井の頭歯科

「クロニクル」を観ました

2013年10月11日 (金) 09:13

ジョシュ・トランク監督     20世紀フォックス

わずか2週間しか公開されない予定だったSF映画という事で興味を持ちました。予告編を見てより惹きつけられたので劇場に観に行きました。いきなり結論ですが、素晴らしく面白かったです、ただし男子に限られる作品かも知れませんが。

家にも、学校にも居場所を作ることが出来ないアンドリュー(デイン・デハーン)は高校生です。父親は強権的で母親は寝たきりですし、学校でもからかわれてクラスの中でも一人でいることが多いです。そんなアンドリューはビデオカメラに興味を持ち、自分の生活を映そうとします。いとこで車を持って通学で同行してくれるマットは学校でも人気者でもあるのですが、最近仲良くなりつつあるくらいの感じです。どこへでもカメラを持ち歩こうとしているアンドリューの自閉性を諭してみたりする兄貴のような存在で唯一の友人と言えるのですが・・・というのが冒頭です、というか、何も知らないで映画を見に行った方が良いくらいのフレッシュな映画です!一応予告編を張ります!

YouTube Preview Image

ネタバレは極力なし、何も知らないで映画館で見るのが最も正しく、そして最も面白く観られるというポリシーをお持ちの方は是非予告編も観ないで鑑賞していただきたいくらいの面白さです。青年成長譚が好きな方、SFが好きな男子(かつての男子含む)、モキュメンタリーが好きな方にオススメ致します。

アテンション・プリーズ!
そうは言いつつ感想を多少のネタバレ含んでまとめてみたくなったので、未見の方はご注意くださいませ。

高校生くらいの思春期の(と、言いつつアメリカの高校生は車を運転出来たり非童貞だったりするんですねぇ・・・)格差は大きいんでしょうけれど、アンドリューが不憫過ぎますし、だからこそとても感情的に揺さぶられました。

前半の、なんとかアンドリューの殻を破らせようとするマットとの関係性にもう一人の人気者でもあるスティーブが絡むことで、より受け入れやすくなっていく様が素晴らしい。2人でなく、3人であることが非常に重要だったの理解できますし、丁寧な作りになってます。青春モノとしても素晴らしいです。

超能力、という非日常を描いてはいるものの、成長譚として見る事のできる物語でして、最初は所詮高校生の考える事ってこういうくだらない部分だよな、というところから、徐々にチカラを持つことの意義を問いかけられるかのような部分と、その下地として恵まれている、コミュニケーションが取れていて他者との関係性や承認、信頼関係が築けている人間と、疎外感や孤独を味わい続けている人間との違いが印象的でした。

あるきっかけで友人と、ありえなかった友情を得て、感じた事のない幸福感を感じ得たからこそ、それでも自分だけ日常の環境に変化がなく未来や家族関係の閉塞感が、よりキツくなっていくアンドリューの心情を察するに余りある暴走だと感じました。知ってしまったからこそ、渇望感が鮮明になっていき、恐らく少しでも客観的に自分をみつめよう、他者との距離を受け入れようとして始めた録画が(だからこそ何度も見返していた!)、結局自らの認証を得られたような錯覚を肥大化させてゆく結末に撃たれます。

アンドリュー役のデイン・デハーンさん、一見レオナルド・ディカプリオやハーレイ・ジョエル・オスメント風の好青年ですが、素晴らしい演技だと思いましたし、マット役のアレックス・ラッセルの演技も素晴らしかったです。特に最後の最後のマットの決断、そしてある場所にカメラを持って現れるシーンとこだまが美しいです。

アンドリューにも、そしてマットにも感情移入してしまいました。アンドリューも避けられなかったでしょうし、マットもこれ以外の結末は無かったからこそ、余韻が深いです。

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