井の頭歯科

「学校では教えてくれない!国語辞書の遊び方」を読みました

2013年5月7日 (火) 09:02

サンキュータツオ著       角川学芸出版

私は「お笑い」に詳しくありませんし、どちらかというと面白くない人や気難しい人が多いなぁ、という印象を持っていますが、このサンキュー・タツオさんはかなり好きな人です。存在を知ったのは「東京ポッド許可局」というインターネットの番組からなんですが、『行間を読む』という行為に納得してしまいました、そういう部分好きですし、たまに情熱がほとばしり過ぎて切り口が失礼にあたってしまう部分にも好感持てました。

そんなサンキュー・タツオさんがこだわりを魅せる『辞書』の世界を分かり易く、しかも興味深く紹介してくれるのが本書です。

最初に辞書を意識したのは赤瀬川 源平著「新解さんの謎」(文春文庫)でした。辞書って面白い、というよりは新解さんが面白い、という認識だったところを改めて辞書の世界の面白さを分かり易く解説しつつ、その深みも見せるという変わったつくりになっていますし、なにより辞書をキャラクター化させるという見せ方が上手いと思いました。

私の選択で行きますと向いている辞書は「新潮現代国語辞典」ということになります、確かにこれも気になる辞書ですが、やはり「新明解国語辞典」は気になりますし(『恋愛』という項目の説明が凄すぎるし個性的で素晴らしい!)、さらに知らなかったのですが「日本語 語感の辞典」という存在は知らなかったですし読んでみたい!と強く思わせました。また「ベネッセ表現読解国語辞典」の柔軟性も読んで確認してみたいと感じます。

そして、日本語というツールに対しての考え方を改め直す意味に於いても面白いものがあります。日本語、という時代と共に変化してゆくものである事を実感させられます。今まではなんとなく、ですが言語という「手段」に正しいも正しくないもないのではないか?と感じていたのですが(たとえばワザと分からない表現方法を用いて仲間だけが理解出来る「言葉」を使うのも言語ですし、『ら』抜き言葉でさえ用途として簡潔にしつつ表現が増える、しかも大多数の人に通用するのであれば、それも「言語」として役立っているわけです)、その私の「なんとなく」を言葉で説明してくれています。そうですよね、正しい、正しくない、ではなく「揺れ」だというのが理解出来ます。よく考えれば古文調で喋る人も既にいませんし、相対的に見れば「今」の瞬間を「その人」の印象で見れば「正しい」とか「正しくない」とか言っているわけで、そこには100年前や地域としての方言などの客観性も無く意見しているのではないか?と思います。言葉は変化しやすい揺らいだ存在なんですよね。

このブログでもそうですが、私は同じフレーズを繰り返してしまうことが多いです。それで伝えられるのであるなら良いのですが、伝わり難い方もいらっしゃると思います。治療法(つまり「手段」ですね、「目的」ではなく!)についても同じことが言えますけれど、『ひきだしはたくさんあった方が良い』と思うのです。パラフレーズする能力は養える、と思っているんです。経験も重要ですが、経験しなくとも知ることでも代用可能だろうと思いますし、訓練次第なのではないか?と思います。目的に到達するための道は多い方が融通が効いて到達し易いと思うのです。言葉であれば意味が通じて相互理解ができ、治療法であれば1つの治療法が上手く行かなくとも、別の治療法があれば治癒する確率が高まるわけです。

辞書の世界の面白さは十二分に伝わってきますし、日本語、という普段から使う言語でありながらも完全に使いこなせているわけではない、最も汎用性の高い表現ツールですので、是非新たな辞書を購入しようと思いました。その際はいろいろ比べて検討しなければならない、と決心させる本でした。

日本語をもう少し上手く操りたいと考えている人に、活字を読むのが好きな方に、そして少しだけ人と変わっていてもこだわりが感じられる事を良しとする人にオススメ致します。

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