井の頭歯科

「情婦」を観ました

2023年8月12日 (土) 09:08

 

 

ビリー・ワイルダー監督     MGM     U-NEXT

久しぶりにビリー・ワイルダー監督作品を観たくなったのと、この映画が好きじゃないなら、もう映画を観なくてもイイ、と言われている方がいらっしゃったので。

原題は Witness for the Prosecution 検察側の証人 と言ったところでしょうか?

裁判所で裁判官が入廷してくる場面から映画が始まります。その宣誓の言葉が非常に印象的ですし、伏線にもなっているのです。場面変わって、ある車の中、太った男と看護婦が並んで座り、看護婦の会話に辟易している太った男は弁護士のウィルフリッド卿です・・・というのが冒頭です。

確かに素晴らしい作品!なかなかの衝撃度です。さらに、演者全ての方が上手い!脚本もなかなか魅せる脚本で、イイです。

ビリー・ワイルダー監督作品はそれほどたくさん見ているわけではありませんが、やはり何と言っても「お熱いのがお好き」と「アパートの鍵貸します」なんですけれど、これって後期の作品なんですよね。最近、かなり前期の頃の作品である、アルコール中毒患者の映画「失われた週末」を観ましたけれど、凄く上手い監督だな、と感じました。何というか、非常に良いテンポで、最小限の表現と演出で、最大限の面白さを引き出していると感じます。非常に上手いと思います。

今作では、そのコミカルさと、シリアス度、さらにサスペンスがあり、最後は〆るのまで、まさに黄金期の映画という感覚です。そしてやはりとても上手いです。

そしてそれは脚本の勝利な気がします。原作はアガサ・クリスティーですし、アガサクリスティー本人が、戯曲家したものを、脚本家でもあるビリー・ワイルダー監督が自ら、脚本していて、恐らく、かなりソリッドにまとめあげ、程よくコメディタッチな部分をまぶしてくれていて、これが良い刺激になっていて、大変面白く、すぐに引き込まれます。こういう部分が流石!と思う所です。

キャラクターの立て方、その掛け合い、とても好ましいまるで教科書のような演出!そしてここに、演者のマジックが加わるので、さらに素晴らしい作品になっていると思います。

まず何と言ってもマレーネ・ディートリッヒがもう凄い。冷徹な感覚で、素晴らしいです。いろいろな面を見せてくれるのですが、そのどの場面も上手い、自然、そしてびっくりさせられる仕掛けが満載です。主演と言ってもいいかも。

さらに、弁護士ウィルフリッド役のチャールズ・ロートンの老獪な感じ、姿形と相まって説得力があり、素晴らしいですし、その相方となるのが、口うるさい看護師エルザ・ランチェスターさんなんですけれど、wiki調べですが、この2人はご夫婦!なるほど、だからこそに阿吽の呼吸の妙があり、すぐには醸し出せない絶妙のバランスがあります。納得のキャスティング!

しかもここにタイロン・パワーという私は初めて観る役者さんが、化学反応を起こしているのですが、この役者さんも上手いです。

昔の監督は、本当に脚本を練り上げて、そして、役者の良さを引き出す演出があり、何というかスタッフの一体感がありますね。

確かに名作。

 

系譜として、これは個人的に、チャップリンが作った道を、エルンスト・ルビッチが進め、さらにそのルビッチをお手本に、ビリー・ワイルダー監督が補強している!と感じました。その先に日本で、ドラマでやったのが三谷幸喜さん。その三谷さんをさらに進めたのが内田けんじ監督な気がします。

映画が好きな方に、オススメ致します。

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