アンドレア・コーフォード監督 ソニーピクチャーズ Youtube
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 17/52
山田五郎さんのオトナの教養講座でお話しされていた映画がYoutubeで無料公開されていたので観ました。
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画かもしれないという発見を巡るいきさつを描いた作品です。
で、まぁアートの話しかと思いきや、政治と、金の話しでした。
まず、2005年に2名の美術関係者がもしかすると、というこの「世界の救世主(サルバトール・ムンディ)」を1175ドルで落札。非常に損傷が激しく、修復士のダイアン・モデスティーニに依頼して修復を行うのですが、とにかく重ね塗りやそもそもの画材の木の問題が大きく、これまた観る人によると思いますが、修復なのか、もはや修繕なのか、あるいは書き足した、もっと創造した、という様々なレベルで取り上げられる「修復」をして、真贋の鑑定をしようとします。
ここに当時のイギリスのナショナルギャラリー・キュレーターのルーク・サイソンが修繕室という中立の場で専門家を3名ほど呼んで絵画を観る企画をします。
ところが、このキュレーターは美術館のキュレーターで、集められた3名の専門家に対して、真贋については何も聞いていないのです・・・なんとなく、その場の雰囲気で、判断した、と言ってしまっています・・・これが大問題になるとは思うのですが、全然別の大問題になって行きます・・・ま、この人の目の泳ぎ方は凄いです、一見の価値あり。
だってこのキュレーターはその後にレオナルドの回顧展を行おうとして、しかもその目玉として、この作品を展示しようとしているのです・・・まぁ普通に既にそうであって欲しい、というバイアスありますよね。
このように、この後もいろいろな事が起こるのですが、真贋の事に対しては、正直誰にも分らないし、絶対的な証拠を科学的に見つけられるか?は不明です。来歴という、誰が所持してきたか?もかなり不明な状態で、確かに本物かも知れませんが、偽物の可能性もある。
で、正確に分からなくとも、その価値を高めたり、個人の恣意的な都合で、その価値を変えようとする、ホモサピエンスの思惑で、どんどん状況が変化していきます・・・
鑑定をある程度時間をかけて行おう、という人が所有者に、全然出てこないんですよね・・・あくまでお金がある、つまり、多少絵が怪しくとも、こちらの政治的な圧力をかけて、国家的な美術館に、真作として扱うように命じられる、と思った人が購入者として手を挙げる・・・なんならオークション側も、煽れるだけ、煽る。
すっごくホモサピエンス的(負の)ふるまいに満ちた映画でした・・・もはやここまで来てしまうと(最初1175ドルが、結局4億ドル越え・・・)投機とか、金額も個人で扱うには無理です・・・ま、それを出せる人が、国内でどのような振る舞いをしていて、その国でどのような立場にいるのか?を知れただけでも、良かったです。だって皇太子ってことは・・・
凄くいろいろ考えさせられる絵画に纏わるドキュメンタリーでした。
アートが好きな方、もしくはお金に興味のある方、そしてホモサピエンスの行動に興味のある方にオススメします。
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