井の頭歯科

2018年のベスト10

2018年12月29日 (土) 09:31

毎年、1年間という時間が短くなっている様に感じます、これが年を取る、老化という事か!という自覚とともにですけれど。でも、そこをポジティブに考えるのであれば、これは『老人力』(©赤瀬川源平)がついた、という事になるでしょう。1年が早く感じる能力を身につけた、という事ですね。

今年も、昨年に懲りずに私的映画ベスト10を決めたいと思います。

もちろん映画に順位などありませんし、点数を付けるなんて論外ですよね。ご意見ごもっともです。点数なんてまさに感覚、その時の雰囲気だと思いますし、順位なんてそのときの気分で変わるものです。ですが、そこを、あえて行う事にも意味がある事もあると感じます。印象に残った順位に、2018年12月現在の雰囲気を残すにふさわしい行為、とも言えると思うのです。当時を振り返って、あの時の感覚を、強引に点数や順位を付ける事で発生してしまう意味を、振り返って感じる事が出来るように。そんなわけで、2018円日本公開映画、という縛りで行います。

10位   「ザ・スクエア 思いやりの聖域」   の詳しい感想は こちら

話題作もたくさんありましたけれど、私は個人的に性格が捻くれているのかも知れません、10位にはこの作品を入れたいと思います。大変居心地悪くさせる映画なんですけれど、たくさん考える事がある作品とも言えます。イジワルな作りにはなっていますけどね。2018年の映画でこの映画を思い出す人とは話が出来そうです。でも、ちょっと蛇足感もあるんですけどね。

9位    「アンダー・ザ・シルバーレイク」   の詳しい感想は こちら

今年公開映画の中でもへんてこりんな、カルト的な人気が集まる作品と言えばこの映画だと思います。同じようなカルト的人気作品である「ビッグ・リボウスキ」とベクトルとして同じ方向を向いている感覚があります。この映画のノリに、乗る事が出来れば、結構な映画体験になりますけど、もし、飲み込みにくい場合は、苦痛な映画体験になってしまうかもしれません。でも、映像としてとても美しく、奇妙な演技をするアンドリュー・ガーフィールドが見られる作品でもあります。

8位    「ダウンサイズ」   の詳しい感想は こちら

アレキサンダー・ペイン監督作品ですから、ただ人が小さくなるだけの話しではないと理解出来ていても、結構びっくりな展開が待ってます。本当に個人的な意見ですけど、マット・デイモンさんが嫌な目にあっていると溜飲が下がって、個人的には清々しい気持ちになれます、ええ、凄く良くない表現ですけれど。

7位    「タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜」    の詳しい感想は こちら

コメディタッチの映画かと思いきや、大変ヘヴィーな映画でした。そしてとても良く出来ていると思います。ソン・ガンホさんは本当に韓国の名優だと思います。屈託ないこの笑顔は、ちょっと普通の人にはなかなか出来ないと思いますよ。

6位    「ウインド・リバー」    の詳しい感想は こちら

こちらもマイノリティのヘヴィーな現実を写した映画でした。急転するドアの演出、見事だと思います。私は幼少期に、たくさんの西部劇を 見させられて 来ました。好きな作品もそうじゃない作品もありましたけど、とにかく勧善懲悪で、必ずインディアンが負ける展開が、あまり好きじゃなかったんですね。でも、映画の見方の勉強にはなったかも、です。ダンス・ウィズ・ウルブスがヒットする90年代までは、支配される側の映画ってほぼ無かったと思います、有名な作品ではって事ですけど。でも、もちろん支配される側にも感情や理屈や生活がありますし、しかも大変リアルでヘヴィーな話しです。あ、感想で言い忘れてしまいましたけど、私、最後に同行してくれた人たちへの言及が全くないのが、この映画のポイントを下げてしまった部分です。主人公たちは、アレですけど、同行者はあくまで協力してくれていたのに、そこへの言及が無かったのは、かなり違和感があります。

5位    「犬が島」     の詳しい感想は こちら

猫が島だったら、ベスト3には入ってたと思いますね。でも、まさに命を吹き込む感じが、こういうストップモーション・アニメーションは本当に素晴らしい。今までで1番凄かったストップモーション・アニメーションはチェコの巨匠ブジェチスラフ・ポヤル監督の「ナイトエンジェル」です。何もセリフが無い作品なんですけれど、動画があったので載せておきますね。凄いです、何度見ても。わずか19分の作品ですけれど、今のところ私が見た中ではベストです。

4位    「ROMA」     の詳しい感想は こちら

おそらく、映画史の中に残る傑作、という評価は年を追うごとに高まるタイプの作品だと思います。これ本当にセットを作っているのだとすると、莫大な予算がかかってると思いますし、まさに動画配信時代の、Netflexの強さを見せつける作品。映倫を通さない公開も、個人的には称賛に値すると思います。

3位    「DEVILMAN crybaby」     湯浅 政明監督     Netflex

純粋な意味で映画ではなくやはり動画配信のNetflexでの連続ドラマなんですけれど、今年の東京国際映画祭で特集され、映画館でも上映された作品ですし、何と言っても映像作品として物凄い完成度、しかも原作に忠実。さらに天才湯浅監督の演出と永井豪先生の絵柄の、一見取り合わせが悪そうに感じていたんですけれど、これが化学反応を起こしていて、本当に凄かったので、今年のベスト3に挙げさせていただきました。アニメーションに抵抗が無い人なら、誰にでもオススメ出来る傑作です。

2位    「ハッピーエンド」    の詳しい感想は こちら

ハネケ監督作品でハッピーエンドってタイトルを付けられると、すっごく抵抗感ありましたけど、確かに、ハッピーエンドだったと思います私は。魂の開放、ガフの部屋が開かれる、アレですね。それにしてもハネケ監督76歳!貫禄もさることながら、一貫した姿勢にも打たれます。

1位    「万引き家族」     の詳しい感想は こちら

甲乙つけがたい、5位以上はどの作品も大好きですし、今の気分で、このような順位になりました。もちろん順位をつける事で生まれる意味も、ある程度考慮しちゃったりもしますけど。でも、単純に、この映画を見て衝撃を受けた、そして大変面白かったし、考えさせられたし、何回も観たいと思わせた作品。主役の男の子、本当に素晴らしい子ですね。

今年は「家族」に関する映画を多く選んでしまった感があります。私にとってのリアル家族映画と言えば赤堀 雅秋監督「葛城事件」なんですけれど。

で、今年だけ別枠がありまして・・・

0位     「バーフバリ伝説誕生」&「バーフバリ王の凱旋」    の詳しい感想は こちら

0位というのが1位の上なのか、下なのか、私にも分かりません。が、別枠の映画だったと思います。今年のベスト10を考えていたのですが、ベストとかそういう事じゃなく、とにかく比較とか順位に入れられない別枠、完全に異次元の作品として、バーフバリを挙げたいと思います。この映画は他の映画と比べちゃイケナイ気がします。比べる映画が可哀そうですし、完全に別モノ。エンターテイメントの今頂上にある作品だと思います。とにかく、スケールの違う、規格の違いを感じさせる傑作でした。

結局ベスト11になってしまいましたけど、今年は仕方ないと思います。今振り返ると昨年決めたベスト10も、私っぽいって思います(笑)

「素敵なダイナマイトスキャンダル」を見ました

2018年12月28日 (金) 09:13

冨永 昌敬監督      東京テアトル

2018年見逃し後追い作品その15で最終回です。今年公開映画で言えばやっと40本です。まぁ36本を自分にノルマとして課しているんですけれど、今年もクリア出来ました。

編集者+サックス奏者としてとても有名な方、さらに赤瀬川原平さん、南伸坊さんなど、ひと味違う著者、考え方が奇妙に面白がるチカラがある人々と繋がりがある方、というのが私の印象です。自伝的エッセイの名著と言われている「素敵なダイナマイトスキャンダル」の映画化です。たしか、私も読んでいますけれど、とても変わったエッセイだった、という事は覚えていますけれど、細かな内用はあまり覚えていません、が、衝撃的な内用だった、という事だけは覚えています。何しろ1980年代前半に出版された本ですし。

岡山の山奥に育った少年、末井(柄本 佑)さんの母親が家出をして・・・というのが冒頭なんですけれど、まぁとにかく破天荒な方の自伝です、すっごく有名なエピソードなんで、しかもタイトルに使用されてますからネタバレしてしまいますけれど、お母様がダイナマイトで自殺されてしまう、という大変ショッキングな出来事を幼少期に経験された、末井さんの身辺雑記です、もちろんフィクショナルな部分もあると思いますし、映画化にあたって改変された部分もある事はあると思いますけれど、多分本質的には事実だと思います。

一見自棄な行動に見えますし、大変行き当たりばったりな感じもするかと思います、正直眉をひそめる方もいらっしゃると思います、性的な話題を好まない方には向かない映画だとも思います。ですが、性的な事は扱ってはいますけれど、これは『表現』の話しだと思います。また、同時代を生きた方にとってはノスタルジーさえ感じる映画だと思います。

いつも日本の自主規制団体、映画倫理機構、通称映倫がわいせつ、をどのように判断しているのか?とても曖昧で恣意的な部分が気になります。わいせつかどうか?を判断するのは、観客であり、受け手で良いと思いますし、そもそも制作者に対して大変傲慢な所行だと思います。わいせつな部分がゼロな人間は恐らく存在しませんし、人によってわいせつかどうか?判断が違うと思うのです。まぁそういう自主規制を行っていますよ、という統治者へのエクスキューズなのかも知れませんけれど。できれば極力『ぼかし』という新たな「表現」を勝手に作品に加えるのは止めて欲しいです。で、この映画はまさにその「表現」についての映画だと思います。

柄本佑さん、初めて演技しているところを見ましたけれど、かなり良かったです。瞳の奥にある、狂気を感じる事が出来ます。非常に醒めた狂気のような何かが滲み出ていたと思います。また荒木さんを演じている菊池成孔さんの演技が秀逸でした。また、お母さんを演じていらっしゃる尾野真千子さんも印象に残りました。

表現する事、について考えてみたい方にオススメ致します。

「ROMA」を観ました

2018年12月26日 (水) 12:32

アルフォンソ・キュアロン監督    Netflxe
ヴェネツィア映画祭でゴールドライオン、最優秀賞を獲得した映画、2018年12月に映画館ではなく、Netflxeで公開していたので見ました。
ある邸宅のタイル張りの床。誰かが掃除をしていると思われる音。水たまりに飛行機の影が映ります。そんな冒頭です。
とにかく、何も説明されない映画です。しかし、説明はしないけど、大変多弁な映画でもあります。もし、ヨーロッパ系の映画がお好きな方であれば、大変オススメの映画です。
キュアロン監督というと、「ゼロ・グラビティ」(の感想は こちら )1作しか見てないんですけれど、エンターテイメント寄りの方かと思ったら、そうでもないのが分かりました。とにかく映像がシャープ!美しいです。全編モノクロの映画なんですけれど、極彩色に彩られた映像に見えます、本当に、そう見えます。
カメラの動き方も非常に独特で、左右にしか動きません。上下にはほとんど動かなかったと記憶しています。非常に淡々とした日常が描かれ、途中にやっと年代は分かるものの、正直ROMAが何を指しているのか、全然分からないんですけど、でも、この映画は後世に語り継がれる、という事だけは理解出来る傑作映画です。
住み込み家政婦の日常を描いているんですけれど、そして、使われる側の視点を描いているんですけれど、世界がこんなにも美しく、残酷で、それでいてかけがえのない一瞬の連続、人の営みの儚さ、だからこその愛おしさ、子供の愛らしさ、本当に様々に掬い取ってくれます。衝撃的な映画体験だと思います、控えめに表現しても。
浜辺の一瞬の美しさ、そこに『家族』がいます、正真正銘の、家族が。私は家族という言葉から連想するのは、まさに『檻』という言葉ですけれど、この映画の中には、美しい家族が確かに居ました。そういう意味では2018年の傑作映画「万引き家族」(の感想は こちら )と同じような疑似家族を描いた傑作だと思います。
飛行機の影が何を指しているのか?私には完全には理解出来なかったけれど、でも、あの、空を飛んでいる飛行機の影を見るだけで、何と清々しい事だろう、と感じる事が出来た。
およそ私が生まれた年の、何処かの海外の都市の生活を描いています、セット等、物凄くお金がかかっていると思います。
雇用主と使用人、モンゴロイドと白人、男と女、持てるものと持たざるもの、子供と大人、望むものと望まぬもの、犬と人、警察機関と民衆、都会と田舎、様々な対比がなされますけれど、そのどちらにも、公平なフェアネスと、愛おしさを感じるカメラワークが本当に観た事ないレベルでした。
もう1点、特に強調しておきたい事として、ぼかしを入れてない事、です。この1点を於いても、素晴らしい作品だと思います。日本固有の文化『ぼかし』が配信ビジネスによって早期になくなる事を願いつつ。きっと内部での改革で改善されることがほぼない日本文化でも、外圧にはあっさりと変化するので、きっと将来的には無くなると思いますけど、出来れば出来るだけ早く消滅して欲しいです。
海外文化に触れてみたい方に、家族のいる人に、オススメ致します。

「ロープ/戦場の生命線」を見ました

2018年12月25日 (火) 08:52
フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督    レスペクト
2018年見逃し後追い作品その14
いや~長かった今年の後追い作品についてもいよいよ次回がラストだと思います。これで2018年公開映画だと40です、この辺が私の限界。仕事もあるし、仕事もあるし、仕事もあるので、全然時間が無い中よく頑張りました。最後の1本が見れないかもですけど・・・これは友人がオススメしてくれた作品で、全然知らなかったんですけど、キャストを知って見たくなりました。ベニチオ・デル・トロとティム・ロビンスなんて、なかなか渋いじゃないですか!
1995年バルカン半島の何処か。国境なき水と衛生管理団の一員であるマンドゥル(ベニチオ・デル・トロ)は井戸に投げ込まれた死体を除去したいのですが、なかなかうまく行きません。そこで・・・というのが冒頭です。
いや~小作品ながらも期待値を軽々と超えてきますし、見ている最中の予想をことごとく超える展開で素晴らしかったです。
1995年のバルカン半島って事は、ユーゴ紛争の話しですし、おそらく有名なモザイク国家の崩壊が舞台になっているわけです。ですので、紛争地での、国際救護部隊の活躍を描いている、そんな映画なんですけれど、それはあくまで舞台設定なわけで、とってもブラックユーモアに溢れた作品だと思います。当たり前ですけれど、紛争地での悲劇も、汲み取っています。
戦時下の悲惨さ、国際救助部隊という戦時下の悲惨という非日常を日常に選んで仕事をしている人間の悲哀と、それだけでない、人間の生活の上での齟齬、そこに齟齬をズレとして起こる笑い。つまり日常を描いた作品だと思います。そして、その仕事のやりがい、紛争地でのルール、命を守るための行動、そして世界の不条理。そんな様々な事が訪れる様の、その種のタイミングによって、笑いが起こるのですけど、その点が最も素晴らしいと感じました。人はどうしようもなくなった時は笑ってしまうと思います、そして笑ってしまったからこそ、次の行動が取れるのだと思います、絶望せずに。今年の良かった映画のひとつである「スリー・ビルボード」(の感想は こちら )の結末はその前の瞬間だったと思います。
だから、私は笑っていいと思います。
原題『A Perfect Day』の方がすっきりした良いタイトルだと思いますし、捻りが利いてて好きですね。「ロープ/戦場の生命線」だと説明し過ぎだと思うんですけど、多分私の好みなんかよりも、たくさん興行として観てみたい、と思わせなくてはいけないんでしょうね。
多分1995年という近過去に設定したおかげで、クスリと笑える作品に仕上がっていると思います。
ベニチオ・デル・トロさんの哀しい目が最高にベテラン感あっていいですね。あと、やっぱりティム・ロビンスが、良い味出しててくれて、この人は長いキャリアがありますけど、年代ごとに、マイルストーン的な傑作にちゃんと出演していて、この作品もなかなかに良いですし、年齢を重ねてさらなる深みが出てて、そこもイイですね。「トップ・ガン」のチョイ役から野球映画の名作「さよならゲーム」、「ジェイコブズ・ラダー」ではベトナム帰還兵の悲哀を、「ザ・プレイヤー」では巨匠ロバート・アルトマンと主役で組みますし、その後は「ショート‣カッツ」にも「プレタポルテ」にも出る常連になりますし、ステーブン・キング原作の名作「ショーシャンクの空に」で圧倒的に知名度を上げて、「隣人は静かに笑う」では一転して不気味な隣人になり、「ヒューマン・ネイチャー」ではコメディに進出、「ミスティック・リバー」ではイーストウッド監督と組んで病める人間を演じてますし、「宇宙戦争」ではついにスピルバーグ監督作のも出演!こう考えると、ホントベテラン俳優の仲間入りですよね!今作も素晴らしい縄跳び演技を魅せてくれます。もちろん名作や大作にも花を添えられる俳優さんだと思いますけど、個人的にはインディーズ作品に、ちょっと前で言うとハーヴェイ・カイテルみたいな感じで出てきてほしい役者さんです。
また、全然知らなかったけど、オルガ・キュリレンコさん、美人です~凄い美人!あと美人というインパクトに負けない演技というか雰囲気と空気感があって気に入りました。フィルモグラフィーを見ると僅かに「パリ、ジュテーム」でイライジャ・ウッドと絡む吸血鬼で見てるみたいだけど、全然思い出せないし、この人今が1番綺麗な感じがする。野性味もあって、知性も感じさせて、それでいて自分がどう見えているかに無頓着な感じの演技が出来てて凄く気に入りました。
マクガフィン的なロープを探すロードムービー、非日常を日常にした人が気になる方にオススメ致します。

「犬が島」を見ました

2018年12月21日 (金) 08:56

ウェス・アンダーソン監督   20世紀フォックス

好きな監督、と言いたいけど、フィルモグラフィー上は監督作9作中僅か1作しか見ていないので、そんな資格が無いんですけれど、そんな監督のストップモーションアニメーション作品と聞いて、観なければ、と思いつつ、劇場に行けなかった作品なので、DVDで見ました。

2018年見逃し後追い作品その13

クレイアニメとはまた少し違った感じの作品です。とにかく、触ってもいないのに、手触りを想像するに優しい雰囲気、命の無い物体に、命を吹き込めるかのようなクレイアニメを含むストップモーション・アニメーションが私は好きです。その中でも、人間よりも動物を主役にされるとより偏愛傾向が強くなってしまいます。今回はそれが犬であり、しかも舞台が日本!という事で期待値はかなり上がってしまいましたが、その期待値に答えてくれる素晴らしい作品でした!

20年後の日本、メガ崎市。小林市長は犬による感染症の恐怖から、すべての犬を島に送り込む政策を推し進めています。しかし、同時に民主国家として反対意見の陳情を許し渡辺教授に、感染症には血清が出来上がりつつある事を述べさせます。しかし、その政策を手緩いと批判、強権的に自身の政策を強行するのです。一方、小林市長の養子である天涯孤独の身のアタリ少年12歳は、自分の犬スポッツを犬が島に送られた事に憤慨し、単身犬が島に潜入するのですが・・・というのが冒頭です。

もう素晴らしい作品です。日本への愛とか、動物への愛に溢れています。とても細やかな演出、微細な美術、日本文化への憧憬とも言える感覚、オブジェの美しさ、美術の素晴らしさ、すべてが満足出来るレベルにまで昇華されています。

もちろん、日本人からすると、『メガ崎市』というカタカナ+漢字という表記や、相撲や和太鼓の表現、等に違和感を覚える人もいるかも知れません。が、私は監督ウェス・アンダーソンにとっての日本文化とイマジネーションと、尊敬の念を混ぜた結果のファンタジーとしての日本を描いた傑作だと感じました。だって犬が英語で喋ってるんですよ、この1点に置いても、この映画のファンタジーに乗って楽しめば良いじゃないですか。しかも日本人キャストには日本語を喋らせていても、同時通訳的な演出をしているんです。素晴らしいアイディアだと思いますし、日本文化へのリスペクトを感じました。

犬を、愛犬を探す少年と、捨てられた犬5匹の旅の映画って聞くだけで、かなり心がウキウキするじゃないですか。途中に能のような演出があったり、和テイストな音楽が多用されていたり、日本文化に対する想いと、そこに遊び心あるファンタジーが相まみえた世界、ずっと見ていたくなるようで、私は凄く良い作品だと思います。

また、民主国家であるから反対意見を述べる場を作りながらも、その場には狂信的で暴力的で手段を問わない荒くれものを集めているかのような状況の中で行う所にも、なんだか昨今の日本の政治状況を揶揄するかのような描写で秀逸でした。あくまで、民主的な手続きを踏んだ、と言う事実だけを欲しているのがうっすら透けるのが、本当にリアル日本社会の象徴であるかのように感じます。

【ちょっと愚痴りますけど、本当に、マジで、独裁国家みたいですね、最近の国政。普通、議会を通す段階で不備、もしくは欠点がある場合、それを修正する事が議論を深めた結果なんじゃなかったでしたっけ?馬鹿にして取り合わない、議論を深めるどころかするつもりがないのであれば、国会そのものがいらなくなる独裁に繋がる恐れ、真剣に危惧するに値する段階だと思いますね。ねじれ国会ってそもそも議論のやりがいがある状態なんじゃないんですかね?玉虫色の決着、それが議論を深めた結果なんじゃないですかね?相手に敬意を払わない輩を議員に選んじゃダメでしょう、そういう小心者で度量の狭い人は議員という交渉事には向かない人ですよ・・・権力者に最もしちゃいけない人なんじゃないですかね、そもそも尊敬に値しないです、政府も与党も、野党も・・・愚痴り終了】

英語表記と日本語表記の入り混じった世界で、まるでブレードランナーの世界にも感じられますし、恐らく、ですけれど、小林市長の造形が三船敏郎に見えなくもないんですよね。そういう意味でもリスペクトに満ちた作品です。

また、よくあるギャグマンガでの争いの最中を描くのに、大きな煙があって、そこから手足や顔をリズミカルに出して動かす手法を、このストップモーション・アニメで描いている部分、すごく懐かしく、それでいて斬新な手法だと感じました!すっごく面白く心動かされます。

これは同監督の「ファンタスティック・Mr.FOX」を見なければ!と強く思いました。

で、それでも、な部分もあって、私はネコ原理主義派なので。これが犬じゃなく猫だったら完璧!何しろ猫も出てくるんですけれど、全然喋らない上に、とても薄っぺらな扱いを受けていて、大変残念です。

もう1点の不満ですけれど、ネタバレを避けての感想なので伏せますけど、〇〇虐待者を死刑では行き過ぎなので、25万円の罰金とボランティア、と法律を変えてしまっているのですが、これは大変問題のある修正で、間違いだと思います。個人的には行き過ぎではないと考えていますし、出来れば同じ目に合わせた上で、その後執行したいですね。

日本文化とファンタジーに興味のある方、ウェス・アンダーソン監督のファンタジーに興味のある方、獣愛好家の方、犬派の方、ストップモーション・アニメーションに興味のある方にオススメ致します。

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