宮崎 吾朗 監督 ブエナビスタ・ホームエンターテイメント
宮崎 駿さん、とても有名な映画監督ですよね。アニメーションは子供だけのものではなく、大人が鑑賞することも可能なものでありますし、日本の一大輸出産業で文化であると思います。もちろん私も大好きですし、子供の頃から影響受けまくってますし、良い面もたくさんあります。が、ダメな部分もあって、この世界だけに留まるのはやはり危険なことですし、あくまでアニメーションという表現の『手段』であって『目的』ではないと思ってます。同じ文化で『漫画』についても全く同じことを感じますが、『手段』と『目的』を履き違えると危険な感覚に陥っていくと思います。様々な表現の手段があること、多様性があって、選択することが出来ることは素晴らしいことだと思います。もっと盛んになって欲しいですし、もっと高く評価されても良いと思っています。
宮崎 駿監督作品、あるいは携わった作品の中で個人的に最も素晴らしいと感じているのは映画なら「ルパン三世 カリオストロの城」で、それ以外なら漫画版の「風の谷のナウシカ」です。もちろん「となりのトトロ」も素晴らしい作品でしょうけれど、個人的な刷り込みと言えるほどに世代的に「カリオストロ」はヤラレマシタので。展開、セリフ、構成、キャラクター、声優、音楽、全てにおいて完成された作品だと思いますし、出会った時期にもよると思いますが、嗜好を決められてしまった、と思えるほどの作品です。
そんな宮崎さんの作品、というかジブリ作品そのものから遠ざかっていました。なにぶんこちらも段々と大人、というかオジサンに（もっと言うと４０代からは正確には『初老』ですし！）なっていくわけですし、ジブリのマーケット的な狙いはあくまで思春期前の子供だと思いますから。また、ジブリ作品としては「猫の恩返し」をテレビで見たのを最後に、割合追いかけるのがキツく感じていましたので、遠ざかっていました。
ですが、たまには字幕を目で追うことに疲れを感じる時もありまして、見逃していた「ジブリ」作品を少しまとめて見てみました。
まず気になっていたのが「ゲド戦記」です。あの、アーシュラ・Ｋ・ル=グウィン原作の「闇の左手」のル=グウィンです！ゲドシリーズは未読なんですが、ファンタジーの傑作と言われていますし、個人的にはいつか読んでみたい作品の映像化です。なにしろ宮崎 駿監督が本当にやりたかった原作、と言われていましたし、期待するものも大きい反面、映画を見た人の反応は極めて冷ややかであるのも有名です。その辺は恐らく監督が駿さんではなく、何故か息子である吾朗監督である、という点に於いてもあるだろうと思うのですが、見てみないことには分かりませんし、複雑な気持ちで見ました。
ある巨大な大国の王が、国の周辺に起りつつある異変の数々に対応しようとしていたところの僅かな隙をついて、我が子であるアレンに、突然、刺殺され、剣を奪われます。アレンは何か意図があったのか不明ながらも、砂漠の地で獣に襲われているところを、ハイタカという物静かな初老の男に助けられ、ハイタカの旅に同行するのですが・・・というのが冒頭です。
ちょっとだけ、ネタバレあります。観賞の妨げにはならないように気をつけたつもりですが、予備知識無しで見たい方はご遠慮くださいませ。
で、ゲドの世界観は分からないのですが、なかなか思い切った展開ですし、構成だと思います。かなり一部分を区切っての映画化、映像化なんだろうと思いました。言われているほど酷い作品ではないのではないか？と思います。もちろんストーリィの飛躍と言いますか、原因が不明な部分が多く、受け手が想像を許す部分があることを私は好む傾向があるので、好印象を持ったのかも知れません。が、それでも、少し飛躍する部分が大きすぎる気もします。また冒頭の、龍の共食いの場面の意味もよく分からなかったです。また、よく分からない、といえば最後のアレ。アレは一体なんだったのでしょうかね・・・ちょっと意味不明過ぎますし、もし化身ということであるなら、何で最後まで何もしなかったんでしょうか？とか謎が謎を呼び過ぎて、どうにも取ってつけた感に繋がってしまいます。大変失礼ながら、「千と千尋の神隠し」のハクを思い出す演出でしたよね、本当のところどういうことなんでしょうか？
しかし、テナーというヒロインの歌、アレンの声を担当している岡田 准一さんはなかなか上手いと思いましたし、クモ役の声優、田中 裕子さんも「もののけ姫」のタタラ場の責任者の方と違った意味で良かったと思います。
ジブリ作品が好きな方に、オススメ致します、そして明日に続きます！
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