井の頭歯科

「ウインド・リバー」を見ました

2018年12月19日 (水) 09:10

テイラー・シェルダン監督      KADOKAWA
2018年見逃し後追い作品その12
予告を見て気になってはいたものの、上映館が少なくて、なかなか行けなかった作品です。
アメリカ、ワイオミング州、ウインド・リバー保留地。極寒の雪原に倒れ亡くなった少女を、自然保護区のハンターのコリー(ジェレミー・レナー)が発見。FBIの新人捜査官であるバナー(エリザベス・オルセン)が派遣され、この居留地での捜査を開始するのですが・・・というのが冒頭です。
インディアンという言葉はインドの人という意味で、当時のアメリカ大陸は世界一周の果てで発見された関係でインドと勘違いされていた事からですけれど、そもそも自分たちで呼称していたわけではありませんし、現在ではネイティブ・アメリカンと言う事になっていますけれど、しかし、大変重くて辛い現実を歩いた人々です。現在は保留地と呼ばれる地域に押し込められたいて、しかも極限のような土地です、生活が厳しく、荒廃しているように見えます。
そんな土地での殺人事件、しかも非常に重い事件を扱っています。映像も、非常に重い部分もかなりはっきりと描いていますし、アメリカの暗部をえぐっている作品とも言えます。しかも、非常に普遍的なテーマも扱っている上に、サスペンスフルで見応えあります。
主役ジェレミー・レナ―さん、全然見覚えが無いんですけど、ちょっと調べてみたら、キャサリン・ビグロー監督「ハート・ロッカー」、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督「メッセージ」と、結構ちゃんと見てるはずなのに、全然覚えてなかったです・・・相手役のエリザベス・オルセンさんも全然見覚えが無いんですけど、何か見た事あるようなお顔立ち。新人FBI捜査官でブロンドヘアーでクラリスのイメージが強い分、ジュディ・フォスターとジュリアン・ムーアを足して2で割った感じのイメージになってしまいました。でも、なかなかの好演だと思います、決して悪くないです。
ただ、非常にヘヴィーな話題についての映画ですし、ミステリー仕立てなので、是非見ていただいた上で判断して頂きたいのですが、とにかく重たい事件、そしてこれは映画ですけれど、実際のネイティブ・アメリカンの方々にとっての居留地での生活を考えると、苦しい気持ちになります。
最後のある1点からとてもショッキングな展開、さらにその上へのショッキングな展開を考えると、構成として、とても理詰めで組まれていると感じました、ある種の意地悪さ(←褒めてます)と共に、です。
極寒の世界、その中で生きる人の生活、ネイティブ・アメリカンの置かれた現状に興味のある方、サスペンスモノに興味のある方にオススメ致します。
西部劇、子供の頃は本当にたくさん見させられましたけど、インディアンって基本的に悪者で、異文化で、残虐って事になってるんですけど、いやいや、開拓者の残虐さってそんなものじゃなく、段違いに残酷ですよね。それを西部劇的に反転してヒーローとして扱わなければならなかった、と考えると、まるで自分を騙して納得させる為に作ってたのかな?と勘繰りたくなります。

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