井の頭歯科

マラソンの完結 「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」をIMAXで観ました

2022年2月4日 (金) 09:23

ジョン・ワッツ監督     MCU

マラソンの完結編です。ですが、ここでいきまり、

アテンション・プリーズ!完全に前作の終わりからの物語なので、どうしても前作のネタバレアリの感想になります。前作を観ている人に向けたモノになりますので、十分ご注意下さい。
ファーフロムホームの続編です。そして、大変脚本の完成度が高い。本当に難しい事にチャレンジして、そして成功している。

ですので、出来れば予習をして(全部で7本の予習が必要ですが・・・)、観に行ってください、劇場で。今ならまだ間に合います。

スーパーヒーローモノって個人的にはそれほど思い入れのあるジャンルではありません。そしていつ頃からか、このスーパーヒーローが悩み始める感じがします、自己存在の肯定性とヒーロー活動の齟齬に悩み始めるんです。まぁ深みは出ますけれど、それって日本の私小説じゃないか、とは思う次第。散々読んできましたし、あまり心地いい話しの着地は難しいです。と思ってはいます、今でも。

それに、スーパーヒーローの『やっつける』って私刑なんですよね・・・これについては藤子・F・不二雄先生の「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」を観ていただくのが分かりやすいと思います。非常に風刺が効いていると思います。

でもだからって巨匠リドリー・スコットが言ってる「スーパーヒーロー映画なんか幼稚だ」って言われても、リドリー・スコットの最新作であるグッチ家の騒動も相当下世話な話しじゃないですか?とは思います。みんな好きな映画を観ればいいと思います。

個人的には今年の№1って言ってもイイくらい嵌りました。とにかく脚本の挑戦が本当に素晴らしく、ここにやられてしまいました。もう1つ挙げるなら、それはマリサ・トメイだと思います。素晴らしかった。

なので、予習する気力がある人、そして今までスパイダーマンに触ってきた人にオススメします。

さらに、アテンション・プリーズ!今作についての、ネタバレありの感想です。今作を既に観ている人に読んで欲しいです。

感想がいろいろ長くなるとは思いますが、冷静に考えて、これはウルトラマンで言う所の兄弟集合回なんで盛り上がらないわけないじゃん!という気持ち、理解もしています。だって初代のウルトラマンだってゼットン回ではゾフィーが来てくれるんですよ。そりゃ盛り上がりますよ。その後セブンは無かったと思うけれど、帰ってきた(1番好き)でもあるし、エースに至ってはついに兄弟設定まで飛び出します。そりゃ盛り上がりますよね。でも今作はそれだけじゃない、それも理解しています。

全世界にスパイダーマンの正体を知られてしまった前作のラストからそのまま始まります。そこでピーター・パーカーは・・・というのが冒頭です。

今回は予習をしてきたので、本当にびっくりしました。そして予習は大変だったけれど(1週間で、トビー・マグワイア版×3本、アンドリュー・ガーフィールド版×2本、MCUリブートトム・ホランド×2本、そして今作は劇場IMAXで観ました!計8本!)有り余るプレゼントをもらえました。

まず、脚本家チームのクリス・マッケナとエリック・ソマーズに感謝をしたい。物凄く難しい挑戦をしています。それは過去作における愛だと思うんです。

過去作にはもちろん良い所もある。しかし時代は進歩していきますし、社会は複雑になり、それが進化と言うモノです、選り好み出来ません。そして過去はだいたい甘く美しく見えるモノです、過去作を経験しているのであれば。しかし、知らなかった、見ていなかった、経験していない人には、どうしても変な部分、掘り下げが足りない部分があると思います。その最も大きな部分は、悪の理論だと思うのです。

例えば、トビー・マグワイア版の最初の敵であるグリーン・ゴブリン=ノーマン・オズボーン=ウィリアム・デフォーは、2重人格であり、且つその原因が自ら開発した薬にあるのか、精神的な病のせいなのか、良く分かりません。さらに善きノーマンは悪いノーマンの悪行については知り得ていません。果たしてこれが本当の悪なのか?私は微妙だと思います。あくまでスパイダーマンの敵が必要であったからこそ、という安易さを感じます。ただ単に病人なのかも知れません。

それはドクター・オクトパス=オットー・オクタビアス=アルフレッド・モリーナも同じで・・・制御装置の破壊によってAI(?)機械の意思に乗っ取られた状態で、無論そんな危ない壊れやすい機械に頼る自分の責任ではありますが(そしてだからこそ今作では、な人)、でも哀れでさえありますし、トビー版でも海中に自ら沈んでいくわけです。

さらにマックス・エレクトロ=ジェイミー・フォックスもサンドマンもリザードマンも同様に、それって逆恨みなんじゃないの?とか、あくまで事故であって(しかしニューヨークの近くによくそんな施設作るよな・・・)とか、身体的欠損の補完は出来ても凶暴性増しすぎてるし、とかでスパイダーマンに倒されるべく作られたキャラクター、に見えてしまう部分が大きすぎると思います。

こういったように、ヴィラン側の事情があるにせよ、ヒーローに叩き潰されるだけの役割を負っていたヴィランを救う脚本を書こうと思った脚本家チームのクリス・マッケナとエリック・ソマーズの仕事を私個人は称賛したいです。

ヒーローが輝くためには悪が必要であり、ココに重きを置いたシリーズがMCU版ですよね、ヴァルチャーもミステリオも、やむにやまれぬ状況で、私やあなたが同じ扱いを受けていたら、悪に手を染める可能性が高い、誰しも陥りやすい凡庸な悪を描いていると思います。過去作にはそれが足りなかった。

だからあくまで倒されるべき存在として、だけ描かれていると思います。だってヒーローは、常に私刑を行っているんですよ、決して法治ではないです。だから、スパイダーマンに繰り返される『大きな力を持つ者は、大きな責任がある』という足かせが唯一あるわけです。実際に、それでも個人的怨念を晴らそうとするヒーローだっています。今作でも寸でのところまでトム・ホランドもマリサ・トメイの仇を討ちそうになる。

それを止めるのが、実際にはMJの命を救えなかったアメージングであり、躊躇させるために体を張る自らを許せないまま歳を取った、老いたトビー・マグワイア・スパイダーマンである事の意義は大きい。

そしてこれまでのスパイダーマンではベンおじさんによる、ずっと年上の、人生の下り坂にかなり入った、それでいて聖人君子的な場所から、ピーター・パーカーを導くような、あくまで指導的な立場からの足かせであり、オーソドックスでもあります。が、肌感覚はない。

でも、マリサ・トメイが、それもヴィランを治療しようという、ちょっと善意として行き過ぎ感さえある(プロテスタンティズムさえ感じる)人が、生活を共にし、スパイダーマンの秘密を共有し、アバンチュールさえ見せ合えた、メイ・パーカー=マリサ・トメイであったら、そこに意味がより生じると思うのです。

ここが非常にクドイと感じる人も居るかも知れませんし、これをしなかったからこそ、MCUリブートの意味があったんじゃないか、という人も居ると思います。ですが、人間として未熟な、高校2年の成長譚を描くなら、何処かで必要だったと思います。

メイおばさんの死を乗り越える為に、過去作のピーター・パーカーを連れてきて、しかもトビー・マグワイアを実年齢、歳を取った男として連れだすのは、凄くイイと感じました。ヒーローだって年を取るし、それこそアニメでしたが、スパイダーマン・スパイダーバースではまさに後悔しているスパイダーマンが出てきます。それを実写で行っている。それにトビー・マグワイアの紳士的な年の取り方を感じさせてくれて、そこがとても良かった。

さらにアメージングなアンドリュー・ガーフィールドは好感が持てます。過去作でMJを救えなかった事を繰り返さないようにさせる演出も、配慮が行き届いて個人的には良かったと思います。トビーとアンドリューが腰を労わるシーン、歳を取っても活動する事の意味を感じ取れて良かった。

俺たちのネッドが、サークルを開く、あの瞬間、そして彼の家族が出てくるの、サイコーでしたし、お母さんが出てくるから、違和感とギャグが成立していて、今作の笑いはかなり少なかったけれど、ここはホントに良かった。

さらに、魔術師ドクター・ストレンジの絡みも決して悪くなかったです。ストレンジvsスパイダーマンの映像の魔術感は、かなり進んでいました、クラクラする万華鏡感がありました、映像としてもかなり凄いです。

やはり何と言ってもトム・ホランドの、子供っぽさが今シリーズの肝であったので、願いが変わっていく事の説得力もあって良かった。でも、だからこそ、このシリーズは完結するんだと思いました。

それはトム・ホランド=ピーター・パーカーが、子供ではなくなった、からです。

ラストの選択、それまでは子供のように無邪気に挨拶を考えていた、しかし、MJとネッドのやり取りを観て、諦観を受け入れた時、私はトム・ホランド=ピーター・パーカーが大人になった、と感じましたし、その後のハッピーとの再会の場面で、受け継がれる、行為は残る、そして活動が続くのも、大人になった、と感じました。

それに、実際にトム・ホランドの顔つき、体つきが、大人になってしまった。

見事な完結作。

ただ、ヴィランを『治療』という訳し方は気になりますね・・・どうなんでしょう?英語ではななんと言ってるのか気になります。

また、ヴィランを治療するなら、JKシモンズの妄想を電波に乗せるのも治療した方が・・・とかも思っちゃう感じもします。

と、気になる部分もありつつ、この脚本は本当に凄い。オヤジ接待という部分、ファンサービスという部分、確かにやり過ぎ感もあるかも知れないけれど、それを突き詰めて、作品に昇華しているその努力はかなりきめ細やかですし、納得出来ました。

SWepisodeⅦ、Ⅷ、Ⅸとかでも、これくらいは配慮して欲しかったけど、今考えると本当にヒドイ話しでしたね、比較すると、そうなっちゃう。

MJが壊れたネックレスをしてくれているの、私に全く関係ないけど、嬉しかったなぁ~






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