井の頭歯科

「一億総ツッコミ時代」を読みました

2012年10月30日 (火) 09:10

槙田 雄司著     星海社新書

東京ポッド許可局のメンバーで芸人さんであるマキタ・スポーツさんが本名で語る現代の日本論です。

いかに現代がツッコミ過多な状況に置かれているのか?ということを様々な見せ方で納得させてくれます。その見せ方、提示の仕方にセンスを感じさせます。お笑いという世界はかなり緻密さが要求される世界だと聞いておりますし、実際非常に気難しい方が多い世界だとも聞き及んでいるのですが、その緻密さや細かさを、好感触として受け入れ易い形に変えている、呑み込みやすいように気を配っている感じが良かったです。

ダウンタウンという漫才の方の衝撃とその後の普遍性がもたらした世界であるところの、ツッコミというメタな視点の過剰さが、実は息苦しい窮屈な状態になってしまってはいないか?みんながツッコミ過多であることは善き事ではないのではないか?ベタにボケられる人ほど魅力があるのではないか?という槙田さんの見方を、理解しやすい形で提示してくれます。ツッコミ過多であることから、ボケの魅力を再確認させてくれる本です。ボケられる事の素敵さや大きい事への魅力を改めて確認できます。

普通の生活の中がテレビのバラエティ番組化していくことの、安易で他人を見下すことで自分の位置を確保しようとすることへの批判ともいえます。ツッコミというツールが非常に他罰的な手法に無自覚すぎるという指摘も頷いてしまいます。バラエティ番組の普及とも進化とも言えますが、偏ってしまっていないか?という事だと思うのです。テロップへの言及も見逃せないものがありました。

槙田さんの現状分析は納得でき得るのですが、私は槙田さんの解決策が取れる人は限られた人なのではないか?と感じました。無論、槙田さんの推奨するボケを追及はしたいですけれど、ボケられる対象がすぐ見つかる人と見つけるまで時間のかかる人がいるのではないか?という事です。まさに見つけることが人生の大きな目的なのではないか?と思うのです。もっと言えば付け焼刃のボケほど『ボケられて無い存在』はないと思うのです。

確かにツッコミを得意とする方は、貴方の操っている剣は重くて大変なものなのですよ、という自覚が少なすぎます。しかし、だからこそボケへ向かえる人は少なく、だったらその剣(ツッコミ)の扱い方や大きさ、またそれが自分へ向けられる事を理解させることが重要なのではないかと感じました。例えば誰しも最初から『恥じ』を知っているわけではなく、体感することで、恥じを重ねることでの、全方位的に恥をかかない手法は無いことに気がつく(あるいはある方面には恥をかくことを飲みこめる)と思うのです。だからこそ謙虚さが芽生えるのではないか?と感じます。ベタの重要性は槙田さんがおっしゃるように一周回ってきたならば意味がありますけれど、一周回らないボケは天然のボケであり、希少価値であり、後天的になるものではないのではないかと思ったりしました。ボケの「のびしろ」という部分があるので、ボケの技術があるんだとは思うのですが、ボケの扱いもそれなりに難しいのではないかということです。稀にですが一見天然の人が、実は計算された人格を演じていることが分かる事ってありますよね。そうした場合のその人物への醒め方はかなりのものだと思うのです。

ボケの技術も重要ですが、個人的にはツッコミの技術や剣(ツッコミ)の大きさや威力(被害)の大きさを知り、その剣を自身にも向けられる強さや扱い方を知るべきなのではないか?と感じました。

この本で特に同意したいのは、ベタなイベントを楽しむ、という姿勢です。ツッコミ体質であったとしても、ベタなイベントを楽しみに行く、理不尽を楽しみに行く姿勢は非常に重要だと思います。全勝優勝の例えも素晴らしい比喩で、全くその通りだと思いました。

ツッコミというツールについて考えを深めてみたい方にオススメ致します。

FOOTBALL!

2012年10月26日 (金) 08:48

先週末、私は大学時代に所属したアメリカンフットボールクラブのキャプテンでもある犬飼先生(の歯科医院情報はこちら!私が言うのもなんですが、治療の理念のベクトルはほぼ同じなのではないかと考えます!こういう仕事の面での考え方が近いってなかなかないことなんです。)に会いに長野県松本を訪れました。草間さんの展覧会ももちろん面白かったのですが、犬飼先生に誘われたフットボールの試合観戦もかなり面白い体験でした。

ちょっと話題はずれますけれど、同じ歯科医師として仕事をしていても、案外治療方針や得意な治療は異なることあります。しかし、犬飼先生の治療方針、特に予防に関する治療方針はほぼ同じことだと感じました。犬飼先生は私よりもずっとアクティブであり、アニキ肌の生まれついてのキャプテンシーをもった男ですが、その補佐と言いますか、副キャプテンを一緒にやったのは本当に良い思い出です。彼がいなかったら、所属していたアメリカンフットボール部はこんなに強くならなかったと思います。もちろんメンバーにもいろいろ恵まれたんですけれど。犬飼先生はラインと呼ばれる身体の大きな人がやるポジションの要であるG(ガード)とLB(ラインバッカー)を、私がQB(クォーターバック)を勤めて最終的には全国の歯科大学の中で4位になったのは楽しい思い出です。

そんな犬飼先生に誘われて松本に本拠地を置くフットボールチームである松本山雅のホームゲームを観戦しました。

アメリカンフットボールも大好きなスポーツですが、フットボール(サッカー)も楽しいスポーツだと思います、全然趣向は違いますが。

松本山雅はJ2に所属するチームで、この日の対戦相手は水戸ホーリーホックです。スタジアムに着くまで知りませんでしたが、松本山雅の監督はあの、反町監督ですし、水戸の監督は日本代表キャプテンを務めた柱谷監督!Jリーグの状況さえ知らない私でも聞いいたことあるのはこの監督、そして出場停止ではありましたが水戸のFW鈴木隆行選手(ワールドカップでの日本人初得点者)がいたり、右SBには市川大祐選手がいたことくらいしか知っている選手はいませんでしたが、フットボールの、スポーツの醍醐味はやはり生の観戦にあると思います。

松本山雅のホームスタジアムでアルウィンはなかなか素敵なスタジアムでした!

もちろんホームである松本山雅を応援、しかもバックスタンド最後尾での観戦でしたが、フットボールもアメリカンフットボールも、スタジアムでの観戦ならバックスタンドの上の方が全体を俯瞰出来るポイントですし、周りの方々にも大変暖かく接して頂き、ホームスタジアムのアドバンテージを存分に満喫しました。

が、試合内容はかなり厳しく、両サイドは完全に支配されていますし、セカンドボールをしっかり拾われ、松本のFW#19塩沢選手に当てたボールも繋がらない時間帯が続き、再三のピンチをまさにラッキーで凌いでの前半は0-0。ポゼッションは完全に水戸、カウンターを狙う山雅の戦術は読まれていて、完全に塞がれている状態、素人の私でも正直厳しいと言わざる得ない展開です。特に水戸#10の選手、そして右SB市川選手は上手くて早くて球離れが良く、ワンタッチ、ツータッチで回されて松本山雅は防戦一方でした。この前半を観て、個人的にはなんとかドローを拾って勝ち点1を手にするのが妥当な展開なのでは・・・と思うくらいのチームの違いを感じてました。両サイド共に押し込まれ、エグられていて、中央へのポストプレーはセカンドボールが拾えない、何をすれば良いのか分からないくらいの状況です。

そこへ、後半戦開始。しかも両チームともメンバー変更が無かったとするなら、どんな指示が監督から出ていたのか気になるんですが、流石反町監督!開始わずか2分で松本山雅がカウンター一閃!たしかに水戸のDFのミスもあったようですが(この瞬間をトイレで見逃すという悔やんでも悔やみきれない失態!)素晴らしい得点ですし、指示ですし、それを実行した選手たちです!もちろん水戸も負けずに反撃、遅攻でパス回しからの得点、やはりパス回しという意味では水戸に一日の長がありますね。が、その後の非常に激しい中盤の攻防、カウンターの応酬、そして水戸のサイド攻撃に対して、松本山雅の中央への人数をかけた突破戦術を繰り返し、固唾を呑む展開が続きました。両チーム良い特徴が出て、監督の思惑がそれぞれ攻撃では当たるが守備では個人のチカラに頼る、それぞれに危なっかしい展開です。が、そんな中、徐々に中盤を山雅が支配まで行かないまでも良い形を作っていきます。その中でついに均衡を破ったのが#27大橋選手のふわりと浮いたスルーパスに反応した#19塩沢選手の右足ボレー!!全くのビューティフルゴールでした。こんな綺麗なゴールが見られるなんて思ってなかったです。フットボールはやはり即興の、アドリブの面白さが光るスポーツですね!

試合は結局このまま水戸の反撃を抑えた松本山雅が2-1で勝利!久しぶりにフットボールを生観戦しましたが、大変堪能しました。これからも松本山雅を応援したくなる、特徴を感じさせる選手がいる、そしてそれを支えるサポーターが温かい素敵なチームでした。一緒に応援した人の的確なコメントも面白かったです。

松本市美術館 草間彌生展 永遠の永遠の永遠

2012年10月23日 (火) 09:01

とても有名な前衛芸術家である草間彌生さんの企画展を、松本の友人に会いに行く足で見てきました。

作品を作り続けていらっしゃる方です。かぼちゃと水玉で有名ですよね。

美術館では写真が撮れない事が多いと思いますが、ここでは写真撮影が許されている場所もあります。たとえばこのような空間を作品にした場所です。とても面白い芸術だと思います。

角度によっていろいろ不思議な光景がひろがります!

こちらは白いチューリップをモチーフにした部屋。水玉の中に入る感じです。

庭にありました!あのかぼちゃ!草間さんは松本のご出身の方なので、いろいろ最新の作品が展示されているそうです。

美術館の壁も水玉ですし、作品になっています。広くて綺麗な松本市美術館、堪能致しました。

「屍者の帝国」を読みました

2012年10月19日 (金) 09:10

伊藤 計劃 × 円城 塔 共著       河出書房新社

あの、伊藤 計劃さんの未完の原稿を、友人で作家の円城さんが継がれた作品。伊藤さんは僅かにプロローグとプロットを残しただけで、ココまでの壮大な物語に仕上げた円城さんの技術と想いはすさまじいものがあると思いました。

時代は19世紀末の1878年。この世界ではフランケンシュタイン博士が生み出した技術である屍者化技術の発達成功により、死んだ人間に、ネクロウェアと呼ばれるソフトをインストールし、単純作業が行えるが、しかし喋ったり能動的な事は出来ない『屍者』が満ちています。既に屍者がいないとまわることが出来なくなった世界の首都と言えるロンドンの卒業直前の医学生、ジョン・H・ワトソンは国家のエージェントに誘われるのですが・・・というのが冒頭です。

屍者という存在が日常的となり、そのことを飲み込ませる様々な手段が高じられた結果、非常にスムーズに物語に入ることが出来ました。これはやはり円城さんの、もしくはプロローグである伊藤さんの筆力というよりも、あの名作『虐殺器官』と『ハーモニー』を世に出した伊藤さんの本を読んでいたからこそなのかもしれません。

しかも偽史モノであり、パラレルな世界、SFの世界を舞台としながらも、現代を生きる人間の『命』や『魂』、もっと言えば『意識』を通しての『アイデンティティ』とは何か?という壮大なスケールを扱いながらも、リーダビリティを落さないでエンターテイメント作品として仕上げている部分に、伊藤 計劃作品の底に流れる同じ水脈を感じました。

最も、多少毛色の違いは感じさせますし、実在の人物や有名な架空の人物を登場させることで、読み手が知っているその人物への知識をテコにしている部分は上手いながらも伊藤さんの手法ではない感じがしました。ただ、過去の偽史モノということで伊藤さんも暖めていたプロットであるかも知れません。特にドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」をモチーフにしている部分は、とても、とてもスリリングで良かったですし、もし「カラマーゾフの兄弟」を読んでいらっしゃる方であれば納得の展開です。アリョーシャの行動原理やこの物語に於ける立ち位地が絶妙でして、1章だけでやられてしまいました。

3部構成の見事さも当然ですが、底の底を破って、さらに底を見せるという伊藤さんのやり方を円城さんも踏襲されていて、個人的にはエピローグに最も心を動かされました。エンターテイメント性と文学性の両方を犠牲にしない完成度は流石ですし、それこそ伊藤 計劃の真骨頂だと思います。プロローグから連れて行かれる地が全く予想されない、それこそジョージ・オーウェルの「1984」の中で語られるニュースピークという新しい概念を含んだ言葉の意味を、最初は字面でしか読めなかったことを、後に知る、という衝撃と同じくらいのモノがあります。読む前と読んだ後の世界が違って見える、そんな強さを持った小説です。

円城さんの素晴らしさを感じた上で、やはり伊藤 計劃は失われてしまったのだと、より強く感じさせられる小説。伊藤さんがご存命ならこの作品は無かったわけで、読後伊藤さんの「屍者の帝国」を夢想しないわけにはいかない、そんな読書体験でした。

「虐殺器官」を「ハーモニー」を読まれた方にオススメ致します。

歯つらつ教室

2012年10月16日 (火) 08:51

先週の木曜日10月11日に武蔵野市の事業である「歯つらつ教室」(クリックしていただけますと武蔵野市ホームページにリンクします)に参加してきました。「歯つらつ教室」とは、武蔵野市在住の65歳以上の方を対象にした、噛み難い、飲み込みにくい、口が渇き易い、といった方々のための口腔機能回復、及び向上のためのセミナーです。全部で6回の、かなり細かい指導が出来るセミナーでして、とても楽しくお口の機能の回復や向上が実感できると思います。

歯科医師だけでなく、歯科衛生士さんもたくさんいらっしゃいまして、楽しく学べますし、やはりお口の機能が低下しますと、美味しく食べたり、飲み込んだり、もしくは話したりが出来なくなってしまいます。是非そうならないための予防、あるいはさらなる向上のために知っておいていただければ防げる様々なことをご一緒に学びたいと思っています。よろしくお願い致します。

参加にはお申し込みが必要です、次回の参加は来年からになりますので、どうか御検討くださいませ!

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