井の頭歯科

「乱れる」を見ました

2013年8月13日 (火) 09:28

成瀬 巳喜男監督       東宝

いつか見ようと思っていた映画監督成瀬巳喜男。凄い監督とは聞いていましたが、まさかここまでとは!他に見たい映画があったのですが、全て借りられていたので(世間はお盆休みなんですねぇ・・・)、うろうろ迷っている間に金井 美恵子さんのエッセイが出るのだなぁ、というところから成瀬監督の事を思い出して借りることにしました。なので、主体的に選んだ結果ではなかったのですが、だからこそ、余計に衝撃的な出会いになってしまいました。おいそれと簡単に手を出すような映画ではない事は間違いない、非常に完成度の高い素晴らしい作品、様々な人が強く成瀬監督作品を推すのも納得の、いやそれどころか驚愕の作品でした。まさに、ヤラレタという印象を持ちました。

敗戦後の静岡に近い田舎町の酒屋を切り盛りする礼子(高峰 秀子)は長男の嫁であったのですが、その長男は戦争から帰らず未亡人です。酒屋に暮らすのは、母しず(三益 愛子)と次男の幸司(加山 雄三)ですが、長女(草笛 光子)と次女(白川 由美)も嫁いで家を出ているものの近くに住んでいます。近所にはスーパーマーケットが出来て、小売り商店は憂き目を見ている中、幸司はスーパーマーケットの店員ともめごとを起こしてしまい・・・というのが冒頭です。

いわゆる家族ドラマであり恋愛ドラマなんですが、個人的に好きなジャンルの映画ではないです。が、もう、ものすごい傑作でした。そういうジャンル分けというのがいかに意味の無い分け方なのか?というのを感じさせてくれました。多分、良い映画とそれ以外しかないし、この「乱れる」は間違いなく良い映画である、としか言えないくらいの作品でした。

いろいろ書きたい事はたくさんあるのですが、この映画は(多分どんな映画、音楽、読書、演劇、バレエ、絵画鑑賞であっても)先入観なく観ていただくのが最も効果的であり、作品そのものを楽しめると思います。ので、私の感想なんかもうどうでも良い、とにかく時間は無駄にさせないので、観てください、としか言えないくらいの、非常にサスペンスフルな、そして人間ドラマの映画です。

おそらく私よりも女性である方々にはもっと衝撃的に響く映画だと思います。また、中には男性にとやかく言われたくない、という感想を持つ方がいても不思議ではないくらいの感情的な揺さぶる力を持った作品です。

愛情というものが気になる方に、家族というものが気になる方に、特に女性の方に強くオススメ致します。知らなかった私が無知なんですが、とにかく凄く衝撃的で素晴らしい傑作映画です。

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