2025年8月30日 (土) 08:55
https://www.youtube.com/watch?v=jVLrJUX6y_c
スティーブ・J・アダムズ、ジョーン・ホーラー監督 ポニーキャニオン シネマカリテ
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 31/82
ドキュメンタリーでこのタイトル、という事で観に行きました。
予告も観ていません、だから、何となく、サタニズムの話なのかな?と思っていました。当たらずとも遠からず、何だけど、知ってる話だったとは・・・
サタニズムというある種の主義について、あまりに私も無知だった時代が長いですし、悪魔主義、と字面だけで見ると、凄く恐ろしいもの、だと感じると思います。で、それが誤解と不安と強迫観念を生むわけです。知らなければ、調べれば、知れば良いわけですが、ネットがここまで発達しても、ネット空間では法治がいまだに及ばない世界なので、ある程度のリテラシーは、求められますが、ネットが無かった頃の、知識への探究と比べたら、ググれば出て来る気軽さ、相当な差があります。しかし、この安易に調べられる、という状況は、ホモサピエンスを馬鹿に、頭が悪くする機能も持ち合わせていると思います。基本的に、自らが知りたい、調べたい、という欲求や、それはどういう事なのか?を考える事の重要性をより気付かされます。安易に手に入れた情報は知識にならない、という事ですね。
アントン・ラヴェイ氏が唱えたサタニズム、というのは、基本的に個人主義、物質主義、快楽主義を唱えた実社会で違法行為を行わない組織です。極めて悪趣味とも言えますが、神、という概念を用いないで、善と悪を成すホモサピエンスという生き物の哲学的、精神的活動であって、信仰ではない、と私は捉えています。詳しくは各自調べたら良いのですが、調べない人々の取った行動が、恐ろしい。
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一般的にサタニズムといえば、 サタン (悪魔)を崇拝し、 悪 の力をもって 善 なる力に打ち勝つことにより 世界滅亡 を目的とするとされている。しかし、最大のサタニズム組織である「サタン教会 (Church of Satan)」は、この考え方を否定している [要出典]。サタン教会は「サタン」が実際に …
ja.wikipedia.org
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はい、もちろん私が知ったのは高橋ヨシキさんのご著書からです。今回のパンフレットにも寄稿されてます、読めて嬉しい。
閑話休題
で、この映画について、ネタバレ無しで言えることが少ないのですが、
1 実話です
2 現代にも通じる射程の長いトピックです
3 本当に、宗教という概念は必要なのか?
という3つの事柄を扱った映画で、もちろんドキュメンタリーです。
あ〜ちょっと調べてからでも良かった、と今回は反省しましたが、アントン・ラヴェイ師が観れたのは僥倖。
分かるひとにはわかるように伝えると「Michelle Remembers」の話です。
ホモサピエンスの共感能力のダークサイド、もしくは2名の承認欲求と恋愛感情の統合による波及効果と盲信に興味のある方にオススメします。
2025年8月29日 (金) 08:47
https://www.youtube.com/watch?v=mIXLbaERA3Y
アシュリー・セイビン、ディヴィッド・レイモン監督 ラビットハウス=ミュート ヒューマンとラストシネマ有楽町
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 30/81
かなりの高評判を聞いて駆けつけました。
キムズビデオの存在は知っていても、詳しくはないので、大丈夫かなぁ、と思って観ましたが杞憂に終わりました。
NYに存在したキムズビデオというレンタルビデオ屋は、マニアックな映画をレンタルしているという有名なお店でしたが、デジタル化、そしてやってきた映画サブスクリピションサービスの台頭とともに閉店。しかしその在庫のVHSやDVDは何処に行ったのか?を追うドキュメンタリー映画です。
まさか、あの映画のあのシーンを映画館で2025年に見る事になるとは!なシーンが差し込まれ、凄く権利関係をクリアにするの、大変だったと思います。
そして映画への愛がある監督、そして私が観ていた劇場のお客さん方の笑うシーンが、映画への愛になっていて、素晴らしい劇場体験になりました。
ネタバレで言えることは少ないのですが、とある映画監督が出て来ますし、冒頭でこの映画に対してのexcuseがあるのですが、これが非常にエモーショナルな伏線になっています。
もちろん、さまざまな映画のネタがわからない人には、内輪受けの作品に映ることも理解はしますけれど、これは映画が好きな方には痺れる表現方法の一つだと思います、だって権利関係をクリアにするの、とっても、とっても大変だったと思います。
今のところの2025年度公開映画のベスト1です。それくらい劇場体験も素晴らしかった。
映画が好きな方にオススメします。
50本を超えるオマージュがありまして、パンフレットで私が分かったの、観ている作品はたったの11本でしたが、正直、とても有名な作品もありますし、なんなら伝説的に壮大なネタバレを結構な人が知っている作品も多いです。シネフィルじゃないと鑑賞に耐えられない作品ではないと思います。
2025年8月26日 (火) 09:05
https://www.youtube.com/watch?v=NiajVY-f99s
アルフレッド・ヒッチコック監督 ワーナーブラザーズ U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 29/80
マイリストの中から。久しぶりにヒッチコック。
カナダのケベック州、DIRECTIONという交通標識を何度も写しつつ、とある窓辺に・・・というのが冒頭です。
いわゆる神父が被告人の告解を聞き、しかし戒律によってその告白は誰にも言えない、というジレンマからのドラマ。
原作があり、フランスの戯曲Nos Deux Consciences(私たちの2つの良心)だそうです。なるほど、とてもおフランスな香りはします。ただし、流石のヒッチコック。
原作とどの程度変えているのか?は不明ですけれど、音楽の使い方と、画面の画角、特に最後の方の瞳、そしてその閉じ方の画角が、もう素晴らしい。
それと、主演のモンゴメリー・クリフトの悩ましい表情、ただし、絶対にくどく無いのが秀逸。この辺の匙加減、序盤の軽め、中盤やや重くなり、終盤にもちろん重くなる一方なんですけれど、ある場面、その先の深さを表現しつつも、絶対に臭くならないギリギリを攻めていて、本当に素晴らしい。
また相手役の、今の常識からすると、やはり戦争ってこういう大変傷つく人が多かったのであろうけれど、その中でも非常にロマンチシズムに富んだ話しになっていますけれど、そこに説得力を持たせるアン・バクスターも、説得力という意味で、顔の強さもあり、服装とかの演出も素晴らしく、変な嫌味にならないのが凄い。
で、確かにキャスト陣は皆優秀で控えめな演出も素晴らしいのですが、恐らく、原作以上に膨らませているのが、犯人。しかも冒頭で神父に告解するので、ネタバレって何だろう的な気持ちになるのだが、まぁ伏せますけれど、この犯人のセリフがいちいち鋭い。
これは神父を批判しているようでいて、実際の所、神父と自分だけが、この世界の唯一の理解者であり友人である、その事に疑いを持つか、持たないか?でそこにキリスト教信仰というブーストがかかっているからこその、という部分に、脚本の凄みを感じました。だってローガン神父、神父としてハンサム過ぎるし、しかしそれ以上の信仰に関わらない能力は恐らくあまり無く、そう、友人も、恐らくいない。それこそPTSD的な何かもあるのかも知れませんが、犯人は凄く良かった。
当たり前ですけれど妻の演技も素晴らしかった。
あと、名監督は子役の演出が素晴らしい、は世界各国時代を超えて共通すると思いますけれど、ヒッチコックも素晴らしいですね。あの少女2人組、いいね。
総じて、凄くクラシカルな名作。冒頭に本人が出てて、まぁすぐに分かるんだけれども、そういう部分も好き。
それと音楽もかなり良かったし、荘厳。
ヒッチコック監督が好きな方にオススメします。
2025年8月23日 (土) 10:03
ダンカン・ジョーンズ監督 ソニーピクチャーズ U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 29/79
いつか観なければ、と思いつつ、なんか見逃していたので。
髪の毛も髭も伸び放題の男が月面基地で働いているのですが・・・というのが冒頭です。
サム・ロックウェル!最高。そしてダンカン・ジョーンズ監督作品初めてと思いきや、「ミッション:8ミニッツ」を観ていました。なるほど、作家性ある方ですし、そのベクトルが好きな方角!
ほぼ1人の人間の話しなんですけれど、何と言いますか、SFと書いて少し不思議と読ませる、藤子・F・不二雄先生の短編みたいな話なんです。
そして、結末について、まぁ経過もなんですけれど、私はもっと、な感覚がありました。その辺はネタバレありの所で。
サム・ロックウェルの、目の演技、キャラクターの見せ方、その演出含めて、とても素晴らしかった。そして同じくらい好きになったのが、ガーディーです。
ガーディーは恐らくAIでしょうし、まぁロボットというかマザーコンピューター的な、月面基地の全てを司る機械です。その機械が、ある種の個性を持っているわけで、そこに痺れる憧れる、です。もちろん声を演じているのが、大好きなケヴィン・スペイシーだからももちろんありますけど。
恐らく、CGはあまり使っていないと思います、それよりもミニュチュア、つまり特撮に力を入れていて、それが正解だったと思います。
何も知らずに観て欲しい傑作。
SFが好きな方、孤独に対しての恐怖や憧れがある方に、オススメします。
ここからはネタバレありの感想です。
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最近観た作品「ミッキー17」がまさにクローンの話しでしたけれど、まぁ、つまりクローンなんです。でもその事が分かるまでに、何が現実なのか?非常に危うい場面があり、こういうの非常に好ましく感じます。日本だとまさに今敏監督のやっている事です。
そして私の考える結末は、もう1名の男を起こさず、地球行きのヘリウムロケットに乗り込むのではなく、全てを理解し、そして寿命も3年である事も理解した上で、まずはクローンの消去、です。そして救命艇の乗組員に対してガーディーと協力して、今後の対応を話し合い、クローンの消去の手伝い、そして自分が3年の寿命を全うするまでは仕事を続けるが、その後は月面工場を壊してしまうでしょうね。自分の墓標にしてしまうんじゃないかな。すべてを知った上で死を受け入れてくれてたら、もっと面白かった気がしました。
映画の結末だと、旅行してても3年後には・・・となってしまいそうで。
2025年8月22日 (金) 09:01
マイク・ニコルズ監督 日本ヘラルド U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 29/78
ジョージ・C・スコットが主演していて、しかもかなりの良い作品と聞いていたので、マイリストにずっと入っていたの、このタイミングで。
ジェイク博士(ジョージ・C・スコット)がイルカについて講演しているのが冒頭です。
噂にたがわずな名作でした。
まずイルカの様々な描写が素晴らしく、陰謀と言いますか、悪役の描き方も秀逸。ストーリーも納得で脚本も見事でした。
演者の皆様方も素晴らしく、特に主演のジョージ・C・スコットの存在感、嬉しい、苦しい、を心の底から表現されていて、本当に素晴らしい。みんなが誇りに思いたいアメリカ人を体現している。
ある財団から資金提供をうけてイルカの研究をしているジェイク博士は、財団にも隠してとある実験を行っています。そこでは親が亡くなった子供のイルカにアルファと名付けて、知能を研究しているのですが、このアルファの優秀で、かなりの知能を持ち合わせています。
そのアルファと疑似親子のような関係のジェイクの心の葛藤を描いた作品。もちろんイルカの素晴らしさ、その演出方法も凄いのですが、当時としてはCGも無いし、実際にやるしかないのに、それを全てやってのけるイルカのアルファがまたスゴイ。
今回の悪の描かれ方も、なかなか込み入ってて、その辺の匙加減が絶妙。しかも全く言葉で説明されない感覚があり、当たり前ですが良質な作品を作られていたのだなぁと1973年の映画ですけれど、素晴らしい。アメリカがこういう素晴らしい時代を取り戻す事はもう出来ないのではないか?と思います。
そして、wiki調べですけれど、まぁもちろんそれ以外も調べてしまった後の話しなんですけれど、このジェイク博士にはモデルがいて、そのモデルが、ジョン・カニンガム・リリーなんですね・・・つまり、映画「アルタード・ステイツ/未知への挑戦」で半生が描かれている、あの、ジョン・C・リリーなんです・・・調べればわかります、どういう人なのか。
このリンクも、私にはアメリカの混沌さを感じます。イルカの日もアルタード・ステイツも面白い映画ではあるモノの、全くの別物。それをどう感じるかは観た人次第だと思いますけれど、私はまさに、USAを観た気がしました。
とにかく、アルファこと、ファがカワイイ!!!!!!!何と言いますか、まさに子供を感じるのです。けなげなんです、無垢でイノセンスなんです。猫原理主義者(猫を最も尊い存在だとしている人 ただしだからと言って多の動物を下げているわけではなく、あくまで好みとして猫原理主義 もちろん ホモサピエンスは下等な生き物)なんですけれど、一瞬、イルカ原理主義の人とも分かり合えるのではないか?と思いました。
凄く苦い結末なんだけれど、それを含めて素晴らしい傑作。
生き物が好きな方のオススメします。