井の頭歯科

「ベテラン2」を観ました

2025年5月30日 (金) 09:12

 

リュ・スンワン監督     KADOKAWA     新宿ピカデリー
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   15/44
ベテラン2やっと観られました。
着飾った妙齢の女性たちがビルの中に入ってゆくと・・・というのが冒頭です。
サスペンス要素はあるものの、普通の犯人が誰なのか?というポイントではなく、もっと大きい、正義とは何か?という問いかけの作品。なので、私は大好物なんですが、所謂単純明快な犯人捜しが好きな人にはハマらないかも。でも、1作目のベテランも犯人は最初から分かっていて、どう逮捕するか?のサスペンスだったわけで、今作も同じ。そういう部分に乗れない人もいらっしゃるとは思いますが、そういうシリーズだと思います。
大変面白かったのは、この作品が批評しているのは、世界でずっと流行っている、私刑をどう扱うか?にリーチしているからだと思います。もっと言えばアメリカンコミックや日本のヒーロー作品と同じ、法治国家の中の私刑の話しです。
もちろん主人公のベテラン刑事ソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)だって人間ですし、不用意な発言や言動も多いです。そして何といても世代が下の人から見ると、とても暴力的で家父長制な人に見えるわけです。
それが、私刑を実行する犯人と、どう向き合うのか?大変スリリング。
映画の最期に、え!という事が起こり、これは続編を期待します!!!
刑事モノが好きな方に、私刑をどう考えるのか?が好きな方にオススメ致します。

「レッド・ロケット」を観ました     Red Rocket

2025年5月27日 (火) 08:58

 

ショーン・ベイカー監督     A24     U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   14/43
アノーラの監督の前作だったので観ました。
本作は、結構、私はダメでした・・・ちょっと乗れなかったです。
バスの車内に座る男マイキー(サイモン・レックス)は・・・というのが冒頭です。
ポルノ男優が転落して地元テキサスに戻ってきて、籍を抜いていない妻の家に転がり込むところから話しが始まるんですけれど、まぁこの主人公の性格が、ヒドイ。
そして彼の周囲の人間たちも、結構ヒドイ。
境遇がヒドイとかではなく、性格がヒドイんです・・・もちろん境遇による環境のせいはあるかも、ですけれど、それ以上に、ダメなんですよね・・・
そうは言っても、私もかなりのホモサピエンスの中でも最底辺に頭が悪いので、人の事は言えないし、この人たちみたいに努力もしていないし、毎日の美しさみたいなモノにも全然気づけてない、もっとくだらない時間を浪費しているわけですが、なんというか、努力とかの方向とか、その結果を鑑みるとかがまるでない、感性の生き物、という意味で全然受け入れられなかった。
狭い心の中を吐露すれば、ええ、まぁ、そういう結果にいつかなったでしょうね、としか思えない展開、描写、関係性、ばかりで、これがあの、アノーラの中間部を撮った監督なの?と思ってしまいました。
なんというか、自業自得的な感覚です。カタストロフィも無ければ、でしょうね、としか思えない。
ので、何も感想が浮かばなかった・・・
演者さんはみんな良いとは思うんですけど、もしかして、そういう人を連れてきて、あてがきみたいなキャスティングなんじゃないかな、と。
ちょっと期待し過ぎて観たせいかも・・・
ただ、ヒラリー・クリントン候補とトランプ候補者の選挙戦をテレビで流す中の切り取りは面白かったかも。
私も田舎に住んだことがあるのですけれど、テレビの存在感と依存度の強さは、都会度に反比例して高くなってます。今はどうなんでしょうね。
テキサスの田舎の風景が好きな方に、オススメします。

「殺人出産」を読みました

2025年5月26日 (月) 09:40
村田沙耶香著     講談社文庫
かなり売れている作家さんだと思いますし、私も数名の方からオススメされたので、処女作「授乳」を読んだのですが、もうひとつ好みでは無かったのですが、もう少し読んでみようと思って手に取ったのがこちらです。
タイトルの言葉が強すぎますね。
短編4つの短編集です。
んんん、なるほど。
まず、SFの形を取って、現代とは違う『普通』を示し、そこに対抗する主人公、という形を取っています。これは表題作「殺人出産」でも続く「トリプル」でも「清潔な結婚」でも、です。ま、途中の段階のモノもありますけれど。
まだ私がこの作家を理解出来ていないから仕方ないですし、そもそも作家性を理解出来るか?と問われたら出来ないですよね、誰も。作家本人でも怪しい人いると思いますし、だからこそ、文芸評論家がいると思います。
だから私ごときが分かるわけないのですが、どこかに私が納得するポイントがあり、そこが掴めたら、ある程度私なりに理解出来た、と思うのですが、まだ2冊で全然分からないし、そもそもこの村田さんは、恐らくですけれど、女性に向けてしか書いていないのではないか?と思います。
そしてそういう事をしている人はいますし、それでも男性である私も楽しめるモノもあると思います。例えば金井美恵子もくらもちふさこも女性に向けてしか書いていないし、でも男性である私が読んでも面白い作品が多いです。
私の好みだと、そのSF的設定、現代と違った『普通』に対してのロジック、理屈が欲しいです。でないと、その先、物語の進む先の出来事に対して、え、でもこうすれば、的な思考の雑念を排除出来るから。でも村田さんは、そこは些細な事、魅せたいのはそこじゃない、という事のようにわたしにはかんじました。
で、殺人出産に絞って話を進めると、この作品世界では10人産めば1名を殺す事が出来るというルール、というか規範でもあり、法律がある。誰も異議を唱えていない中、唯一のルドベキア会(花言葉で正義とか)という描き方がカルトっぽい組織が出てくるのですが、こちらが普通に見えるのですけれど、この世界では異端とされています。
SF設定で思い出したのが栗本薫「メディア9」とその後と思われる世界の話し「レダ」です。この遠未来世界の秩序とか、出産とか、人口とか、宇宙との交流、その為の、という設定に説得力があり、大変に面白く、今読んでも名作だと思いますが、そういう架空の設定の妙とか現代社会へのテーゼとかでも無い感じなんですよ、村田沙耶香さんの場合。
この物語で何を見せたいのか?現代の違和感、理不尽を暗喩しているのか?考えて観たのですが、よく分からなかった。
そして主人公の行動の原理、何故その行動を起こすのか?もよく分からなかった・・・なんでなのか?殺したいほどの相手がいるわけでもないのに。堕胎している医者への反発とかでも無い気がします。殺される側の権利や主張に、全く相手にしていないし、なんなら指名されたら、仮に良い事をしていてもダメで、出産でしか叶えられない権利、どう考えても強権過ぎるし対抗手段が無いのも変。
さらに報復権が存在するのも、奇妙。普通国家権力が代行するからこそ、万人の闘争状態を防ぐことができるはず。でも、とにかく、凄く鬱屈とした暗い感情が蓄積されてて、身をもって対象を排除、駆除、滅したい、という感覚を感じます。理屈や制度や設計とか、どうでもいい。それよりも私のこの感情を発露させたい、という願望を感じます。
なんというか、思考実験でもないし、いきなりルールが変わった世界で、それでも100年以上先じゃない世界なので、どうしても、そんなに変わるかな?とか、殺人を許せるのか?とか血のつながりを重要視する人たちはどうなんでしょう?とかなんで10名なの?とかあるんですけれど、多分、うっすらと、産む性別、器官に対する強い憎悪のようなモノを感じます。そして強い、衝動を抱えてこの文章や物語を書いているのではないか?と感じました・・・
確かにクレイジーと称されるの理解出来る気がします。生まれてきた状況、それも比較的普遍的な器官に対しての拒絶。
何というか、そういう病気があるとして、もちろん詐病もあると思いますし、単に病名が付いただけで、科学的に両性具有というのであればともかく、どのように何を持って自身の性別に対しての違和感なのか?気になります。もちろんそういう病気がある事は理解しているけれど、遺伝子的に何か違いはあるのか?私は知らないし、性的嗜好にホモとヘテロがあるのは、または両方とか両方ない可能性もあるのは理解出来るけれど、自身の性自認が身体と違っても仕方ない、と私ならあきらめると思いますし、なんなら性転換手術という方法が無い時代であれば、ほとんどの人が諦めるどころか知らない可能性もある。恐らくは性転換手術が出来る事になったので、願望が生まれたのではないか?と考えてしまうのです。そのような方の苦労とか辛さについて軽んじているわけではなく、どういう事なのか?理解したいと思います。現段階では、少し調べてみても、科学的根拠がまだ不明のようです。当然、私の考えも現時点のモノで変わる可能性あります。
村田沙耶香さんに共感する人、多いのでしょう、これだけ読まれているわけですから。でもまだ私には理解出来ないし、何が面白い興味深い所なのか?ワカラナイです。
ワカラナイだけでこれから面白味や興味深い点が出てくるかも。もう1冊有名なアレを読んで決めようと思います。
次の短編トリプルも、そういう概念があっても良いし、とにかく変化が早くて、それに適応している人が正しい訳じゃなく、何故そう感じるのか?の部分が全然わからず、ただの排除とか逃走になるので、ちょっと・・・トリプルが流行る過程に説得力があれば、もう少し飲み込めるんですけれど、多分、いやむしろ、この理屈を排除して、それでもついてこれる人に、ターゲットを絞っている、もしくは自分がそういう人、と言う感じがしました。
清潔な結婚は、多分、ギャグとして書いてるんじゃないのかな。渡辺ペコ著「1122」は婚外恋愛を認める代わりに自由を手に入れられるか?結婚という制度は新しくなれるか?その最初の方は制度を変えずとも運用で変化が起こる、というかなり突っ込んだ漫画でしたけれど、全然消化不良に終わった作品でしたが、制度があったり運用の中で、なんでもオープンにしないでも良くないか、とは思います。漫画「1122」は作者としても不満の残る結果だったと思います。清潔な結婚は多分ギャグの感覚なんだと思います、あまり面白く感じなかったのが、まぁちょっと。この話しで思い出すのは江國香織著「きらきらひかる」です。だから設定という意味でも全然新しくないし、どちらかと言えば葛藤が全然出てこない感覚。ただ単に、結局夫を受け入れない、話し。
余命については野崎まど著「バビロン」で、まぁバビロンも荒唐無稽な話しなんですけれど、バビロンの方が面白味を感じました。
余命はちょっと枚数が少ない中でいかにショックを作れるかという秀作な気がしました。
総じて、ネガティヴというよりは怒りの感情を隠しつつ文章でならぶちまけられる、という傾向を感じました。
多分女性に向けてだけ書いているし、読まれているので、そういう作品を読みたい方にオススメします。

「マダム・ウェブ」を観ました       Madame Web

2025年5月23日 (金) 09:09

 

S・J・クラークソン監督     コロンビアピクチャーズ     Amazonprime
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   14/42
以前かなり昔に友人からオススメされた作品。で、Amazonprimeで観られるんで、観ました。
マーベル作品だったんですね。
1973年ペルー。現地を調査しているコンスタンツ・ウェブ博士は・・・というのが冒頭です。
うん、結構好きな作品でした。まず何と言っても主演カサンドラ・ウェブを演じているダコタ・ジョンソンさんが素敵。特に髪の毛が美しいし、ちょっとだけたれ目なのが好み。マジで髪の毛美しい。今作の個人的ツボは、髪の毛。サイコーにイイです。
そして、いわゆるアメコミ映画?なのでしょう、マーベル作品みたいですし。なによりも、ベン・パーカーという名前のキャラがいる、おじさんではないけれど。もちろん甥っ子であるピーター・パーカーは出てこない。出てこないけれど、ラスト近くに、有名なセリフがあるんですけれど、多分、これはアメコミ映画なんだと思います。
で、凄く違和感があったの、マダム、の部分。マダム、婦人や奥様。酒場の女店主を指す言葉、と辞書にはあるのですが、主役カサンドラ(って事は、まぁギリシア神話のカサンドラな訳で、能力にも納得)は全然マダムじゃない・・・この辺が分からなかった。
で、もっと分らないのが、敵側も、アレなんですよね・・・これもよく分からなかった。けど、何となくこういう事全て、おそらく原作漫画が存在する、あるいはそれの前日譚映画なんだろう。
そういう意味では、アメコミとか前日譚作品であるという事を置いておいても、映画単体としての評価しか出来ないんですけれど、悪くない。ちゃんとストーリーも分かるし、演者も、ま、ちょっと3人娘はうざいキャラクターではあるけれど、分かる。
とにかく、ダコタ・ジョンソンの演技、髪の毛、たれ目を愛でる映画。これから他の人の感想とか、ちょっと調べてみようと思います。
ダコタ・ジョンソンが好きな方にオススメします。

「新幹線大爆破」を観ました    BULLET TRAIN EXPROSION

2025年5月20日 (火) 09:14

 

樋口真嗣監督     Netflix
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   14/41
あの「新幹線大爆破」のリメイク・・・凄く難易度というか、ハードルが高い事への、挑戦するその意気やよし(ビッテンフェルトを褒めるラインハルトの感じで)なんですけれど、めっちゃハードルが高いです。だって、好事家に好かれている名作、なわけで、いろいろ意見をお持ちな詳しい方が多い名作のリメイクだと、本当に難しい。

そして、当時の状況も、多大な製作費をかけて、興行としては多分失敗作。でも、Wikipediaでも、めっちゃ長い解説がつくくらい、熱狂的に支持している人も居る作品。

 

 

 

高校生の集団が新幹線の見学をしていて・・・というのが冒頭です。

とても、とても頑張ってると思いますし、今のうちの国のヒットする作品にするんなら、これで良かったんじゃなでしょうか。
つまり好事家の人、旧作が好きな人ほど、恐らく怒り出す感覚もあるでしょうし、それも分かる気がします。
例えば、当時の感覚で「新幹線大爆破」なんですよね、今の感覚では大爆破という煽りをタイトルに入れるかな・・・恐らくシークレットに別のネーミングを付けてしれっと公開してから、観た人がそうか、って気が付くくらいがちょうどいいと思いますけれど、とにかく今「新幹線大爆破」ともう一度同じネーミングで行くのは、ちょっと空回りしてると感じました。
基本的に出ている出演者の方々は悪くないと思います、とても良かった人は誰ですか?と聞かれたら答えに困るけれど、お父さんの人は良かったんじゃないかな。でもこういうキャスティングがなんかシン・シリーズで観た・・・とみんな思っちゃうんじゃないかしら。
成功した工夫を真似るのって、成功したとされる工夫と同じ事ではダメで、この作品でなら、この時期なら、この監督との関係性でなら、という最初の工夫をした人の意匠を汲まないとただの真似とか二番煎じになってしまうので、本当に難しいんだけど、そもそもリメイクなのでした。
脚本は、もっと、もっと詰められたと思う。でも、お金の問題もあっただろうな。もちろん頑張ってはいる。
映画の興行収入の良い作品が好きな方や、人気な作品が好きな方に、オススメします。
私は爆弾の解除の為の人かと思いました。で、いくらなんでも、それは無理があるのではないか?とも思います・・・
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