井の頭歯科

「永い言い訳」を見ました

2021年5月11日 (火) 09:14

西川 美和監督     アスミック・エース

西川監督の最新作「すばらしき世界」が気になっています。まず良い方はキャストです。何しろ役所広司さんが出ているわけで、これだけで期待出来る。悪い点もあって西川監督作品を観ていないので判断出来ない事、そして原作が佐木隆三・・・ここが1番引っかかる・・・ま、佐木さんの本は1冊しか読んだ事が無く、それが「東電OL殺人事件」だったんですけれど、すっごく、まぁ新潮45案件だったわけです。

新潮45って雑誌はオジサン向けのルポタージュなんで仕方ないのかも知れませんが、佐木さんは勝手な東電OLへの偏見に満ちていて、これがどうにもオジサン目線な訳です。なので、どうにも気持ち悪い(私もその気持ち悪いオジサンの1人です)。もともとは桐野夏美著「グロテスク」を読んで、もう少し詳しく知りたくなったので手に取ったのが佐木隆三だったのですが、これが良くなかったわけです。

で、じゃ、前の作品を観ておこうと思い、Amazonprimeですぐに観れるこの作品を観ました。

散髪されている衣笠幸夫(本木雅弘)と、カットする衣笠夏子(深津絵里)は夫婦ですが、かなりの倦怠期である事が会話から連想されますが、どちらかと言うと、これは幸代に問題がある事が分かります。が、しかし・・・というのが冒頭です。

非常にキツイ場面から始まります、ハッキリって、この男性のネガティブ発言は、非常にダメです。凄く嫌われますし、何も生みだしません。そして男性はかなりの確率でやってしまいます。ええ、私もその1人です。経験があるから、分かります。しかし、この映画の中の衣笠夏子は、かなりフォローに慣れている感じ、手練れ感がありました。どこまでも、それでもなお、あなたは悪くないよ、というフォローを入れてきます、恐らく、生活の為なのかも知れませんし、もしくは幸夫以外の誰かがいるのかも知れない、という可能性を感じさせます。

この映画の中での衣笠幸夫の成長は、自らを引き受ける事だと思います。全然自分を生きていない、流されるだけ、責任回避だけを主眼に置いた男が、妻を亡くした事から始まる、喪失や、同じ妻を亡くした純朴というか少し間抜けに見える男(竹原ピストル)、その男の子供、編集者、等々との関わりから、自らをもう1度成り立たせる話しです。

竹原ピストルさんの演技は初めて観ましたが良かった。なんかこういう朴訥な感じを嫌味なく出せるのは結構難しいと思います。そして、ずっと衣笠幸夫の事を、他人行儀に『さちおくん』と下の名前+くん付けなのが、親しいくなりたいけれどまだ慣れていない感の演出が素晴らしく良かった、この演出は良かったですね。

悪くない。そして、とても是枝監督作品を思い起こさせました。なんでか、子供の撮り方が似てると思ったからなんですけれど、ま、一緒に仕事してたんですね。そりゃ似るのも当然ですね。

あと、1番見たいのは、この衣笠幸夫が書いた小説「永い言い訳」を読みたい、読んでみたい。

この後は「ゆれる」を見てみたいと思いました。

是枝監督作品が好きな方に、オススメします。

「善医の罪」を読みました

2021年5月7日 (金) 09:47

久坂部 羊著   文藝春秋
いわゆる、尊厳死、安楽死問題を小説にして描いた作品です。ACPアドバンス・ケア・プランニングが裏側のテーマとして扱われているので興味を持ったので手に取りました。
ACPの定義は、東京都医師会のHPの文章を見ると、『将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や親しい人、医療・ケアチームが繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセスの事』となっています。これに人生会議という意訳をつけているのには、非常に違和感を覚えますし、何らかの欺瞞性も感じますが、仕方ない事なのかも知れません。あくまでプロセスを大事にする事だと思います。
カテーテル医でオランダ国籍の母と日本国籍の父のダブルとして育った娘である白石ルネは、大きな系列病院で働く新人ではありませんが中堅とは言えない医師です。担当患者が救急搬送され、脳死状態に陥ってしまった事から終末医療に関わる事になるのですが・・・というのが冒頭です。
医療者は患者さんの命や健康を守る存在ですし、専門性に優れ、難しい判断を求められる技術者であり、且つ清廉潔白なイメージを求められやすいと思います。生涯をかけて取り組み仕事ですし、なかなかに自分の時間を持てない、とてもやりがいも多いでしょうけれどハードな仕事だと思います。
あくまでフィクションですけれど、かなりきわどい部分について書かれています。
凄く近い作品に『終の信託』という原作がある映画(の感想は こちら )があって、ほぼ、似たような疑問も同じですけれど、より現代的に、そして俯瞰して見せる作品になっていると思います。最後が愛の話しにならない部分が、よりこの本の方に徹底度を感じました。
私は子供の頃から読書が趣味だったので、しかし、そうはいってもそれほどたくさんの本を読んできたわけではありませんが、基本的に小説の扱うジャンルを強引にまとめると、そのほとんどが「死」と「愛」で片づくと思いますし、それくらい魅力のあるテーマだと思います。
ですので、普通に、みんなある程度死を考えた事があると思っているのですが、それほどでもないのかも知れない、と最近は思うようになってきました。みんな凄く忙しいですし、死についてばかり考えても楽しい事には繋がりにくいですから。私は根がネガティブなので、普通に考えてしまいますけれど、どうしても、愚行権や自死を止める、いや論理的に止める理論にまだ納得がいかないのです。
それでも、ACPの重要性は揺るがないと思いますし、結局のところ、不死になる事は出来ないので、それぞれ個々人が、自分の場合を考えておく事は必要だと思います。
安楽死と尊厳死の違いくらいは知っておいた方が良いと思いますし、自己の欲求の為に他者に自殺ほう助の疑いを抱かせるのは、とても傲慢な事だと思います。最近亡くなられた著名な演出家の著作のタイトルには安楽死を認めて欲しいという趣旨の言葉が明記されてあったと記憶していますが、何でもかんでもセリフで説明する事で得られる分かりやすさを善しとする事には、私は傲慢さを感じますし、それよりも受け手に考えさせる事が重要なんじゃないかな、と思う次第です。誰かに、特に命を救う重大で責任の重い仕事に従事されている人間に、自殺ほう助まで取り組ませるのは、私は傲慢だと思います。
そしてこの問題は、恐らく自死をどう扱うか?というとても難しい問題に近づかないといけないので、大変困難な道になると思っています。
もっとACPの理解が進むと滅んでしまう医療サスペンスではありますが、それでも今の現状(と言っても、私は今の医療の現状は知らないわけですけれど・・・)が気になる方にオススメ致します。

「隔たる世界の2人」を観ました

2021年4月28日 (水) 09:33

トレイヴォン・フリー監督     Netflix

Netflixでちょっと面白そうだったのと、短い作品だったので・・・

相変わらず、なんだかバタバタする毎日が続いています。しかも映画館がまた閉まる、という状態です。映画館への補償がなされていて欲しいですけれど、文化に厳しい国なので、どの程度の補償があるのか?気になりますし、先の緊急事態宣言の時には、重点的に飲食店での感染が、と言っていましたけれど、感染対策が十分に行われている、とされている施設まで自粛を、要請、しているのはとても気にかかります。補償をしないで、要請、ですからお願いしているわけですし、しかも不要不急なもの、という事で言えば、私にとっては文化的な映画音楽読書舞台演劇絵画鑑賞等はすべて不要不急ではありませんし、仕事の次にプライオリティが高いものです。そういう人もいると思うのですが、まぁ少数派であるのは理解出来ますし、出来る限りは協力しますけれど、末廣亭の英断は支持したいですね。

とにかく、普通に自粛と補償をセットして、説明と同意を得るのが、根拠を示すのが、怨嗟を生まないやり方だと思います。生活の糧を奪われた人は、恐らくより過激にならざるを得ないと思いますし、文化が死ぬのを黙って見て居たくもありません。

政府与党は、大変重い責任があります。他国と比べても、この1年の振る舞いは、かなり杜撰に見えます。もちろん私を含む考えの浅い国民のレベルが、その国の政治家のレベルだとしても、です。未知のウイルスとの闘いとは言え、もう少し出来る事があったと思います。五輪に拘泥している場合ではありませんし、面子では生きていけませんし、ましてや莫大な税金を使っています・・・確かコンパクトでローコストな五輪とか言ってたと記憶していますし、復興五輪とも言いましたし、コロナに打ち勝った証って言いましたよね?打ち勝ってからやって欲しいです・・・今現在が打ち勝った状況に見える人は開催でもいいですけれど、そういう人は少数派だと思います。

閑話休題

女性の部屋で起きたアフリカンアメリカンのデザイナージェームズは、彼女との関係も大事なのですが、愛犬の待つ家に帰るために、身支度を整えます。しかし・・・と言うのが冒頭です。

私は詳しくないのですが、恐らく、今までに起きた様々な、偏見に基づく実際の事件をほのめかした作品なのだと思います、そういう演出をされています。いかに、様々な事件があったのか?を考えると、本当に恐ろしいです。

非常に白人が悪意を持って描かれていますけれど、こんな人ばかりではない、と思いたいです。

コテンラジオというポッドキャストで語られた、ガンディーについて、思い出しました。もちろん、その息子である長男のハリラール・ガンディの哀しみと共に。

私はもう少し、警察官の行動原理を聞いてみたくなりました。なんでここまで?なのか?を。

BLM運動に興味のある人に、オススメします。

「ノマドランド」を観ました

2021年4月27日 (火) 09:25

クロエ・ジャロ監督     サーチライト・ピクチャーズ

少し時間があったのと近場の映画館の開始時間がピタリとはまって見られる環境にあったので。それに、フランシス・マクドーマンドがカッコイイですし。コーエン兄弟の「ファーゴ」の時から好きになりましたけれど、近年も「スリー・ビルボード」の演技も素晴らしかったですし。

2008年、アメリカ。リーマンショックの余波を受けて一つの街が存在しなくなります。その街を出た70代とおぼしきファーン(フランシス・マクドーマンド)は自家用車で放浪生活をするようになるのですが・・・と言うのが冒頭です。

私の知識が足らないので、いろいろ調べないとワカラナイのですが、いわゆる季節労働者、繁忙期になる産業の臨時の担い手として全米を移動しつつ、完全に自家用車(といってもかなり改造していますし、キャンピングカーとは違う乗り物で、凄く機能的で面白いのが特徴)での生活、ハウスレス状態が日常の人々の生活を追ったドキュメンタリー風映画です。

原作もあるようですし、役名が出演者名の方も多くて、多分原作の登場人物も多く出演されているのだと思います。

とても伝統的なアメリカ人のように感じます、西部開拓時代の、伝統を感じるのです。そう、私の嫌いな西部劇の時代の伝統を、です。その当時は恐らく、国家によるセーフティネットなど皆無に近い状況で、希望だけを頼りに、西部開拓に向かった人々の現代版としてもアップデートが感じられます。

年金に頼る事が自尊心にどれだけの負荷がかかるのか?に自覚的なファーンは仕事を求めて各地をさまよい、同じような人々との交流から、相互ほう助社会を、ノマドの連携を模索しつつ、死という逃れられない事実に向き合う姿が印象的でした。途中からはファーンがまさに決闘に臨むガンマンのように見えてきます。

また、感傷的に煽る構図や、自然光の美しさを感じさせる絵が大変多くて、綺麗ではあるものの、それだけではない厳しい生活を考えてしまいますが、確かに景色は素晴らしいです。フォレスト・ガンプの途中でランナーになる辺りの美しさと言っていいと思います。

ただ、セーフティネットの無い社会の恐ろしさは、とても怖いと思いましたし、結局のところ、豊かな両親の基に生まれたものは更に富み、貧乏な家庭に生まれたものは貧乏になる傾向は、日本よりもさらに強いアメリカという社会の一部を垣間見る事が出来ます。

もう1点、良く分からなかったのが、何でAmazonは季節労働者を受け入れているのでしょうか?年間通して必要な気がしますし、よくこの映画にAmazonが撮影許可したなぁ、とは思います。

1番気になったキャラクターは歩いて放浪を続ける少年です。凄く佇まいが良かったです。ある種ノマドの先を行く、しかも高齢者じゃない存在。孤高の人に見えました。

誰でも1度は憧れる移動する住居生活に、興味のある方にオススメ致します。

ご無沙汰しています。

2021年4月21日 (水) 09:46

いろいろな事があり過ぎて、なかなか自分の頭の中を整理して文章にする、という余裕がなく、すっかり間が空いてしまいました・・・ま、そもそも私以外の人にとってはどうでもいい話しばかりですし、私の備忘録としてのブログになっているので、それはそれでよいとします。

ぼんやりと、最近摂取した文化的なモノを書き留めておこうかと。

1『海を飛ぶ夢』 アレハンドロ・アメナバール監督

尊厳死を扱った素晴らしい作品です。本当に、素晴らしい作品なのですが、この問題は最近よく聞く言葉でACP(アドバンス ケア プラン)の話しだと思いますし、もっとACPが広まり、理解され、共有されれば解決できる部分と、さらに進めて、自死を認めるのか?問題に、必ず繋がっています。成人前の、健康だがこの世に絶望し、希望が見いだせなくて自死を選ぶ人をどう認めるのか?という問題で、非常に難しいと思います。昨年読んだ1番記憶に残る名著「急に具合が悪くなる」とも近い話しだと思います。

2『犯罪都市』 カン・ユンソン監督

人気絶頂の俳優さんであるマ・ドンソクさんの主演映画です。これがエンターテイメントとして素晴らしいのですが、脚本と演出が本当に凄く良かったです。もちろんマ・ドンソクさんの魅力も素晴らしいのですが、私には脚本と演出、見せ方が素晴らしい作品。

3『悪の偶像』 イ・スジン監督

で、逆に全く評価出来ない作品がこの作品。レビューを読みに行くと、かなり高評価なんですけれど、私には脚本は0点だと思います。後出しじゃんけんをして、驚かそう、という事だけで作り上げた脚本なんです。凄く脚本が都合良い。

4『存在しない子供たち』 ナディーン・ラパキー監督

これも素晴らしい作品でした。主演の子供の瞳の演技が凄すぎました。

と言うような感じで全然時間が無い中ですが、少しは観れて良かったです。でも感想をまとめる時間は無い・・・

今は人事担当の仕事をしていますけれど、面接だけでその人がどんな人なのか?を判断するのは難しいと痛感しています。

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