井の頭歯科

「手遅れの過去」を見ました

2019年2月4日 (月) 08:41

デニス・ホーク監督     Netflix

またまた凄いモノを見てしまいました・・・これ本当は同じNetflixの「ROMA」(の感想は こちら )以上に劇場で観たかったです。ですが、物凄く贅沢な上映会になったと思います。まず、この映画は35mmフィルムを使っている、という事です。つまりデジタルで上映出来ません・・・すでに東京の映画館はほぼシネコンになっていますので、まぁ難しい。この監督はアナログに相当拘っていて、その部分は尊敬に値します。どこから、どうやって思い付き、映画化しようと思ったのでしょうか?本当にスゴイです。35mmフィルムっておおよそ1リールが22分なんですけれど、この22分をワンカットで、しかも、すっごく難しい事を必ず1個はクリアしないといけない物凄い緊張感あふれる映像作品になっていて、その上、ストーリィが、何重にも意味を持ち、タイトルが既に伏線という、すさまじい作品でした。

デニス・ホーク監督、次回作も必ず見たいと思います。

LAのある丘に佇む少女。携帯電話をかざして番号をかけているのですが、上手く行きません。そこに2人組の男がやってきて・・・というのが冒頭です。

本当は何も情報を入れずに観ていただくのが最も衝撃的だと思いますし、正しいと思いますが、少しだけ、私なりに、もし未見の私に向かって、私が説明するなら、ワンカットの連続で魅せるフィルムノワール探偵もの、とでも言いましょうか、とにかく見てくれ、と言うと思います。

主演はジョン・ホークスで、もう物凄くノスタルジックな感じです。まさにくたびれた、ハードボイルド感溢れる私立探偵です、というか私立探偵にしか見えません。そして物凄く美味しそうにタバコを吸います。無茶苦茶カッコイイです。今時ここまでの人はそうはいません。映画「ウインターズ・ボーン」に出演していて私も見ていますけど、正直あまり覚えてません。が、とにかく今作のジョン・ホークスさんは素晴らしいです。

まるでクエンティン・タランティーノの作風で、フィルムノワールをしつつ、緊張感が異常、という作品なんです。1幕目の、本当にどうやって撮ったのか不思議になるくらいギリギリの連続だったり、ストーリィが何処に向かっていくのか?全然分からなくなるのも、本当に上手くて、しかも最後はピタッとまとまり、タイトルの本当に意味を知ることになるのが上手すぎます!

謎が全て解けるカタストロフィの凄さ、予想の斜め上の展開、真実が明かされる瞬間、観客はその前に取り返しのつかない部分を知っているがための衝撃。本当に素晴らしいですし、このカメラワークも緻密過ぎます。これでもか、と細部にまで上質の手を加え、役者がそれに答える演技を魅せてくれています。

まさに手遅れの過去、過去はなんでも手遅れだけれど、本当の意味で、手遅れ。何重の意味でも手遅れ・・・TOO  LATE・・・

あ、映倫を通していないという意味で、監督の意向通りの表現が出来ているのも本当に素晴らしい作品。もし日本で劇場公開されていたら、まず間違いなく酷い修正が入ったことでしょう・・・でも、本当は無修正で劇場で観たかったなぁ・・・

私立探偵モノに興味のある方に、強くオススメ致します。

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