岡本喜八監督 東宝 U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 6/18
2025年は岡本喜八監督の生誕101年、そして2月17日は誕生日で、本日(つまりこの映画を私が観た日です)2025年2月19日は命日です。ちょっと前、2000年代初頭だったら、岡本喜八監督作品は観難い状況でした・・・しかし、流石U-NEXTさんです。そこで今回はこちらを観る事にしました。
強い風が吹き荒む天保4年の上州の荒れた宿場町。そこにやつれた侍が・・・というのが冒頭です。
うわ~めっちゃ黒澤明監督「用心棒」やないか~と最初は思いました。筋というか、設定が物凄く似ているというかほぼ同じ!
ですけれど、格調高い娯楽大作でマカロニウエスタンの原点と言われる「用心棒」を、岡本喜八監督が映画にすると、こうなるのか!という「用心棒」への岡本喜八の答えが、この映画、と受け取りました。
主人公は2名、無宿者をやっている源太を演じている仲代達也と、侍になりたい田畑を演じているのが高橋悦史。
基本的な流れは用心棒なんですけれど、ヒロイックにしないんです。大上段に構えない。ただ人間が生きて頑張る、それだけでも心を動かせるのが岡本喜八監督。格式高くないし、なんなら下世話でいつの時代も権力に組み敷かれている人たちのけじめとか意地とかを見せつつ、ラストにアレが来て、もう最高です。
仲代達也さんはもう別格にカッコイイ。2枚目も3枚目も出来る人なんですけれど、この映画の中では芯は通しているけれど、全然シリアスじゃない。完全にボケなんですけれど、そこがカッコイイ。そして無敵なヒーローじゃない人。怪我もするし完璧じゃない、そこに愛嬌もあるし、人間味があるんです。
だから人に好かれるキャラクター。この人物と関わって侍になりたい田畑=高橋悦史さんが、農家の魅力を、家老は老人の魅力を見せる。それぞれのキャラクターに花を持たせて、活躍の場が存在します。こういう所、みんなが岡本喜八監督作品にやられる魅力の一つだと思います。
だからこそ、その敵役が重要なのですが、演じる神山繁さんの渋さ、目の圧力、佇まいの格式、所作に説得力が無いといけないのですが、完璧だと思います。この人じゃないと成立しない物語。こういう所も流石岡本喜八監督!
岡本喜八監督作品が好きな人にオススメします。