井の頭歯科

「ロスト・チルドレン」を見ました

2013年9月17日 (火) 09:17

ジャン=ピエール・ジュネ、マイク・キャロ 監督  ヘラルド

最近見た「ソイレント・グリーン」が面白かったので、同じ近未来モノであり、「夢」というモチーフを使って、そして異常な世界を作り上げるのが上手いジャン=ピエール・ジュネ&マイク・キャロ監督作品を見たくなったので、久しぶりに見ました。ジャン=ピエール・ジュネ監督といえば有名なのは「アメリ」ですが、個人的に好きなのはマイク・キャロと組んでいた「デリカテッセン」とこの「ロスト・チルドレン」が好きです。ジュネ監督の明るさと作り込みと世界観はもちろん綺麗ですし、ストーリィの落とし所も上手いんですが、ちょっと上手すぎる感じでなんか物足りないような気もしてしまいます。しかし、キャロ監督と一緒に制作した2本の作品はいくぶん暗い影を感じさせる作風になっていて好きです。ジュネ&キャロ監督作品は劇場で観ているんですが、久しぶりに見たくなったので借りてきました。96年公開ですからもう17年も前の作品なんですね。

何処かの港町。夢を見ることのできないマッドサイエンティストは子供たちの夢を盗もうと特別な機械を使って子供の夢に侵入しようとするのですが、その夢は必ず悪夢に代わってしまい、それでもどうにか夢を盗もうと手下のクローン人間たちに働きかけ、子供を次々とさらってきます。そんな組織に弟をさらわれたサーカスの怪力大男ワン(ロン・パールマン)は弟を探しているのですが、そんな中孤児たちの窃盗団に助けられます。行動を共にする中でその窃盗団のリーダーであるミエット(ジュディット・ヴィッテ)と弟を助け出すために・・・というのが冒頭です。

主役を演じているロン・パールマンは映画「薔薇の名前」のサルヴァトーレ役の人と言った方が分かりやすいかもしれませんが(最近ですと「パシフィック・リム」の闇商人ハンニバル・チャウ役!)、味のある役者さんですが、しかしそれよりなにより僅か11歳でこの映画のヒロインを演じているジュディット・ヴィッテが末恐ろしい演技でした。なんというか非常に子供であり、しかし大人でもある面(11歳で感じさせるなまめかしさってどういう事なんだ?あるいは人生の重みみたいなものを表情だけで表現させる演技力ってどういうことなんだ?)を感じさせる女優さんで、容姿端麗な子供なだけでない演技を見せつけてくれます。フランスの美少女、なだけでない部分、そして影を見せるのが素晴らしいです。

またジュネ作品に必ず出てくるドミニク・ピノンが6人のクローン役で出てきますが、これも素晴らしく面白いです。また前作「デリカテッセン」では肉屋の店主を演じていたジャン=クロード・ドレフュスも耽美的なキャラクターで出てきます。

そして世界観と言いますか世紀末感と言いますか、画面全体的にくぐもった感じでいて、そこにあの「ツイン・ピークス」の音楽を担当しているバダラメンティの怪しい音楽が流れてくると、とても不思議な世界観が際立ちます。

最初のシーンであるクリスマスの夢が悪夢に変わってゆく、何かが歪んで変質していくシークエンスの見事さも素晴らしいと思います。

子役の演技の素晴らしい方はきっとたくさんいらっしゃるとは思いますが、私としてはこのジュディット・ヴィッテさんを最も子供らしくない子役だと思ってます。その後も女優さんとして仕事をしていたら相当凄い方になったのではないか?とも思うのですが、ウィキ情報ですとその後女優は辞められているみたいで残念です。が、こういう一時の輝きだからこそ、貴重に思えるのかも知れませんし、案外20歳を過ぎればオーラの消えたただの人という可能性も(そういえばハリウッドの世界でも子役で成功した人がその後順風満帆であった例は数少ないような気がします)なくはないんでしょうけれど。

ファンタジー色の混じったSF世界や独特の世界観を持った作品が好きな方にオススメ致します。

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