2024年12月31日 (火) 09:51
2024年もあっという間に終わってしまう感じです。昨年もその前も思いましたが、完全に晩年に入った、と自覚しています。ホモサピエンスの年齢って年で数えていますけれど、当たり前ですが、健康な人も居れば、体力の落ちるのが早い人も居ると思います。自分は体力とか健康に自信がなくなってきました。今の体力を維持するのさえ難しい上に病院にもお世話にならないと、薬にもお世話にならないといけない機会が増えたと思います。
それでも、映画を観るという趣味は、気分転換や現実逃避と言う意味でなくてはならない体験だと思います。読書よりも受動的。
私は映画評論家でも何でもないですし、ただ趣味で映画を観ているだけですし、その感想は自分で忘れない為にまとめているだけです。しかも感想にまとめるという事をしないと、何を受け取ったのか?考えがまとまらないからです、頭が悪いからですね。そして覚えていられないのもあります。でも言葉で感想をまとめると、少し記憶に残りやすくなると思うのです。
このブログもずいぶんと長く続いていますけれど、最初の頃は読書の感想ばかりでしたが、今は映画の感想ばかりです。
とりあえず今年は134本の映画を観て、映画館には35回行けました。これは過去最高に行けたと思ってます。結局サブスクリプション・サービスで利用しているのはU-NEXTさんが56本と1番多くて、次いでNetflix21本、Amazonprime17本でした。友人にお借りしたDVDで5本観させてもらいました。その中で2024年公開映画は53本、その中での、勝手な、私的な、ベスト10+αです。
まず邦画でこんなに頑張ってる作品があるのか!と驚いたのが光武監督の「唐獅子仮面」です。今年になるまで知らなかったのが恥ずかしいのですが、ジャンル映画の中でもこんなに凄い事をしている映画がある事に驚きました。まぁ邦画とか洋画とかはジャンル分けするのもオカシイですけれど、凄く良かった。結局2回観に行ったのはこの映画と10位の作品だけです。
それと三宅唱監督「夜明けの全て」は、どうやら原作とかなり違うようですけれど、悪くない作品。映画として面白かったです。
洋画だとジョナサン・グレイザー監督「関心領域」も映画館で観て良かった作品。。音響と匂いについて考えさせられる作品。
またウィリアム・フリードキンについて考えさせられる機会が多かった。とても真摯な映画監督だと思います。
10位 ドライブアウェイドールズ イーサン・コーエン監督
馬鹿馬鹿しい作品かも知れませんし、つまらない、と感じる人も居ると思います。ただ、イーサン・コーエンだからこその映画。私はかなり好きです。私が馬鹿な人間だから親和性が高いだけかもですけれど。こういう映画が年間に1本くらいあって欲しいです。ちゃんと笑えます。
9位 ボーは恐れている アリ・アスター監督
この作品の意味が分からない、という人もいらシャルと思いますけれど、Youtubeでも解説動画がたくさんあって、その中でもぷんすこ太郎さんの動画は非尿に分かりやすく面白かったです。そういう解釈もありうえうし、映画を観た人が好きに考えて良いとも思います。わざわざ監督に聴いちゃうのは、野暮と言うモノですし、普通の監督なら、観てくれたら分かります、でオシマイだと思いますし、私もそう思います。第1部、何度も観てしまいますけれど、本当に(不謹慎ながら)面白いです。ホアキン・フェニックス最高です。
8位 コット、はじまりの夏 コルム・パレード監督
初めて観る監督でしたけれど、素晴らしかったです。主演の子役の人の自然な表情、そこにアイルランドの自然と、日の光が陰影をもたらす映像美。そして個人が成長するきっかけを得た少女の話し。凄く余韻のある作品でした。
7位 ルックバック 押山清高監督
アニメーションの技術に詳しい訳では無いのですが、とにかく1秒で24枚の絵を使うわけで、物凄く手間がかかりますよね?だから様々な書き手が参加するわけですけれど、このクオリティをどうやって維持しているのか?本当に1人とは言わないけれど相当に上手い人少人数で仕上げているのではないか?と思うくらいクオリティの高さの維持が凄いのが素人の私でも分かる。昨年の「THE FIRST SLAM DUNK」も監督であり作者が手を入れて統一したんでしょうけれど、それにしても、というクオリティ。
6位 ロボット・ドリームズ パブロ・ヘルベル監督
とてもビターな物語なんですけれど、人間を動物の置き換える事でマジックを起こしています。しかも、そこにロボットが出てきます。どう解釈するのが良いのか、も受けてに委ねられていると思います。私はラスカルで正解!という派閥です。
5位 アメリカン・フィクション コード・ジェファーソン監督
これは映画館で観たかった作品ですけれど、皮肉が効きすぎくらいな作品です。これでもか!と言う感じなんですけれど、凄く面白い、興味深い、と感じます。まさに2024年現在のリアルを感じます。
4位 オッペンハイマー クリストファー・ノーラン監督
この作品は公開まで時間が借りましたけれど、うちの国だと2024年公開作品なんです。池袋レーザーIMAXGTで観れて本当に良かったです、迫力がすさまじかったですし音響も凄かった。同日にそのまま「DUNE part2」を観たのですが、オッペンハイマー凄かったのと、フローレンス・ピューの日になってしまったのが印象的でした。
3位 どうすればよかったか? 藤野知明監督
衝撃度で言えば20204年の最高到達点なんですけれど、とても考えさせられる作品。たくさんの人が観れる環境になって欲しいです。フレデリック・ワイズマン監督「チチカット・フォーリーズ」に負けない衝撃度。
2位 ホールドオーバーズ アレキサンダー・ペイン監督
志が高い作品で、ポール・ジアマッティさんが最高に各局見えます。でも正直アンガス・タリ―役は年齢的にもう少し子供でも良かったと思います、その萌芽より際立ったと思う。それと、ハル・アシュビー監督作品を観るきっかけになりまして、これもよりこの作品の好きな点になりました。私も読んでますマルクス・アウレリウス著「自省録」
1位 陪審員2番 クリント・イーストウッド監督
まさか最後に観た作品が1位になるとは・・・とは思いますが、本当に素晴らしい作品でした。ソリッドな製作でタイトな時間なのに、濃密!本当に素晴らしかった。
2025年はどうなりますでしょう、年末まで生きてるか?も本当には分からないのに。明日何かが起こってる可能性を含んでいるのですが、続いていたらいいな。
2024年12月30日 (月) 10:24
クリント・イーストウッド監督 ワーナーブラザーズ U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は54/135
2024年の12月の20日を過ぎて、しかもこれ映画館で観れてたらもっと凄いのに!という作品に出合ってしまいました・・・
私はクリント・イーストウッド監督作品の最高傑作は『センチメンタルアドベンチャー』で、これは揺るがないです。しかも彼が世間一般や世界で評価されている映画は軒並み全く同意出来ない作品だと感じています、百万ドルとか許されるとかフォードが作ってた車の名前とか、全然好みじゃない上に、自分だけが特別、という意識を感じるのです。それを助長させている危険性を感じます。まぁ映画の好き嫌いなんて好みでいいのですが。
でも、これまでのどの作品よりも、今回のは脚本も良かったし、切り方サイコー!役者も素晴らしかったですし、本当に観て良かったし、劇場で観たかった・・・
気になったのは、今後、サブスクリプション・サービスを享受するという事は、映画館での体験が残念ながら減少する事の一因になるんだろうな、という事です。恐らく、映画会社は、今後独自のサブスクリプション・サービスを立ち上げるでしょうし、そこでないと観られない作品を作る事により、もっと多くの契約とか件数を争う事になりはしないか?その為であれば劇場公開を見送り、何なら回避してでも、サブスクリプション・サービスの充実を図るのではないか?と感じたからです。これは避けがたいのかも知れないと、今作の公開で感じます。出来れば共存して欲しいけれど・・・
閑話休題
正義の女神像(両目を隠され、天秤を持つ)が映し出され・・・というのが冒頭です。
監督作の中でもトップクラス、素晴らしい法廷劇であり、サスペンスの傑作。93歳で撮ってる人って、現在だと、イーストウッドと同年齢のドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマンくらいじゃないでしょうか?ワイズマンも凄いけど、確かにイーストウッドも凄い!と唸らされました、本当に素晴らしい作品。
ネタバレなしでは、法的劇でもあり、サスペンスの傑作、あとは早く観た方が良いですよ、で終わりな感じです。
主人公は陪審員になるニコラス・ニュークス・ホルト。検察官のトニ・コレット。ちなみにキーファー・ヤッピー・サザーランドが出てきますし、良い演技してます。
いかにバイアスがかかるとホモサピエンスの認知が揺らぐのか?を描いた作品でもありますし、正義とは何か?と問いかける作品でもあります。
法廷劇は本当に面白いですし、制約があるからこその心理を描ける作品。
私はいつも思うのですが、確かに子供を持つには1人では無理なのですけれど、その親に当たる2名は時と場合によると思いますけれど、ある意味子供の為にすべてを投げ出す覚悟が求められると思いますし、その中でどちらかが倒れたとしても、それは浮気というか本気だったり、死別であったり、病気や障害による協力が得られなくても、その後1人でなんとかする、という決意だと思うのですが、まぁ難しいです
とか
陪審員裁判の問題点は理解出来るけれど、市民が参加する事の、自治の担保を負う事の重要性を再確認し、ホモサピエンスである以上間違う事もあり、誤る事があったとしても、その手を汚しての行動を伴う陪審員裁判の重要性を考えずにはいられない
というような事まで考えさせられる傑作。本当は劇場で観たかったという人もとにかく観た方が良い作品、オススメです。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想です。出来ればまっさらな状態で観るべき作品なので未見の方はご遠慮くださいませ。
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ネタバレありの感想ですけれど、
脚本が素晴らしい。主人公であるニコラス・ホルト演じるケンプは、過去にアルコール依存症であり、飲酒運転の事故を経験していて、かつそのから妻の助けを得て生まれ変わってやり直している人物。しかも、妻が経験した流産の日のショックを紛らわすために、陪審員として参加する事になった事件の当日、同じ店に居て、かつその後に車の運転中に、何かを撥ねる事故を起こしていて、その時は鹿を撥ねたと認識しているのですが、事件当日だけに気がかりです。
この後ろめたさ、これは些細な事でも、後ろ暗い事をした経験がある人なら間違いなく感触として思い出せる、嫌な感覚だと思います。しかし、当然ケンプは人を撥ねたという認識はなく、もしかすると、という事に過ぎません。もちろん、鹿の可能性もある。
ですが、このまま裁判で有罪となれば、終身刑も確実な容疑者であり、被害者の元カレの人生を奪う事になります。しかし、まだ自分が撥ねたかどうかの確信は無い。
しかし友人の弁護士であるヤッピー・サザーランドは、もし蒸し返せば重要参考人どころか容疑者になり、しかも過去のアルコール依存症から呑んでいない事も、車の事故の事も陪審員には不利に働く事まで説明されます。
ところがあろうことか、陪審員の中にJ・K・シモンズ元刑事がいて、この事件の検察は容疑者が犯人と決めつけている事に嫌疑を抱いている、12名の陪審員のうちの1人でした。バイアスがかかっていて検察はその他の容疑や可能性に目を閉ざしている、と。
このJ・K・シモンズ元刑事が、昔のつてで調べたのが、もし、轢き逃げ事故だった場合の可能性のある車両のリストです。その車両リストから除外できる可能性を絞った僅か15台の車両を洗い出し、あろうことかケンプの車もその中にあり、ケンプは除外できるから残りの中から真犯人を見つけ出そう、と協力を求めてきます。
凄くサスペンスフルな展開です。とっさに書類を落とす事で、周囲の注目を集め、元刑事であるJ・K・シモンズを陪審員から外す事になるのですが、自身は陪審員に戻ってしまいます・・・
自分がどうするべきか?悩むのですが、結論から言えば、ケンプは容疑者の人生と自分の人生+娘と奥さんを天秤にかけて、自分を取った訳です。
ここから急に主人公がケンプからトニ・ヘレディタリー・コレットに移った、という感覚を持ちました。
ケンプは裁判に陪審員として参加し、自らが犯したかも知れない罪に対して悩み苦しみ、状況証拠から、自身の可能性を捨てる事は出来なかったと思います。逆に完全に否定する事も出来なかった。そこでケンプは、正義が真実ではない、という明らかな詭弁を持ち出し、もし事態を変える事になれば、あなたも多大な代償を払う事になる、というDEARを持ち出すのです・・・
この2人の対決シーンは非常に会話劇として周到に計算された脚本の素晴らしさがあります。
この映画はその後、ケンプ宅の呼び鈴が鳴り、扉を開けるとトニ・コレットが現れて、幕を閉じます。
凄い切れ味。
よく考えると、あのトニ・コレットに送られてきた差出人不明の花束とカードは、娘の将来を救ってくれたケンプの妻が出した可能性が高いと感じられます。最後の2人の対峙、もう2人とも何が起こったのか?理解した上での会話だと思うのです。手紙には「娘に正義をもたらしてくれてありがとうございます」と書いてあります。この場合の娘は、恐らく被害者ではなく、であれば名前を書くでしょうし、そうなると娘はケンプの娘しかいないと思います。
ケンプと違って、恐らく、トニ・コレットは正義の履行に、多大なる犠牲を払うとも、決心した顔をしていたと思います。それでも、それを決めるのは受け手である観客に委ねている。
素晴らしい作品。
2024年12月28日 (土) 09:12
VIDEO
ロバート・アルドリッチ監督 BAVERIAFILM Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は53/134
何気なくAmazonprimeを観ていると、もうすぐ配信終了の文字が見えて、その中の作品で観た事が無かったので。
まだアメリカにも良心があった頃の映画、とか言われている作品だと思いますし、いかにベトナム戦争がアメリカに深い傷を残したか?という事なんですけれど、まぁ2025年からはもっと違った意味を持つかもしれない映画。
のどかな風景の中、車が走行していると故障車が止まっていて、負傷していると思われる人物が手を挙げています・・・というのが冒頭です。
この映画、製作は1970年代の様ですけれど、凄く昨今、というのは1990年代以降の国家的な危機を描いた作品の基ネタなのでは?と感じるくらい素晴らしいサスペンスでした。
しかも、その動機部分が非常にクリア。説得力が非常に高い上に結末も、ある程度受け手に委ねていて、秀逸。
役者さんも皆素晴らしく、重厚で、絵に耐えられる。しかも割と画面を割って同時進行みたいな事するんですよ。斬新でもあり、しかし同時にこの物語の進行に必要な事なんです。
そうか、ロンゲストヤードの監督でしたね。
大統領という仕事に付いても考えさせられますし、韓国近現代史でも一つのプレイヤーである軍事組織の、ある種暴力を含んだ組織である事で必然として描かれる事なんでしょうけれど、これを解決するの、難しいですね。
個人でも集団でも、いう事を利かせるというのは、まぁコントロール欲求という事だと思いますが、それって組織になったり、その組織が大きくなればなるほど、暴力が必要になってくるホモサピエンスの暴力性のようなものだと思います。まぁ特に男性という事になるんだろうけれど。
大統領について、そしてある種のアメリカの良心が見て見たい方にオススメします。
2024年12月27日 (金) 08:59
VIDEO
藤野和明監督 TOHOOFilm ポレポレ東中野
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は53/133
映画の存在を知ったのは昨年末のBLACKHOLEでの柳下毅一郎さんの2023年のベスト映画だったからです。短い時間でのご紹介でしたし、見る方法が無かったので、記憶に留めていたのですが、劇場公開されると聞いて。ところが、東京でもわずか2館ですし、予約フォームをみても平日の昼の回でもずっと満席。公開から2週間後の平日にやっとチケット取れました。
2024年に観た中での1番の衝撃作でした。
藤野監督の、恐らく最も衝撃的な作品。というかどんな人にも人生で1本しか撮れない作品。これを撮ってしまった後の藤野監督の今後が、期待もありますけれど心配でもあります。
ドキュメンタリー作品です。冒頭に、統合失調症について扱った作品でもあるためにその注意喚起が為されます。さらに、犯人を捜す主旨では無い事も示されます・・・医師で研究者の父、同じく研究者の母、8歳年上で医師を目指した姉、そして監督の4人家族の20年を超える期間の記録映像です。
私は家族という存在の、良い事、善き事はある程度理解していますし私という存在は私の家族が居なければ存在しなかったと言えるのですが、それと同時に、強固な鎖であり、檻でもあり、澱が溜まる場所だとも言えます。私は私の経験でしか知る事が出来ない家族の時間があり、それは誰にでも人の数だけ存在するのに、他者の家族の時間を見る事は、まず、あり得ません。他者は家族では無いからです。そしておそらく同じ家族というのはあり得ないし、他者の家族にはその家族だけしか分かり得ないルールや宇宙がある。
この作品には他者の家族の記録が映っていて、それが非常に日常を捉えているので、それだけでも衝撃的なのですが、姉の精神、病気というか、状態にも驚かされます。
そして、それ以上に時間が目に見えるのです。その時間の経過の残酷さ、いや、時間が経過しても変わらないという残酷さを目にする事になります、文字通り、時間が見えるのです。時が見えるんです。
家族という形を必死に守って継続させる事への執着、ここに家父長制という言葉だけでは括れない、医師というだけでは理解出来ない役割のようなモノを信じ、演じている家族が見えます。
その中で1人観察者でもあり、家族の一員でもある監督がカメラを置く事で、記録される映像が映し出す世界の恐ろしさを感じました。
そして同時に姉の状況、そしてその後の驚愕。
パンフレットで書かれていますけれど、精神障害、という単語への違和感、理解出来ます。心や精神というものが如何になにもまだ分かってないのか?を理解します。
手塚治虫も「奇子」で描いていましたし、藤子・F・不二雄が描いた「ノスタル爺」でも描かれていた軟禁。それの形を変えた状態。
さらに共依存という解決し難い鎖の存在。ここに認知の問題さえ繋がってくる恐ろしさ。
日本の全ての人が関係ある話しなので、観るべき作品。
見終わると、本当に、どうすればよかったか?と考えさせられます。その答えは何処にもなく、今も分からないし考え続けてしまいます。
日本で生活する人にオススメします。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想ですが、批判とか断罪ではなく、あくまで私見です。
まずはこの衝撃の作品を観て欲しいです。
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まずそれぞれの関係性。
父から見た娘、それも非常に出来が良く頭も良かった娘、そして共同研究を論文発表したい、という恐らくは父の夢。この事を叶える為だけではないにしろ、最初の異常行動の時の診察が、どうであったのか?ココが1番のポイントであったと思います。父からの強制的で強い医師になって研究して私の後を継げ、というプレッシャーの強さを垣間見せる単身赴任地への手紙でその日の勉強の成果を報告させるエピソード、それは強迫観念を感じてもオカシクナイですし、その後に統合失調症の様な振る舞いを見せる事で勉強や研究を嫌がっている事を示しているという父親の解釈の、何というか視野狭窄で自分の考えに死角は存在しない、と考えているような・・・
そして母。母と父の関係は恐らくそれなりに強権的なのではないか?と思われます。父のプライド尊厳を守る事に注力しているように見えますし、娘に対しての共依存もあるように見えます。そこに認知症が加わり、いやだからこそ、父も家族をコントロールできない事を悟ったからこそ、姉は診察を受ける事が出来たという皮肉・・・
この、母の認知症の症状、そして姉の状況が重なった時の、まるで家族が病に罹患して、それが広がっていく恐怖を感じました。科学的にも医学的にもそんな事は無い、と知っていても(言葉の強さがあって使いたくないのですが他の表現が見つからず)狂気の伝染、に見えたのです。それも共依存関係を利用しての伝播のように見えたのです。
恐らくこの3名と比べて出来の悪い(と言っていても、監督も北大出身者・・・国立大学ですよ!!!私なんか以下略)事に疎外感を抱いていたであろう弟である監督。家を出た、帰省する時でしか存在しない、希薄ではあるが一員でもあります。姉をどうにかしようとする事が出来そうなのは監督だけだったと思います。
20年以上の症状の経過があった後でも、たった、たった3か月で合う薬が見つかり自宅に帰る事が出来るようになる事の、それまでの無為とは言わないまでの積み重なった、顔や髪や体のラインで見える時間の経過、その重みを感じずにはいられません。3か月ですよ!あの姉、写真の中で美しく、若く、希望に溢れ、同時にダメになる可能性や傷つき倒れる可能性も等しく存在していたまだ未成熟であった人物の、その可能性が失われた、いや奪われている様にしか見えない、その残酷さ。
たった3か月で帰宅できるほどの回復があっても、その後の安定しない時の行動についても考えさせられます・・・会話ができるようになっていてさえ。そして同窓会に出たかったという吐露。ただ人に会うというだけさえも満足に出来ない状況の哀しみ。姉の自分の置かれた状況への認識がどうであったのか?語られる事は無いのですが、映画「レナードの朝」のような認識では無かったのであれば、それはある種の幸せだったのかも知れません。それにステージⅣの癌が見つかる事の辛さ・・・
それなのに、姉の、あのピースサインの多幸感。何というか生きて動いていつか死んでしまう動物の重みを感じさせるピースサイン。特に片足を浮かせて後ろにそり上げつつその足の膝を曲げて繰り出されるピースサインの、この映像作品の示す状況とのあまりの違いに、この映画の救いがあるとも感じます。
この家族のある種の愛のカタチの可能性も不貞出来ない・・・もちろん姉の不遇は許されるべきではないと思うのですが、ではそこに体裁や世間体だけなのか?とは思えない部分も感じられます・・・いびつかも知れませんけれど。
医師国家試験の参考書を毎年購入していたという父。家族内では、カメラの回っている中では強権的には見えないのですけれど、ラスト近くで監督に問われる「どうすればよかったか?」への驚愕の返答も、ホモサピエンスの認知に歪みを感じずにはいられません。
父親になった事が無い私には永久に理解出来ないかも知れない感情がなにかあったのか、医師と父の威厳を守る為だったとは思えないけれど、あの家で20年以上暮らしていた事を考えると正常な感覚に思えない父。
父を庇い敬い庇護の中で娘との共依存に見えるくらい保護しているのに認知症というホモサピエンスの寿命が延びた事で現れた症状と似て感じさせる母。
とても衝撃度の高い映画体験でした。
これからBLACKHOLEの「どうすればよかったのか?」の配信見ようと思います。
2024年12月25日 (水) 09:47
VIDEO
ショーン・レヴィ監督 マーベルスタジオ DVD
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は52/132
友人からDVDで見せてもらいました、ありがと~
そういえば私デッドプールは1も2も観ていますが、これってMCUですけれど、デッドプールはエンドゲームには出てなかったような・・・というぼんやりMCU弱者です。
ローガンでもちろん綺麗に終わってたウルヴァリンですけれど、まぁMCUとかでも、それ以外でも、世界線といいますか、パラレルワールドがありになってて、まぁなんでもありですよね。
で、いつも通りのデッドプールです、大暴れはアクションだけではなく、言葉も凄いんで、まぁいつも通りです。
でも、ある人物が出てきて、凄くビックリしました。
それと悪役の人物がファンチーヌに、そっくり。目が特に。美人。
ハチャメチャした作品で、いつものデッドプールを観たい人に、オススメします。