2025年1月21日 (火) 09:24
是枝裕和監督 Netflix
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 1/6
NHKで1979年にドラマの原作脚本として向田邦子さんが書いた脚本、を基に是枝監督が2025年にNetflixで再ドラマ化されたものです。
全7話。これは最初のNHK版と同じ話数です、
かなりお金かかっています。そしてなるほど、先日2003年に森田芳光監督が映画化しているのを観ましたが、結構違う。そして、思いのほか、映画版の脚本はかなりブラッシュアップされた7話の脚本を、よく135分にまとめたな、と感心しました。物凄く良く出来てる。そしてもちろん、凝縮されてはいるものの排除された部分もそれなりにあるので、より是枝監督版の7話ドラマ化は、NHKの最初の映像化作品に、忠実なんだと思います。
で、NHKの最初のドラマ版を観ていない、しかしその後の森田芳光映画版を観た人間の感想として、やはり長女周囲のキャスティング、長女が活ける華を提供している料亭の主人と妻まで含めても、映画森田版の方が笑えると言う意味では抜きんでていたな、と思います。大竹しのぶと比較される宮沢りえも可哀想だけれど、というかこの企画、実は演者にはかなり負荷がかかる上に、勝ち負け判定を受けるのでキツいだろうなと思います。大竹しのぶと桃井かおりにオーバーアクションでコメディしているのを上回るの難しすぎる。
次女は尾野真千子さんで、この人は凄く良かったです。私は初めて観た人なんですけれど、何というか、今この方が何歳なのか?ワカラナイのですが、今が人生で1番輝いている人、に観えました、他の作品を観ていないし、若い頃の事も全く分からないのですが、そういう美しさがありました。で、恐らく、映画版だと分からなかったのですが、この次女が主役なんですね。「高慢と偏見」でも次女が主役でしたけれど、今作も恐らく、主役。なので、黒木瞳と小林薫夫婦との比較だと、尾野真千子と本木雅弘夫婦の方が面白味はあったと思います。
三女と四女はあまり強く違いを感じさせないキャスティング。私はあまり広瀬すずさんに対して、上手いとか綺麗とかどうしても感じないのですけれど。蒼井優さんと深津絵里さんは両名ともそつがない、このキャラクターを演じている、という感覚。
是枝作品として、ずっと見てられるし安心感もあるのですけれど、映画版の方が濃縮。そして脚本の改定もうまく行っていると思いますし、肝はおそらく母の存在。この母に重みを感じるか?で評価が分かれそうです。
父國村隼さんも、仲代達也さんのおとぼ感とは一味違った面白さがありましたし、これはこれで面白いと思います。
昭和の香りを現代によみがえらせるの、大変な事だったと思います。
そして、現代的なアップデートが効かない脚本に挑んでいるのが凄い。どう考えてもなかなか評価されるの難しい事だと思うのですが、チャレンジング。
四姉妹モノの原点、若草物語も読んでみようかな、という気になりました。
向田邦子ってエッセイの名手、という認識でしたけれど(あと飼ってた猫)、もしかしてテレビドラマ脚本も凄いのか?何か読んでみようかな、と思えた。
でも、また全世界の半分を敵に回すけれど、自分の安全は保障された上で、こういう生活の様々な苦労とか気疲れとか喜びとか運命的な何かで、感情が振れ幅いっぱいに、グリグリ動かされてるのを、好んでいる、ように、私からは見える。平穏で何も起こらない方が安全だと思うのだけれど。
昭和な世代の女性の生き様に、興味がある人にオススメします。
それと、確かにチャレンジングなんだけれど、向田邦子がNHKドラマでやっていたのは、1979年で、脚本も1979年。つまり現代を描いているわけで、是枝監督なら、現代の四姉妹モノを新たに作れたのではないか?その方がより是枝監督作品っぽいのでは?とも思いましたが、そういうのは次の作品でやるのかな。
2025年1月17日 (金) 09:00
黒沢清監督 Nikkatu Amazonprime
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 0/5
2024年の評判の良かった作品の中で見逃している作品だったので。久しぶりに黒沢清監督作品に触れるなぁ。
とある倉庫に積み上げられているダンボールを前に交渉する3名の人物が・・・というのが冒頭です。
凄くメフィストフェレス的な話しになっていくのが、荒唐無稽な話しになっていくのが、流石黒沢清監督。ロケーションも、何処から見つけてきたの?という驚きもあって、不思議な感覚。
主演役者の菅田将暉の魅力が詰まった、ホラー?サスペンス?映画でした。
ネタバレ無しだとこの映画の魅力を伝えるの難しいと思いますし、黒沢清監督作品に触れた事が無い人からすると、結構真剣に何が何だか?という人がいても不思議じゃないです。
ありのまま、観たまま、を受け取る作品だと思いますけれど、いろいろな感想があって良いと思います。
菅田将暉の変わらない表情やしぐさを楽しむ作品。
転売ヤーって忌み嫌われている職業だと思いますけれど、取り締まりも難しいのでしょうね。そして映画内のセリフを引用しますけれど「楽して稼ぎたいのに稼げない、全然楽にならない」という人が手に染めそうな感覚があります。
しかし、どんな職業であったとしても、その道のプロフェッショナルな仕草にはハッとさせられますけれど、この映画の中で菅田将暉さんが、とある非常に特異な体験をしているのに、転売ヤーのプロフェッショナルさを出すところが1番笑ってしまいました。
アシスタント、という言葉の意味も、いろいろ考えさせられました。
あ、私結構ダメだ、というのがこの映画の古川さんです・・・濱口竜介監督作品「偶然と想像」の時に植え付けられてしまった嫌悪感が拭えません・・・それと、この人とそっくりと感じてしまっているのが岸井さん・・・凄く似てる気がするというか、最近若い人がみんな同じに見える、という老人力が付いてきたので、まぁ仕方ないのかも。
あ!そう言えば、スモーキーが出てきます!!スモーキー!久しぶりに出会った!かっこいい!
黒沢清監督作品が好きな人、そして謎な体験を求めている人に、オススメします。
私はラスト、世界の終わり、もしくは地獄に至った、と思っています。あの空!という意味で、メフィストフェレス。
2025年1月14日 (火) 09:13
リュ・スンワン監督 NEXTENTERTAINMENTWORLD U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 0/3
2024年作品で見逃したのを拾っていますが、これは大傑作!観ておかねばならなかった!後悔しています。観ていたら、ベスト10に間違いなく入っていたと思います。
1970年代半ば、クンチョン 軽快な歌謡ロック調の音楽に乗せて漁船が海をかけていき・・・というのが冒頭です。
脚本、絵の良さ、画角のカッコよさ、演者、音楽、小道具、もうどれも物凄く高いです、最高にエンターテイメント作品!2024年の映画の中でここまで、エンターテイメントに振り切った作品には出会えなかったですから、エンターテイメント度で言えば100点満点中で500点くらい出してる作品です。
まず、何と言っても脚本が素晴らしい。二転三転するケイパーモノと言えると思いますが、仲間なのか敵なのか不明だったり、黒幕のようで、どうなんだろう?と考えさせられます。しかも状況の設定が物凄く上手くて早いんです。
錆びれた港町で、遠景にはもくもくと煙を上げる工場が見えるだけで、海女さんの商売である貝や漁業に影響が出ているのが分かる絵が上手い。そしてただの海ではなく、美しさもあり、綺麗なんです。
時間経過の見せ方も秀逸で、なんだかアニメーション表現だとよく使われる手法だと思うのですが、物語に必要な時間経過さえも楽しませる工夫をしています。手を抜かない!
音楽も非常に心地よい所に多が届く感じで、歌謡曲っぽいところから、もう夕日のガンマン的な西部劇とか決闘で流れる感じもあり、サイコーです。なんか初代ルパンの大野さんの曲みたいな感じさえある。
ここに、さらにキャラクターが乗ってくるわけです。しかもこれはチーム戦もあるし、個人戦もあるし、なんならバディモノでもあるし、頭脳戦あり、肉弾戦あり、ハンデ線まであります。各キャラクターに、必ず見せ場があり、その上性格が妙にとっ散らかった感じの人が多く、予想がつかないです。
あ、基本ブラックなコメディでもありクライムサスペンスでもあり、そしてバディムービー。それもシスターフッドモノでもあります・
特に主演の2名、海女さんのリーダーであり精神的支柱・漁船の船長の娘ジンスクを演じたヨム・ジョンアさん、そして幼少期からジンスク漁師一家の家政婦として働きジンスクの相棒チュンジャを演じているキム・ヘスさんが本当にアツい。しかも、どう見てもこの人たち、30歳くらいかと思いきや、私と同年代でした!!驚愕!!!
この2名とベトナム帰りの軍曹で今は密輸王のクォンを演じているチョ・インソンさんの、悪役における紳士という立ち位置が見事にハマっていて素晴らしい。サイコー。この人の出ている場面すべてがゴージャスに見えるんです、場末のホテルだろうが、雑居ビルの一室でも、ゴージャス、つまり華がある。それでいて何をするか分からない不穏さも十二分に感じさせてくれます。
あ、もう1名良かったのが、やはり成り上がり者なんですけれど、めちゃくちゃ演技が上手くて笑える喫茶店経営者オップンを演じたコ・ミンシさんも凄く見せ場を作っています。
このほかにも、漁船船長、その息子の、もう地元民にしか見えない着崩し方というか服装も最高ですし、1970年代!という感じの色味も最高です。
それと、これは「ファミリー」という渡辺多恵子先生の漫画で知ったローラーゲームのホイップの水中版が観られて、大変アツいです。なんというか急にいろいろ思い出されて本当に記憶って不思議。
これは未来世紀ブラジルでも感じられるレトロフューチャー味があるんです。ただの過去なのに、華やかに強調して見せてくれて、こういう所で、ああコメディなんだな、結局のところちゃんと笑わせてくれるんだな、という安心感を感じさせているひとつだと思います。
女性同士の意地の張り合いや、女だからこその任侠めいた関係性、そして虐げられてきた者たちの巻き返し!しかも腕力に劣る男性に対して、頭脳と特技で挑むのサイコー!
バカみたいな感想ですけれど、頭が悪くなるくらい面白かったです!
それと映画「アシュラ」へのオマージュありましたね、ああいうのも最高。
エンターテイメント作品が観たい人に強く、強くオススメします。
2025年1月10日 (金) 08:59
森田芳光監督 東宝 U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 0/2
今年から目標の数字を上げたので、頑張らないと・・・
というわけで、U-NEXTさんのマイリストの消化もしないとと思い出したのがこちらです。観終わったら、Netfkixさんで、しかも是枝監督で映像化の情報が!!!今見ておいて良かった。
あと、私、森田芳光監督作品があまり好きでは無いのは、最初に「愛と平静の色男」を見ちゃったせいで・・・なんか上手くハマらない監督さんだったのですが、今作は役者さんが面白くて、脚本も面白く、なんと言っても仲代達矢さんが出てるので、最後まで楽しめました。
四姉妹ものって色々あると思いますが、若草物語は未読ですけれど、ジェーン・オースティン著「高慢と偏見」、谷崎潤一郎著「細雪」、そしてなんと言っても金井美恵子著「恋愛太平記」は最高の小説ですから、どれも大好きですし、どの作品でも一番感情移入できるのはやはり父親ですね。恋愛太平記では父は亡くなってたかな?
そういえば、漫画吉田秋生先生の「海街diary」も四姉妹モノですね。
阿修羅の映像にナレーションで阿修羅の辞書的な説明が入ります。そして三女からの連絡を受けて四姉妹が集まるのですが・・・というのが冒頭です。
長女に大竹しのぶ、次女に黒木瞳、三女に深津絵里、四女に深田恭子と夢のようなキャスティングですけれど、まぁこんな姉妹がいたら濃過ぎてちょっと怖いですね。この映画のキャスティングは本当に凄くて、父は仲代達矢!母が八千草薫!次女の夫に小林薫!愛人に紺野美沙子!もうこの人たちにベストな配役だと思います。特に紺野美沙子を連れてきた人、鋭すぎる!そういうふうな人にしか見えなくなってしまいました。
NHKのテレビ版があるみたいで、それ用に脚本を書いているみたいです。
今は過去となりし昭和がセットもあるけれど、結構映像化されてパッキングされているようです。例えば、本当にハッピのような格好の植木屋さん、流しの豆腐屋の笛の音、病室の暗さ、電話の重さ、そういった昭和には普通に存在していた様々な事象が記録されていて、すごく見どころが多いです。
それに基本コメディだと思います。
女性が怖い、というのはなんか分かる話しでもありますし、その怖さって理解が及ばない、という事なんですけれど、女性からしたら男性の方がよっぽど怖いでしょう。
腕力でも、そうですけれど、基本宮台真司が言ってましたけれど『男性は世界を変えたがるが、女性は自分を変えたがる』わけで、それも腕力からきている処世術なのかも知れないし、そういう風に育て上げられ、刷り込まれているのかも知れません。
けれどホモサピエンスの長い歴史の中で、男女平等が、それでもある程度実現しそうな(もちろん程遠い部分もあるし、そもそも完全な平等なんて無いのですが、目指す事は重要 なにしろそれで被害が存在するのであれば特に)現代になるまで、20万年前から存在して、歴史として振り返れる、社会を形成してからどのくらいなのか不明ですけれど、まぁ文字が存在するの紀元前3000年くらいだとして、5000年の間、全然平等に扱われていないわけで、暗い気持ちになりますよね、女性なら当然。
そもそも私は別の生き物な気がするくらい、感じ方、考え方が違う気がしますし、議論とか意見交換よりも感情の肯定をベースにしている感覚もあり、理解し合えないとしても、だからこそ理解しあおうという努力を払い続けるという意志が重要な気がします。
よくできた脚本ですし、役者さんも良かった。深田恭子が何故呼ばれたのか?は不明だけど、垢抜けなさ、なのかなとも思う。今というか、最近と言っても何年も前ですけれど、全然顔が違って見えますね。
女性の方にオススメします。
2025年1月7日 (火) 08:44
ルカ・グァダニーノ監督 AmazonMGMstudios Amazonprime
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 0/1
あけましておめでとうございます。
2024年に評判が良かったけど見逃している作品を少し拾っておこうかと。どう考えても地雷臭がしたんだけれど、結構な人がこの作品を挙げていたので。
まず、そもそも恋愛関係の作品に興味が向かないのもありますけれど、三角関係って、まぁ当事者の頭に虫が沸いているわけで、本人たちは楽しく執着をかけあっているのでしょうけれど、それを作品として、とくに映画として面白味を感じるか凄く微妙な感じがします。
で、まぁ私向きの作品じゃなかったです。
スローモーションの中、汗が滴る2名の男性と女性の顔がアップで・・・が冒頭です。
まず、この男性2名が、女性に惹かれるわけですけれど、そしてもちろんゼンデイヤですから、分からなくもないんですけれど、この関係性がどうにも飲み込みにくいんですよね・・・まぁボンクラ男性2名のきゃっきゃうふふ的な、妄想逞しく観れる人は良いのですが、なんか、ね。私前期高齢者ですし、そういうのはもう、ちょっと・・・
映画のラストに関しても、んじゃ、今までのはなんだったん???としかならなくて、勢いだけの映画に乗れないと、どんどん醒めていくな、というのがまぁ感想です。
評価している方々は、ここをこそ、評価していて、非常にエモーショナルにアガって昇華した作品を見た事がない、とおっしゃっているのですが、乗れない人からしたら、最後のアレは?????しか浮かばないですし、全然クライマックスになってない気持ちになります・・・
夢中になれるモノがあるって素敵な事です。でもずっとはなかなか続かないモノです。
だってこれ、男女逆にして考えてみたら、恐らく女性側のフェミニストの人たちは怒り出す案件だと思いますよ・・・
夢中になれるモノがまだある方にオススメします。
attention please!
ここからはネタバレありの感想なので、未見の方はご遠慮ください。
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ネタバレ有で言うと、
まず、同じ1人の女性を好きになったとて、同じ部屋で同時に、というのはちょっと意地悪すぎやしないか?とも思いますし、自分だけ抜けて観察も、まぁ意地悪ですよね?これってBLメガネをかけている人であったとしても、壁として観ていたい、という気持ちまでならある程度理解出来るものですが、自ら実行者になるのって、なかなかな神経の持ち主だと思いますし、そもそもその2名から1名を選んだうえで、たまたまケンカした後に選手生命を絶たれる傷を受けたとて、それは試合の中での話しで、ケンカした彼の責任ではないと思いますけれど、どうなんでしょうね・・・
おそらく、BLメガネをかけているという認識がある人には問題ないです、問題があるのは、BLメガネを外せなくなった人だと思うのです。全ての要素に、BL的な人でも物でも対象が好きと嫌いだけの関係性、もしくはそれを隠している、という邪推にも似た関係性しか見えなくなっている事に問題があるのではないか?と思います。
男女が逆転してたら、物凄く都合の良い、男性(誰もが惚れざるを得ないスター性 があったとして、まぁ惚れない人も存在すると思うのですが・・・)が2名の女性を勝手気ままに乗り換えたり、都合よく関係を迫ったり、挙句、子供も居るのに乗り換えたりしてたら、その2名の女性がテニスの試合の決勝戦、公衆の面前で、試合そっちのけで、急にハグする・・・えっと、どうですかね?面白いですかね・・・私はファンタジーに見えます。
ゼンデイヤになって、観てたら気持ちいいのでしょうか?子供もいて、それでも両方から求められる事を?それも御冗談を、という事になりかねないような。
役者さんは頑張ってると思いますけれど、私は男性だから実感あるけど、こういう2人組ってまずいない、夢の存在だと思うけれど。