井の頭歯科

「北方 三国志」の続き 7~9巻

2014年2月7日 (金) 08:27

北方 謙三著    角川春樹事務所

友人からお借りしている北方「三国志」ただ今9巻を読み終えたところです。全13巻ですので、正直感想をまとめるのは早計なのは重々承知の上での感想です。なにしろ13巻分の感想はちょっと長くなってしまいますしね。

1~3巻の感想はこちら

4~6巻の感想はこちら

今回は7~9巻の感想です。次回は一気に最後の13巻まで行きたいと思ってます。

いよいよ赤壁の戦いです。三つ巴の乱世の世界を描いているとはいえ、三国志の世界でこの3陣営が1度に戦場にまみえるのは、曹操が檄文を飛ばして反董卓連合を形成した時に全員が同じ陣営に揃ってはいますが、それ以外では、魏、呉、蜀の3者が同じ戦場で合戦したことは多分無かったと記憶しています。

ですので、最も有名な三国志における戦いと言えば「赤壁」だと思います。ここで普通であれば呉の周瑜を助ける諸葛亮の、能力、先見性、舌弁の鋭さ、もしくは風を操る仙人のような能力を披露したり、と主人公的な扱いを受けるのですが、北方三国志の赤壁における主役は周瑜です。なので闞沢との舌戦、龐統の連環の計も、周瑜との矢を集める試練もありません、ちょっとこの辺はあっさりした感じがします。

いかに計算の上に計算を重ね、心労の上に心労を重ねて東風が吹くのも計算に入れつつ、その一瞬を捕まえられるか?臨機応変が求められる心理戦を、埋伏の毒や苦肉の計などは排除して、唯一クローズアップされたのはやはり諜報戦の重要性です。心理的な諜報戦の読み、逆手に取る際の鮮やかさ、そして周瑜というオトコの漢(とかいてオトコと読ませる方)性が際立つ展開です。大軍に対しての引けを取らない数々の対策よりも、ここぞという1点を外さない機を見て敏なる周瑜、という曹操に対する唯一の好敵手の様相を呈しています。

打って変わって赤壁敗退後(この際の曹操の見切りがまた鋭いのですが、もう少し慌てふためく部分があっても良かったのではないかとも思います)、関羽が曹操を見逃す、という重要な局面が無く、曹操と許褚とのエピソードだけが描かれる辺りに、北方さんのロマンティシズムを感じさせます。個人的にはもう少し話しを膨らませてもいいような気がしましたが、漢と漢のバディ感はいやがおうにも高まりますし、この辺りから虎痴と呼ばれるのも、上手いと思う反面、もう少し虎痴という呼称を早く出して置くような伏線をしておけば、もっと盛り上がるのに!という印象も持ちました。

そして、ついに荀彧が死を賜ります。曹操陣営では賈詡と共に戦略や調略を支えた人物で、賈詡よりも人間味を感じさせる、曹操陣営の中で最も曹操に近い男の死は、様々な三国志の中でも多様な解釈がされてきていますが、この北方三国志の解釈はなかなか鋭いと感じました、それぞれが妥協出来るギリギリまでの交渉をした挙句の、些細な行き違いの結果、という演出はかなり説得力がありました。もう少し劉備陣営のように、曹操陣営にも、もっとページを割いてくれてもいいのに!とも思います。あくまで天才・曹操を描くための曹操陣営、というのがもったいない感じがしました。

三国志のキャラクターの中でも関羽はかなりの人気の高さを誇る人物ですが、いよいよ最後の刻を迎えます。周倉は出てこなかったけど、関平も関索も出番は無かったけど、廖化が出てきてくれたのは嬉しかったです。麦城という地名も懐かしいかぎりですし、孟達の裏切りは描かれます(劉封は出てこない・・・)。北方三国志は割合散り際の美しさを耽美的に見せる演出にチカラを注いでいるので仕方ないのですが、もう少し関羽の出番が欲しかったです、あくまで劉備陣営の、それも張飛のアニキ分という程度でして、関羽の活躍はもう少しあっても良いと思いました。

で、その代りと言ってよいほど扱いが大きいのが五斗米道の国、漢中を治める張魯の弟である張衛です。この張衛と馬超が、この後物語を動かしていくのか?とも思います。いよいよ夷陵の戦い、果たして張飛の、劉備の、そして曹操の最期やいかに。

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