井の頭歯科

「バーフバリ 伝説誕生」と「バーフバリ 王の凱旋」を見ました

2018年12月17日 (月) 09:02

S・S・ラージャマウリ監督       ツイン

2018年見逃し後追い作品その11

公開当時から各所で話題になっていたのですが、時間が合わなくて断念していた、しかも今年の中でも最も大作の映画です。ですので、見逃し後追い作品の中でも最も見たかった作品!でも、それぞれ2時間越えの作品でしたので、一気に観る事は難しかったのですが、既に12月も半分を過ぎてしまいましたので、今年公開作品の私の観た35本目の作品になります。映画に詳しい人、映画が好きな人にとっては30~40本って年間ですとかなり少ない本数になると思います、もちろんその年公開作品で、ですけど。まぁでも私のレベルですとこの辺が限界ですね、週1本で約50本ですから、本当に微々たる数字です。

架空の古代のインド。手傷を負った女性が赤ん坊を抱いて兵士から逃げているのですが、河の前で力尽きそうになり、シヴァ神に訴え、自らは亡くなるも子供は付近の村長の息子として育てられます。逞しくそだったシヴドゥは想像を絶するような滝を登ろうと挑んでは、落下する毎日です。そんな時に・・・というのが冒頭です。

恐らく、ストーリィ的には、物凄く平坦な勧善懲悪モノですから、普段の私の好みからは、とても離れた作品と言えると思います。娯楽大作、エンターテイメント大作、と謳われていますけど、その通りだと思います。が、それだけでない傑作と感じました。誰が見ても分かる話しと、その話に深みと説得力、世界観を見せるのは全然違う作業で、大変緻密に出来上がっています。

例えば、男子は名作に挙げる率の高い作品のひとつにクリストファー・ノーラン監督作品「ダークナイト」があると思います。いわゆるヒーローモノですし、そういう意味では女性からは全然引っかからない話しかも知れませんけど、深み、とてもたくさんのレイア―で出来上がっていて、善悪を完全に分けるには難しい話しを扱っていて、ストーリィは大変込み入っているとも言えますし、長い映画でもありますけど、この作品と比べると、バーフバリは圧倒的に分かり易く、面白く、圧倒されるシーンの連続です。それなのに、とても深みを感じる部分がたくさんあります。ストーリィが込み入ってなくとも、深みを出せる、レイヤーを重ねる事が出来るという斬新な映画体験になっています。

バーフバリは一見超人的な能力の持ち主なんですけれど、その使い方、魅せ方、能力の結果の波及の仕方、さらに決めのポージング等々様々な工夫を凝らした傑作なので深みを感じ、ただ単純に、驚き、バーフバリを称えるしかなくなってしまうのです。もちろんCG効果はたくさんありますし、ある種なんでもありな、世界なんですけれど、それを飲み込ませる努力、世界観に没入させる技術、に特化して作品全体が作られているので、エンターテイメントとして、そしてインドの日常を知らなくとも、その世界観に飛び込める「古代インド」という設定の素晴らしさにきめ細かな配慮を感じます。まさにおもてなしの為の努力の結晶だと感じました。

アクションシーンは本当に凄いです。私はアクション映画に詳しくないんですけれど、こんなに気持ち良くなれるアクション映画って見た事ないです。止め絵の美しさ、クイックモーションとスローモーションを多用する事で、物凄くBPMの早いリズム感が出ていて、それだけで気分が高揚するような仕組みになっていて、本当に素晴らしい。超人のする事を徐々にエスカレートされるので、確かに最初に、最後の方の戦闘シーンを見せつけられたら、シラケてしまいかねないのに、物語の最後に、大団円になる時間までこの映画を見ていると事も無げに飲み込めるようになっています。

何と言っても主役のバーフバリの人、この映画を見るまで、宣伝や映像で見ても、まぁ普通のインドの方ですね、とか感じていたんですけれど(なにしろ普通のオジサンに見えるわけですけど)、すみません、私が間違ってました、もう映画を見た後ですと、王にしか見えません、美しいです、神々しいです、ひれ伏したくなります。というくらい映画を見る前には絶対に戻れないほどの傑作。ヒロインがまたとても美しいです。

かなりの大多数の人が、この作品を面白い、と感じると思います。娯楽作品として、何もかもが揃っている、しかも大変整理された状態で、気持ちいいとはどういうことか?を考え抜いた結果だと思います。

この1作でS・S・ラージャマウリ監督は私の中で巨匠という事になってしまいました。

以上、素晴らしい点をいろいろ挙げましたけど、好みじゃなかった点も書き留めておきたい。それは、ストーリィを勧める為に、誰かに悪役になって貰わねばならない点に、もう少し工夫が欲しかったという事です。カッタッパの行為、私にはどうしても頷けなかったです、1度ヒーローがストーリィの中で落ちるための、そして再度上がるための、仕掛けに感じてしまいました。もし、カッタッパに自身に心情だけでなく身体にも傷が残るような展開であれば。もう少し飲み込みやすかったかも知れません。何となくSWエピソードⅢのアナキンのダークサイド落ちの納得のいかなさと同じなんですね。

また同様に、シヴァガミの心の狭さ、今まで寛大で公正だったのに、嫁姑問題になると、途端に典型的な姑的な人物になってしまうのも同様の違和感を覚えましたが、でも両方とも、観ている時は大変気持ちが高ぶっていますので、そんなに気になりません。それくらい世界観への、作品への没入感が強い作品!!!あ、でもシヴァガミの、目を見開く表情、三白眼を超える四白眼で、恐ろしいです。

手放しで傑作と言える娯楽大作でした。

インド映画をまだ見た事が無い方、エンターテイメント作品が好きな方に、強くオススメ致します!王を称えよ!

正直、この映画を見た後ですと、たいていのエンターテイメント作品が、エンターテイメントにならなくなってしまう、ある種の劇薬かも知れません。エンターテイメント作品の現状の私の中での頂点にいる作品だと思います。このスケールで太刀打ちできる作品は、私の知る限り「ロード・オブ・ザ・リング」3部作くらいしかないと思いますし、同じエンターテイメントとしてのふり幅としては、重厚な原作と作り手の意味からも、エンターテイメントとして負けてしまっているとも感じます、いや、映画に勝ち負けとか順位とか無いんですけどね。

なかなかバーフバリの世界観から現実に帰ってこれません(笑)観た方なら分かっていただけると思います~

“「バーフバリ 伝説誕生」と「バーフバリ 王の凱旋」を見ました” への1件のコメント

  1. […] 昨年見たインド映画「バーフバリ」(の感想は こちら )、その衝撃があまりに、あまりな体験だったので、今年は「インド映画強化年間」として、出来るだけインド映画の私の中の空 […]

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