井の頭歯科

4月6日の今日も計画停電ありません!

2011年4月6日 (水) 08:37

いつも通りです!

なので久しぶりに映画の感想をちょっと。

黒沢 明監督       東宝

有名な作品ですが、少しだけネタバレがありますので、未見の方はご注意下さいませ。

靴製作会社「ナショナル・シューズ」の常務であり、靴を製作することにこだわりを持つたたき上げの権藤(三船 敏郎)宅に、同会社の常務たちが会社の乗っ取りに同調しないか、と誘いを掛けて来ますが、その志向を快く思わなかった権藤はこれを拒否。金儲けではなくちゃんとした靴を作り、しかも会社を自分のものにする為に5000万ものお金をかき集め、独自で会社の株の占有率を高めることにほぼ成功します。後はその小切手を大阪に届けるだけ、というところで事件が起こります。権藤の息子とそのお抱え運転手青木の息子が一緒に遊んでいたうちに、権藤の息子と間違われて青木の息子が誘拐され、そして身代金3000万円を要求する電話がかかってきます・・・というのが冒頭です。

ここまで僅かな時間なのですが、既に権藤という人間の人柄が充分に推察されますし、その葛藤の具合も充分受け手に共有できます、その上での部下とのやり取り、夫人の言い分、犯人との駆け引き、そして警察からの要請に、翻弄されていきます。その翻弄され方の芯の通った感じもまた、上手いキャラクター作りがなされている上に三船さんの演技がまたイイんです。

そして捜査の指揮を取る戸倉警部に仲代 達也さんが、非常に抑えた演技をしていて、犯人逮捕への執念を見せてくれます、とてもクールに。その演出も練られていて、単純なキャラクターでない、深みを感じさせられます。また、ある理由から犯人を泳がせる、というある意味『法』を超えて執着を見せる場面での演技は鬼気迫る部分があるのですが、この主演2人をある意味脇に追いやる印象を残したのが犯人役を演じた山崎 努さんです。

この映画は前半は極限状態に置かれた権藤の葛藤と、それを取り巻く人間ドラマを基調にしたサスペンスで、トリック、伏線、が上手くだからこそのハラハラしたエンターテイメント性が高く、惹きつけられます。しかし犯人の方が明らかに1枚上手であり、徹底していますし、その心のどす黒さは理解出来るものの、その理由は定かにされません。だからこその不安感が底辺にずっと流れて感じます。それが身代金の受け渡しがあってからの後半はガラッと様相に変化が見られます。警部の執念対犯人の頭脳的対決からその執念が勝り、尾行劇の臨場感、そしてクライマックスに至る正義を伴ったカタルシス(音楽もこの場面にピタリ!)は圧倒的です。ここである意味終わっても十分な鑑賞後の余韻があるのですが、その上を行くのが最後、権藤と犯人のやりとりです。

最後の場面の迫力は凄いです。

邦画にアレルギーの無い方なら、是非どんな方でも見るべき作品、丁寧なカメラワークで、よく練られたストーリィを、渾身の演技で役者さん方が魅せてくれます、オススメです。

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