井の頭歯科

「AMERICAN FICTION」を観ました

2024年3月22日 (金) 09:06

 

コード・ジェファーソン監督    ORION    Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は3/23
いろいろ忙しいのでなかなか劇場に行く時間が取れません・・・こうしている間にも、どんどん新作が公開されているし、仕方ないけれど。でもそう言えばAmazonprimeで観られるって、「BEAU IS AFRAID」の解説動画で興味深かったぷんすこ太郎さんのTwitterでこの映画面白いって言ってたな、と思い出したので観ました。
めちゃくちゃに面白い作品です!今年の映画の中の軸になる作品。これより面白かったら、間違いなくベスト5には入る。
大学で文学を教え自らも作家(アメリカだとよくあるみたいですね、うらやましい)であるモンク(ジェフリー・ライト)が学生に講義をしていますが、古い作品の中に現代では差別用語にあたる単語について学生から質問があって・・・というのが冒頭です。
風刺 映画だと個人的には捉えましたが、本当に声に出して笑いました。凄くおかしい。面白いとか興味深いとかファニーとか笑いとか、そういう事をまとめていうと今作品はまさに風刺の効いた現代映画だと思います。
凄く、馬鹿馬鹿しい話しですし、原作があるようなので、読んでみたいと思いました。
でも、狙いが凄くイイですし、風刺だけでなく、入れ子構造になっているのも素晴らしいし、時折入る風景や構図の素晴らしさも、エッジが効いています。緩急が見事ですし、そこに合わせる音楽もサイコー。ジャズが好きな人だと思います。
役者さんも皆さん素晴らしかったですし、何というか、そういう人に見えるんですよね、そういう部分がリアルに感じさせてくれる何かだと思います。
本当はきっと、誰でも、特に文章だと、肌の色なんて関係ないし、優れた文章を書く作家を、優れた作家と呼ぶのが正しいと思うのですが、そういう事にはアメリカでもなってないようです、本当の所は知りませんけれど。日本では一時期は文学賞メッタ斬りという文学賞批評が機能していてくれたのは面白かったのですが、私が年間で本を数冊しか読めなくなったので、この手のジャンルまで理解する事が出来なくなり、だんだんと距離を置いてしまいましたが、映画よりも、読書はずっと能動的ですから。余裕が無いと出来ませんよね。
心情として、作家で憤りを感じているモンクに共感してしまうんですけれど、でも、ちょっと、という気もする。
それに字幕だと、兄さんだったり弟だったりと、ちょっと気になると思うのでもう少し精度を上げて欲しい、字幕を読むのは気にならないけれど、さっきと違う表現で呼ばれてると、ちょっと思考の遅れが生じてしまうので。
しかし、アメリカで生活するのって、凄くお金がかかるんでしょうね・・・うちの国は随分と貧乏になったし、自業自得なんだけれど、きついね。
本のタイトルを変えるシーン、マジで大爆笑でした。
ロバート・アルトマン監督作品が好きな方に、是非のオススメですし、風刺が好きな方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想になりますので、未見の方はご注意を。
モンク(絶対これセロニアス・モンクから来てると思うんだけど)は本当に世の中つまらん、なんでこんなに馬鹿にされて怒らないのか?と考えていますし、だからこそ、自分の手で、その馬鹿々々しさを本にしてみたわけです。だって私だってアフリカンアメリカンなのに!というわけです。
なにしろしょっぱなから、白人の学生が、黒人の別称を言及してくるんですけれど、それは、その時その時代はそう呼ばれていたし、そういう扱いを受けていたわけです。本当にそうだったし、その時代使われていた単語を現代では差別用語になったからと言って、しかも授業で、不適切だから止めて欲しい、というのはやり過ぎだし、過去を変える歴史修正主義と言うモノだと思うのですが、その後もあまりに書籍が売れない、しかも売れているアフリカンアメリカンの女性作家のタイトルといい、あまりの酷さに、それなら俺もやってやる、とばかりに書いた書籍がバカ売れしそう、という話しなわけです。
でもこのモンクは、家族の他の人間は全員医者で、家政婦もいて、ま、上級なクラスの人間なんです・・・教養もある、それに白人への理解もある人なんです・・・
それがステレオタイプな小説や表現を用いてベストセラー作家になっているなんてオカシイ。と、思っている。
だから自分もそれくらいは書けるし、偽名で書いてしまうのですが、どんなに馬鹿々々しく、つまらない話しを書いたつもりが、前金で大量のお金が入ってくる、皮肉。
やることなす事上手くいかなかったのに、突然馬鹿なふりして書いた本が売れる、嬉しくはあるのですがモンクの心中は複雑ですよね。だってバカにして書いてるのに、それすら白人からしたら、リアルに見えているってどれだけ距離が存在するのか、という事になってしまいます・・・
馬鹿にするつもりで書いたら、本気で取り上げられてる・・・しかもあまりに頭に来たので、Fワードのタイトルに変更しなければ契約しない、とまで言ったのに、OKされてしまう、これどこまでオリジナルの原作者の体験談なんでしょうね。
モンクの家庭は凄く上品で上流です。お金持ち。そんな家で育っていても兄弟にはホモセクシャルな人もいますし、とても開かれている。だからモンクは想像で書いてるのに、リアルに感じられるって・・・
そんな上流階級でも、アルツハイマー、介護、離婚、とかが襲ってくるわけです。
可能性って言う言葉は不遇な境遇にいる人が使う言葉、には結構納得してしまいました・・・
皮肉もあるけれど、これは入れ子構造で、しかも映画化する事の脚本として、とラストはなってて、その上、結末に問題を感じて監督から変更させられて、その上、個人的には1番最初の案、結末は想像にお任せする、というのを却下された後に、警察に撃たれて死ぬパターンが大絶賛・・・いや、監督よ、それはもうずっと描かれてきてるよ・・・せめてスパイク・リー監督作品は観ておこうよ!とは思いましたが、こうやって幻想のアフリカンアメリカンが再生産されているのかと思うと、タイトルのAmerican Fictionというタイトルの意味がDoublethinkみたいにも取れるし、上手い。
しかもこの監督長編デビュー作品みたいですね、マジでシンジラレナイくらい上手い。

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