井の頭歯科

「想い出づくり。」を見ました

2014年7月1日 (火) 09:31

山田太一脚本     TBS制作

ふとしたキッカケで手に入れたTBS制作の1981年のドラマを見ました、全14話。

山田太一脚本のドラマは結構好きです。と言っても見たことがあるのは「ふぞろいの林檎たち」と「岸辺のアルバム」と「ありふれた奇蹟」くらいしか見たことが無いのですが、特に「ふぞろいの林檎たち」と「岸辺のアルバム」は結局本でも読みましたし、とても好きなドラマです。

その後長谷川 正人著「敗者たちの想像力 脚本家 山田 太一」という本を読み(の感想はこちら)、もっと見たいと思っていましたので良かったです。

なんというか、日常の生活感がある、名も無き人の平凡な暮らしの中に起こるドラマを見せてくれる人、という認識があります。特別じゃ無いからこそのリアリティを感じさせます。で、この作品もそんな感じでしたが、とても面白かったです。

ガムの工場で働くのぶ代(森 昌子)、ロマンスカーのウェイトレス久美子(古手川 祐子)、商社のOL香織(田中 裕子)は、それぞれ新宿の街頭でアンケートに応えます。するとアンケートを聞いてきた男(柴田 恭兵)はお礼を配るからと称して日曜日に新宿のあるビルに来て、と言いながら去って行きます。日曜日に集められたその30人ほどの中にのぶ代も久美子も香織もいます。そこは旅行代理店のような組織なのですが、格安チケットを手に入れられる代わりに会員にならなければならないというのですが・・・というのが冒頭です。

結婚適齢期の3人の女性を主人公にした、結婚にまつわるドラマなんですが、結婚を扱いながら、実は家族のドラマであり、それぞれ複雑な家族の中で、娘という立場のいかに選択肢が狭いか?ということを考えさせられます。当時の状況がどうであったのか?私もその時を生きていたのに全然分かりませんけれど、たった30数年前にはこれほど変わってしまっているのか?と考えると複雑な気持ちになります。

のぶ代(森 昌子)の父(前田 武彦)は町工場に勤めるステテコの似合う親父であり、母親は典型的な口うるさい小言を言いますし、高校生の弟はぐれていて家庭の中は大変せせこましいです。父の町工場の社長から10近く年上の甥っ子との見合いを断ったのに言い寄られ続けます。

久美子(古手川 祐子)は静岡から上京して1人暮らし、静岡に住み洋服屋を営む父(児玉 清)はインテリではあり一人娘である久美子を信頼しつつもとても気がかりで、母親は夫を完全に肯定する追随者です。付き合っている彼はいませんがなかなかの頑固者です。

香織(田中 裕子)は商社で働くものの、大事な仕事は任されずにお茶汲み仕事に辟易しています。福島で市役所に勤める父(佐藤 慶)は口やかましく結婚をせっつき、母(佐々木 すみ江)は兄夫婦との諍いが絶えず、実家を疎ましく思っています。

そんな3人がそれぞれの思いの丈を話し合える友人となって行き、それぞれの生き方を模索していくのですが、父親との葛藤がとても面白いのです。

人生の一大事、それを強く意識させられます。現代から見るととても不自由に見えますが、不自由だからこそ抵抗しようという『熱』があるように感じました。

詳しく知らなかった役者さんですが、佐藤 慶、児玉 清、前田 武彦の3人の父親役がとても良い味わいでして、特に佐藤 慶は非常に上手いと感じました。また娘3人の中ですと田中 裕子の演技も上手いと思います。

最終回の3回前に大きな事件が起こるのですが・・・見応えありました。
山田 太一ドラマが好きな人にオススメ致します。
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