井の頭歯科

「劇場版 きのう何食べた?」を観ました

2022年8月12日 (金) 08:24
中江和仁監督     エイベックス・ピクチャーズ
漫画の「きのう何食べた?」が面白かったのと友人にDVDをお借りしたので観ました。
今、よしながふみさんがご自分で作品解説をされている本も気になっています。非常に緻密な構成と機微に富んだ作品で特に「大奥」と「愛すべき娘たち」は名作だと思います。なんというか、ここまで視座が広い漫画はあまりないのではないか?と思うのです。
そんなよしながさんの原作は料理をしたことがある人であれば(と言っても私はほとんど何も出来ませんが・・・)何かしら気になる漫画だと思います。一応BLという事になっていますけれど、どちらかというと関係性を描いた漫画であり、基本的に少女漫画でも女性漫画でも同じですけれど関係性の話しを描かせたら、男性向け漫画は及ばない部分が大きいと思います。
シロさん(西島秀俊)は弁護士で料理担当、ケンジ(内野聖陽)は後片付け担当の男性カップルの日常を描いた作品です。
凄く、ケンジが女性的なキャラクターなので、俳優さんは本当に凄いなと思います。シロさん役は多分どんな俳優さんでもそれなりの形になると思いますが、ケンジのキャスティングは大変難しいと思います。でも、もしかすると俳優さんであれば、どなたでも出来るのかも知れません、それぐらい俳優さんの凄さも感じつつ、ケンジのキャラキターがそうなのですが、やり過ぎにしないところが難しいと思います。オーバーアクションなキャラクターではあるんですけれど・・・
そして山本耕史さんがまた美味しいキャラクターを演じています・・・この俳優さんはなかなかに面白い演技をされますし、非常にインパクトのある役をたくさん演じていらっしゃいますね。それと田中美佐子さんも久しぶりに観た感覚です、自分の年齢を感じます・・・
あと許可局員としてはマキタスポーツさんの安定したおじさん感がたまりません。どういうキャラクターでもマキタスポーツにしてしまう威力があると思います。
あと、ここは私が個人的に好きなキャラクターなんで、非常に惜しいと思てしまったのが、スーパーの店員さんです。この店員さんはほぼセリフが無く、まさに言葉ではないコミュニケーションが描かれる場面なのですが、もっと枯れた感じの冷たい美人をキャスティングして欲しかった。明らかにクール、という感じがもっと欲しかったです。
漫画であればコマとコマの間でありますし、読者の想像の許す範囲、最も行間を読もうとすれば読める部分を映像化して繋ぐと、非常に難しい挑戦になるのだな、と思う部分は結構ありました。弁護士であっても超一流で見栄えが良い事ばかりではないタイプなのではないか?と推察するのですが、超×2くらいの職場なので、ちょっと違和感ありました。ケンジの職場についても、そう思います。
ワタルくんことジルベールの所作も、何と言いますか、飲み込みにくさを覚えるのですが、まぁその辺は漫画原作ですし。
 
レシピをちゃんとやるのも良かったですし、梶芽衣子さんがまた良かったです、ま、このお母さんに凄い問題があると思うんですけれど、シロさんは現実ではいないレベルの優しさの持ち主なんで、しょうがないですね。

NHK岡本太郎式特撮活劇「TAROMAN」から「もっと知りたい岡本太郎 生涯と作品」を読みました。

2022年8月9日 (火) 09:34

https://www.youtube.com/watch?v=vT6jc1wwL8c&t=102s

 

 

NHKで放送されている番組岡本太郎式特撮劇「TAROMAN」が面白すぎて、もう少し岡本太郎について調べてみたくなり手に取りました。

 

 

曲があるんですけれど、これが岡本太郎の名言だけで出来上がっていて、しかも造形も面白くて、短くまとまっていて本当に面白いです。

 

 

全10話なんですけれど、そのラストも岡本太郎っぽくてサイコーです。

 

 

私もしがない昭和の生まれの今となっては初老のオジサンなので、岡本太郎についてはなんとなくは知っています。けれど、詳しくはないので、生涯をまずは振り返れる作品として手に取った本が

 

「もっと知りたい岡本太郎 生涯と作品」 佐々木秀憲著  東京美術  です。

 

岡本太郎の名言は少しは知っていますけれど、文脈が知りたくなりましたし、もう少し文章について詳しく知りたくなりました。絵画作品はあまり好みのシュールレアリスムでは無かったですけれど、作品の大きさが凄いなぁと思います。

 

 

もうすぐ岡本太郎展( https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_tarookamoto.html )があるようなので、是非観に行きたいです、いや、岡本太郎を体感しに行きたい気分です。

「平成くん、さようなら」を読みました

2022年8月5日 (金) 08:57
古市憲寿著     文春文庫
映画「PLAN75」を観たので(の感想は こちら http://www.inokashira-dental.jp/blog/?p=5201 )安楽死を扱った作品、と聞いて手に取りました。でも、あんまり安楽死の問題というよりは、凄くSFな作品で、パラレルワールドのような話しでした。設定は面白いのですが、平成くん、あんまり人には好かれないのでは?とも思いました・・・著者もその事を理解しているからこそ、平成くんの彼女視点の1人称で語られています。多分、この平成くんは著者がモデルなんじゃないでしょうか。よく知らなかったのですが小説家ではなく、社会学者の方のようです。社会学者にもいろいろな方がいますね。

(さらに…)

「無恥の恥」を読みました

2022年8月2日 (火) 09:18
酒井順子著     文春文庫
カミングアウト、というか告白すると、別に私だけじゃないでしょうし、かのルース・ベネディクト著の「菊と刀」でも言及されているように、私が最も忌避するのは『恥』です。だから、とても日本的であり、昭和的であると思います。罪よりも恥を恐れます。
そういう意味で、非常にそそるタイトルであり、しかも名エッセイストでありあの名著「負け犬の遠吠え」の酒井順子さんの文庫ですから、気がついたら購入していました。そして凄く短い時間で読んでしまいました。何かに集中して、本が読めるしあわせを、今は手にしているのだな、と思います。もし役職についていたら、こうはいきません。歯科医師会の理事をしている先生方には頭が下がります。
酒井順子さんが考え、感じる『恥』は95%同意出来ました。物凄く微細でささやかで、穿った見方とも言える部分もありますけれど、個人的には95%は同意出来てしまいます・・・
中でも気になったのが、中年とSNSです。いわゆるSNSを覚えた中年の「やらかし」について指摘しつつ、もちろんそれは楽しかったり、最初だからこそ、マナーが出来上がって無かったりしているからで、その後徐々に整っていくのも面白いと思いました。私の知り合いの年上の方が、頻繁にSNSに投稿している、という話しを聞くと、それはそれなりに恥ずかしい事だな私のような考えですと、と感じます。もちろん、皆が好きなように好きな事が出来るのは良い事です。
さらに、田舎の同調圧力や世間にまで『恥』の文化から見える世界を、割合分かりやすい文章で読ませてくれます。そうそう、と頷きつつ、流石に名エッセイスト酒井順子さんの視点は非常に微に入り細に穿った、と全面的に肯定しているのですが、酒井順子さんが、私のこの文章を読んだら「褒め殺しつつも結局自意識過剰というニュアンスが含まれている文章ですね」と言い返されそうです。しかし、そういう人が『恥』について考察しているので、大変ある意味自意識過剰であり、いや自意識過剰だからこそ、気付ける様々な『恥』の現れ方が、汲み取り方が、知れると思います。
大妻女子大学の校訓は『恥を知れ』で有名です。そしてこれは非常に重要な事だと思いますが、この校訓の意味としては『自らを戒めよ』と言う意味なんですけれど、それを『恥を知れ』と記するセンスとインパクトを感じます。
このsense of shameの感覚、かなり変わってきていると思いますし、酒井さんもその点も注視しています。まず、電車の中の化粧や他者がモノに見えている感覚は『恥』という感覚は他者の視線が必要だという事を気づかせてくれます。これが良い事なのか?はたまた悪い事なのか?はとりあえず置いておいて、それでもまだ『恥』の文化的な側面がかなりある、という指摘は面白いです。
そして、個人の感覚では『恥』の感覚すらなくなっていくと(なくなりつつあると、私も同意します)なると、これは危険なモラルハザードが起こっているような気がします。何しろ世間という法治とはまた違ったルールなので、世間は無くなって欲しいけれど、その代りが「コストパフォーマンス」だったり「合理性」だったり「拝金」だったりするのはかなりマズイと感じています。でも、そっちに進んでいると思いますね・・・
また、感謝にテレない世代というタイトルで扱われている指摘にも、驚愕しました。要約すると、母親が、大学生の息子の部活の最後に母親を抱擁→さらにお姫様抱っこ→記念写真撮影、というヨモスエな行事が認知されつつある、という事です。何と言いますか、日本はマザコンとロリコンの国だと思いますし、個人的にはマザコンの方が罪は深いと思うのです。何故ならマザコンは作られているから、生産されているから、です、母親に。割合、故意に。ココに非常に問題がありますし、当然逆のパターン、父親が娘を溺愛、というのもあるんでしょうけれど、スキンシップは無いと思います。本当に驚愕の事実ですね・・・子育てという労働の対価を求めるようになった、と酒井さんは分析されていますけれど、そもそも、子育ては労働では無いと思うのですけれど。自ら選択して行った行為の結果、今後20数年かけて続く正解がワカラナイ上に、取り返しのつかない行為や学びの連続の事を労働とは言わない気がしますけれど、労働に似たような部分がある事は認めます。でも無償の愛とか何処へ行ったのでしょうね・・・いやそんな無償の愛などというモノはもともとなかったのかも知れません。
また『愚妻』とか『豚児』といった過度の謙遜(過度かどうかは人によりますが、個人的には過度に感じます)を美徳としていたわけですから(しかし、夫や旦那をへりくだる言葉が見つから無いのが凄くいびつ・・・)。この文化をもう1度復古させるのであれば、完全な鎖国が必要でしょうね。そしてそんな事はテクノロジーの発展からすれば不可能な気がします、エントロピーは拡散していくわけですし。
酒井さんは割合セクシャルの方面にも思索を伸ばしていて、この辺は個人的にはほぼすべての部分が『恥』の概念に近い気がします。
そういう意味で言えば、そもそも他人同士の関係についてゴシップな扱いをするのか?が意味不明ですし、有名人の誰が誰と何をしようが関係ないと思います。この辺は私が興味が無さ凄るのかも知れませんけれど、ニュースになってしまうのが良く分かりません。
ついでに酒井さんが指摘していない部分で、私が考える恥ずかしい行為は、たくさん出席した結婚披露宴で、わざわざ招待した人の前で両親への手紙を読む、です。恥ずかしいから家で、家族だけで読んでおけばよいのでは?読まずに手紙にしているのだから手渡ししておけば、投函すればよいのでは?と毎回思います。もちろん演出だって言うのは理解出来ますけれど、そんなベタベタの演出、そして人前で泣く、涙を流す、という行為をわざわざ人に見られる、という双方ともに、恥ずかしいです。ええ、自分ではみんな、自分が普通だと考えていますし、私は少しソシオパス気味なのは理解していますけれど、とてつもなく違和感を覚えます。
「全てのエッセイは自慢話」かの有名な兼好法師のお言葉です。肝に銘じつつ、ブログも同じだよなと思う次第。気を付けつつ、基本的には未来の自分に向けて。

「結婚相談」を観ました

2022年7月29日 (金) 09:35

中平 康監督     日活     AmazonPrimeVideo

 

 

またまた友人のオススメ作品です。が、非常に奇妙な映画作品なんですけれど、大変いびつな感じを受けるんですけれど、大変面白かったです。

 

とにかく、芦川いづみさんが魅力的!これは相当な人気があったであろうと思われる女優さんで大変魅力的です。私が見た事あるのは川島雄三監督の「幕末太陽伝」だけなんで、そこまで注目はしてこなかったのですが、素晴らしく美しい。美貌のなせる業なんでしょうけれど、それだけでない演技も見せてくれます、でもこれは、もしかすると監督の好みの演出なのかも。

 

1965年の作品です。

 

 

戦後の昭和。友人と上司の結婚式に出席するツルカワ シマコ(芦川いづみ)は30歳になって結婚を焦り・・・というのが冒頭です。

 

 

現在でも感じる事が出来る、結婚という制度でもあり文化でもあり、当然生活でもある事を考えさせるような批評性のある部分もありますが、とにかくかなり突飛な話しと言えなくもないです。

 

 

しかし、なによりも芦川いづみさんの魅力的な表情がたくさん見れます、そういう意味では成瀬己喜男監督の「乱れる」(邦画の今の所完成度と衝撃度でオールタイムベスト級に好きな作品です)に近いとも言えますが、こちらはもっと起伏のあるメロドラマに満ちています。

 

 

 

 

悲しむ、嬉しがる、パッと明るく転換したり、激しく動揺したり、目まぐるしく表情が変わる芦川いづみさん、本当に表情豊かです、そして凛々しい。ある文章を書くシーンの、机に向かっている芦川さんを、ベタにカメラは机の高さで捉えた顎をひいた決意を持った芦川さんの表情は大変凛々しかったです。奥に見えるシマコの母とのギャップ!(シマコの母を演じている俳優さんのお名前がワカラナイのですが、自然さ!演技の自然さというより、本当にこういう人なんじゃないか?と思わせる自然さ!圧巻です、ただおろおろするだけなんですけれど・・・)演技が上手いというのは、映画内現実の中で、そういう風に、ぴたりとはまって見せられる、映画内現実感がある人、だと思っているのですが、本当に凄いです。

 

 

 

沢村貞子の演技はちょっと凄みを感じましたし、この人あまり認識していませんでしたけれど、相当に幅のある演技が出来る人だと感じました。これは相当凄いですよ・・・名わき役という事になってるのでしょうけれど、確かに!と感じました。なんというか、メガネを外す、というだけでスイッチの入るあの目の演技は、本当に凄い・・・

 

 

それにある未亡人役の俳優さんの名前も分からないのですが、とんでもなく肝の据わった、ちょっとどう演じるか?でかなり変わってしまうキャラクターに命を吹き込んで、非常に突飛な、かなり異様な展開の重要な人物に、重みを与えてくれています。それにしても凄いセリフ・・・令和の今ですと完全なる死語を、その時の用例として用いられている所を目の当たりにしました・・・いや、この昭和初期でもなかなか使わない単語だと思います。

 

 

これ、とても日本的な文化の中での「結婚」という制度の成り立ち方を捉えた作品だと思います。そういう意味で言えば、これからも晩婚化というか、既に晩婚どころではない世界なので、もしこの主人公である芦川いづみさん演じるところのツルカワ シマコさんが現代に生きていたら、昔は窮屈で、世間に縛られていた、と感じる事でしょう。もちろん、逆に今でも縛られている部分もたくさんありますし、何も考えないで『今までこうだったから、何も考えずに従う』という事が出来るのであれば幸せな世界だったんだな、とも思う事でしょうけれど。

 

 

生まれる時代や場所は選べないですからね・・・そして2022年の日本は平和でもありますが、だからこその地獄と言うモノもあると私は感じます。どの世界にもその世界なりの地獄があるように。

 

 

注目はもちろん芦沢さんなんですけれど、本当に『おい、どこで見つけてきたんだよコレ・・・』という銅像が数体出てきます・・・すげぇケンタウロス・・・マジで、いろいろな暗喩に使えるよコレ・・・と思いました・・・絶対、監督の趣味だと思う。

 

 

芦川いづみさんに興味のある方に、オススメ致します。

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