井の頭歯科

「ゆりあ先生の赤い糸」を読みました

2023年5月19日 (金) 09:15
入江喜和著   講談社
初めて読む漫画家さんですけれど、このストーリィというか設定がかなり唸らされました。ここ20年くらい漠然と考えていた事がより鮮明になった感覚があります、まだ考えは完全にはまとまらないのですけれど。
父は闊達で堅気な大工職人、母は専業主婦、姉は女性らしい女性、という家族構成の中で育った妹のゆりあ(主人公)は、姉がねだったバレエ教室に一緒に通いつつも発表会で大役のミルタの配役を得た事で、妬みのような感情に嫌気がさし、バレエからは遠ざかった経験を持ちます。30歳で売れない作家である旦那と結婚、現在は50歳となり、子供なし、義母と夫の3人で夫の実家で暮らす刺繍教室の先生です。というのが冒頭です。
正直、どんな展開になるのか全然読めなかったですが、50歳女性をかなり真正面から主人公と置いた作品って見た事が無かったので、凄く興味を持ちました。
これまでに、映画の世界でも、そして現実でも、いわゆる家族観と言うモノの変化を感じます。少し調べるだけで、専業主婦、という概念も1950年代くらいからですし、少子化とは言っても世界の人口は増え続けていますし、現段階において、うちの国もかなり貧乏になってきています。恐らく、短絡的な金銭を目的とした犯罪は増える傾向にあると思います、残念で怖い事ですけれど。
そういう国の中で、どのような社会でも1番小さな単位である、家族をどう考えたらよいのか?は人それぞれです。今までと同じ1950年代から続く両親と血縁関係にある子供でも良いし、それ以外もあるでしょう。
少子化の問題は根が深いと思うのです、というか必然だと思います。
そもそもなんで核家族化したのか?と言えば、皆がわがままになったから、自由を手に入れたから、です。親との同居を嫌がった、からでしょうし、嫁姑問題をある程度解消するのであれば、世帯を分けるのが得策です。3世代同居する世帯の割合は平成27年の調査で6パーセントを切っていますし、サザエさんの様な家族像は既に1割にも満たない。
さらに、単身者の世帯数は4割を超え、恐らく今後1番多い世帯の形になろうとしています、つまりみんな1人が結局のところ好きなんだと思います。だって、わざわざ『家族』を形成しなくても、外部委託出来るし、生活の重労働な部分は電化出来て久しいです。
しかし、無いものねだりがあるのも人間で、家族がいない人は、家族の幻想を抱いて、リアルを知らずに家族を欲しがり、家族がいる人間は自由を求めて離婚やら別居をするものだと思います。どんな状態でも欲求は尽きる事がありません。
それでも、他者との繋がりはやはり欲しいもの。だから、家族という契約関係まで硬くて重い繋がりではなく、緩やかな関係を、それも血縁という繋がりの無い関係性を求めているのだと思います。それが新しい家族観に繋がっているという感覚が、私の年代でもあります(1970年生まれです)。
また貧乏な国になった事で、家父長的な立場を金銭で賄っていた父親、という像に対して、金銭的な理由でそれを持ちえない人が夫にすらなれない、という自覚もあるでしょう。女性側にもいろいろあるでしょうし、条件がきっと存在するでしょうけれど、ロマンティックラブイデオロギーの強さは、それこそ持てなかった時代だからこそ、自分の娘には、という感覚もあるので、その辺ももう少し調べてみたいですし、本当にいろいろ考えさせられます。
そういった家族の形態の新たな試み、をしている漫画です。
新しい家族像をリアルを持たせるのが難しい。その難しい事を、しかも50歳の女性に持たせる事に成功している漫画だと思います。この人の性格の問題はありますけれど。
そして、凄く大きな問題を、どのように扱えば小さくなるか、という難問に、大きな問題を複数抱えれば、どれも割合小さな問題に見える、という解決方法を実践するのですが、そこにギリギリありうるかも、という細部まで詰めているのが素晴らしい。
しかも直接の中心的な謎を、不在の中心に置き、ここに介護という現実を入れた事で、物語に重みが増しているのも素晴らしい。
なので、風呂敷を広げるまでにはなかなかの謎、というフックと、そこから始まる奇妙なある種の運命共同体を築き上げ、生活を描いたのはかなり凄い事だと思います。
で、ただ、ただなんですけれど、扱っている問題のかなりヘヴィな中に、恋愛要素を入れてくるのが、凄く意外でした・・・割合ここ無くても成立するような気がするんですけれど、多分そうではないんでしょうね。事、恋愛という関係性において、全然男女で違う受け取り方があるんだろうな?と感じました。介護、育児、趣味、仕事、と同じくらいデカい。多分男性は恋愛ではなく性欲として外部委託出来るが、ココだけは出来ないのが女性なのかも。みんながそうじゃないのは理解していますし、男性だって外部委託出来ない人もいらっしゃいますし。
そう言う意味で、いつまで女性なんだろう、とも思うし、それは何時までも続くものなのかも知れません。個人的には生物学的子孫伝達の仕組みは無くなれば楽になれるのでは?とも思う。残念ながら、男性はそれがかなり後にくるので、個人的にはキツイと思うんだけど。でも生物学的子孫伝達だけが目的でもないですから、本当に難しい。
でもここまで真正面から50代の家族像を描いたのは、本当に凄い事だと思います。男性だと割合、というか、ほとんどの作品が、必ずある種魅力的な女性が出てきて、協力してもらってても、ハードボイルドに出来るし、なんならみんなが村上春樹を嫌う、なんで主人公が勝手に女性から好かれるかワカラナイとおっしゃりますけれど、そんなのハードボイルと呼ばれる作品には必ず入ってる要素なんじゃないの?と思います。なので、きっと男女ともに、そう簡単に性別から降りる事が出来ないんでしょうね・・・この辺は女性のおじさん化とか男性のおばさん化とかを考えてみたい、案外いる気がします。
なので、個人的にはばっさり、恋愛要素を切って良かったんじゃないかな?と思います。それでも成立したと思う。だけれど、エモーショナル要素が少なすぎる、という判断があったのか?もしくは現実には無いからこそ、ファンタジー(ハードボイルド作品や村上春樹作品と同じように 都合の良い魅力的な異性)が入ったのかな?という部分が知りたい。
もしくは、恋愛要素の部分を全部カットして、東村アキ子の「タラレバ娘」みたいな今はまだ特異に感じる友人コミュニティにするとか。
男性モノはとかく、孤独を好みがちなんですけれど、それでも、ゆるやかな連帯、ゆるやかな父親の代わりくらいの役割を担う話しがあれば良いのに、といつも思います。
シェアハウス的なアパート(理想は『凪のおいとま』みたいな感じ)の中に、保護すべき対象者(子供がいる家庭、もしくは要介護の方等)が居て、その方々へのバックアップや協力を条件に入居できるような関係性が築けるようなモノがあれば、そして、税制上の有利な点、もしくは居住に関しての何らかの利点があれば、子供や高齢者との繋がりも出来るし、独身の利点も生かせるんだろうけれど、まだなんか良い案があるような気もします。特別養護老人ホームがあるように、一般の人でもそこで何かしらの労力を払えれば、という感じをイメージしますけれど、難しいですよね。信頼関係が無いと。
50代を迎えた人に、オススメ致します。

「7月22日」を見ました

2018年10月19日 (金) 09:11

ポール・グリーングラス監督       netflix

ラジオの映画紹介で町山さんが強めにオススメしていたので視聴しました。大変ヘヴィーな映画でした、私は全然知らなかった2011年の7月22日ノルウェーでのテロ事件を扱った作品です・・・

ノルウェーのウトヤ島と首都オスロで起こった連続テロ事件の顛末を扱った映画です。単独犯である当時32歳のアンネシュ・ベーリング・ブレイビクは首都オスロの政府庁舎に大量の爆弾を車に積み込んで爆破し、その足でそのままウトヤ島に単独で警官と偽って潜入し、そのまま銃を乱射、当時ウトヤ島には移民政策に積極的なノルウェー労働党青年部の集会が行われており、オルロでの爆発で8名、ウトヤ島での乱射事件では69名の死亡者が出るテロ事件の発生とその裁判を映画化したものです。

単独犯がテロの準備を進める非常に重い映像と、ウトヤ島での生徒たちののどかで爽やかなキャンプ風景が交互に描かれる事で、観客である受け手はこの先に起きる事を実は早く見たいと思わせ、加害者ではないものの、その行為に加担しかねない心理状態に置かれている事はとても上手い編集だと思います。映画化、ですしドキュメンタリーではないので実際の映像では無いんですけれど、早く続きが見たい、どうなるのか知りたい、という欲求の後ろ暗さを実感してしまいました。

主な登場人物は、単独犯ブレイビク、被害者ビリヤル、弁護士リッペスタッド、なんですけれど、とても上手い群像劇でドキュメンタリチックな映画化だと思います。

実際に起こった事件ではありますが、本当のところ、どうだったのか?は私は知りません。しかし映画に近い事実があったのだと思います。非常に重く厳しい現実があります・・・簡単に言葉に出来ませんでした。しかし、それでもなお、考える事を止めるのだけはしたくありません。

ノルウェーで起きたテロ事件について知りたい人、考えてみたい人にオススメ致します。とてもヘヴィーな事件で、現実です。

アテンション・プリーズ!

ココからネタバレありの感想になります。とはいえ現実の事件を映画にしているので、Wikipedia等ネットで調べればすぐに事件の概要は知れます(この事件の概要は ここ です。あくまで私が裏を取ったわけではありません、Wikipediaをある程度信用するとして、という事です)。心地の良い事件じゃありませんからわざわざ知りたくないと感じる人もいらっしゃると思います。けれど、それも個人的には良くない、耳を閉ざす行為だと思っているので、結局いろいろ知れば調べてしまいます。結果的に耳を閉ざし、残虐な事件を遠ざけているつもりで、実は犯人の思いに沿っているように感じるからです。

あくまで個人的な感想です。

犯人の、独善的で劣等感を暴力でしか解決出来ない上に論理的にも破たんし、もはや精神異常者にしか見えない点は、救いがないです。単純な極右的思想でしか己の貯め込んだ怨念を払拭出来なかったその点に、大変な恐ろしさがあります。自らを怪物として周囲から崇め奉られないと弱い自我が崩壊してしまうほどの脆弱性、排斥主義的な大変簡単なロジックにいつまでも拘泥して、それが醜悪である事を理解していたからこそ、周囲には無害な人間に見えるように行動していた点も、愚かで救いがない事にしか見えないです。他者を見下す事でしか満足が得られない大変小さな男ですが、それがこれだけの事件を起こせた事、その点が非常に気になりました。

政府の、安全保障というテロ対策の粗を指し示すのは簡単でしょうけれど、それだけではない怖さがあって、それはこの犯人が憎んでいる『多様性』の中にこの犯人も含まれる事です。多様性を認めるのであれば事を起こせないようにしながらも、この社会の中でこのような思想というよりもサイコパスな思考の持ち主を許容出来るようにしなければなりません。もちろんテロ行為は大変許しがたい事ですけれど、しかしテロ行為しか表現の手段がない(本当はそうではないんですけれど、まっとうな手段を、思いつく事の出来ない、その道を辿れない早急で粗野な連中)も共生できる社会が多様性のある社会なのであって、矛盾を孕んでいますけれど目指すべき社会だと思います。

誰の言葉かは忘れてしまいましたけれど『貴方の主張には全く同意する事が出来ない。が、貴方が主張する権利は死んでも守る』という事に尽きると思います。

だからこそ、法的に弁護人にはこの愚かな犯人を、法で裁くために、弁護をしなければなりません。この弁護人の役の方は大変味わいのある演技をされていて素晴らしかったですし、脚本演出ともに、言葉で説明しない部分を演技で説明してくれてて素晴らしかったです。被害者から見れば許しがたい犯人であったとしても、報復行動、リンチを認めずに、法の裁きを受けさせるのはとても重要だと思います。しかし、その行為に、犯人を庇うのか?と口汚く罵る輩を出し、子どもの保育園を変えざる得ない状況に追い込まれながらも、淡々と職務をこなし、決して折れない行動は賞賛に値すると思います。

テロでしか自らの尊厳を維持できない人との共生をどのように行うのか?というのは大変困難な命題だと思います。法的に認めなくとも、法外に出てしまう人はいますし、それこそこの映画のテロではなく、現代の日本でも、ヘイトスピーチや排斥主義的な短絡思考を悪びれもせずにデモ行進するような人がいるわけで、この方たちも同じ日本人でこの国で共生していく困難を考えるのと同義だと思います。

また、被害者の中でも特に後遺症と戦うビリヤルのやりきれなさ、無念さ、そしてそこから立ち上がっていく様は大変美しいものがあり、まだ青年のうちに与えられる後遺症としても大変辛いのに、さらに裁判で証言するまでに、戦っていく姿勢が本当にリアルに描かれています。ビリヤルの両親にもそして助かった弟のトリエの存在とその苦悩もリアルに描かれていて良かったです。実のところ本当の意味では変わってあげる事も出来ず、苦しむ両親は、その間にさえ亀裂が入りかかるのも、本当に怖いくらいにリアルでした。何かを克服するのって本当に難しいし、尊い。

弁護士以外にも気になる人物がいて、それが犯人の母親です。この犯人の生育環境は恵まれたものではなかったと思います。しかし生れ落ちる環境や両親を選べた人間はいません。ある種の不平等で理不尽さを含んでいますし、当然でもあります。しかし、不遇な環境が原因ではない事は、その他の恵まれない環境に育った人が何人もいる事で証明できると思います。何故このような人物が出来上がってしまったのか?が気になるわけです。そして私には、この母親の存在が大変重要だと思います。

親になるという事はどういう事なのか?その想像もなく親になっている人が恐ろしいです。果たさねばならない責務のラインというものがあると思います。そのラインを全く気にせずに『親』をやっている人に私は恐怖を覚えます。この犯人の母親もそんな風に見える人物です。なんでも言いくるめられてしまい、放任で甘く、しかし責任を担おうともしません。視野狭窄な考え方をし、単純にそれを信じ込み、その影響が犯人の中にあるように感じました。全く視野狭窄である事に疑問が無いのが恐ろしいです、客観性の無い人の恐ろしさを覚えますし、私の考えも、また別な角度から見れば視野狭窄で浅薄な考えである事もあるのだと思うと、本当に恐ろしくなります。

それでも、この犯人のような人をゼロにするのは大変難しい事だと思います。弁護士が最後の面会で話す言葉の重みを噛みしめています。

「生きるとか死ぬとか親父とか」を読みました

2018年6月10日 (日) 13:13

ジェーン・スー著    新潮社

何故か?カミングアウトに恥ずかしさを覚えるのですが、私はラジオリスナーです。少なくともテレビよりは文化度が高い、と感じています。そんなラジオのパーソナリティのジェーン・スーさんの新著(以前にも読んだ本「私たちがプロポーズされないのには101の理由があってだな」の感想は こちら )が出版されたので手に取りました。

私が存在するという事は、当然親がいるわけで、そして家族とは、大変ありがたい存在でもあり、当然それだけでなく、何かしらの強要やルールが存在し、子どもはその事に慣れたり、躾だったりするわけです。端的に、良い面もあるし、良くない面もあるわけです。

そんな葛藤もある敏感な家族の問題に、著者ジェーン・スーさんが、異性の親である父との、父だけではない面(息子、兄弟、夫、親戚等そしてもちろん父として)を掘り下げてみようと試みたエッセイです。

このお父さんが結構変わった方でして、言動だけ拝見すると、著者が使っているフレーズなので引用しますが、石原慎太郎とナベツネを足して2で割らない人、という方なんですが、どっこい、このエッセイでもその片鱗は垣間見れるものの、大変愛嬌があるんです。

とてもマッチョで、かなり自己愛が強く、それでいて女性に好かれ、事業を成功させ、その妬みから怪文書を流されたり、それでも仕事先とはトラブルにさせない愛嬌あるジェーン・スーさんの父に、なんとなく私の父の側面について考えこんでしまいました。

スーさんの父との距離の取り方、そして今回の(とはいえ、これまではスーさんでさえ、避けていた)その距離の縮め方、父と娘だけの家族の関係を、父の子ども時代からひも解いてゆく過程が良いと感じました。とても私には出来ない事ですから。

異性の親との距離、なかなか難しい問題です。日本はマザーコンプレックスには大変優しい社会ですので(この話しになるといつも思うんですけれど、自分の結婚相手としてはマザーコンプレックスには非常に敏感に嫌悪感を抱いておきながら、母親になるとマザーコンプレックスを認める以上に積極的になって欲しい、と思っている人が多いように感じるので、本当にヘンテコリンな、まるでカフカ的な迷宮にいる気になります)息子と母親の葛藤はそれほど問題にはならないですから。

私も両親を、親としての側面だけではなく、もう少し離れて関係が結べるよう努力を払ってもいいかな、と思わせてくれました。

しかしジェーン・スーさんのご尊父はなかなか面白く、しかし近親者だと結構大変だろうな、と感じました。

両親との関係を考えてみたい方にオススメ致します。

アメリカンフットボールの話題がここまで・・・

2018年5月29日 (火) 09:39

大学時代にアメリカンフットボールをしていたので、ここまで世間の話題になるのがびっくりしています。

正直に告白すると、私も相手選手を潰してこい、という指示をしたことあります、というか日常的に使う言葉でした。

当然ですがルールの中でのことです、しかし下級生にはそう捉えられなかった選手もいたかもしれません、実際に事故は無かったにしても、ルールの中で、という言葉を添えていなかったのは私に非があります。

もちろん今回の加害選手のタックルは見た事ないレベルで問題ありますし、チームの中にも、指導者にも、問題あるでしょうね。

でもここまでいろいろな人が発言していますけど(このブログの私も、その中の1人になったわけですが)、叩けるモノは叩いてもイイ、感じが正直怖いですね。

今までにアメリカンフットボールに興味もなく、観戦もしたことが無い人まで、強い口調で罵倒しているのを聞くと、何か違うと感じてしまいます。

もちろん正義感からの、フェアプレーを尊ぶからの、発言もあるとは思いますけど、叩ける何かを叩いてすっきりしているように見える部分もあって、怖いです。

もっとアメリカンフットボールの競技に興味が湧いてくれたらいいな、と思います。

NFLももちろん凄いですけれど、日本の大学生のアメリカンフットボールはある意味泥臭くて、非常にデザインされたプレーを繰り出してくるのを見るのは楽しいです。

暗い気持ちになるニュースですが、最後は少しでも気分が晴れるといいな、と思いここで1曲。

全然関係ないんですが、最近知ったこの曲、このバンド、カッコイイです。

2017年も終わりますね!

2017年12月26日 (火) 17:42

毎年1年が早くなっているように感じます。また11月末に転んで足首の腓骨骨折と、老いを感じる1年の締めくくりになりました。普段も気を付けていたにも拘らず、怪我する時は怪我してしまうんだなぁ、と感じました。松葉杖生活はなかなか大変で周りの人いいろいろご迷惑おかけしています。

さて、そんな中ではありますが、今年観た2017年公開映画の勝手な、ごく私的な、私の好みの判断だけで出来上がったランキングです。まぁ毎年たいした数の映画を観ているわけでもないので、非常に浅はかな、自己顕示的な、自己満足な文章です(このブログ全体がそうなんですけど)。それでも今年公開映画という意味では私の中では結構見れた年でもあります。昨年があまりに面白い映画が多かったので、昨年と比べるとややこじんまりしている印象があります。

あと、見逃してしまって残念に思っている作品としていくつかありますけど、

『ゲット・アウト』  ジョーダン・ピール監督

『希望のかなた』   アキ・カウリスマキ監督

『ギフテッド』    マーク・ウェブ監督

『パターソン』    ジム・ジャームッシュ監督

『否定と肯定』    ミック・ジャクソン監督

『散歩する侵略者』  黒沢 清監督

そして某所ではとても盛り上がり祭になったという『ハイアンドロー ムービー』の2、3を見逃しています。

特に『希望のかなた』と『パターソン』、そして『否定と肯定』を見逃す事になってしまったのは間違いなく怪我してしまったからで、大変悔やまれます。

それでは、勝手なランキングに行きましょう!

10位 『わたしは、ダニエル・ブレイク』   ケン・ローチ監督

社会派のイギリス映画、めっちゃ有名な、しかし私は初見の監督、ケン・ローチ作品です。社会の出来事には全然詳しくない私でも、この作品の素晴らしさ、と言うかとても丁寧に作られている事が理解出来る作品でした。決して重いだけの映画ではなく(もちろん重い部分もあります)、映画として面白い作品に仕上がっているのが素晴らしいです。『ムーンライト』と迷いましたが、私はこちらの映画の方が好きです。昔気質の大工が隣人とカフカ的な組織と尊厳をかけて戦う話し、そうか大好きな映画『未来世紀ブラジル』に似てるからなのかも!

9位 『三度目の殺人』   是枝 裕和 監督

かなりの不条理劇だと、私は解釈しました。だけど、役者さんの、特に役所広司さんの演技がすさまじいです。また、とあるどんでん返しがあるのですが、その事が起こる事と、個人の葛藤と、また司法制度の難しさが浮き彫りになっていて、凄く(失礼な言葉使いになりますが)面白かったです。是枝監督作品の中では異色だと思いますけど、私は好きな映画でした。カッコイイ福山さんもいいです、けど、広瀬さんの凄さみたいなものは感じられなかったです、普通な感じがしました。是枝さんは子役を指導が凄いので有名ですから、少し期待し過ぎたのかも知れませんけど。

8位 『午後8時の訪問者』   ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督    の詳しい感想は こちら

とてもサスペンスフルな映画だと思ってます。初めて見た監督でしたけど、これからはこの監督作品は必ず観に行かなきゃ!と思わせてくれました。私も医療のはじっこのすみっこに携わる人間として、観れて良かったですし、受け入れたいと思いますし、この女性主人公の行動原理の凄さに感心しました、絶対真似できないけど、目指したい方向だな、と。

7位 『夜明け告げるルーのうた』   湯浅 政明監督

天才・湯浅監督の作品が今年は2つ公開された大変珍しい年でした。この監督作品で最も衝撃を受けたのが『マインド・ゲーム』という映画で、この映画は本当に凄いです。湯浅監督が天才と呼ばれるのは、呼ばれるだけの理由があると思いますし、私は納得しています。で、今作も素晴らしいポイントがたくさんあります。けどこの作品は正直脚本には問題が結構あるとも思います、リアリティラインが何処なのか?で引っかかってしまうんですが、それでもなお!サイケで、アニメーションの動きで見せつけてくれます!音楽も良かったです。

6位 『グッド・タイム』   ジョシュア&ベニー・サフディ監督

予告編の映像のスタイリッシュさ、だけで手を出したのですが、当たりでした!これまた全然知らない監督でして、兄弟で監督です、また弟は役者としても出演しています、非常に重要な役で、しかも上手いです。この映画は、ある瞬間から、突然走りはじめるんですが、その後ノンストップで駆け抜けるタイプの映画です。次にどうなるんだろう?と思わずにはいられない映画でした。すっごく面白いのですが、全然噂を聞かなかったです。この監督作品も劇場でかかったら必ず行かなければ!と思ってます。音楽も素晴らしいです。

5位 『聖なるもの』   岩切 一空監督       の詳しい感想は こちら

この監督はMOOSIC LAB2017で知りましたし、この界隈の方々が口を揃えて「すごいです」と言っていました、その界隈の方々は私の子どもと言ってよい年齢で、能力的には物凄い能力の高い人たちなんです。東京の大学生すげぇ!と(私は出身は東京ですが地方ダメ大学出身者です、もちろんダメな部分もたくさんありますけど、出身なので大事でもあります)思います。で、観たら凄かった!!です。しかし大学生でこんな事やってるなんて、自分の大学時代の文化的僻地からすると天国のように見えます。まぁ仮に私がその中にいてもダメ学生だったでしょうけれど。wヒロインが両方ともスゴイです。

4位 『ベイビー・ドライバー』   エドガー・ライト監督

大好きな監督エドガー・ライト。そのエドガー・ライト監督が大人になってしまいました・・・素晴らしい映画です、本当に凄いです。でも、あの「ショーン・オブ・ザ・デッド」とか「ホット・ファズ」みたいな映画も撮って欲しいんです・・・非常にアンビバレントな、まるでエドガー・ライトのお父さんになってしまったかのような心境になります。でも映画として素晴らしいです。もう何処でも『エドガー・ライト監督作品好きです!』って言えます。前も言ってましたけど、勇気がいらなくなりました(笑)

3位 『なっちゃんはまだ新宿』   首藤 凛監督    の詳しい感想は こちら

3位でいいのか?とも思うんですが・・・とにかく観て!そして、観たら私と話しませんか?という映画です。正直に言うと、もし、骨折してなかったとしたら、あと3回は劇場に足を運んでいたと思います。都合4回観ました。たった4回ですみません、という気持ちになるくらい心掴まれる映画でした。とにかく、観られるチャンスがあったら観てください、スゴイです。秀逸なタイトルだと思いません?

2位 『虐殺器官』   村瀬 修功監督     の詳しい感想は こちら

大好きなSF作家の伊藤 計劃さんが原作ですし、制作が1度頓挫した、と聞いていたので、大変ショックだったのですが、ついに公開されたので、2位とさせていただきました。原作をよくぞここまで映像化してくれた、ありがとう、という気持ちでいっぱいです。アニメーションでしか描けない、いや、もちろんハリウッドの大資本でCGで作っても素晴らしい作品になると思います。が、この作品は日本で、アニメーションで作ってくれた事に意義があると思っています。確かにアニメーション映画ですが、観る人を選ぶ傑作だと思います、原作が素晴らしいからこそ、ですけど。めちゃくちゃヘヴィーな話しです。地獄、とは何処にあるのか?という話しです。

1位 『ナイスガイズ』   シェーン・ブラック監督    の詳しい感想は こちら

今年は役者としてはライアン・ゴズリングの年だったと思います、『ララランド』しかり『ブレードランナー2049』しかり。観ていて気持ちいい、クールでハンサム、演技も上手くて最高の役者さんが当たり役で大作に、1年のうちに立て続けに(まぁ日本での公開では、という事になりますけど)2本出演している、両作品とも非常に宣伝され、注目されました。スゴイ!でも私はこの『ナイスガイズ』の やすい ライアン・ゴズリングが大好きなんです。まるで『インヒアレント・ヴァイス』のような『ビック・リボウスキ』のデュードのような、そんなマーチ探偵がまた観たい!続編を強く希望しています。
以上、あくまで私的な2017年の映画ランキングでした。

今年も大変いろいろな方にお世話になりました。

年内は28日まで診療致します。

皆様、良いお年を!

大晦日は1年に1回しか無いので、今年も最後はいつもの動画にしようかと思いましたが、大晦日、と言えば、この映画も大晦日です。

なので今年はちょっと変えてみました。

このセリフ、全てが面白いんです。

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