井の頭歯科

「ポゼッション 40周年リマスター版」を観ました

2020年1月31日 (金) 08:40

アンジェイ・ズラウスキー監督     スティングレイ

吉祥寺アップリンクに、イザベル・アジャーニが!?という だけ で特に予備知識も無く観てきました。40周年HDリマスター版です。

もちろん初見の監督アンジェイ・ズラウスキー・・・・なんなんでしょう、この感覚は。

単身赴任から帰ってきたマルク(サム・ニール)は、妻アンナ(イザベル・アジャーニ)といきなり口論になります、不穏感満載の冒頭です・・・

う〜む、と唸りたくなる作品、めちゃくちゃ評価が分かれそうです。とは言え、良い部分もたくさんあるし、古臭い部分も、冗長な部分もあるし、判断に迷う作品だと思いますが、ある種の層には狂おしいほどに好まれる作品だと思います。

まず、なんと言っても、イザベル・アジャーニが可愛く、美しく、妖艶で、狂気に満ちています。良くこの脚本で引き受けたな、という印象です。とある地下鉄の回廊での1人演技は、超絶恐ろしいです。狂気が乗り移ってる、というよりも、狂気に乗り移られてる、乗っ取られてるというような感覚があります。また、1人2役なんですけど、2役目は大変に可愛いく理想化されていて、その演じ分けだけでなく、演出も素晴らしいです。画面支配力といいますか、観客の目を惹くチカラに長けている感じです。可愛いだけじゃない、何か、が確かにあります。個性的な役者さんなり、役者さんだけでなく、どんな表現者にも共通する、99%の努力と1%の悪魔との取引が出来る人、そんな感じの何者にも代え難い存在。また、この時だけの、若者の持つ輝きに満ちていて、素晴らしいです。

もちろんもう1人の主役、サム・ニールも頑張ってますし、身体張ってます。

また、大変衣装が、重要な演出されていて、そこも私は良かったです。

さて、脚本なんですが。これ、いや、この作品は、どんなジャンルに分けられるのか?ジャンル分けなんてない、イイ映画と悪い映画があるだけだ、という主張が聞こえてきそうな作品です。もちろんサスペンス、スリラー、ホラー、どれでも良い感じで、そのどれでも無い感じです。

ただ、どっちつかずになってしまっている印象持ちます。もっと悪魔要素に振り切っても良かったんじゃないかな?と思いました。ただ、だとすると、もう少し最初の方で宗教色を出しておきたかったですね。

また、この40周年HDリマスター版は、もしかして、基の版と変えているんじゃないか?と思います。ファイナルカット的な。どうしても、手数が多い気がするんです。あれもこれも、せっかく撮ったんだから、使いたいな、入れたいな、ファンは喜んでくれるんじゃないかな、的な判断で作られているような。

正直、面白くなる作品だと思うし、役者も音楽も衣装も良いんです。私の好みと感じる部分たくさんあります。

はっきり、編集に問題がある、気がします、私は。もっとソリッドに、タイトにしたら、名作になってたんじゃないのかな?と思う次第です。もちろん、この雑多な感じが、 アンジェイ・ズラウスキー監督の良さなんじゃないか!というお叱りはあるかも、ですが。何分不勉強なモノで。

不安感の煽り、狂気のほとばしり、悪魔の実在感、どれも良かったと思います。

ミッキー・ローク主演、アラン・パーカー監督『エンゼル・ハート』が好きな方(なんかコレだけでネタバレ感ありますが)、ロマン・ポランスキー監督、カトリーヌ・ドヌーヴ主演『反撥』をもっとデモニッシュしたものに興味がある方に、オススメ致します。

あ、いつも思うけど『反撥』の邦題は『嫌悪』の方が面白いと思うんだけど。

「アースクエイクバード」を観ました

2020年1月28日 (火) 09:19

ウォッシュ・ウェストモアランド監督       Netflix

タイトルに惹かれてみたら、日本が舞台ですし、80年代ですし、ライリー・キーオが出演してますし、最高でしたが、それより、主役のアリシア・ヴィキャンデルさんが、ピカイチに良かったです。

80年代東京。ルーシー(アリシア・ヴィキャンデル)は日本滞在が長く、流暢な日本語が話せます。翻訳の仕事をしているのですが、ふとしたきっかけで(とても良い演出でした)カメラを趣味とするテイジと出会って・・・というのが冒頭です。

80年代の日本描写は、なんか変だけど、まあ悪くは無いです。多分これは原作がちゃんとしてるんだと思います。電車の色とか、いろいろ違うんですけれど、そういう事じゃなくて、中身は頑張っていると思います。

年代は違うんですが、なんとなく、日本が事件現場で海外の女性失踪事件だと、ルーシー・ブラックマン事件を思い起こさせます。主人公の名前がルーシーだし、被害者の映像が大変派手な感じだったんですが、そこはライリー・キーオっぽい感じがしますし。

で、日本リスペクト(映画「パラサイト」で使われるリスペクト!ではなく!!)が大変感じられます。そこは凄く良かったです。ヘンテコな日本描写が無かったのが。

で、ライリー・キーオの頑張りも素晴らしいですし、相手役のテイジさんの魅力は、英語力も、本物です。カメラも凄く良くて、映像がシャープ!ロケ地の選択も頑張って見つけてきたテイジの部屋が素晴らしい。何処にあったんだ、あの部屋。なんか、黒沢清監督の『キュア』のあの部屋を思い出しましたよ・・・

が、なんと言っても、主役のアリシア・ヴィキャンデルさんが、素晴らしい!!たどたどしい日本語が、可愛い!!演技も素晴らしく、美しい。

予告もなかなかいいです!

とにかく、可愛いかった。

そんなアリシア・ヴィキャン出る酸の魅力が気になる方に、オススメ致します。

ええ、全然感想じゃなくなってしまいましたね・・・

「母性社会日本の病理」を読みました

2020年1月24日 (金) 09:41
河合隼雄著    講談社+α文庫
師匠のオススメ本だったので。ちょっとした会話の中で、前々から思っている、ナンシー関が言う所の日本は何処を切ってもヤンキーとファンシーという名言がありますが、私に言わせると、日本男性はだいたいにおいてマザーコンプレックスとロリータコンプレックスしかいないと思っています。で、マザーコンプレックスというのは、基本的になるものではなく、作られていると思っているわけです。ロリータコンプレックスも犯罪ですけれど(ペドフィリア含む)、だいたいにおいて『若い』事に価値を置いているのはロリータコンプレックスでもあると思います。もちろん、若さ、というかけがえのない時間に美が宿る事もある訳ですが。なにしろ古代ギリシャくらいからずっと、男女ともに若くて美しいものに対して、文章やら彫刻やらで賛美してきた歴史もありますし。それこそ文化として刷り込まれているとも言えます。が、その度合いが、海外と比べても、強いように感じている、という事です。儒教的な考え方も、その考えを後押ししているとも思います。
そんな話の中で出てきた師匠のオススメですし、河合隼男さんをちゃんと読んだ事が無かったので手に取りました。
基本情報としては、ユング派の臨床心理学者、箱庭療法を行った人、くらいしか知りませんでした。
まず、母性社会である事の理由は宗教的な事と思って良いと思います。古事記から続く神話民話昔話含む伝承的な話しから、日本がいかに母性社会であるかを説き、第二次大戦以降にプロテスタント的、アメリカ文化の波を受けた事から、母性社会を基盤とした上での権利施行者としての家父長制である、という考え方です。これは非常に膝を打つ、納得できる考えだと感じました。
さらに卓見だったのが、場の倫理という考えです。
河合さんの言及されていますけれど、これはイザヤ・ベンダサンというか山本七平著「空気の研究」の事だと思います。まさに山本七平の言う水を差す議論です。その後には文芸評論家の斎藤美奈子さんの「それってどうなの主義」くらいしか私は知りませんけれど、もう少し研究が進んでいい考え方だと思いますけれど。あ、あとはたしか劇作家の鴻上尚史さんも「空気と世間」を書いていましたね。
母性社会では、個の倫理という考え方は無く、あくまで場の倫理において、日本社会は回っている。その為に、どんな立場の人も、被害者であり、責任を負わない、いや、負えない、とおっしゃっています。まさにその通りだと思いますね。
もちろんその利点もあり、またアメリカではプロテスタント的父性社会であるからこその母性との調和の難しさにも言及されていて、平衡感覚が素晴らしいと思いました。
最近読んだ酒井順子さんの本では、臆面もなく、我が子(男児)をマザコンに育て上げて、且つそれを周囲にも隠さない、という事態が起こっていると書いてありましたけれど(例として挙げられているのが、大学【!】ラグビーの卒業記念に、息子であるラグビー選手にお姫様抱っこをしてもらう事を、喜んでいる、という私からすると驚愕の事態・・・)、この本が書かれたのが1976年ですから、なんという先見の明、と感じると同時に、あまりにあまりな隔世の感ですね・・・
日本社会における父性と母性について考えてみたい方、山本七平著「空気の研究」を読まれた方にオススメ致します。

「この世界の さらにいくつもの 片隅に」を観ました

2020年1月21日 (火) 08:51

片淵 須直監督     東京テアトル

2016年に公開された「この世界の片隅に」に追加40分を加えた完全版が2019年に公開されたので、遅まきながら、足を運びました。

あまりに力強い作品で、内容を頭で理解出来ていても、何か掴みきれていないのでは?と感じられていたからです。その後もおりにつれ、5回ほど見直して、やっと腑に落ちる感じになりましたし、素晴らしい映画だと確信持てるようになりました。

1943年、日本の広島に住む18歳の女性すず(のん)を主人公に、当時の日本の広島、また嫁ぎ先である呉を舞台にした、映画です。幼少期の1934年頃が冒頭で、年月は字幕で書き込まれ、その中で生活、生きていくすずを描写しているアニメーション作品。

個人的には本当に素晴らしい作品です。 今回加えられた新しいカットにより、今までとかなり違った印象を持ちました。さらに、すずさんがリアルな、生きている人間として、そしてその夫が、夫としてだけでなく、やはり生きている人間として、描かれています。人は結構間違いを犯したり、ダメだったりする、という事を、この映画でも感じました。

当然、かなり長くなったわけですが観るのであれば、この補完された新しい映画版を、強くオススメ致します。

戦争が起こっていても、それでも、人は何かを食べたり、誰かと話したり、人間関係の葛藤を経験しながら、それでも生きて生活しなければなりません。そんな日常を、あるいは戦争という非日常における生活を、細やかに、丁寧に描写した傑作です。

すずさん、という主人公のキャラクターが、まず素晴らしく、彼女が経験する戦争の中の日常、その生活、人間関係、そして、経験から成長する事、様々な事柄が本当に丁寧に描かれていて、しかもこれはアニメーションでなければ出来なかった表現、またすずさんが得意とする事が絵を描き、創作する、という事で、さらにアニメーションという媒体との親和性、物語上の意味と二重の意味で補完されているのが素晴らしいです。

とにかく、すべての人に観て欲しい映画として、オススメ致します。 コトリンゴさんが歌う唄とのシンクロ率が、たまりません。 大好きな唄になりました。

「コンフェッション・キラー 疑惑の自供」を観ました

2020年1月17日 (金) 09:27

アテンション・プリーズ!


今回は、ちょっと特殊な映画というか、ドラマというか、ドキュメンタリーの感想です。しかもシリアルキラー(広義の意味で、連続殺人者)を扱った作品なので、そういう猟奇的な事象に抵抗のある方はご遠慮ください。そもそもそういう事を言及するのもどうかと思うのですが、これはリアルな現実の、生きていた人の、記録とも言えます。興味本位だけではない、もう少し深く、そしてどうしてなのか?という根源的な疑問を感じている人にとっては重要な事です。表層だけでおもしろがれる事もあろうかと思いますが、私は気になったものを、事を、自分で調べる人を信用しています。その事象なり人物なりが、影響を与えたモノ、影響を与えられたモノについて調べて行った先に出会う、それとこれが繋がっていたのか!という驚きを求めている気もします。

ロバート・ケナー タキ・オールダム 監督     Netflix

映画「羊たちの沈黙」をご存知の方も多いと思いますけれど、素晴らしい映画であるのと同時に、大変有名なキャラクターとして登場するのが、ハンニバル・レクター博士です。多指症で指が6本あり、精神科医であって、芸術を愛する心を持ち、美食家でもありますが、カニバリストでもあるシリアルキラーです。このモデルとされる人物が、実在の人物であるシリアルキラー、本作の主人公、ヘンリー・リー・ルーカス(1936-2001)です。

私は書籍で読んだ数冊の本の情報、また、wiki情報もそうなのですし、様々な媒体、場所で語られるヘンリー・リー・ルーカスの情報を、その様々な媒体で同じように扱っているために、信じてきました。しかし、よく考えてみると、動画として、生きて動いて喋っているヘンリー・リー・ルーカスを観た事がありませんでした。写真は、大変特徴のあるモノをたくさん見てきましたが、動画で、特に喋っている姿を見た事が今までありませんでした。

そんなヘンリー・リー・ルーカスを扱ったドキュメンタリーがNetflixあると知り、見たわけです。ドキュメンタリー、と言っても、編集や演出によって、事実を、事実のように、虚偽を、真実のように、扱う事の出来るジャンルでもありますので、注意は払ったつもりですが、今までの情報、ヘンリー・リー・ルーカスに纏わるほぼすべてを、疑るようになりました。

実際には、このドキュメンタリーを見ていただくしかないんですが、今まで抱いてきたヘンリー・リー・ルーカスに対するイメージが一変しました。確かに、よく考えると、不思議な事、辻褄が合わない事、散見されますが、そのあまりな手口、人数、そして数多くの媒体での扱いの同一性に、信用を置いてきた個人としては、本当に、ショッキングな体験でした。

改めて、検証する事の重要性について実感した次第です、ま、私の住んで国は、検証されるべき、保管されるべき資料を、簡単に捨てる政権が与党なんですけれどね・・・本当に法治国家なのか?どんどんと1984の世界になってきていますね、美しいってこういう事なんでしょうね。

写真は、時により真実を映し出しますけれど、動画も、同様に、真実を浮き彫りにしますね。ヘンリー・リー・ルーカスについて私が最も気をつけなければいけなかった事は、テキサス州、という事かもしれません。もう少し具体的に言うなら、テキサスレンジャーという存在、そして、手口の数の多さ、についても、もう少し配慮していれば、と悔やまれます。誰が、どう、捜査していたのか?そこに信憑性を担保出来るエビデンスはあるのか?整合性を確かめる行為は行われていたのか?等々、本当に面白く、ショッキングなドキュメンタリードラマでした。

また、その動画の中に、日本のテレビ番組の密着取材があり、その検証に役立っていて、やはり検証できる事は重要だと確信しました。

今の私にとって、ヘンリー・リー・ルーカスは興味の対象から、外れつつあります。

おそらく、人が見たいモノしか見ない、に通じる道の、ひとつのパターンだと思います。地獄への道は善意で舗装されているわけです。

最も恐ろしい事実は、真犯人は、生きて、その後も、特に刑罰を受けなかった、という事です。

ヘンリー・リー・ルーカスに興味のある方に、オススメ致します。

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