総義歯に近い状況がみてとれます。そして全然喋らない怖さもありつつ、哀しみも感じさせる。しかも、武器としてのチェーンソーという莫大な音の鳴る凶器を用いています。隠れるわけでもなく、単純に襲い掛かってくる。
しかも登場シーンの突発さ、そして勢いよくいなくなる扉の閉め方。これが相当に恐ろしい。まるで力任せ。で、恐らく、古い食肉工場での、牛の屠殺業者がこの一家の家業なんでしょう。ハンマー、というかはっきりスレッジと言っていたような・・・アレ、これは直前に観たウォーフェアの話しだったかも・・・これだから1日に映画は1本なんですよ本当は、私にような低能には。
最初の被害者の身体の振るわせ方も非常に恐ろしいですし、構造的に、最初のガソリンスタンドでもう詰んでるのも、恐ろしい。
つまり弟であるマスクマンは、人を人だと認識していないし、知性があるかも分からないし、何も情報が無い、という所が怖いです。
なのに、兄や父や爺との関連性の中では、哀しみを帯びるのが、凄く切ない。
この父も恐ろしく、当時の歯科の技術がどの程度なのか?ある程度の知識はあるものの、それにしても、な前歯の処置・・・だからこそ、怖い。あと、最初の被害者がドアの前で拾う歯牙のむき出し感もなかなかです、それにアレ本物です。
そして美術。ここが最もダークサイドアート、アウトサイダーアートっぽくて凄い。特に文脈も無く、ただ骨とか歯とか、人体の無機質に近い、朽ち難い物質を組み合わせていますけれど、ここに無造作に牛とかも交じってきているのが恐ろしいのです。明らかに違うのに、シンボルとしての材料としては同じただの骨である、という認識でないと組み合わせない感覚があります。
家の壁、その重そうな扉の開いた状態でしか見られない頭蓋骨標本のような壁の装飾、なのにこの壁だけ赤いのも何かの象徴みがあります。
あとあの、ラストシーンの美しさは別格ですね。なんで美しいと思ってしまうのか?言語化が難しい。難しいのだけれど、その輪郭だと、関係性の中で見せる哀しみを知ってしまっている観客は、あの慟哭に近いチェーンソーの音が彼の精神の鎮魂歌っぽく聞こえるし、何もかもが朝焼けの中で鈍い黄金色の中でのダンスに見えて美しく見えるのではないかと感じました。上手く言葉に出来ない。
謎、というか隙間だらけだからこそ、そこにある何かを想像せずにはいられないタイプの怖さ、私には初めての体験でした。
あと、ミッドサマーのラストで笑うの、この映画のラストシーンへのオマージュとも取れますね。
兄の自傷、プラロイド写真に乗せた何か、開かないコーラ、占星術占いって時期があるはずなのでは、ナイフのゆくえ、自家発電の理由、爺の存在、トラック運転手のその後、謎があるからこそ、隙間があるからこそ、気になり、人を引き寄せる。