井の頭歯科

みなもと太郎さんの訃報

2021年8月20日 (金) 09:25

漫画家

たくさんの代表作がありますけれど、やはり『風雲児たち』が最高傑作だと思います。

幕末を描くためには、関ケ原の戦いを描く必要がある!と言う所から始まる大河漫画です。主人公となるのは『歴史』です。

歴史という縦軸に対して、個人という横軸と、その様々な個人の交わり、親交、議論、があって歴史が彩られる、という事を、ギャグマンガで描いた方です。

関ケ原における大谷吉嗣の西側への参加、や小早川秀秋のその後を描いて観たり、江戸幕府の初期に関わった保科正之と言う人物を紹介したり、薩摩藩士平田どんの木曽三川の治水工事の下りを描いたり、知らなかった歴史上の人物を紹介してくれています。

もちろん蘭学について、田沼意次の時代、その多彩な人物たちが近づいたり離れたりする様を描き、平賀源内、杉田玄白、蘭化こと前野良沢、高山彦九郎、同時代の大黒屋光太夫のロシア漂流、その事で繋がる林子平の著作「三国通覧図説」の翻訳に携わる新蔵ことニコライ・ペトローヴィッチについても、個々の人物の横のつながりが知る事が出来たのも衝撃でした。桂川甫周とツンベリー先生の文通なんて、全然知らなかった事ですが、人の繋がり、意思の強さを感じさせます。

司馬江漢がぼそっと言う「いろいろなモノで生活が成り立ってるのに、その発明をした人の事は全然知らない(私・意訳)」というちょっとした言葉が重く響きます。

もちろん高田屋嘉平たレザーノフ、間宮林蔵や伊能忠敬、そして蛮社の獄と小尚会の面々、大塩平八郎と頼山陽も忘れる事が出来ません。

老中首座だった阿部正弘の存在の大きさ、江川太郎左衛門英達についても、知れば知るほど、もっと知りたくなりました。

幕末編でも、それこそ様々な人物の繋がりと分かれが描かれていますが、ついに未完となってしまいました・・・本当はもっと言及したい人物が山のように出演する作品なのに・・・

みなもと太郎先生の考えでは、五稜郭の陥落を持って幕末が終わる、とおっしゃっていましただけに、未完がとても悲しいです。

次回の感想にまとめていた「死せる定め」という衝撃の本について考えていた時期だったので、よりきつく感じます。

漫画の世界を俯瞰させる、データとして残す活動もされていて、マンガの歴史という著作もあり、まだ1巻しか出てなかったのに・・・

本当に悲しいです。死せる定めの生き物なんですけれど、悲しい。

ご無沙汰しています。

2021年4月21日 (水) 09:46

いろいろな事があり過ぎて、なかなか自分の頭の中を整理して文章にする、という余裕がなく、すっかり間が空いてしまいました・・・ま、そもそも私以外の人にとってはどうでもいい話しばかりですし、私の備忘録としてのブログになっているので、それはそれでよいとします。

ぼんやりと、最近摂取した文化的なモノを書き留めておこうかと。

1『海を飛ぶ夢』 アレハンドロ・アメナバール監督

尊厳死を扱った素晴らしい作品です。本当に、素晴らしい作品なのですが、この問題は最近よく聞く言葉でACP(アドバンス ケア プラン)の話しだと思いますし、もっとACPが広まり、理解され、共有されれば解決できる部分と、さらに進めて、自死を認めるのか?問題に、必ず繋がっています。成人前の、健康だがこの世に絶望し、希望が見いだせなくて自死を選ぶ人をどう認めるのか?という問題で、非常に難しいと思います。昨年読んだ1番記憶に残る名著「急に具合が悪くなる」とも近い話しだと思います。

2『犯罪都市』 カン・ユンソン監督

人気絶頂の俳優さんであるマ・ドンソクさんの主演映画です。これがエンターテイメントとして素晴らしいのですが、脚本と演出が本当に凄く良かったです。もちろんマ・ドンソクさんの魅力も素晴らしいのですが、私には脚本と演出、見せ方が素晴らしい作品。

3『悪の偶像』 イ・スジン監督

で、逆に全く評価出来ない作品がこの作品。レビューを読みに行くと、かなり高評価なんですけれど、私には脚本は0点だと思います。後出しじゃんけんをして、驚かそう、という事だけで作り上げた脚本なんです。凄く脚本が都合良い。

4『存在しない子供たち』 ナディーン・ラパキー監督

これも素晴らしい作品でした。主演の子供の瞳の演技が凄すぎました。

と言うような感じで全然時間が無い中ですが、少しは観れて良かったです。でも感想をまとめる時間は無い・・・

今は人事担当の仕事をしていますけれど、面接だけでその人がどんな人なのか?を判断するのは難しいと痛感しています。

才能、そして、波及。

2021年3月18日 (木) 11:29

才能、センス、そういうモノに惹かれます。

ある決まった様式があり、その様式を極めつつ、さらに解釈を広げ、その先を目指す。そういう飛び受けたセンスを、カリスマ性がある、とか天才、と呼ぶのだと思います。

型を知った上で型破りが行える、自己流ではなく、基本、基礎を身体に沁み込ませる努力なくして、その先は存在しないと思います。そして、映像やら資料が蓄積され、誰もがその存在を知った上で、その先を見せる事は、とても難しくなっていきます。テクノロジーが発達すると、誰もがある程度のレベルへ行ける代わりに、オリジナリティが生まれる機会がぐっと少なくなるのではないかと思います。

フットボールで言えば、ペレの時代にオーバヘッドシュートを放てる人は世界に5人もいなかったはずですけれど、現在のフットボールでは、恐らくプロのほとんどの人が出来ると思います。真似る事は簡単ですけれど、オリジナリティを生み出す事は、とても、とても稀有な事だという事です。

私は生で見た事がありませんし、彼のオリジナリティを言葉やテクニカルの部分を説明する事が出来ません。しかし、明らかに、センスがあり、他の誰とも違うオリジナリティを感じさせ、その上、型破りな突き抜けを感じます。エピソードにも事欠かない(映画祭に呼ばれて参加したために、レッスンを休んだので団からの解雇を告げられたり、全然練習に来ないのに、いきなり本番のごとく出来たり・・・)まさに型破りな天才がこの世を去りました。

パトリック・デュポン (1959.3.14-2021.3.5)

パリオペラ座のエトワール。私が認識したのは、引退してからですし、僅かな作品しか知りませんけれど、バレエは古典芸能なので、特に、演者が誰なのか?が光る芸術だと思います、落語にも共通する部分があると思います、そういう意味で。

「失われた時を求めて」をローラン・プティが振付したこの作品は音楽と言い、振付と言い、個人的には1番どの演目よりも好きなのですが、最初に観たのはこの作品でした。本当に素晴らしく魅力的です。

落語的、と言う意味で1番分かりやすいのは、多分、永遠のアニキ、ベジャール先生の振付した「ボレロ」だと思います。古典芸能(とはいえ多分まだボレロという演目はコンテンポラリーに属すると思います)ですから、細部の違いが分からないと、この凄さは理解しにくいと思いますし、私もほぼ何も知らないに等しいのですが、まぁボレロと言ったら、普通はジョルジュ・ドンなわけです。ベジャールはドンに振り付けているわけですし。個人的にはデュポンのボレロを見るまでは、ダンサーの好みとして、マリシア・ハイデのボレロが変則的であっても面白かったし好きだったのですが、自分の好みが更新された気がします。その後様々な踊り手がボレロを踊っていますし、映像にも残っていますけれど、女性で言えばシルヴィ・ギエムも圧倒的なんですけれど、この追悼のタイミングで観たデュポンのボレロはすさまじかったです。キレのソリッドさは(こんなに映像として古くて不鮮明なのにも関わらず!!)、多分誰よりもキレッキレだと思いますし、1番恐ろしいと思ったのは、そのAndrogynousです。

首藤さんのボレロ

デュポンのボレロ

生では私は首藤康之さんのボレロを観た事があるのですが、首藤さんの場合はとても日本的で、両性を消す方向に働いていると思いますし、とても能とか詫び錆びを感じられます。が、デュポンの場合は両性ともが激しく主張し合っているのに、統合されていて、恐ろしく感じます。ちょっと見た事が無いです。そう言えば確かに普段からAndrogynous的な魅力があったと思います。

残念がれたり、惜しむほど、生前を知らなかったし、理解出来ていなかったから、悲しむという程の事を言える立場には無いのですが、残念だと思います。この人が指導者として、育てた人を見て観たかった。天才と簡単にカテゴライズされるのは、多分本人は嫌だったんじゃないかな?と思うのですが、それでも、個性溢れる唯一無二(とはいえ全員人間としては唯一無二なのは当然だとして、バレエダンサーとして、と言う意味)のダンサー。

そしてもう1人、全くジャンルは違いますけれど、長く第一線で活躍され、今年51歳になる私は幼少期から見ていたわけですが、その当時は全く認識していなかったのに、その方の仕事をそれこそ繰り返し、何度も何度も見続けた結果、ある種の刷り込みまでされている、と言ってよいと思いますし、私と同世代で観た事が無い、と言う人はほとんどいないと思います、ただ、それが大塚さんの仕事だとは気がついていないだけだと思います。

大塚康夫  (1931.7.11-2021.3.15)

私が最も見ている大塚さんの作品と言えば、間違いなく「カリオストロの城」です。

幼い頃に刷り込まれているので、どうしてもワクワクしか感じません。よく考えると本当におかしなストーリィなんですが、それを越えて、動きの面白さ、音楽の素晴らしさ、演技の妙があって、何度でも観てしまいます。


全然ジャンルは違いますけれど、偉大、と言う意味では同じですし、また地上が味気ない世界になったと思います。

もうすぐ総会があります

2021年3月12日 (金) 09:37

ttえも、とてもいろいろ忙しい毎日です・・・年度末ですし、初めての役職での総会がもうすぐですし、コロナ禍で、会議もリモートですから、なかなか意思疎通も難しい毎日です。その分テクノロジーの有難さは理解するのですが、直接会って話をすれば済む事に、手間暇をかけなければなりません。

ですから、カルチャーを摂取する余裕がなく、本を読む事も難しい上に、映画さえなかなか見る事が出来ませんし、多分心の余裕がないので、見たい、と言う気持ちにそもそもなりません。

で、そんな中だからこそ、ベタが心地よく響きます。

今はこんな気分。

BPMを、録音された音を加工する事が出来なかった時代に、完璧主義者のお兄さんの支配下で、いや、だからこそ出来上がった曲だとも思いますが、ニクソンに褒められる事がどれだけきつかった?と思うと、大変厳しいと思いますが、時代を経ても輝きを失わない曲。

歌詞も、納得の心境です。みんな知ってるけれど、きっと、この人とは大丈夫、と思っての行動なんだと思いますが、私は人としての能力が低いと自覚し、自覚させられる場面が多いので、冷静になれるのかも。

頭に虫が湧いている状態での判断って誤りを後で嫌と言う程気がつかされます。

そもそも人と人とは理解し合えないもので、だからこそ、それでもなお関係を築き上げ続けられる人という認識が無いと、難しいです。そういう意味で、友情ってスゴイ。ジェーン・スーさんの言う目減りしない資産価値だと思います。

R.I.P

2020年10月13日 (火) 09:35

今とても忙しく、いろいろまたご報告致しますが、とても悲しいニュースだったので。

また、本当は、その存在が消えたから、何かのアクションを起こすのは、とても下劣な行為で下品だとも思います。生きているうちに、何をしたのか?なにを伝えたのか?だと思っていますが、それでもあまりに大きな存在だったので・・・

みんな好きな曲があると思いますけれど、私にとってはこれ。だけじゃないんですけれど、ぱっと思い浮かぶのがコレ。

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