井の頭歯科

芥川 龍之介 「悠々荘」 を読んで。

2018年4月25日 (水) 14:52

ふとした事から、芥川龍之介の「悠々荘」を読みました。

青空文庫で読むことが出来ます( こちら )。

大変短い文章ですが、味わいある文章で、とても景色的なヒロガリを感じさせてくれる文章だと感じました。

私はそれほど良い芥川の読者では無かったと思いますが、「羅生門」や「トロッコ」や「蜘蛛の糸」など短編集は読んでいたと思います。非常に寓話的な傾向の強い方だとおも思ってますし、短編ばかり読んでいるので長編小説を書いているかも知らないくらいの読者です。

鵠沼のある洋館の前に友人3人と佇み、洋館の中を見て主人を想像したり、ドアベルを鳴らそうと押してみたが、鳴らなかった。

というただそれだけのスケッチのような散文だと思います。

私はそれほど詳しくないので、文字通りにいろいろ受け止め感じるた感想としては、とても安らかなな気持ちで、気心の知れた友人との散歩の途中に洋館をみかけた主人公が、その名前である「悠々荘」という名前からは少しずれつつある、手間がかけられていない館を見て回り、庭に入り込み、薬瓶やら作りかけの彫刻、蝋引きの窓かけなどから住人の病状や現在の状況を推察しつつ、衝動的に呼び鈴の象牙のボタンを押してみたら鳴らなかったが、鳴っていた事を考え恐怖し、悠々荘という名とのギャップを感じた話し、と感じました。

主人公の心情はあまり吐露されませんが、私にはとても穏やかな気持ちだったのではないか?と感じました。また不思議な清々しい感覚と同居する、ちょっとだけ不穏な空気も感じ取れます。

この文章を批評する論文も1篇読ませていただきました。

芥川作品の成り立ちや芥川の個人史的な中での作品の意味合いまで、解説されると、とても納得してしまう内容でした。

いつか私も、ある作品についてこんな風に論文の形はとれないにしても、まとめてみたいなぁ、という気持ちになります。

そういえば、太宰は芥川に憧れていた、と何処かで読んだ気がします、普遍的な評価をされたい、という太宰のアンビバレントな気持が反映されているんじゃないかな、と昔感じたのを思い出したりしました。

また時間が出来たら、もう少し本を読める生活に戻りたいと思っています。

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