井の頭歯科

「ボルベール〈帰郷〉」を見ました

2010年8月19日 (木) 09:01

ペドロ・アルモドバル監督            ギャガ・コミュニケーションズ

何か面白そうな、週末のんびり過ごすためのものが無いか?とレンタルビデオ店で見かけたペネロペさんと明るい色彩のパッケージで決めましたが、これが素晴らしい作品でした!が、日曜日にのんびり、向きではなかったです。DVDの表紙のデザインのよさ、ペネロペ・クルスの美しさに惹かれて選びましたが、せめて裏側のあらすじくらい読んでから選ぶべきだったかもしれません。のんびり日曜日~には向きませんが、非常に練られた、作りこまれた脚本に、監督の作品にかける熱意、キャスティングも良くて、しかもどの俳優さんの演技も素晴らしかったです。

ライムンダ(ペネロペ・クルス)は姉のソーレ(ロラ・ドゥエニャス)と自分の娘パウラと共に自らの故郷である土地に帰って墓参りをし、そこに眠る両親に祈ります。故郷には叔母(母の姉)が1人で暮らしていますが、ひどく危なっかしく、どうにかならないかと気を揉んでいます。しかし引き取ろうにも家には夫がいますし、その仲もあまり上手く行っていません。叔母の家の向かいにはアグスティーナ(ブランカ・ポルティーヨ)という仲の良い女性が住んでいて、何かと叔母のことを気をつけてくれています。なんとか帰郷を済まし、暮らす町に帰ってきたライムンダに夫パコは失業した、と告白。ライムンダの仕事にかかる負担は増え、しかも仕事を終えて帰ってくると、娘パウラが待っています。パウラの表情は冴えず、しかも・・・

というのが冒頭のシーンです。説明的になり過ぎず、映像も綺麗で引き込まれます。どこかファンタジックにも感じさせる映像でこの先の展開は全く予想だにしませんでした。

基本的に夫のパコ以外には端役でしか男性は出てきません、パコにしても端役と言っていい、女性の為の女性の映画です。非常に重いテーマを扱っていますし、簡単に言及出来ない種類の話しを題材に使っているのですが、脚本は素晴らしい。現実味は無くとも、ファンタジーでもなく、だからこその不思議な感覚に落とし込まれます。もし女性が見たなら、強く共感するのかもしれません。私は非常にショックを受ける内容でしたし、母と娘の関係性の複雑さを感じました。また何事もを乗り越える強さも。

あまり言及できないんですが、こういうことは稀な例だとは思いますが、あるのでしょうね・・・酷い話しですし、ちょっとショックでした。それでもこの映画は素晴らしい映画だと思います。よく考えられたストーリィですし、出てくる女性の役者さんは皆いいです。特に私は姉のソーレを演じた役者さんは面白いと思いました。

しかし、どんなにいい映画でも受け手の心の状態(お気楽モードでした)によっては結構キツイな、というのが正直な感想です。のんびり日曜日に見る映画ではなかったですが、見てよかった映画ではあります。

関係性、ということに興味のある方にオススメ致します。

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