井の頭歯科

「なっちゃんはまだ新宿」を観ました!!!←まだ観れます!

2017年8月16日 (水) 17:39

首藤 凛監督         MOOSIC LAB 2017 出展作品

以前、友人が紹介してくれた学生自主映画の「また一緒に寝ようね」の首藤 凛監督(の感想は こちら )が新たに監督された最新作だったので観に行きました。前作である「また一緒に寝ようね」は本当に大傑作で、友人が出演しているから、とか全く関係なく、素晴らしい作品でした。映画というジャンルには大変お金がかかりますし、たくさんの人が関わっているので、なかなか思った通りには出来ない事がたくさんありますし、商業的にも大変難しいと思います。映画館、という場所もかなり減ってしまっていますし・・・そんな中、学生主体でここまで凄い作品が作れるなんて本当に衝撃的でした。監督の感性、センスでこんなにもキラキラした映画が出来るなんて本当に凄いです。

その時の衝撃をさらに上回る衝撃でした、才能って、もちろん努力もされいるのも重々承知していますが、スゴイですね。こういう方にお金が回ってたくさん作品が作れるといいなぁ。

首藤凛監督はもちろん私は大好きな監督ですし、過去作品が見たくてクラウドファウンディングにも参加したけど、そんな事はまるで関係なく斜め上2万メートルくらいの作品でした。

地方高校の同級生の岡田が好きな秋乃(池田夏海)は、周囲の親しい人達に応援されながらも、岡田は他校になっちゃん(菅本裕子)という彼女がいます。秋乃はなっちゃんが気になり過ぎて…と言うのが冒頭です。

この冒頭だけでも素晴らしいのですが、タイトルが出るまで、正直今までの首藤作品よりは普通に寄せて来ているのが、と感じました。今まではおそらく使われていなかったBGMが聞こえたり、ナレーションがあったり、割合普通を装ってるのかな、と。

が、タイトル後に急激に映画が走り出します。

その為に必要な情報を限りなく自然に、且つ短くまとめて提供されていたのです。

映画が走りはじめたり、女子の狂気が表れたりするのが首藤監督作品の特徴だと思いますが、今回はそれがかなり唐突だったので驚きました。

すさまじくアバンギャルドでパンキッシュな映像でした、監督さんの頭の中は一体どうなっているのか、覗けるチャンスが仮にあったとしても、見るか見ないかでかなり悩むことになると思います、引き返せない何かがありそうです。

毎回思いますけど、タイトルの付け方がクール!文才あると思います「なっちゃんはまだ新宿」って何お話し?なっちゃんって誰?何で新宿?とかいろいろ気になり過ぎるのに、映画を観終ると納得してしまうのです。

POLTAのギターとヴォーカルの尾苗さん、可愛い!ナレーションが凄くあってます。!秋乃を見守る感じが良かった、お母さんのパン食べたいです。

POLTAのベースふくださんのチャーミングさ、バンドに必要な明るさだと思います、この音楽がかなり好きになってしまいました!声が代え難い魅力あります。楽曲も首藤監督が言う生活感、カースト下位の、考えて何とか出口を探す感じを受け取りました。その辺は私も身に覚えがありますし。

今回の最も良いのは、私にとっては主演の池田さんです、素晴らしい。過去作品でも主演されてますから首藤監督の愛を感じさせる繋がりが分かるのですが、今までよりも、さらに強い愛、特に声なく道端で踊ってはしゃぐセピア調の場面はサイコーでした、あんなに愛されてるからこそ池田さんの魅力が爆発してます。

相手役の岡田のキャスティング良かったし説得力ありました、ある意味何処かズレてるいる男子の魅力があれば演者の年齢さ不明に出来るんだな、と認識させられました。

なっちゃん、魅力的です、自由奔放でコケティッシュ。グラマラスで色香あります。何となくリアル本人がそういう人なのでは、というリアリティがあります。後半の演技はかなりヤバいです。でもこの作品ではある種の飛び道具的な扱いなので、演技なのか自然なのかが判然としませんが、とにかくパンチのある方ですね。

構成の勝利で、キャスティングの勝利なんですが、それをまとめた首藤監督の力量、演出と脚本のぶっ飛び方はやはり誰にも似てないオリジナリティ!!

別バージョンの編集があるようなのですが、観てみたい、いや、早くもう一度みたい、と思わせる作品です。

新宿K’s cinemaにて上映中のMOOSIC LAB 2017にて期間限定で公開されています、Aプログラムです。

女子のある狂気を描いた傑作だと思います、いろんな人に観て頂きたい作品です。

たとえば、岡崎京子にちょっと反応してしまう方、昔で言ったらオリーブ少女って事だと思いますが、そんな方にオススメ致します。

アテンションプリーズ!

この先ネタバレあります。

ある種、女子の鬱屈のカタストロフィーを描いているのですが、そのベクトルの先、目指す場所の無さ、衝動こそ、作品の真骨頂と、初見では感じました。

「こんなにも周囲に気を遣っているのに!」的なセリフに重みを感じました、だからこその展開。

ラーメンと共に路上に転がるシーンの横からのライティングがまた良かったです。

また新宿には私も思い入れがそれなりにあるのですが、新宿のとある有名な坂道を上る夜明けのシーンの、秋乃の男っぷり、そしてラスト、スゴイです。そうか、どっちが妄想なのかワカラナイ!!

誰かに期待する何か、妄想に妄想を重ねた結果の非常にねじれた感情、論理の及ばない情念の世界、普段であれば結構個人的には引いてしまう世界ですが、これがものすごくツボにきます。

分からなかったのが「花より男子」のキャラクターで好みを知る話しでして、これはもう少し調べてみたいです。

こんな監督、こんな映画見たことない。監督のパンキッシュさはちょっとどうかと思います←褒めてます。

あくまで文責は私ですが、全国の映画『桐嶋部活やめるってよ』が好きな方、映画が好きな方にオススメします。

「アフター・ウェディング」を見ました

2017年8月10日 (木) 09:57

スサンネ・ビア監督       シネカノン

タイトルからなんとなく、ですが、男女関係の妙を扱った作品かと思いきや、結構毛色の違う作品でした。ネットの感想で結構良かったみたいなのと、マッツ・ミケルセンが出演しているので手に取りました。

インドの孤児院を運営して生活するヤコブ(マッツ・ミケルセン)は祖国デンマークを捨てたとさえ思っているのですが、資金が底をつきかけ、新たな援助を求める為に、仕方なくデンマークに8日感ほど帰らねばならなくなります。ほぼ養子の8歳のプラモドとは、1週間後の誕生日までには帰ってきてほしい、との約束を残して。デンマークでは大富豪のヨルゲンと会い、その下で働く青年とヨルゲンの娘の結婚式に参加して欲しいと気楽に招待を受け、その結婚式に参加するのですが・・・というのが冒頭です。

スサンネ・ビア監督、全然知らなかったんですが、映画を見ながらなんかコレ見た事ある感じがして記憶を探ると、見てました。なんかすごく似ているなぁと思ったのはある意味合ってました。「未来を生きる君たちへ」という作品で(の感想は こちら )凄く似たテーマを扱っていると思います。このスサンネ・ビア監督の好きなモチーフなんだと思います、とても女性的な感覚だと思うのです。

私は結構たくさん友人、先輩、後輩の結婚式に出ていると思います、地方の結婚式にもいろいろ参加しました。様々な結婚式や披露宴があり、都会よりも地方の方が長い傾向がある気がします。しかし外国の結婚式にはいったことが無いので、不思議な感覚になりました、本当に様々な形式があるものなのですね。海外の結婚式が映画で描かれているのを見ることありますが、ダンスを踊れないのでその場にいたら大変だなぁ、とかぼんやり考えたりします(笑)

結婚式の後で、というタイトルからはちょっと想像し難い大事件が露わになり、さらに次から次へと事実や秘密が明らかになって、その事で登場人物たちは、様々に心情を掻き立てられます。その登場人物たちの様を掬いとるような映像であり、脚本です。

役者さんはマッツ・ミケルセン以外は全然知らない人ばかりですけれど、恐らくこの映画の中で最も難しい役ヨルゲンを演じたロルフ・ラッセゴードさん、良かったです。あと、影の主役であるヨルゲンの妻ヘレネを演じたシセ・バベット・クヌッセンも年齢不詳な美女で良かったと思いますし、役に説得力がありました。また、アナ役のスティーネ・フィッシャー・クリステンセンの美貌、その無垢というか大事に育てられた事での純粋さを含んだ脆さにも、恐らく撮り方もあると思いますが、非常にイイと感じました。美人さんです。

ネタバレは避けての感想ですが、ある終焉に至り、ヨルゲンの年齢が明らかになって、とにかくびっくり。私とそんなに変わらないのです!!貫禄も何もかもが全然違う~いや、びっくりしました。

なんか映画の着地が凄く以前見た映画と似てるなぁ、と感じました。

家族に興味のある方に、オススメ致します。

アテンション・プリーズ!

久しぶりにネタバレアリの感想を綴ってみたくなりました。

本作を未見の方はご遠慮ください。かなり内容に言及しています。

映画に没入しているとそれほど気にならないんですが、やはり、いろいろテンコ盛りな感じがします。いわゆる衝撃の展開が多すぎてちょっと引いてしまうんです。ベタな展開があまりに多いので、後半になるともう食傷気味になってしまいます。

男性は割合、大きい事を語るのが好きな傾向にあり、急に天下国家とか言い出す傾向が強いです、私も自覚ありますし。天下国家を語る俺は身の回りの整理整頓が出来なくたってしょうがない、だってもっと大きな天下国家を相手にしているんだから、という杜撰さとおバカさは女性であれば結構感じる事が多いのではないでしょうか?もちろん男性でも感じますけど。

対して女性は割合細やかな身の回りの事に意識が向いている気がします、天下国家を語る前にお前の身の回りを何とかしろよ、と思ったことある人多いと思うんです。でも逆に、結婚とか恋愛に関してはどっぷり酔っていて世界というか世間の目を気にしなくなる人も多いような傾向を感じます。男性にもいますし、あくまで個人的な男女差の傾向の話しです。

この映画にも同じような事を感じてしまい、あくまで本来(主人公であるヤコブの前の彼女で、現ヨルゲンの妻)ヘレナに感受移入していれば問題ないんでしょうけれど、運命という名の脚本に踊らされ過ぎな気がします。そういう意味では名作と呼ばれてますがイマヒトツ腑に落ちなかった「灼熱の魂」ドゥニ・ヴィルヌーブ監督作品(の感想は こちら )の感想もそうなんですが、凄く酔っている感覚なのでは?と疑ってしまったりします、あまりに突発的な事が多すぎるので・・・

隠し子、血の繋がらない親子関係、婚前関係、娘の結婚、娘婿の不貞、慈善事業、余命僅か、などテンコ盛り過ぎるんですよね。そして最後に無垢に見える未開地の子どもを出せば丸く収まるとでも思っているのか、その辺がとても鼻につきました。

未開地の子どもはそれは単純に憐憫を催すとは思いますが、それって結構傲慢な事だとも思うんです、あくまで自分は外の世界から勝手に憐れんでいる感じがあります、もちろんそこで行動を起こしている人には頭は下がりますけど、それと勝手な憐れみはまた別の話しなのでは?と思ってしまうんです。もう少し深くかかわっていないと何も言えないのに、映画ではとってつけたような印象を感じるんですね。

感想としてはいろいろな事を考えましたが、それでも見て良かったとも思っています、ヨルゲンがまさか僅か1歳しか年上じゃなかった、というのが最もショックでしたけど。

「反撥」を見ました

2017年8月4日 (金) 09:27

ロマン・ポランスキー監督     コンプトンフィルムズ

評判を聞いて手に取ったのですが、いや、流石ロマン・ポランスキー監督です。

ポランスキー監督作の中かなり初期だと思います、何しろカトリーヌ・ドヌーヴがメチャ若くて物凄く美しいです。ポランスキー監督作品だと演劇を映画化した「おとなのけんか」(の感想は こちら )が好きな作品ですけど、「ゴーストライター」(の感想は こちら )もすごくイギリス!って感じで好きです。

映画を見ていて思い出したのは1996年の映画「ワンダーウォール」ジョー・マソット監督作品です。「ワンダーウォール」非常にサイケ寄りだし、ジェーン・バーキンはさらに完成度の高い美人ですよね。ジョージ・ハリスンが音楽で関わっているので見ましたけど、これもなかなか素敵な作品です。

ただ、この映画「反撥」のカトリーヌ・ドヌーヴの美人は、本人が持て余すタイプの美人、として描かれています。それでも非常に美しいですけど、だからと言って美人が楽でお得、というわけではない事を十二分に理解させてくれます。

ロンドンに姉と暮らすキャロル(カトリーヌ・ドヌーヴ)は気分が塞ぎがちです。原因は姉に彼が出来た事のように感じますが、自分でも何が明確に嫌なのか説明出来ません。しかも姉と彼はイタリアに旅行に行く事になり…というのが冒頭です。

美貌の持ち主ではあるキャロルが、自分の美貌を持て余し、内向的で、男性に対する恐怖がある事が徐々に理解していく、そのジワジワ感が素晴らしいです。

また、キャロルの映画内現実、キャロルの映画内妄想がだんだんと溶解して行く恐怖は、ちょっと時代を考えると恐ろしく上手いです。

ヒビ、というモチーフの上手さも特筆に値します、ホントに怖いし、建物が壊れたのか、心が壊れたのかが重なってより恐ろしいです。

襲われる、というシーンの恐怖、絶対的筋力、体力、チカラで抵抗出来ないで、自分の身体を傷付けられる恐怖が、しかも何時起こるか分からない恐怖を、圧倒的な映像で見せてくれます。

ただし、若干音には配慮されてますが。

そういえばこの映画に出てくる「うさぎ」があの有名な「イレイザーヘッド」(デビッド・リンチ監督作)のアレの元ネタなんですね、知らなかったです。

反撥、タイトルはrepulsionはどちらかと言えば私は 「嫌悪」 とする方がより伝わりやすいとは思いますね。

サイコサスペンスが好きな方にオススメ致します。

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