井の頭歯科

「全裸監督」を見ました

2019年8月22日 (木) 08:48

アテンション・プリーズ!

今回のブログは(まぁ読んでいる人もいないと思いますが、いた場合に備えて)少々過激な表現を含んだドラマの話しを扱いますので、性に対してのアレルギーがある方、もしくは大変『昭和』な事象を扱った作品ですので、『昭和』に免疫が無いと思われる方はご遠慮願いただきたいです。決して不謹慎な出来事を扱っているとは思いませんし(いや、少し扱っていますね)、何をもって不謹慎か?を問うのは難しいのですけれど、そう捉える人には読まない自由があるのと同時に、私にも表現する自由があるので、感想を書いてみたくなりました。同時に猥褻についても扱った作品だと思います、これもわざわざ見たくない人は見ない自由もありますけれど、考えてみたい文章にしてみたい人の自由もあると思います。

性とか裸を扱っています、ご注意下さい。でも普通のドラマとして、大変面白かったです。

武 正晴、河合 勇人、内田 英治 監督         Netflix

私はいつも海外の映画(国内もなんですが)に映倫という自主規制団体が画像を修正する権利があるのか?疑問でした。ピンク色のぼかしを入れる事が、どれだけ作品を傷つけているのか?がずっと疑問でしたし、R18 指定というゾーニングが出来るのであれば、R20以上は大人なのでぼかしそのものを無くした映像を見せるべきなのでは?と思っていたので、このネット配信のNetFlixがまさに日本の映倫の呪縛を解き放ったと感じます。

この映画の中でも言及されるのですが『何を猥褻とするのか?』は究極的には個人の判断だと思います。ですが、国家が、法治的に決定しているのが現状です。では、何故絵画作品は良くて、または造形物が良くて、映像作品がダメなのか?が理解出来ません。ミケランジェロのダビデ像は裸ですけれど、ぼかしをいれようとする団体はいません。これも昔は公開時に布で覆ったりしていた経緯を考えると、これだけネットが普及した現在、日本国内での自主規制の在り方を更新するべき時期だと思います、というか遅すぎましたよね?ついに昨年末にはNetflix公開のキュアロン監督の「ROMA」で映倫を通さないでの公開方法が確立してしまいました。今後はある程度更新される可能性もありますけれど、こういう規制については外圧が無いと変えられない日本という国、という傾向あると思います。そういうところも含めて美しい日本という良い面だけを見る事が大事である、後ろ向きの話しはしたくない、という意見を聞く事があります、主に職場が同じ人からですけれど、そういう人には映画シン・ゴジラの主役矢口蘭堂の

「大臣、先の戦争では、旧日本軍の希望的観測、机上の空論、こうあってほしいという発想などにしがみついたために、国民に300万人以上の犠牲者が出ています。根拠のない楽観は、禁物です」

というセリフを聞いて欲しいと思いますね。

自主規制を通さない、という事がどのように関連しているのか?は不明ですが、どの役者さんも大変過激な表現をとても楽しんで演じられているように感じました。ものすごく昭和的な感覚を楽しんでいる、と感じました。もちろん少々オーバーな表現もありますし、正直上品では決してありませんけれど、それはあくまで題材であって、製作者側含め、この作品のクオリティは大変高いです。

そういう意味でこの作品がNetflixで扱われているという事は、世界で同時に公開されている、という事実、日本のドラマの水準を見せているという事に他なりません。その点でも良かったと思います。あくまで主演者の知名度と芸能事務所の力関係でキャスティングが決定し、美男美女の、恋愛だけ、に焦点が絞り込まれている作品だけが、日本のドラマではない事を示せているだけで良かったと感じます。キャスティングだけでドラマの結末がある程度予想出来るのは大変底が浅いと感じてしまいます。

どの演者さんも素晴らしい演技ですし、僅かな出演シーンであっても、大変有名で、且つ演技力が求められる方が多数出演されています。ここが本当に凄いです。テレビドラマのバジェットとは確かに規模が違うかも知れませんが、非常に攻めている、という事が理解出来るのです。扱っているテーマだけでなく、その映像なり、美術含め、こだわりが画面からひしひしと感じられます。そして、常に受け手に問いかけてくる姿勢が攻めを感じさせてくれます。

もちろん何もかもが良いわけではなく、恐らく、事実に基づいた、くらいで演出はかなり入っているであろうことは相当部分予想されます。当時を知る人からすると、全然事実と違う、という部分もあろうかと思います。しかし、そこを、勢いは削がない、という熱量で振り切った作品です。批判は受けるけれど、これが監督含め製作者側が作りたかった作品なのだ、という強い意志を感じます。

音楽の使い方も非常に上手いです。とても尾籠なシーンに、え、この音楽をかけるの?という異化効果がありますし、その選曲が本当に考え抜かれていて怖いほどです。ペットショップボーイズ、久しぶりに聞きましたよ・・・衝撃的!

大変破天荒な人物を主演する山田孝之さん、凄く熱いです。村西さんの顔写真を見たのですが、本当にそっくりです、どうやって似せているのか不明ですが、空気感が似ているという感じです。いくつかの映画作品を観ていますけれど、今回はこれまで以上にこの作品に賭けている姿勢感じました。正直、私はこの人物があまり好きではありませんし、言っている事は正しいにしろ、その表現方法は露悪的とも言えます。正論ではありますが、出来ない正論のように感じますし、私は出来上がった作品が受け入れられていればそれが評価なのだと思います。しかし、めげないところと、短絡さが。行動力を伴った人物に宿ると、周囲の人間は大変であったろうな、と思います。私が気になったのはハワイの作品の評価です。正直主演女優が言うように、大変稚拙な作品に見えます、まぁどの作品も、何ですけれど・・・でも、こういう作品が好きな人には、大変響くと思います。そういう意味で振り切った方。だからこそ、演じる方も振り切っています。

玉山鉄二さんも存在感が圧倒的です。大変現実味のある、ある意味このチームの中での常識者としての立ち位置を演じているのですが、それでも、このチームに入る人である、という印象の付け方からして飛び抜けた演出をされています。

満島真之介さん、ここまでチンピラ感を伴った方は久しぶりに観ました。大変オーバーアクションなんですけれど、それが良い方向に向かっているのが凄いです。シーズン2でどうなってしまうのか?気になります。私はこの人とのバディ感が無くなると大変厳しい状況に追い込まれると思うんですけれど・・・

石橋凌さんの、大物感、酸いも甘いも嚙み分けた、大人の分別があってなお、絶対に揺らぐ事の無い独善的な気質を持った人として見えるの凄いです。説得力があります。な、だけに、私は最終話の扱いが信じられないです・・・シーズン2が決定したようですし、ここがもう少しどうにかならなかったのかな?と思います。したたる何か、は生きている証拠、と捉えたいです、シーズン2も出演して欲しい。

國村隼さん、このドラマの中で1番怖くて、1番振れ幅も大きいですし難しいキャラクターだと思いますが、最も良かったと思います。映画「コクソン」の時も凄かったですけれど。凄み、十二分に感じられます。

新人だと思いますが、黒木香役の女優さんの演技はなかなか重みがあって良かったです。とは言え、この人もこういう人なんだと思いますけれど、非常に露骨な方。だからこそのギャップをエロティシズムと感じる方もいらっしゃるとは思いますが、私はそこまで感じなかったです、エロティシズムのベクトルがまるで違うのもありますけれど・・・でも、世に認知された当時はセンセーショナルだったんでしょうね・・・

そしてピエール・瀧(いや、今年はウルトラの瀧でしたね!)の凄みは相変わらずです。役者として戻ってくるのはとても難しい事だと思いますし、このドラマにも出演されていますけれど、リリー・フランキーさんも素晴らしいのですが、やはり画面でピエール・瀧さんがまた見たいです。休養も治療も必要なので、すぐにではなくて、体調と精神的な安定が得られたら、で構わないので、是非帰っていて欲しいです。

札幌、新宿歌舞伎町、の当時のセット、どうやって撮影したのでしょうか?なんとなくCGなんでしょうけれど、セットのような感覚の場面もあって、だとすると、かなりお金がかかっているのでは?と思います。

とにかく、地上波のドラマを駆逐しかねない、大変な熱量と意気込みを感じさせるドラマが、やはり黒船と同じく、外圧(Netflix)によって入ってきた、という事実を確認するだけでも、大変面白い作品だと思います。地上波ドラマだって、昔は良作がたくさんあったはずなのに・・・山田太一さんドラマは大好きですけれど、その山田太一さんだって木下恵介監督に師事しています。お弟子さんみたいな方はいらっしゃらないのでしょうか?少し系列は違いますけれど、倉本聰さんだって私塾を開いていらっしゃったと思いますし、お弟子さん筋がいてもオカシクナイと思うのですが。長谷川和彦さんだって「悪魔のようなあいつ」の脚本を書いていらっしゃいますし、お弟子さんはいないと思いますが、影響を受けた脚本家、いると思うんですけれど・・・向田邦子の弟子筋の方の話しも聞いたことが無いです、そういえば。でもこの辺で地上波含む日本のドラマも変化していかないと厳しい状況になると思います。

このキャストで、新しい山本隆夫監督作品『金環蝕』のような映画が出来たらいいのに!と思います。この『全裸監督』のドラマと比べたら少し前に観た「新聞記者」(の感想は こちら )は残念ながら薄っぺらく感じてしまうと思います。

最後に、大変面白いドラマですし、間違いなく地上波のドラマを超えて、つまりスポンサーや視聴率という諸々を超えて、ドラマの質で圧倒的です。が、扱っている時代だからこそ出来た部分もあると思います。正直、この主人公の、警察からの逃避生活は、ちょっとダメどころではありませんし、さらに、お金に対する執着についても、非常に倫理的に難しい部分あります。もっとはっきり言えば、私はバブル時代を、日本という国をあげて舞い上がって頭が正常に働かない酔っぱらった状態になってしまった、と感じています。拝金主義の極み、のような世界だったと思います。あまりあのような時代に戻って欲しくはありません、ドラマは面白かったですけれどね。

昭和が懐かしい方、にオススメします。

ブログカレンダー
2019年8月
« 7月   9月 »
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
ブログページトップへ
地図
ケータイサイト
井の頭歯科ドクターブログ