井の頭歯科

「生きるとか死ぬとか親父とか」を読みました

2018年6月10日 (日) 13:13

ジェーン・スー著    新潮社

何故か?カミングアウトに恥ずかしさを覚えるのですが、私はラジオリスナーです。少なくともテレビよりは文化度が高い、と感じています。そんなラジオのパーソナリティのジェーン・スーさんの新著(以前にも読んだ本「私たちがプロポーズされないのには101の理由があってだな」の感想は こちら )が出版されたので手に取りました。

私が存在するという事は、当然親がいるわけで、そして家族とは、大変ありがたい存在でもあり、当然それだけでなく、何かしらの強要やルールが存在し、子どもはその事に慣れたり、躾だったりするわけです。端的に、良い面もあるし、良くない面もあるわけです。

そんな葛藤もある敏感な家族の問題に、著者ジェーン・スーさんが、異性の親である父との、父だけではない面(息子、兄弟、夫、親戚等そしてもちろん父として)を掘り下げてみようと試みたエッセイです。

このお父さんが結構変わった方でして、言動だけ拝見すると、著者が使っているフレーズなので引用しますが、石原慎太郎とナベツネを足して2で割らない人、という方なんですが、どっこい、このエッセイでもその片鱗は垣間見れるものの、大変愛嬌があるんです。

とてもマッチョで、かなり自己愛が強く、それでいて女性に好かれ、事業を成功させ、その妬みから怪文書を流されたり、それでも仕事先とはトラブルにさせない愛嬌あるジェーン・スーさんの父に、なんとなく私の父の側面について考えこんでしまいました。

スーさんの父との距離の取り方、そして今回の(とはいえ、これまではスーさんでさえ、避けていた)その距離の縮め方、父と娘だけの家族の関係を、父の子ども時代からひも解いてゆく過程が良いと感じました。とても私には出来ない事ですから。

異性の親との距離、なかなか難しい問題です。日本はマザーコンプレックスには大変優しい社会ですので(この話しになるといつも思うんですけれど、自分の結婚相手としてはマザーコンプレックスには非常に敏感に嫌悪感を抱いておきながら、母親になるとマザーコンプレックスを認める以上に積極的になって欲しい、と思っている人が多いように感じるので、本当にヘンテコリンな、まるでカフカ的な迷宮にいる気になります)息子と母親の葛藤はそれほど問題にはならないですから。

私も両親を、親としての側面だけではなく、もう少し離れて関係が結べるよう努力を払ってもいいかな、と思わせてくれました。

しかしジェーン・スーさんのご尊父はなかなか面白く、しかし近親者だと結構大変だろうな、と感じました。

両親との関係を考えてみたい方にオススメ致します。

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