井の頭歯科

「岸辺の旅」を見ました

2017年3月17日 (金) 15:56

黒沢 清監督     シヨウゲート

凄い映画です、二つの感情を想起させながら、どちらも間違っていない、という稀有な体験をさせてくれる映画でした・・・予告編を見たのと、黒沢清監督なので手に取りましたが、凄い映画です。

3年間失踪していた夫(浅野忠信)が、突然帰宅して驚く妻のミズキ(深津絵里)。しかも夫は自分が死んだ事を告白し…というのが冒頭です。

予告編からは想像もできない、物凄い映画体験でした。黒沢清監督作品は「キュア」(の感想はこちら)の時も驚かされましたが、今回も驚愕です。

一体だれがこの原作を黒沢監督にオファーしたのか?が凄く気になってしまいました。もしくは黒沢監督自らが取り上げたのであれば、演出(編集やライティングや音楽のかけ方など)で私はこういう風にこの原作を読みました、と感じられる映画になっております。

もし、この映画を観られた方がいらっしゃるなら、感想を聞いてみたい作品です、私は、正直、とても怖い映画だと感じました。

小松政夫、柄本明、の演技が光るのですが、本当に少しだけの出演ですが、バレエダンサー首藤康之の恐ろしいまでの存在感が素晴らしかったです。もちろん主演の2人も素晴らしいです。また、ロケーションが本当に凄かったです、どう凄いか?と言われたら、まるで現代ではなかなか出会えない錆びれた世界に見えるからです。

映画の世界は本当に広い、と感じている方にオススメ致します。

アテンション・プリーズ!

ネタバレありの感想を文章にしてみたくなったので。でも本作を見ていない方、また、本作で感動した、泣けた、という方には不快に感じられてしまう文章が含まれています、ご了承下さい。もちろんこんな駄文を読む必要はありませんが。

2000年代くらいから増え始めた邦画の流れに、死者との交流を感動的に描く、というモチーフがあります。最も私はそういう作品は見ていないのですが、割合感動もの、泣ける映画として流行した時期があると思いますし、現在多いのがその流れから派生している、記憶障害を扱ったモチーフです。当たり前ですが、観ていない作品を俎上に上げるのはどうかと思いますが、予告編からして「泣ける」をクローズアップされるとどうしても冷めてしまう性質なので、観ていないわけですが、しかし映画館の予告編でいろいろ見ました。その予告編で、既に死者が出てきて交流している場面が多かったと記憶しています。

死者が話せたり、見えたり、動いたりしたら、それはホラーだと思います。私はとても怖いと思いました。しかし、流れる音楽が非常にエモーショナルなのにも関わらず、とても恐ろしい事が起こっているようにしか見えなかったのです。音楽は感動的な感情を呼び起こすような曲なのですが、目の前で起こっていることが恐ろしかったのです。

1幕目にあたる小松政夫とのシーンは、まだしも、2幕目以降のピアノのシーン、父親との邂逅は本当に怖い。

また、非常にステレオタイプな蒼井優は私にそれほどの存在感は感じませんでした、そういう役柄なんでしょうし。

しかしバレエダンサー首藤康之の存在感はちょっと別格だったと思います(彼の ボレロ モーリス・ベジャール振付 のような凄い存在感!)。同年代の父親と話をする、という事がこんなにも恐ろしいものかと感じました。

多分いろいろな感じ方があって良いと思います、受け手によってかなり違った受け取り方がされる映画だと思いますが。

にしても!な予告編だと、本当に思います・・・

One Response to “「岸辺の旅」を見ました”

  1. [...] させる事が出来る、というのが本当に凄いですね。そして、黒沢清監督作品「岸辺の旅」(の感想は こちら )の役と似て非なる存在ヤサカを演じているのが凄いです、流石役者さん。 [...]

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カテゴリー: 映画 感想 | 1 Comment »
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