井の頭歯科

「荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟」を読みました

2013年6月7日 (金) 09:28

荒木 飛呂彦著      集英社新書

荒木さんと言えば「JOJO」で有名な方、漫画なのに構図やポーズ、そして擬態語や擬音が著しく個性溢れる方です。このセンスの素晴らしさは私と同世代の方なら、「JOJO」よりも認識したのは「魔少年ビーティー」であり「バオー来訪者」だと思ってます。鮮烈なデビューだったと思います。前作「荒木 飛呂彦の奇妙なホラー映画論」(の感想はこちら)も面白い切り口での映画評でしたが、今回もとても面白く、しかも前作で主題に置いた『ホラー』よりも個人的にはずっと親和性感じる『サスペンス』を語ってくれていまして、面白く読みました。

前作同様、サスペンスに関しての荒木さんの見解は、ある意味タイトルからも分かるとおりの偏りを感じますが、そこ偏りこそこだわりであるわけでして、そのこだわりこそ知りたいわけです。前作も荒木さんのホラー映画ベスト20が挙がっていたのですが、今回もサスペンス映画ベスト20を挙げられていて、これを見るだけでも興味そそられますし、ある程度の傾向を、そして割と驚かされるラインナップになっていて面白いです。

よいサスペンス映画の5つの条件も納得してしまう5か条でして、もう1つの主張である「エンターテイメントの基本にはサスペンスがある」と相まってよく理解出来ました。

荒木さんのベストオブベストである「ヒート」と「96時間」の両作品を未見なので、是非見ようと思いましたが、もっと気になるのがマイケル・マン監督作品の「インサイダー」の解説でして、非常に気になる切り口です。あえて茨の道といいますか、厳しい道を選ばざる得ない、しかしココを譲ることは今までの自分を捨て、見限ることになってしまう為に、破滅に向かう道であろうとも進む部分は、確かにある種のスタイルであります。

スピルバーグ映画への荒木さん流の解説もまた、新鮮で面白かったです。巨匠と言われるほどの映画監督ですけれど、言葉で細かく説明されると新たに納得してしまいます。またブライアン・デ・パルマとヒッチコックの関係性についても面白く読めました。ヒッチコック監督作品は面白いですよね、私も詳しくないですけれど「めまい」や「フレンジー」、「レベッカ」辺りをみていますけれど、サスペンスフルで素晴らしいです。

また、イーストウッド作品への言及も面白かったです。私の個人的意見とは結構違うんですけれど理解できます。私はイーストウッドさんはどんな役でもイーストウッドの役なわけで、その辺はもしかするとキムタクが何をやってもキムタクの役であり、田村正和がどんな演技でも田村正和の役を演じているようにしか見えないのと同じだと思います。多分だから、でしょうけれど個人的にはイーストウッドが出演していないイーストウッド監督作品が好きなんです、「ミスティック・リバー」のような。でも本当に1番好きなのは「センチメンタル・アドベンチャー」なんですが(笑)ロードムービーでどうしようもなくダメ男が見せる最後のあがき、イーストウッドにしか出来ないキャラクターだと思います。でも、荒木さんの解説は納得させられます。

大好きな作品でありるコーエン兄弟監督作品「ファーゴ」についても触れられていて良かったです、とても独特の映画だと思います。

とにかく荒木さんの視点は非常に公平(無論荒木さんにとっての、ですが)で、先入観を排除しつつ、その理由がはっきり言葉に出来るのが素晴らしいと感じました。クリエイティブな方は目の付け所もクリエイティブなんですね。最後の方で荒木さんの映画を分析しているノートが2ページほど見られるんですが、これもっと見たいです。

次はコメディ映画についての分析や解説をしていただきたいですね!私はコメディ映画はとても難しいものだと思いますので。

映画が好きな方にオススメ致します。

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