井の頭歯科

「E=MC2 世界一有名な方程式の『伝記』」を読みました

2011年11月29日 (火) 08:39

デイヴィッド・ボダニス著   伊藤 文英・高橋 知子・吉田 三知世訳     早川書房

患者さんからお借りしていた本なんですが、とても面白かったのに読み終わるのに時間がかかってしまいました、何故なら仕事の合間だけで読み続けた本だったので(笑)科学伝記モノで、しかも面白おかしく、そして時にスリリングに『方程式』の成り立ちとその歴史を学ぶことが出来ます。基本的には学ぼうというわけではなく、知る楽しみを刺激する本であり、ぐいぐいと引き込まれましたが、なにぶん、仕事場での合間合間に読み続けたので、少し時間がかかってしまいました。

私は読書する場合は、いくつかの本を平行して読んでいることが比較的多いです。例えば、通勤用、仕事場の合間用、トイレ用、読み詰まった時に気分転換出来る(短編)用、などですが、もちろん波に乗ってしまって続きが気になって仕方が無い場合などは集中して持ち歩きながらでも読んでしまいますが、いくつかの本を読むのが贅沢な気がします。なので、エッセイや短編、今回のような科学モノや純文学小説など、ジャンルも違うものだと、よりしっくりいろいろな用途に分けて読みやすいシュチエーションがあるような気がします。

世界で最も知られている『方程式』であるE=MC2は一体どういう意味であり、何故こんなにも有名になったのか、そこに科学に疎い一般の人々にとっても関係深く感じさせられるものが潜んでいるのか?をとてもスマートに語ってくれる本です。いつもながらオススメ頂いた患者さんに感謝です。

科学者アインシュタインがこの『方程式』を生み出した経緯、また構成されているエネルギー(=E)、質量(=M)、光速(=C)そして2乗について、分かり易く、しかもその意味するところとその歴史的経緯を踏まえながら解説されるので、面白く読めます。

この『方程式』がどういう意味があるのか?は全く知らないけれど、この『方程式』は知っている状態で読みましたが、だからこそいかに凄い『事実』なのか?を衝撃を持って読めましたし、この『方程式』に関わった様々な人々の物語を俯瞰することも出来ます。しかも語り口がソフトで眼差しが暖かいのです。

もちろん、この『方程式』から原子力関連のすべてがはじまるわけですから、悲劇を含んだ物語でもあります。なので、今こそ知っておくべき知識かもしれません。そして科学史モノとしても楽しめます。

質量は光速を2乗したエネルギーを持つ、ということに気がつけるとはどういうことか?非常に興味深かったです。

また、この『方程式』から始まった核兵器開発と第2次世界大戦に於ける開発競争、そして関わった人々の葛藤や評価も鋭いものがあり、中でも重水素関連の手に汗握るサスペンス、そして『命令』の重みを感じることで作戦を躊躇してしまう人間ドラマを丁寧に描いています。

関わった人々の後日譚まであって、なんだか「ガープの世界」ジョン・アービング著みたいでした。

原子力に興味のある方に、漫画『栄光無き天才たち』のような科学史ドラマに興味がある方にオススメ致します。

「もぎりよ今夜もありがとう」を読みました

2011年11月25日 (金) 09:03

片桐 はいり著         キネマ旬報社

俳優さんの片桐さん、私が見たことあるのは「かもめ食堂」だけですが、なかなか面白い演技だったと思います。個性的な役者さんとして認識しておりましたが、文章が面白くて楽しく読めました。映画への、映画館への愛を感じさせます。

片桐さんの雑誌「キネマ旬報」での連載をまとめたものですが、その章ごとのタイトルも映画にちなんだものになっていますし、あの!シネスイッチ銀座のもぎり(正確には「シネスイッチ銀座」の前の「銀座文化」です)として働いていた、という事実にびっくりしました。そして溢れんばかりの映画にまつわる話しを、ギュギュッと濃縮した数ページでのエッセイ、非常に読みやすく、気分転換になります。

私が好きなのは、映画館におけるもぎりの話し「Wの喜劇」、映画館の静寂「愛と劇場の日々」、入替制と飲食と映画館の関係の「モ・バター・ブルース」、見てみたい成瀬巳喜男作品と眠気の「眠れる」、ロッキー・ホラー・ショーの「ディープ・ブーム・ナイト」、酒田の映画館グリーン・ハウスの「天国の口、緑の楽園。」、すごいコミュニティの「フカヤ・シネマ・ソシアル・クラブ」、そして1日もぎる話し「アカルイキンミライ」です。

その他どの話しも非常に読ませるもので、映画館に行きたくなります!

そして今、ちょうど大好きなジョージ・ハリスンの映画がやっていますので、近いうちに観にいきますComing soon!!

「イル・ポスティーノ」を見ました

2011年11月22日 (火) 13:50

マイケル・ラドフォード監督        ブエナ・ビスタ

あるイタリアの寂れた町で暮らす男マリオは父親の漁師の後を継がずにブラブラしていましたが、ふと目にした郵便局員のアルバイトを始めます。自転車さえ持っていれば構わない、という郵便局での仕事は、有名なチリの詩人であり、今は亡命してこのイタリアに住むパブロ・ネルーダに手紙を届けることでした。次第にパブロと親しくなっていくマリオが恋をして・・・というのが冒頭です。

偉大な詩人、パブロ・ネルーダを演じているのが、「ニューシネマ・パラダイス」のアルフレード、フィリップ・ノワレです。もちろん素晴らしいのですが、もっと光るのが主人公であるマリオを演じているマッシモ・トロイージで、枯れた中にも、叶わぬ願いにも、願わずにはいられないロマンチストを感じさせる演技で素晴らしいと思いました。ので、少し調べてみたら、なんとこの映画を撮り終わった直後に心臓病でお亡くなりになられていたようです。残念。

イタリアの田舎の漁村の風景と、『詩』という普段触れることの少ない、そぎ落としたギリギリの言葉を用いる文章とが絶妙に合っていると思います。マドンナ的存在のベアトリーチェの美しさも特筆に価すると思います。

イタリアの風景や詩が好きな方にオススメ致します。

「地雷を踏む勇気」を読みました

2011年11月19日 (土) 09:24

ちょっと体調を崩してしまい更新遅れました、すみません。もう少しで体調も戻りそうです。みなさまも気温の変化が激しいですからご注意くださいませ。

小田嶋 隆著          技術評論社

凄いタイトルの本だなぁ、と思ってみたら、小田嶋さんで深く納得してしまったのでリブロ吉祥寺店(お気に入りの本屋さんです)で購入しました。

以前にも読んだことがある小田嶋さん、非常に言葉、感覚に鋭く、またとても男気溢れる書き手だと思ってます。系統として言わせていただくのであれば、恐らく近いと私が感じるのは、ナンシー関であり、中村 うさぎさんであり、金井 美恵子さんのエッセイだと感じます。鋭く、突然目が見開かされるような思考回路の持ち主ですし、肝も据わっていて、その上まっとうな感覚の持ち主だと思います。決して『毒舌』とか『辛口エッセイ』とかではなく(恐らくそういうくくり方をされているのでしょうけれど)、扱くまっとうでストレートな意見だと私は感じます、欺瞞を見抜く目を持ち、違和感を言葉で流通させられる技術を持つ書き手だと思います。

日経ビジネスオンラインに連載されているコラムをまとめたものなのですが、最近読んだ本の中ではまさに『痛快無比』と例えたくなるようなシロモノでした。また媒体が日経ビジネスオンライン、というのもなんだか笑えると思います。この方はちゃんとブランド物をとの「関係」を語れる方ですし、経済感覚で言うと日経関連で連載して良いのか?という部分がちゃんと笑えます。ブランド物とフェイク物の関係と、経済の話しをここまで明確な文章にしたもの(なんとなく感じる違和感や胡散臭さを正確に言葉で表した)はなかなかお目にかかれませんから。

なので気になった方は是非「草食系をめぐる冒険」だけでも立ち読みしていただけると、この方の切れ味が分かっていただけると思います。ブランドという記号の先、草食系という言葉の裏に潜む腐肉系、そして『結婚』という形態の形骸化というか代用可能性の飛躍化。なかなか納得させられます。

東日本大震災に関連した話題も非常に多いのですが、そのどのコラムも読みがいのある素晴らしいものばかりですし、この非常時における清涼剤であるところの〈笑い〉というユーモアに知性を感じさせつつ考えさせられる、という稀有な技術を惜しげもなく展開してくれます。

著者もまえがきで述べていますが、この本はとにかくいろいろな方に読んでみてもらいたいです。

ナンシー関が懐かしい方に、日本語が読める方にオススメ致します。

むさしの青空市・無料歯科健診に参加して来ました!

2011年11月15日 (火) 09:00

武蔵野市で行われている青空市とても盛況な市でして、姉妹都市の遠野からもバスが来て特産品の販売をしていました。

遠野のバスには水木しげるさんの絵があっていいですね。

そんな青空市は武蔵野市役所の前で行われているのですが、その市役所の1階を間借りしての歯科健診に参加して来ました。

今回は200人を越える方々が健診に参加して頂きました。何よりも、ご自分のお口の状態を知ることからはじまると思います。是非、問題がある方は歯科に健診の結果を持参して頂きたいです。きっとお役に立ちます。

私は初参加で緊張もしましたが、楽しく参加できました。健診させていただいた方々のちょっとしたお役にたてたなら幸いです。

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