井の頭歯科

「用心棒」を見ました

2010年10月30日 (土) 08:49

黒澤 明監督     東宝

とある宿場町に流れ着いた侍(三船 敏郎)はその宿場が非常に荒廃している原因を、めし屋のオヤジから聞かされます。そこでは跡目争いから拗れた2つの勢力が争っており、頼りになるはずの儲かるのは棺桶屋だけ、という殺伐とした町でした。その過程をきいた侍・桑畑三十郎(偽名と思われる)は一計を案じ、抗争を続ける清兵衛派と丑寅派の間に立ち回って自分の値段を上げさせようとします。その侍にも他の思惑が潜んでいるかのようで・・・というのが冒頭です。

「七人の侍」が時代考証に忠実なエンターテイメント群像劇作品であるなら、対照的にこの「用心棒」では侍・桑畑のキャラクターに全ての発端を見ることのできるヒーロー劇エンターテイメント作品だと思いました。もちろん硬く苦しくなく、肩の力を抜いた娯楽作品であるのは間違いないのですが、この侍・桑畑のキャラクターの骨格が固まったところで映画の成功は決まっていたと私は思います。「七人の侍」の久蔵が侍における究極の理想像だとすれば(どうやら宮本武蔵をモデルにしたかのような人物のようです、宮本武蔵にも様々な捕らえ方があって私は微妙な感じがしますし、久蔵は理想形であって現実的ではない、と考えますが)、この侍・桑畑はまさに日本の(と言って良いと思います)庶民の望むヒーローです。そして超人的ヒーローではなく、生身の人間がなりうることの出来るヒーロー像なのです。

腕っ節が強く、無愛想でありながらも弱きを助け、そして人情に篤い。超人的ではないからやられることもあり、訓練さえ積まなければいけないこともあり、そして何よりカッコイイ!オジサンで日本人で、カッコイイなんてこの平成に入って誰か思いつきますでしょうか?で、三船さんがもうはまってます。冒頭の歩き方、肩のゆすり方、素晴らしい。この肩のゆすらせ方と、ラストがまたイイんです!もちろん今回もその脇を固める役者さんも上手く、そして迫力あります。清兵衛の妻なんか上手すぎますし、めし屋のオヤジがまた妙に土着臭が似合っていて上手い。有名な役者さんなのかも知れません。また、これは恐らく「七人の侍」にも出てきた最初に百姓の中から戦うと言い出した人が、「用心棒」では少ししか出てこないものの、非常に印象的な役で出ていて、また凄く役に合っていると思いました。さらに敵役の丑寅の弟のダメっぷり溢れる愛嬌ある役も、シリアスになりきらないこの映画に程よい笑いを入れてくれます、とにかく見た目でもうかなり可笑しい。そして真打ちが丑寅の末の弟です。この役はかなり美味しい役だと思うのですが、それをな、なんと若かりし日の仲代達矢さんがやられています!最初は分からなかったですが、小生意気で頭の回る小悪党、という役回りを充分に演じきってくれています。私は時代劇(というか邦画全般をあまり見ていない・・・)をあまり見ていないのですが、時代劇に拳銃が出てきたところを初めて見ました。で、その飛び道具具合がまた、この役に合っていて素晴らしいと思いました。悪党の中で頭が切れるのが拳銃を持ってるなんて凄いアイデアだと思います。

ある種のダンディズムさえ漂わせるこの侍・桑畑は三船さんに非常に合っていると思いました。私はキャラクターは違えど、三船さんで見たことのある映画は何しろ「レッド・サン」だけなので、その印象が強かったのですが、確かにこの役も当たりだと思います。

ヒーローものが好きな方にオススメ致します!

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