井の頭歯科

4月2日 日曜日の 武蔵野市 桜まつり 

2017年3月31日 (金) 12:57

毎年恒例になっています、武蔵野市 市役所で行われる桜まつりに参加致します。

武蔵野市歯科医師会では、無料歯科健診を行っていますので、是非ご参加くださいませ!

ついでに最近見たDVDのお話しです。

「マイ・マザー」

グザヴィエ・ドラン 監督

噂の監督であるグザヴィエ・ドラン、初体験です。とはいえ、私には向かない題材と関係性を描いているので、個人的にはよほどのことが無い限りもう見ないと思います。

17歳の私(グザヴィエ・ドラン)は母親と二人暮らしで、喧嘩ばかりの毎日です。そんなある日・・・というのが冒頭です。

え~とてもエモーショナルに、非常に閉じた関係である母子関係を描いています。

そして監督自ら主演している事で、個人的にはとてもナルシスティックな方なんだろうと思いましたし、思った通りの展開でした。

どうも私は監督が自ら主演する作品と相性が悪いみたいです。

母親、という存在はそんなに崇高なモノでしょうか?父親だっていなければ子どもは生まれませんし、アプリオリに母親だけが尊重されるのは、どうもおかしいと思ってしまいます。

しかも出てくる登場人物が非常に怒りっぽく、すぐに感情を爆発させるので、正直辟易しました。

色使いは確かにハッとさせますが、それだけな気がします。また、閉じた関係を必要以上にエモーショナルに描いておいて、宣伝文句も非常に煽っておいて、ラストがこの程度か、と思うと宣伝に乗せられた、凄い監督という噂に乗せられた段階でこちらの問題ではありますが、周囲も持ち上げすぎだと思いました。

母親との関係を考えてみたい方、エモーショナルな映画が好きな方に(私は特にオススメしませんが)オススメ致します。

「岸辺の旅」を見ました

2017年3月17日 (金) 15:56

黒沢 清監督     シヨウゲート

凄い映画です、二つの感情を想起させながら、どちらも間違っていない、という稀有な体験をさせてくれる映画でした・・・予告編を見たのと、黒沢清監督なので手に取りましたが、凄い映画です。

3年間失踪していた夫(浅野忠信)が、突然帰宅して驚く妻のミズキ(深津絵里)。しかも夫は自分が死んだ事を告白し…というのが冒頭です。

予告編からは想像もできない、物凄い映画体験でした。黒沢清監督作品は「キュア」(の感想はこちら)の時も驚かされましたが、今回も驚愕です。

一体だれがこの原作を黒沢監督にオファーしたのか?が凄く気になってしまいました。もしくは黒沢監督自らが取り上げたのであれば、演出(編集やライティングや音楽のかけ方など)で私はこういう風にこの原作を読みました、と感じられる映画になっております。

もし、この映画を観られた方がいらっしゃるなら、感想を聞いてみたい作品です、私は、正直、とても怖い映画だと感じました。

小松政夫、柄本明、の演技が光るのですが、本当に少しだけの出演ですが、バレエダンサー首藤康之の恐ろしいまでの存在感が素晴らしかったです。もちろん主演の2人も素晴らしいです。また、ロケーションが本当に凄かったです、どう凄いか?と言われたら、まるで現代ではなかなか出会えない錆びれた世界に見えるからです。

映画の世界は本当に広い、と感じている方にオススメ致します。

アテンション・プリーズ!

ネタバレありの感想を文章にしてみたくなったので。でも本作を見ていない方、また、本作で感動した、泣けた、という方には不快に感じられてしまう文章が含まれています、ご了承下さい。もちろんこんな駄文を読む必要はありませんが。

2000年代くらいから増え始めた邦画の流れに、死者との交流を感動的に描く、というモチーフがあります。最も私はそういう作品は見ていないのですが、割合感動もの、泣ける映画として流行した時期があると思いますし、現在多いのがその流れから派生している、記憶障害を扱ったモチーフです。当たり前ですが、観ていない作品を俎上に上げるのはどうかと思いますが、予告編からして「泣ける」をクローズアップされるとどうしても冷めてしまう性質なので、観ていないわけですが、しかし映画館の予告編でいろいろ見ました。その予告編で、既に死者が出てきて交流している場面が多かったと記憶しています。

死者が話せたり、見えたり、動いたりしたら、それはホラーだと思います。私はとても怖いと思いました。しかし、流れる音楽が非常にエモーショナルなのにも関わらず、とても恐ろしい事が起こっているようにしか見えなかったのです。音楽は感動的な感情を呼び起こすような曲なのですが、目の前で起こっていることが恐ろしかったのです。

1幕目にあたる小松政夫とのシーンは、まだしも、2幕目以降のピアノのシーン、父親との邂逅は本当に怖い。

また、非常にステレオタイプな蒼井優は私にそれほどの存在感は感じませんでした、そういう役柄なんでしょうし。

しかしバレエダンサー首藤康之の存在感はちょっと別格だったと思います(彼の ボレロ モーリス・ベジャール振付 のような凄い存在感!)。同年代の父親と話をする、という事がこんなにも恐ろしいものかと感じました。

多分いろいろな感じ方があって良いと思います、受け手によってかなり違った受け取り方がされる映画だと思いますが。

にしても!な予告編だと、本当に思います・・・

カテゴリー: 映画 感想 | 1 Comment »

糖尿病専門医 西田 亙先生 のご講演

2017年3月8日 (水) 18:45

愛媛県でご開業されている糖尿病専門医の西田 亙先生のご講演を聞くことが出来ました。



糖尿病と歯科は実はかなり関連があるのですが、今回もとても驚くべき内容だったので、ここで少しまとめつつ、ご紹介したいと思います。少々順序を入れ替えたりもしています、あくまで私の勝手な解釈とお考えください。出来れば直接西田先生のご講演を聞いていただくのが最も良いと思いますが、残念ながらなかなかその機会は少ないので、少しでも拡散させていただけたら、と思いまとめてみました。


昨今はいわゆるフレイル(=虚弱 身体的にも、精神的にも、社会的にも、その繋がりが弱い事です)の問題が大きく取り上げられ、2025年や2035年問題(=団塊の世代が後期高齢者になる事による人口ピラミッドのアンバランスに付随する様々な問題の事)がクローズアップされています。


しかし、老人よりもさらに虚弱である子どもの問題の方が大きい!と西田先生は危惧されています。



糖尿病は他人事ではありません。


糖尿病は氷山の一角です。日本人は特に糖尿病に弱い民族です(この辺のお話しもとても面白いのですが、今回はざっくり、単純に膵臓にあるインスリンの生成が弱く、食生活の欧米化によってさらにそれが加速度的に悪化しやすくなった、とご理解下さい)。


糖尿病予備軍は厚生労働省は2000万人と推定していますが、これは間違っています。正しい疫学調査をしている久山町研究(私も不勉強で初めて知りましたが、大規模で長期的な疫学調査をされている、ちょっとびっくりするほどの精度の高い研究です。HP見ましたが、驚愕の実験です!)の結果を鑑みると、40歳以上の6割、およそ4000万人が糖尿病予備軍と考えられます。


他人事ではありませんよね?


某テレビ局でも報道されましたが「血糖スパイクが危ない」という番組が放送されました。簡単に要約すれば、血糖値の値はほぼ100位を示しているが、食事後に急激な上昇を示す血糖スパイクが危険である事を紹介しています。しかし、100平均の数値そのものが既に健康ではないと西田先生はおっしゃっています。


まず、この正常とされる治験者は誰か?と言えばそれは研修医です。20代の研修医が正常であるとは言い難い、と西田先生おっしゃっていますし、その根拠もあります。つまり血糖値が平均100くらいである事そのものが健康ではない、という事です。


確かに24時間モニターしていると正常な方にも波はありますし、その平均化したものを正常とする考え方もありますが、しかし本当の正常は食事をしてもHbA1cの値が上下しない、5%の方を言うのです。血糖一直線とお覚え下さい(笑)



他人事ではない、という事がご理解いただけますでしょうか?私も、おそらくこの95%に入っていると思います。


糖尿病の怖さはいわゆる逆さ仏です。



18世紀の仙厓和尚という方がおっしゃった言葉です。子が親より先に死ぬことを指しています。これが起こってしまうのが糖尿病の恐ろしさです。血糖値が高くても、ご本人の自覚を促すことが出来ず、甘いモノを摂取する事が出来てしまうからこそ、糖尿病予備軍を含めて4000万人まで蔓延してしまったのです。


メタボと糖尿病は、血管病なのです。だから恐ろしいのです。血糖値が少々高くても本人はなんともないまま、症状が進んでいくのです。


血管が悪くなると、心筋梗塞、脳梗塞、腎疾患によう透析、失明、壊疽、これが起こりやすくなるわけです。全身の血管が痛んでくるわけです。



西洋医学では病気と正常という分け方をしましたが、東洋医学では病気と正常の間に未病という考え方が存在します。この未病に相当する状態をアメリカ学会では前糖尿病と名付けています。



しかし日本には前糖尿病に該当する名前がありません。その代りになっているのがメタボです。西田先生はカタカナの外来語をあまり使用したくないとおっしゃっています(特に高齢者は理解できない事がおおいですし、ここは日本なんですし)が、いわゆるメタボを前糖尿病と呼ぶべきだとおっしゃっています。


特定健診でいう、メタボリック(男性で腹囲85cm、女性で90cmを超えている)、かつ空腹時の血糖値の平均値が100、という状況に値するのはHbA1cで言えば5.6です。


普通の診断基準で言えば糖尿病と診断する基準値はHbA1c126です。その数値と比べると非常に厳しい値だと思いますが、だからこそ重要なのです。


現実的に今、この値を満たしている子どもの数が急激に増大しています。


残念ながら、正常と言える割合は僅かに5%の方だけです。おそらくほとんどの方が、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシーと読みます)の数値で理解しているのですが、糖尿病学会でも、その根拠を示せていなかったと西田先生はおっしゃっています。

しかし、根拠はございます。


血糖値が100を超えると非常に糖尿病を発症しやすい。しかしもっと怖い事があります。100を超えると胃がんの罹患率が高まります、糖尿病患者の胃がん罹患率は2倍です。脳梗塞にも心筋梗塞にもなりやすくなるのです。



四国新聞の元旦の新聞の1面では『讃岐っ子は生活習慣病予備軍』という見出しが出ています。特定健診でHbA1c5.6以上の値を示す小学生の割合は15%であり、2012年からずっと増え続けているのです。しかも、子どもたちの肥満率はずっと下がっているのです。痩せているのにHbA1cが高まっているのです。

小学生4年生で、です。

もちろん高齢者のケアも重要でしょう、しかしもっと脆弱な子どもがこの値を示している、前糖尿病に値しているという事実は非常に重い現実だと私も思います。食生活が、生活リズムが崩れてしまっているのです。


習い事をしている子どもの3割が9時以降に帰宅しています。これは10年前のデータです、現在はさらにその状況は悪化していると思われます。帰宅する前に間食をしているのです。糖尿病患者にとって最も良くないことは夕食の時間が遅い、という事です(非常に心に突き刺さる言葉です、現在の私にとっても・・・)。子どもが中高年の大人のような生活を送っているのです。ヨーロッパであれば児童虐待に値するのです。


本気で考えなければいけないのです、プレミアム・フライデーなどを大人がやっている場合ではありません。


また、小学生が水洗式食事を行っているんです(水洗式食事とは、岡崎好秀先生の造語ですが、つまり噛むことが出来ない子どもの為に柔らかく飲み込みやすい食事形態の事です。岡﨑先生は今年の6月に行われる「よい歯の集い」でご講演頂きます!)。水分を多くしないと食べられないのです。口の機能、表情筋や口輪筋が鍛えられずに、機能が落ちているのです。



口唇閉鎖が出来ない、風船を膨らますことが出来ない子どもが増えているのです。


なにをやっているでしょう!資源が限られている社会で、亡くなられていく方と、未来の納税者のどちらを手厚く守るのか?とても重要な話しです。医療費が必ずかさんでしまうのです。


口の機能が下がる、風船が膨らませない、表情筋を口輪筋も弱る、だからこそ唾液の分泌が減少するので、味覚障害が起こりやすくなる、味覚障害が起こるからこそ、味付けの濃いものを好むようになる。これは糖尿病へのまっしぐらなスパイラルです。


運動不足で、夜型、単純糖質(精製しやすい)を詰め込み、口腔機能の未発達、だからこそ唾液分泌が減少、唾液分泌が減少する事で味覚障害が起こり、さらに味付けの濃いものを好むようになる、その事から歯肉炎が多くなり、炎症があるからこそ血糖値が上がり易くなるのです。


現在の日本では子どもを小さな消費者としか見ていないのです。



日本人の全員が反省しないといけません。


子どもたちの30年後、40年後を誰も考えていないのです。


そんな非常にネガティブな未来が予想されてしまいます。そんな心が折れそうになった時に西田先生が読む本があるそうです。


絶版になってしまいましたが「江戸の子育て」(中江 和恵著)という本です。



明治時代に来た外国人、旅行者であり「日本奥地紀行」の著者であるイザベラ・バードや、ドイツ人医師であるエルヴィン・フォン・ベルツらが、日本人の子育ては非常に素晴らしいと語っています。


本来日本人は子どもたちをいつくしんでいたはずなのに、この現状を変えるには歯科の存在が重要なのです。歯科外来がその部分を変えられるのではないか?と西田先生、糖尿病専門医の内科医の先生がおっしゃっています。


私も歯科の外来を行っている一人の歯科医として、少しでも未来が変えられるようにしたいと考えています。


もしこの文章の中に間違いがあれば、それは私の浅学が原因であり、西田先生の講演を聞いた私の誤った解釈です。

多くの方が西田先生のご講演を聞ける機会がある事を希望します。

市民向け公開講座 の お知らせ

2017年3月6日 (月) 16:18

今週木曜日に、武蔵野商工会議所4階のゼロワンホールにて、日本大学歯学部 摂食機能療法学講座 教授 植田 耕一郎先生によるご講演がございます。

武蔵野市歯会 H29市民講座チラシ

昨年もご講演いただいた植田先生です。非常にお話しが面白く、そして為になります。

認知症とは縁遠い方にとっては興味が湧きにくいかも知れませんが、大丈夫です、きっとあなたの役に立ちます。

情報や知識、あるいは知恵はあった方が良いですし、知る喜びというモノがございます。そういうスイッチを押して頂ける、我が事のように感じる講習会になりますので、是非多くの方にご参加いただけたら幸いです。

先週末にも神戸で講習会を受けてきましたが、とても刺激になりました。

その内容も感想含めて、次回にご報告させていただきます。

糖尿病専門医の西田 亙先生のご講演でしたが、本当に面白かったですし、衝撃的でした。西田 亙先生はその講演内容について「いいねではなく、拡散して欲しい!」とおっしゃっておいでですので、あくまで私の拙い文章で、ですがどなたかの、取っ掛かり、興味の一助になったら嬉しいです。

ですが、まず今週木曜日の14時に、武蔵野商工会館4階ゼロワンホールにお越しくださいませ!

今日本で観られる、ライアン・ゴズリング2作品

2017年3月3日 (金) 11:25

あまりやらないようにしているのですが、映画は1日1つと思っています。いろいろ反芻したいですし。

でも今ライアン・ゴズリングが主演している映画が2本スクリーンで観られるので、一気に観てしまいました。

1つ目は話題作の「ラ・ラ・ランド」!

デミアン・チャゼル監督    ギャガ

ものすごく混んでますし、いろいろアカデミー賞ノミネートも、受賞もしているようです、アカデミー賞にはあまり興味ないんですが。

ミア(エマ・ストーン)は女優を目指していますが、オーディションに落ち続けていますが、明るい女性です。一方、セブ(ライアン・ゴズリング)はジャズピアニスト。非常にこだわりある為に、店の要求に従う事に苦痛を覚え、どうにか制限なく表現出来るような自分の店を構えたい男性です。2人はなかなか思うようにいかない日々を過ごしているのですが、LAで偶然に出会い・・・というのが冒頭です。

ライアン・ゴズリングが結構なロマンティストなキャラクターで出演しています。ミュージカルな作品が好きな方なら、とても楽しめる作品に仕上がっていると思います。映像もとても綺麗で、主演の2人がとてもチャーミングです。また近づいていく恋愛の初期の相手しか見えない、という心情を見事に映像化しています。

音楽も、そしてダンスシーン、タップダンスシーン、そのどれもがエモーショナルです!

突然歌い始める、というリアルとは別の抒情的な表現をそのまま受け入れられる方であれば、間違いなく傑作だと思います。

ただ、ライアン・ゴズリングが出演しているので、どうしても他の出演作を思い出してしまいます。特に恋愛初期の甘い瞬間を描いているので「ブルー・バレンタイン」(の感想はこちら)の表現の方が個人的にはしっくり来ました。

映画の最期の展開、なるほど確かに前作「セッション」を思い出させるような、そして、ある種の男性側の夢を見させてくれます。それは心地よいとも思いますが、個人的にはどうしても映画に没入出来なかった為に、かえって冷静になってしまいました。きっと恋愛的瞬間は冷静でいられなくなるからこそ、の醍醐味があるので、その辺が私にはもう一つ乗れなかったです。

表現的にも、何処かで観た、古典的なミュージカルシーン(とは言え私はミュージカル映画は全然見ていないんですが、そういう有名なシーン、雨に唄えばなどを見ているので)が突然挿入されるので、なんか古臭く感じてしまった部分もあるかもです。もう少し咀嚼したり、観返したりすれば評価は変わるかもです。

オープニングに少しだけ聞こえる「1812年」がかかった瞬間、とても気分が上がりました。そして夜景のタップダンスシーンは良かったです。オープニングの掴みもかなり凄いと思います。でもそれが繋がっていかないんですよね・・・

ミュージカル作品が好きな方に(そうか、ミュージカルって心情を表すのに向いた娯楽性の高い演出に向いているのかも!)オススメ致します。

で、もう1つ今観られるライアン・ゴズリング作品も観ました。

「ナイスガイズ!」

シェーン・ブラック監督          ワーナー・ブラザーズ

1977年のアメリカのLA。揉め事を、しかも腕力で解決するヒ―リー(ラッセル・クロウ)。ひょんな事からシングルファーザーの私立探偵であるマーチ(ライアン・ゴズリング)と知り合います。そんな中とある少女の失踪事件があり・・・というのが冒頭です。

クライムサスペンス作であり、しかもコメディ映画でもあります。1番有名なものといえばコーエン兄弟の「ファーゴ」を思い浮かべて頂けるとなんとなく伝わるかと思います。勝手に連想する最も似ている作品はあまり有名ではありませんがトマス・ピンチョン原作の映画化、ポール・トーマス・アンダーソン監督「インヒアレント・ヴァイス」ですね。

こちらの作品は本当に面白かったです。普段見慣れている作品に、好みの作品に近いからだけだと思いますけど、個人的に大好きな映画「ビッグ・リボウスキ」(の感想はこちら)に似た雰囲気があり、とても良かったです。

ラッセル・クロウは少し前の出演作である「レ・ミゼラブル」(の映画の感想はこちら)でジャベール警視を演じていたのですが、個人的にこのキャラクターに合っていないとも思いましたし、決して歌が下手ではないけれど、その他の出演者がみんなレベルが高かった為に少々残念に聞こえてきてしまった感じが否めなかったです。

しかも今作ではさらに太ってしまって(でも私も最近非常に太ってきたので、人の事なんか言えないんですが・・・)いたのであまり期待していなかったんですが、非常にプロフェッショナルな、魅力的なキャラクターでラッセル・クロウにとってもあっていると思いました。

1977年当時も、世の中の乱れ、モラルの低下に憂いている人は多かったと思います。だからこそ、その淵でなんとか留めよう、未成年者にウソをつく事になったとしても、世界の美しさを伝えよう、という気概い溢れる部分と、リアルに対処する際のプロフェッショナルな冷徹な判断とのギャップが、とても魅力的に感じました。

またライアン・ゴズリングの茶目っ気が楽しめる作品でして、とてもコミカルなキャラクターです。しかも顔芸まで見せてくれます!裏声も披露してくれますし、最高です。

シングル・ファーザーであるという設定もダメオヤジという部分を擽りますし、私立探偵といえば聞こえは良いですが、昼間っから酒を飲んでいるのが楽しい、という部分でやはりダメな感じがして良いです。まぁフィリップ・マーロウからずっと、男性にとっての、いわゆるハードボイルドというのは、女性にとってのハーレクインロマンスと同義だと思いますので、だからこそ私も同じ男性として都合良く乗れたんだと思います。

もちろんダメな部分もあります。たとえば映画の黒幕にはちょっとビックリさせる為だけなんではないか?とも思いましたし、とある産業に対するアイロニー(観ている2017年の観客にだけ分かる)も分かりますけれど、多分この映画はそういう示唆はいらない、単純なコメディー映画なんではないか?とも思いました。もちろん些細な気になった点ですし、作品として大好きになりました。

コーエン監督作品が好きな方にオススメ致します。

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