井の頭歯科

2025年の読書

2025年12月27日 (土) 09:28

2025年は久しぶりに読書にも少し時間が取れた1年でした。

 

で、ちょっと自分事ながら驚いたのですが、このブログ、2010年6月からやってて、え?となりました・・・その前にもやっていたのですが、知らないうちにそちらのブログはサイトそのものがなくなっていました・・・gooブログという場所だったのですが・・・その時も1年くらい、やってたと思います。もう思い出せない・・・

 

その頃、というか若かったころは、多少は趣味が読書、と言えた時期でしたが、ここ10年くらいは全く本が読めない時期でした。

 

それが久しぶりにそれでも20冊程度で、それは読書とは言わない感覚もあるのですが、全てを相対的に見ると、自分事として、久しぶりに読書に時間を作れた1年間だったと思います。

 

そのきっかけになったのがアガサ・クリスティーの「春にして君を離れ」でした。本当に素晴らしい本と出合えた事、そして割合すぐにもう1冊、J・B・プリーストリーの「夜の来訪者」を読めた事も僥倖でした。どちらも素晴らしい本で、あまり懐古主義にはなりたくないのですが、そうは言ってもホモサピエンスが生きている意味ってもしかすると、想い出を作る事のような気もしますし、というか他には何もない気もします。今でなければ理解出来ない一期一会の繰り返しですし、そういうモノな気もします。

 

来年も、というよりは、ここ数年、いやもっと言うと10年くらい前から、もういつ何時亡くなる事になっても、おかしくはない年齢になっていて、その自覚もあり、生きている間に、良い本とめぐり合えれば、と思います。

 

そしてどんどん、現代の作家の素晴らしい作品と言われる書籍に、距離と感じやすくなった、と言えるでしょう。評価の高い村田沙耶香さんや王谷晶さんの著作の、良いと言われる部分はある程度理解出来ても、そのフレッシュさを感じ取れても、いわゆる古典として評価のある程度定まった書籍と比べて、その興奮なり驚きなりの深度は浅いな、と感じてしまうように、つまり老人になった、という事なんですけれど、なってしまいました。

 

老人力©赤瀬川源平がついた、という事です。これからも前期改め、中期高齢者として生きて行こうと思います。

 

身体の老化の進み具合は、人それぞれ。私は比較的身体的老化が早く、精神的には中学生くらいで止まった感覚があり、情けない限りです。

 

もう数冊読み進めているのがあるので、それを読める幸せを感じています。

「ストレンジ・ダーリン」を観ました     Strange Darling

2025年12月26日 (金) 08:59
https://www.youtube.com/watch?v=71iuHvMX5JE
JTモルナー監督     ミラマックス     U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   51/133
新作を観ないとと思いつつ、観たい作品になかなか行けない状況で、今年もあとわずかなので、いつも通りU-NEXTさんにお世話になります。
ホラー映画、というジャンルものではありますが、かなり好印象を持ちました。ちゃんとしてる。
緑の森の中を失踪する、金髪で赤いスクラヴを着た女性が・・・というのが冒頭です。
基本的にネタバレ厳禁な映画です。そしてホラー映画のていを取っていますが、確かにホラー作品だけれど、それだけじゃない映画です。
非常に、色使い、映画の見た目、ルックに素晴らしさがあります。
この色使いを観るだけでも、価値のある作品。無論、この映画の価値はそれだけじゃなく、あくまでたくさんある中の一つなんですけれど、そのクオリティが、非常に高い。これが重要で、このクオリティや思い付きやアイディアを、ちゃんと現実や映画内リアリティに落とし込む事に、手を抜いていない。これが本当に立派。
小道具もちゃんとしてて、私、基本的に銃器に興味がわかないのですが、この男の持っているライフルの造形と色、凄く良いと思いますし、このライフルについて知りたくなりました。凄くスタイリッシュ。スクラヴの赤の色合い、色味も素晴らしいし、ネオンの赤と青の印象の良さ、いろいろ本当に素晴らしい。
そしてホラー映画に愛の無い私からすると、凄くホラー映画ファンって、つまりジャンル映画ファンって、安い。という感覚があります、もっとくれ~、もっとちょうだい~みたいな幼児性を感じてしまう・・・そうじゃないんでしょうけれど、そうみえる部分がある気がします。
だから今作は凄く良かったし、ちゃんと怖いし、ちゃんと整合性があり、観客の思い込みとか、謎に対するスタンスを考えて作られている。こういう丁寧な仕事に対しては、凄く評価してしまいます。
というのも、この年末にくだらない日本製のホラー映画を観たからで、まぁしょうがない。比べるのがおこがましいというか、全然別物なんですよね。
とにかく観ている間、ずっと、え?とか、だとすると、とかが止められなかったので、大変我を忘れる事が出来、それって大変幸せな時間です。
あ、でもスプレーを持って入ったな、とか、いろいろ気付ける事もあった。倒れてるけど、銃痕が無い、とかある種の矛盾とか、気付きもいろいろあって、ニヤリとはしてしまいます。
かなり新しく、そして私も一様に、刷り込みがある。
映画のルックが整って上質なだけで、誰にでもオススメ出来るのって本当に凄い事です。
EL
ラストの字幕だけがまだ謎なんで、これから調べに行きます。
映画が好きな方に、オススメします。
JTモルナー監督、名前は覚えた!

「恋人たちの予感」を観ました

2025年12月25日 (木) 11:40
追悼・ロブ・ライナー監督
ロブ・ライナー監督     コロンビアピクチャーズ     U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   50/132
ロブ・ライナー監督が亡くなられました・・・しかも事件性があるみたいです・・・
今年の、というか昨シーズンのNFLsuperbowlで、「恋人たちの予感」で最も有名なシーンを、ビリー・クリスタルとメグ・ライアンが共演して再現しているCMが流れたそうです・・・探して見て見ましたけれど、相変わらず魅力的な2人です。
https://www.youtube.com/watch?v=lwzL6N5R_N8
しかし、このシーン、もちろん笑えますし、楽しい、いわゆるラブコメのまぁ少々下品ではあるモノの、ある種の真理を突いている問題でもあって、いや、私はよく分からないけれど、面白いですよね。
本当に個人的に大切な映画で、ジャズがかかっている上に、ハリーコニックJrだし、ビッグバンド形式で演奏してくれて、それなりにオシャレで、それなりに軽快。そしてちょっとウィットが効いてて哲学的でもあり、メグ・ライアンはカワイイし、ビリー・クリスタルもカッコ悪くは無い。その上キャリー・フィッシャーが好演してくれて、NYがいい街に見えて、NYの美術館が何だかシャレオツで、何と言っても秋のNYに行ってみたくなり、Auld Lang Syneがかかるんですよ(しかし、どこの誰が蛍の光とか勝手に歌詞変えたんでしょう・・・この歌詞変えた人、センス無さすぎる)もう最高の映画としか言えないです。
男女間に友情は成立するのか?という問いかけから始まる映画ですけれど、その着地は全然関係なくなっているとも言えるんですけど、そういういろいろがあっても好きな映画です。
脚本のノーラ・エフロンの仕事も素晴らしい。
https://www.youtube.com/watch?v=kKtOhT4S6Ew

「A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー」を観ました     A Ghost Story

2025年12月24日 (水) 09:36
デヴィッド・ロウリー監督     A24     U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   50/131
年末押し迫ってきました・・・で、なんとか目標達成まであと2本という所まで来たのに、なかなか新作観に行く事が出来ません・・・
身体的に疲れが溜まってきていて、元気が出ない。そんな時に蓮見重彦先生が書籍の中で大変に褒めていた、デヴィッド・ロウリー監督。ショットが素晴らしいらしく、私は蓮見重彦先生とは別人ですし、映画の勉強なんてしたことないので、どう感じるのか?と思ってU-NEXTさんに遭ったので観ました。
どうしてコレ公開当時に観なかったのか?というくらい気に入りました。何も知らずに映画館で出会いたかった。
そしてホラー作品、という事になっているけれど、これ、どちらかというと、ファンタジーな作品なのではないか?と思います。
古い一軒家に住む男(ケイシー・アフレック)と女(ルーニー・マーラ)は・・・というのが冒頭です。
なんでファンタジー映画として、美しい映画として、宣伝しなかったのでしょうか・・・間違いなくホラー作品では無いと思うのですが・・・
これは幽霊の話し、です。タイトルの通り。そしてその幽霊は、人が死んだあとの残留思念のようなモノです。
ですから現実世界とは別のルールがある。
そのルールの中で、出来る事が大変に少ない。なんなら見る事くらいしか出来ないのですが、そのルールすら、幽霊も、観客も、ワカラナイ。
その分からなさ、を理解していく映画なので、エンターテイメントではないし、能動的に、観客が、面白さを掘り出さなくてはならないタイプの映画ですけれど、掘れる人には大変に刺さる映画だと思います。
恐らく、ちょっと観た事が無い低予算映画でしょうし、技術的にも難しい場面は少ないと思います。
ですが、俳優は豪華。ここにお金をつぎ込んでいる。そして、衣装、というか幽霊の姿形が造詣が、上手いです。
生き物は必ず、ほぼ必ず、死にます。個体としての役割には限界がある。
しかし、継承していく事で、繁栄というか存続する事が出来る。
同時に、リチャード・ドーキンスの言うように、遺伝子の乗り物、なのかも知れない。そのままの形では次世代に繋げられない。そういう進化をしてきたし、だからこそ、多様性が担保され、特定のウイルスで全滅する事は可能性が低くなっている。
ただ、もし、霊という存在が本当にあるなら、という想像を、そして時にホモサピエンスは、長い歴史の中で、信仰や科学やテクノロジーを手にしてきたけれど、それでも残る謎があり、そこに想像を巡らせてきました。
何もない空間でも、それまでの経緯、物語からそこに不在でも、物語的な解釈、考え、思念、想像から、何かの存在を感じる事が出来る。
もしかすると脳が自分をだましているだけかもしれないし、将来科学的に立証される可能性もあるけれど、その余地がある中では、感じる事が出来る。
その感覚は、意味のない事かもしれないし、そこに信仰や神を持ち出す事はしないけれど、二度と会えない何かを託す自由は個人にはあると思います。
凄く優しい映画。
しかし、ルーニー・マーラの美しさは別格ですね。
生きている人にオススメします。

「エディントンへようこそ」を観ました     Eddington

2025年12月23日 (火) 09:16
アリ・アスター監督     A24     吉祥寺アップリンク
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   50/130
何を言ってもネタバレになりますし、何と言っても、真面目にネガティブ、映画作りに真摯な監督であるアリ・アスター監督の映画ですから、まぁ普通じゃないです。
もちろん普通に観てそれなりに面白い作品な部分もあるけれど、とても、アリ・アスター監督作品である、と感じました。この人の感覚は独特なので、好き嫌いがはっきり分かれる監督でもあると思いますし、何と言っても、莫大な資金をつぎ込んで作った「ボーは恐れている」は興行的には失敗だったのに、その次作で、え、ちょっとすごないっすか、というお金のかけ方をした作品でして、改めて、凄いと感じました。
だって、普通大コケしたら、映画作れなくなる人も多い世界で社会なのに。よく分かりませんが、相当に、製作会社A24に好かれている、もしくはプレゼンが上手い人なんだと思います。
しかし真面目にネガティブな人が、映画製作会社にプレゼンが上手くて金を引っ張ってこれるって、想像しにくいですね。結構シビアな世界と聞きますし、何と言っても、ある程度一般大衆に響かないと興行としては難しいですし。まぁそれか、「ヘレディタリー」と「ミッドサマー」が当たったから、今作くらいまでは作らせてもらえたのかも。
2020年5月のニューメキシコ州エディントンをさすらう一人の男が・・・というのが冒頭です。
今回、アップリンクで混んでて、比較的前めの席が取れず(私はとにかく端っこじゃないと集中して映画が観れない、隣りは1名までしか耐えられないので・・・)、少し後ろ目な席だったのですが、結構暗めの画面構成でして、かなり観難かったです。もう1回観に行く可能性ありますが、かなり前で観ないと、いけない作品。
基本的にネタバレ無しで言える事はかなり少ないですし、それなりの長さもある作品。もう少し絞れた気もしますけれど、全方位に結構、監督が怒ってるんじゃないか?と思います。
それと、パンフレットのインタビューを読む限り、問いかけ、の材料になれば良い、と考えているみたいで、それは本当にその通りですし、この映画を観た人と話し合いたい気持ちになります。
無理やりにまとめると、アリ・アスター監督は、現代のSNSに対して、懐疑的というよりは建設的ではない破壊的行為に他ならないし、陰謀論含む、何が善き事なのか?を考える時間を取れるまでは安易に行動に移すな、という事ですし、SNSに踊らされるホモサピエンスに対して怒ってるし、怖いと感じているんだろうと思います。
そりゃ、こんなネガティブな人(少し長くなりますが「ミッドサマー」公開当時のインタビューでのパンチラインを
「毒のあるカタルシスが好き」、「避けられない運命」、「僕のキャラクターが希望の持てない不運な境遇にいるのは、僕自身の事をほのめかしているのかもね」、「我々は両親を選ぶ事は出来ない、遺伝子的にそこから逃げる事も出来ない」、「審美的に美しくない映画は許せない」、「美しく作品を作る事は義務」、「観客を驚かせる音を使う監督は嫌いだ、映画に対する信頼を損ねている」、「肉体は無条件で僕たちを裏切る」、「20年以上生きていられる事が奇跡だ」、「ただグロテスクにする事はしたくない、ただゴア描写をショッキングな為に用いる事に憤りを感じる」
という人なんですよ・・・)からしたら、ホモサピエンス全般が恐ろしいのに、そのホモサピエンスが、SNSでより凶暴化している、ように見えるんでしょうね・・・
私も基本的には同意しますけれど、触る事ありますし、ね・・・ここに感想を書いている事自体、ネットに触っているわけで、要は使い方次第なんでしょうけれど。
懐疑的な考え方を保てる人、もしくは保てていない、という自覚が無い人に、オススメします。
本当に、全方向に、怒ってるし、恐れているし、イヤな気持ちになっているんだろうなぁ。分かる気もしますけど、他者って他者だから絶対に分かり合えないのに。
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