井の頭歯科

「市民ケーン」を観ました

2024年5月31日 (金) 08:53

オーソン・ウェルズ監督     RKO     U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は12/49
名作と呼ばれていますし、いつかは見ないと、と思いつつ、私はどうしても、主演が監督、という形があまり好きではない監督が多いので、避けてしまっていました・・・監督が主演をする人で好ましいと思えるのって、チャールズ・チャップリンくらいしか見当たらないです、総じて居心地悪い感覚になります。
で、恐らく、当時としては新しい技術に満ちた作品だったんだろうとも思いますし、テーマ的にも凄くTHE・U・S・Aな映画なんですけれど、当たり前ですが、今観るととても古臭い、と感じました。古臭くなる映画がダメだとも思わないですし、古びない作品が最高とも思いません。ただ単に2024年の今私が観た感想がつまらない、というだけです。
でもそれくらい見た事ある展開とか流れとか構図は感じられたので、影響は大きかったんだと思います。それでも、もっと名作と呼ばれる何かがあるのでは?と思ってしまいました、とにかく、あまり面白味を感じなかった・・・
こういう人(ケーン)を必要以上に祭り上げるのも、蛇蝎のごとく嫌うのも何か違う印象があります・・・この人、自分の能力で何かを得ている部分少ない上に、自尊心の肥大がまぁお金持ちはみんなそういう傾向にあるのだと思いますが、ヒドイです。あまり褒められた人物じゃない上に、自己中心的過ぎる感覚があります。
そしてモデルがいるらしいのですが、だとしてもわざわざ映画にするような事なのか?そしてもったいぶった薔薇のつぼみについても、なんかどうでもいいと感じてしまいました・・・
うん、面白くないです、凄く。
なのでアメリカ人の人にややオススメするくらい、ですね・・・

「マリウポリの20日間/実録マリウポリの20日間」を観ました

2024年5月28日 (火) 09:13
https://www.youtube.com/watch?v=4p2FI89hHP0
ムスチスラフ・チェルノフ監督     SYNCA     吉祥寺アップリンク
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は12/47
まさかロシアがこれほど強硬な手段に訴えるとは誰も予想していなかったのではないか?と思っていた2022年2月24日から20日間、マリウポリに残ったAP通信の記者及び戦場カメラマンが捉えた映像に、モノローグと音楽を入れたドキュメンタリー作品です。
平和な日本に暮らしていると、当然非常にショッキングな映像が含まれています。けれど、今までネットで観てきた画像の前後が見れた、という感想です。
そして、恐らく、この記者が立ち去った後、もしくはその最中も、もっとすさまじく、惨たらしい惨状が、残念ながら今でも、続いているのでしょう・・・
世界は複雑になり、それでも前進していると思いたいのですが、それと同時に人間の愚かさや、ホモサピエンスの特性でもある動物性からは逃れられないのだと思います・・・非常に悲しい事だと思います。
もっと前、ロシアがクリミア半島を占領した時に、もっと国際社会が意識していれば、もう少し違ったのかも知れませんが、このロシアのウクライナへの侵攻から、暴力の統制へのゆるみ、圧倒的な暴力の暴力性の肯定が認められたかのように、ガザの虐殺のような惨状をレンサのように感じます。
あと100年経ったとして、この時のきっかけで、世界が変わった、となりかねない事態を今も見続けているのだと思うと、凄く、不安です。
今、私に何か出来る事をしないと、という気持ちにはなります。
あまりオススメ出来る人を想定出来ないのですが、それでも2022年以降にも生きている世界の人に、オススメします。

「シン・ゴジラ・オルソ」を観ました

2024年5月24日 (金) 09:37

庵野秀明監督     東宝     Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は11/46
恐らく、ほぼ同じ映像のモノクロ化作品。でも、これはやはりカラー作品として撮られているので、黒の質感についても、あまり良いとは思えず、残念ながら、モノクロにするだけの絵では無い気がしました。もっと極立たせる事も出来ると思ったのですが、観難い部分もあり、残念ながらカラーの方が良かった。
ただ、ストーリィや登場人物はやはり面白く、何回目か?ワカラナイけれど大変楽しめました。
虚構と現実の争いってやはり面白いですし、これがSFの持つIFとか、思考実験の面白さだと思います。
矢口蘭堂カッコイイ。
ゴジラ関連作品の中で2番目に好きです。
1番は最初のゴジラですね、当時を考えると相当に凄い事です。
そして、それを現代にリブートした庵野監督も凄い。だから2番目。

「ナオトひとりっきり」を観ました

2024年5月21日 (火) 09:06

 

中村真夕監督     Omphalos Pictures     Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は11/45
2024年の5月に私は知った(NHKスペシャル)のですが、2011年の東日本大震災の後、帰宅困難地域(という名称は本当に他人事で仕方のない事なんでしょうけれど、凄い矛盾を感じますね・・・ 単に放射線の強い地域でも良いのでは?)に残って、ペットなどの人間に飼育されていた動物の世話の為に残ったナオトさんに密着したドキュメンタリーです。
先に、どうかと思う部分もあった事を。
東京の水には毒、までは含まれていないという感覚があります。
放射能汚染の実験は流石に陰謀論的な感覚があります。
それと決してナオトさんはスマートな方では無いので、感情論に見える部分もある。
確かに行き過ぎな部分、ヒロイックに感じて反撥する人もいる作品だと思う。
ただ、恐らくなんですけれど、つまりドキュメンタリー作品なんで、全部が真実ではなく、監督の意向に沿った 素材 を使ってのあくまで作品。どうせ撮るならフレデリック・ワイズマンに撮ってもらいたかったくらい。
そして、この作品の中では経緯が語られないのですが、フランスに呼ばれたり、霞が関に抗議の行動を起こしているように見えるけれど、ナオトさんが意見を出して率先してやっているか、微妙。あくまで頼まれたから出て行った、という感じに、私には観れた。
霞が関へのパフォーマンスだって、あまりに無視され続けたら、乱暴な行為を働く輩は出てくるでしょう。だって管理するのが責任なんだから。管理出来ていない事になるし、観ないで済む東京の官僚に、見せたくなる気持ちも分かる、あまり上手いやり方だとは思わないけれど。それに、当事者としてマイクの前に立たされた人の気持ちも察するし、恐らくこの人に何かを決める権限すらない。黙って下を向くよりほかは無いし、そういう文化で、そういう社会がうちの国の特徴とも言える。
また、確かに天災な部分もあるが、人災である部分もあると私は考えるし、万が一人災が無かったとしても誰にも責任がない、という事にはならないし、自然災害が起こる事を想定して計画を実行した人間には罪が存在すると、私は考えます。
また、アンダーコントロールにある、とうちの国の代表が発言する事にも、強い違和感を覚えます、もしアンダーコントロールなのであれば、帰宅困難な人も、仮説住宅に住む人は自分の意志で済んでいる事になるし、廃炉のロードマップに現在は未知の技術が記されている事も無いだろう。また、様々に付随する他国の海産物輸入の規制も無くなっているであろうし、補償問題にも決着がついて、今まで通り生活していた分の費用くらいは保障されるべきです、生活が破壊されたのであるから。
私の知る限り、今の所、この災害の責任をある程度でも負った人間が居た事を聞いたことが無いです。
そして人間の都合で、置いていかれた動物を世話する、という点に尊さを覚えたという事です。
今まで、全く存在すら知らなかったにで、どんな意図で作られたにせよ、記録として監督にも感謝です。
同時に、この事を思い出しました。
永井荷風は断腸亭日常の1945年9月28日の日記にこう記しています。
『余は別に世のいはゆる愛国者といふ者にもあらず、また英米崇拝者にもあらず。惟虐げられる者を見て悲しむものなり。強者を抑へ弱者を救けたき心を禁ずること能ざるものたるに過ぎざるのみ。』

「悪は存在しない」を観ました

2024年5月17日 (金) 09:16

 

 

濱口竜介監督     Incline     ル・シネマ渋谷宮下
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は11/44
前作「偶然と想像」がなかなかの衝撃作だったので。
森の中を真上を向いている視点で木々を下から眺める映像が流れる中、非常にドラマティックな音楽が流れていて・・・というのが冒頭です。
これは、何も知らないで劇場で楽しむタイプの映画。そして、非常にヨーロピアンな感覚を楽しめる人向き。もっと言うと能動的に楽しめる人向き。
GW最終日に朝一の回を渋谷で鑑賞しましたが、前夜にネットで空席だらけだったので、余裕かまして10時過ぎに着いたら、長蛇の列・・・つまり、普段ネットで席を予約し慣れていない映画ファンが大挙してくるような作品。例えば日比谷シャンテでかかりそうな作品と言えば分かっていただけると思います。
でも、凄く直球な作品とも言えます。
私はタイトルの意味は自然の事だと理解しました。
ラストについて、誰かと語り合いたい作品。
本当は「GIFT」と呼ばれる対になる作品を観ないとちょっと簡単に何も言えなくなるのではないか?とも感じましたけれど、非常に心に残る作品。
まず役者さん、それも主演者の巧役は実のところ役者さんではない、というのが衝撃でした・・・でも、とても、とても何かを抱えている感じが出ていますし、まさに自然の中の生活者に見えるのです。でも、何かしらの問題も抱えている感じ。それも決定的な何か・・・
都会から来る2人組も不思議で、実在感、まさにこれは会話劇における濱口監督の得意技ですけれど、凄く現実との地続き感があります。これは既にメソッド化されてて、こういう部分はとても演劇的と言えるかもしれませんけれど、上手いです。
もう1つの主役は、間違いなく音楽。劇伴の石橋英子さんの素晴らしさでしょう。物凄く雄大に感じます。現代音楽に詳しくないので分からないのですが、「ドライブマイカー」の時に組まれた方で、この映画は石橋さんのミュージックビデオの製作がきっかけとなって生まれている作品なので、音楽ありき、は当然なのかも知れません。
是枝監督とはまた違った、巨匠になりつつある人を見続ける面白さに興味がある方にオススメ致します。
予告編でも観れますけれど、あの湖のあるポイントだけ丸く氷が張らない事の不思議さとか美しさとかをロケーションで探してくるのとか、本当に凄いと思います。大変美しい。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想です。未見の方ご遠慮くださいませ。
なんでも忘れてしまう開拓移民三世で何でも屋の主人公・巧とその娘・花。は自然の中で生活する人間で、大変狭い村に住んでいますし、うどん屋を営む夫婦も都会からの移住者で、そんな村に芸能事務所がコロナ禍の政府からの助成金を目当てにキャンピング場を作ろうと説明会を開いて、その説明に来た東京の芸能事務所の人間で立場が上で男性の高橋と立場は下で女性の黛。その2人が事務所と村人代表のような巧との関係を築きつつ、花が行方不明になる話し。と要約しようと思えば出来るのですが、それだとこの映画の何も観てない感覚に陥ります。
これは様々な立場の人間が自然の中で、悪意はないけれど、生活する上で起こる出来事を描いた作品だと思いました。
人の存在は、善にも悪にもなれるのでしょうけれど、都会に近づけばより悪意を感じやすいです。ですが、それでも生活しなければならないし、生きて行かないと。でもだからと言って、補助金をあてにするのは本当にどうかと思うし、もっと言えば政府が仕事していないのと同じで、助けられてない・・・でも、人間は生きるためにお金が必要で、組織である以上は、上の命令に完全に逆らう事は難しいわけです。人間の側にも(私も人間なので)様々ですが、それなりの理屈があり、それを悪と簡単には言えないし、とてもグラデーションがある。
(とは言え、あのコンサルタントは完全な悪の存在に見えますね)
でも自然には、理屈も無ければ悪も存在しない。
悪とか善とかは人間の理屈であって、自然はそのままで、それだけ。
だから、巧の最期の行動はビックリはするけど、自然との対比では悪になる。少なくとも善ではない。
で、現実の出来事なのか?なんなのか?はそれぞれの解釈だと思いますけれど、個人的には、現実だと感じました。巧から見た高橋の軽さのようなモノ、その時その時の判断で揺れ動き軸の無い存在だからこそ、巧からすると信用置けないからなのではないか?と思いました。それに、おそらく似たような形で奥さんを亡くされた、それも自然災害系だと感じました。だから生贄みたいな感覚が起こったんじゃないかな、と思いました。だいぶ飛躍しますけれど、それくらい自由な解釈も許される自由度があると思います。
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