井の頭歯科

「東京百景」を読みました

2013年9月27日 (金) 16:15

又吉 直樹著    ヨシモトブックス

私はつい最近まで全然知らなかった人です。新潮文庫のフェアでオススメ20冊を選書されていたのですが、この20冊のバランスと言いますか、かなり好みの本が似ている!という事で興味を持ちました。その後、お笑い芸人だという事を知りましたので、早速ネットで調べてみると(本当にネットって便利ですね)本当にお笑い芸人の方なんですね。とても不思議な感じの人です。本書の扉絵の後ろにも写真があるんですが、その写真がとても味のある写真です。

そんな方の本が出ていたので早速パラパラと立ち読みをすると(吉祥寺が舞台の短編わずか3ページの「吉祥寺の古い木造アパート」)、とても面白い!!という事で購入しました。

東京の土地と言いますか地名とそこで又吉さんが出会った出来事や妄想、そして生活や詩のような随筆をまとめたものです。お笑いの人が、とか外見がどうかとか、そういったモノは全然関係なく、非常に文章が上手いです。それも小手先の上手さではない、又吉さんの文章、というスタイルがある程度出来上がっています、そこにびっくりしました、素晴らしい。これだけ短い文章でまとめるのも、かなり難しいと思いますが、バッサリと終われる切の良さがまた、素晴らしい。そして個人的には改行のセンスを感じさせる文章が最も特徴的で心地よいと感じました。

大阪から単身18歳で東京に出てきたという又吉さんが好むのは「本」と「散歩」なんですが、読書量が半端じゃないです。正直非常に驚愕させられました。太宰を筆頭に文豪関連の話しも多いですし、お寺への散歩の話しも多いです。

私の好きな話は亀との会話「東郷神社」、地元である吉祥寺が出てくる『プリーズ』のカツラ剥きが恐ろしい「吉祥寺の古い木造アパート」、友人とのアホみたいな話し「一九九九年、立川駅北口の風景」、高円寺という場所がアパートに見える「高円寺の風景」、確かに言われたくない言葉がいろいろあるという「巣鴨とげぬき地蔵尊」、そういえばされた事私は無いけどキツイでしょうね職務質問という「渋谷道玄坂百貨店」、クーラーが壊れた事がある人には分かる「東京の何処かの室外機」、ルールある遊びが恐怖に変わる「秋の夜の仙川」、ええ長い事私も探しています「自意識の捨て場所」、ちょっと気になる自由律俳句の「阿佐ヶ谷の夜」、小噺になってる「夜明け前の北澤八幡宮」、魔界の入り口「六本木通りの交差点」、人見知りについての考察が非常に鋭い「麻布の地下にある空間」、妄想もここまで来ると文学になりそうな「六本木ヒルズ展望台からの風景」、ネガティブモデルがどんな人か気になるが暗いと誤解されていることをわざわざ訂正せずにそれを飲み込む辺りに何かを感じる「湾岸スタジオの片隅」、反語を同時に使うことで表現出来る言葉は割合誰でも用いれるのにこの人が使うと説得力が増す「昔のノート」です。

好きな作家さんで表明されていますが、やはり町田 康さんの影響は感じさせますけれど、それだけでないものを感じます。読んでいる最中に思い出したのは歌人でエッセイストの穂村 弘さんです。

短いエッセイが好きな方、町田 康さん、穂村 弘さんが好きな方にオススメ致します。

BBQに行ってきました

2013年9月24日 (火) 08:29

毎年、BBQに誘ってくれる友人がいます。中学生からの付き合いでして、その2人とも、とても頭がよかったので高校は私だけ別でしたが、今43歳になっても楽しく連絡を取り合ってます。そんなもう30年来の友人と青梅にBBQに行ってきました。

場所取りは青梅在住の友人がしてくれたのですが、そこからいろいろ設営が早い!!今回は友人2家族と私だけかと思っていたら、さらに数名のお客様がいらっしゃっててびっくりしました。総勢11名でのBBQはなかなか壮大です。

なので火元も2つありまして、順次焼けていきます。今回は私の友人2名がほぼ達人なので、何もしなくて良かったくらいです。戦力にならずに申しわくなかったですが、その分初対面のお客様方とお話ししました。映画関係のお仕事をされてる方、難しい本をたくさん読まれてる方など、とても素敵な方々でした。しかもみなさんお酒が強い。

順次焼きあがって、あとはどんどん食べるだけ。野外で食べるごはんはどうしてこんなに美味しいのでしょうか?

楽しい時間はあっという間に夕方。夕日が見られるととても得した気になります。また来年も遊びに行きたいと思ってます。

文化祭!

2013年9月20日 (金) 09:11

高校生の頃(本当に遠い昔の話しで恐縮ですが・・・)、ブラスバンド部に入っていたので、文化祭と言えば非常に晴れやかな本番の日、というイメージです。クラッシックを体育館で演奏し、部室ではビックバンドジャズを演奏した、とても良い思い出です。高校の頃は本当にブラスバンドの事しかしてなかったです。なので文化祭にクラスで出し物をするとか模擬店を出す、なんていう経験がありません。大学に入るとアメリカンフットボール部に所属していたので、これまた当日は試合を行うために、いわゆる文化祭的な経験はそう考えるともっとさかのぼって中学生の記憶になってしまいます。

文化祭という単語すらここ数年使用した事がないのですが、なんで文化祭の話しかといいますと、吉祥寺には「藤村女子中学校・高等学校」があります。そこの生徒さんがやってきて、今年の文化祭のポスターをはらせてください、という申し出がありました。時々生徒さんや先生方も診させていただいていますので、ご協力させていただきました。

直近のお知らせになってしまいましたが、明日、明後日の日程ですね。

以前小学生だった子供の頃はここの水泳教室に通ってました、わずか1年でしたけれど。

文化祭の成功をお祈りしております。

「ロスト・チルドレン」を見ました

2013年9月17日 (火) 09:17

ジャン=ピエール・ジュネ、マイク・キャロ 監督  ヘラルド

最近見た「ソイレント・グリーン」が面白かったので、同じ近未来モノであり、「夢」というモチーフを使って、そして異常な世界を作り上げるのが上手いジャン=ピエール・ジュネ&マイク・キャロ監督作品を見たくなったので、久しぶりに見ました。ジャン=ピエール・ジュネ監督といえば有名なのは「アメリ」ですが、個人的に好きなのはマイク・キャロと組んでいた「デリカテッセン」とこの「ロスト・チルドレン」が好きです。ジュネ監督の明るさと作り込みと世界観はもちろん綺麗ですし、ストーリィの落とし所も上手いんですが、ちょっと上手すぎる感じでなんか物足りないような気もしてしまいます。しかし、キャロ監督と一緒に制作した2本の作品はいくぶん暗い影を感じさせる作風になっていて好きです。ジュネ&キャロ監督作品は劇場で観ているんですが、久しぶりに見たくなったので借りてきました。96年公開ですからもう17年も前の作品なんですね。

何処かの港町。夢を見ることのできないマッドサイエンティストは子供たちの夢を盗もうと特別な機械を使って子供の夢に侵入しようとするのですが、その夢は必ず悪夢に代わってしまい、それでもどうにか夢を盗もうと手下のクローン人間たちに働きかけ、子供を次々とさらってきます。そんな組織に弟をさらわれたサーカスの怪力大男ワン(ロン・パールマン)は弟を探しているのですが、そんな中孤児たちの窃盗団に助けられます。行動を共にする中でその窃盗団のリーダーであるミエット(ジュディット・ヴィッテ)と弟を助け出すために・・・というのが冒頭です。

主役を演じているロン・パールマンは映画「薔薇の名前」のサルヴァトーレ役の人と言った方が分かりやすいかもしれませんが(最近ですと「パシフィック・リム」の闇商人ハンニバル・チャウ役!)、味のある役者さんですが、しかしそれよりなにより僅か11歳でこの映画のヒロインを演じているジュディット・ヴィッテが末恐ろしい演技でした。なんというか非常に子供であり、しかし大人でもある面(11歳で感じさせるなまめかしさってどういう事なんだ?あるいは人生の重みみたいなものを表情だけで表現させる演技力ってどういうことなんだ?)を感じさせる女優さんで、容姿端麗な子供なだけでない演技を見せつけてくれます。フランスの美少女、なだけでない部分、そして影を見せるのが素晴らしいです。

またジュネ作品に必ず出てくるドミニク・ピノンが6人のクローン役で出てきますが、これも素晴らしく面白いです。また前作「デリカテッセン」では肉屋の店主を演じていたジャン=クロード・ドレフュスも耽美的なキャラクターで出てきます。

そして世界観と言いますか世紀末感と言いますか、画面全体的にくぐもった感じでいて、そこにあの「ツイン・ピークス」の音楽を担当しているバダラメンティの怪しい音楽が流れてくると、とても不思議な世界観が際立ちます。

最初のシーンであるクリスマスの夢が悪夢に変わってゆく、何かが歪んで変質していくシークエンスの見事さも素晴らしいと思います。

子役の演技の素晴らしい方はきっとたくさんいらっしゃるとは思いますが、私としてはこのジュディット・ヴィッテさんを最も子供らしくない子役だと思ってます。その後も女優さんとして仕事をしていたら相当凄い方になったのではないか?とも思うのですが、ウィキ情報ですとその後女優は辞められているみたいで残念です。が、こういう一時の輝きだからこそ、貴重に思えるのかも知れませんし、案外20歳を過ぎればオーラの消えたただの人という可能性も(そういえばハリウッドの世界でも子役で成功した人がその後順風満帆であった例は数少ないような気がします)なくはないんでしょうけれど。

ファンタジー色の混じったSF世界や独特の世界観を持った作品が好きな方にオススメ致します。

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「ソイレント・グリーン」を見ました

2013年9月13日 (金) 09:17

リチャード・フライシャー監督    MGM

WHAT IS THE SECRET OF SOYLENT GREEN ?

私はどちらかといえば考えさせられる映画が好きなので、ハッピーエンドで見た瞬間からどんどん忘れていくよりも、見たことで自分の中の考え方を変えさせられるかのようなショックのある映画が好きです。なのでディストピア的な背景のある映画が好きです、何かの暗喩なのか?を考えたりするのって楽しいですし、監督や製作者サイドの意図を読み解ったつもりになる(もちろん私の勝手な解釈で、正しい解釈なんてありませんが【たとえ監督や原作者がコレを意図していた、とインタビューで答えようとも、作品は受け手の自由な解釈が担保されていると考えていますし、嘘を言う可能性を否定できません】)過程が楽しいのです。

まだ見てない名作なんてそれこそたくさんあるのですけれど、その中でも早く見たかったのがこの「ソイレント・グリーン」です。ジョージ・オーウェル著「1984」が好きな方ならきっと面白く感じて頂ける作品だと思います。私が何処でこの映画の事を聞いたのか?が思い出せないのですが、ディストピアを扱う映画の中でも面白い作品と聞かされてずいぶん経ってしまいましたが、ついにDVDレンタルになっているお店を見つけたので早速借りて見ました。

2022年、人口増加に歯止めがかからない状況下のニューヨーク。そこでは街に人々が溢れ、住居さえなくさまようまるで荒廃した世界です。世界は環境破壊が進み、食糧難に陥ってしまって、一部の特権階級以外の人々はソイレント社の海のプランクトンから作られたクラッカーのような配給食で飢えを凌いでいます。そこでは文明は失われたかのような世界で、食べ物は宝石のような価格で売買され、人々は既に野菜や肉を見た事さえなく、本さえ貴重な資料となっています。しかし特権階級の人々もわずかに存在し、きらびやかな居住空間に住み、美しい女性を家具として扱う(家具人間)ような世界も広がっています。その特権階級の一人であるソイレント社の幹部サイモンソンが何者かに殺されてしまいます。ニューヨークの警察であるソーン(チャールトン・ヘストン)は捜査に乗り出すのですが・・・というのが冒頭です。

とても素晴らしい映画でした!映像の退廃した世界の見せ方、音楽の選曲と映像の合い方も素晴らしく、役者さんも個性的でしかも演出も素晴らしい、やり過ぎない抑制の効いたものであり、アクションもサスペンスも、そして未来を感じさせつつ、人間の生活の変わらなさも受け手に思い出させるのが上手いです。

1966年に発表されたハリイ・ハリスン著「人間がいっぱい」を原作として制作された1973年の映画です。なので近未来社会派サスペンスという位置づけなんでしょうか?当時からすると、とてもショッキングな出来事を扱っています。生きていく上で絶対に必要な食糧を、配給に頼らねばならないくらいに追い詰められた状況が生み出す世界の切迫感と、それでも存在する上級社会のきらびやかで非日常的で耽美的な世界を行き来する刑事ソーンのキャラクターぶりも面白いのですが、設定そのものが、今を予感させる部分があって恐ろしくも面白いです。

家具人間(高級住宅に備え付けてある美しい女性をまるで『家具』のように自由に扱って良いと家具人間までもが信じ込めている!)や本人間(『書籍』という失われつつあるモノを利用出来る家具とは違ったまるでアプリケーションのような、ソフトとして人間を扱うことにこれまた本人間も信じて疑わない!)といった設定が非常に秀逸です。まさにラストを暗示させるのですが、まるで奴隷制度をさらに推し進めたかのような設定を受け手に飲み込ませる際の手腕も見事でして、決して言葉では説明していないのにも関わらず、いかに非人間的で、しかもそれを皆が享受している事を理解させるのが上手いです。

役者さんも素晴らしく、主役のチャールトン・ヘストンも素晴らしいのですが(刑事の時の粗野なような「演じている」感じと、家での本人間との関係性とのギャップが素晴らしいです)、ある人物を演じているチャック・コナーズという方の存在感はなかなか良かったです。

今見てもとても近未来感を感じさせてくれる、扱っているテーマも現代性に適った作品だと思います。結末の見せ方が、それまでの抑えた表現からすると少し違和感もあるのですが(個人的にはここも抑えて表現して欲しかったです、その方が余韻は深くなったような気がします)、とても面白かったです。

近未来作品が好きな方にオススメ致します。

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