井の頭歯科

「母性社会日本の病理」を読みました

2020年1月24日 (金) 09:41
河合隼雄著    講談社+α文庫
師匠のオススメ本だったので。ちょっとした会話の中で、前々から思っている、ナンシー関が言う所の日本は何処を切ってもヤンキーとファンシーという名言がありますが、私に言わせると、日本男性はだいたいにおいてマザーコンプレックスとロリータコンプレックスしかいないと思っています。で、マザーコンプレックスというのは、基本的になるものではなく、作られていると思っているわけです。ロリータコンプレックスも犯罪ですけれど(ペドフィリア含む)、だいたいにおいて『若い』事に価値を置いているのはロリータコンプレックスでもあると思います。もちろん、若さ、というかけがえのない時間に美が宿る事もある訳ですが。なにしろ古代ギリシャくらいからずっと、男女ともに若くて美しいものに対して、文章やら彫刻やらで賛美してきた歴史もありますし。それこそ文化として刷り込まれているとも言えます。が、その度合いが、海外と比べても、強いように感じている、という事です。儒教的な考え方も、その考えを後押ししているとも思います。
そんな話の中で出てきた師匠のオススメですし、河合隼男さんをちゃんと読んだ事が無かったので手に取りました。
基本情報としては、ユング派の臨床心理学者、箱庭療法を行った人、くらいしか知りませんでした。
まず、母性社会である事の理由は宗教的な事と思って良いと思います。古事記から続く神話民話昔話含む伝承的な話しから、日本がいかに母性社会であるかを説き、第二次大戦以降にプロテスタント的、アメリカ文化の波を受けた事から、母性社会を基盤とした上での権利施行者としての家父長制である、という考え方です。これは非常に膝を打つ、納得できる考えだと感じました。
さらに卓見だったのが、場の倫理という考えです。
河合さんの言及されていますけれど、これはイザヤ・ベンダサンというか山本七平著「空気の研究」の事だと思います。まさに山本七平の言う水を差す議論です。その後には文芸評論家の斎藤美奈子さんの「それってどうなの主義」くらいしか私は知りませんけれど、もう少し研究が進んでいい考え方だと思いますけれど。あ、あとはたしか劇作家の鴻上尚史さんも「空気と世間」を書いていましたね。
母性社会では、個の倫理という考え方は無く、あくまで場の倫理において、日本社会は回っている。その為に、どんな立場の人も、被害者であり、責任を負わない、いや、負えない、とおっしゃっています。まさにその通りだと思いますね。
もちろんその利点もあり、またアメリカではプロテスタント的父性社会であるからこその母性との調和の難しさにも言及されていて、平衡感覚が素晴らしいと思いました。
最近読んだ酒井順子さんの本では、臆面もなく、我が子(男児)をマザコンに育て上げて、且つそれを周囲にも隠さない、という事態が起こっていると書いてありましたけれど(例として挙げられているのが、大学【!】ラグビーの卒業記念に、息子であるラグビー選手にお姫様抱っこをしてもらう事を、喜んでいる、という私からすると驚愕の事態・・・)、この本が書かれたのが1976年ですから、なんという先見の明、と感じると同時に、あまりにあまりな隔世の感ですね・・・
日本社会における父性と母性について考えてみたい方、山本七平著「空気の研究」を読まれた方にオススメ致します。

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