井の頭歯科

「ペパーミント・キャンデー」を観ました

2019年5月15日 (水) 09:26

イ・チャンドン監督       TWIN

同監督の最新作「バーニング」があまりに面白かったのと、吉祥寺の新しい映画館アップリンクで監督の過去作がリバイバルされると聞いて足を運びました。アップリンクには長く残って欲しいので、これからもアップリンクで出来るだけ観ていきたいです。

2000年公開のイ・チャンドン監督作品です。

1999年春。とある鉄橋の下で、ピクニックが行われています。およそ40~50代の男女の集まりの中へ、一人の男が乱入し、奇怪な行動をとりはじめます。この男は過去に戻りたい、と口にしながら突飛な行動をとり続け・・・というのが冒頭です。

すっごく有名な事件も扱っていますし、とても男性目線に寄り添う形のサスペンス映画だと思います。

そして確かに素晴らしい作品なんですけれど、すっごく気になる部分もあって・・・大変エモーショナルな映画だからこそ、どうしても気になる部分があります。

20~40代の主人公キムを1人で演じ分けて魅せたソル・ギョングさんの演技は圧巻です。非常に振れ幅の大きい20~40代を、ものの見事に演じ分けて見せてくれます。これだけでも凄い役者さんだとわかりますけれど、それ以上に、この人の生きた世界の破滅的なまでの残酷さを刻み込まれた、その顔がまたすさまじいです。冒頭のワンシーン、この映画を象徴する鉄道の上で両手を挙げている、このポスターの人物がキム役なんですけれど、本当に慟哭を感じさせてくれます。で、その理由を観客が辿る旅を映画にしています。

とにかく観れて良かった作品、ありがとう吉祥寺アップリンク!です。身近な映画館なので、これからも長くお付き合いしたい映画館です。

全部で7つの章で出来上がっています。しかも、順に過去へと戻っていくのですが、その合間合間にはさまれる郷愁を誘う、逆回しの鉄道映像が、とても気が利いていると思います。

過去に、取り返しのつかない(と言いつつ、過去は基本的に何一つ取り返しがつかないはずです)出来事がある、男性に、オススメ出来る作品です。

私は、過去に戻っても、きっと同じように失敗し、同じようにダメだと思うし、メンドクサイので、過去には戻りたくありません。

アテンション・プリーズ

ここからネタバレありの感想です。出来れば未見の方はご遠慮ください。

主人公キムの人生は、確かに陰惨な出来事に満ちていますし、不条理の極みとも言えます。

が、それは誰しもが生まれる時代や場所を選べないからこそ、その中でもがくしかないはずだと思っています。同情に値すると思いますし、特に光州事件時に入隊している事はPTSDを起こしても仕方がない出来事なんですけれど・・・

でもね、なんか犬が嫌いだから蹴れる人間はちょっと心情的に寄り添えなかったです。

そして最も嫌なのは、自分が好意を寄せている最初の女性に対しては、潔白なまでの純真さを持ちながら、それ以外の女性には、まるで人間的な感情を抱いている訳じゃない、モノのように扱っている点が最も嫌悪感を抱かせます。それくらい、軍隊での光州事件への加担、警察組織の中での歯向かわれないからこその軍隊以上に陰惨な暴力性を飲み込める人間になってしまったとしても、もう少し違った態度の取り様があると思うのです。

私がナイーブなだけではないと思いたい。

傑作と言われているけれど、そのエモーショナルは分かるけど、全然乗れなかった。でも、受け手に観る前とは違った人間にさせるチカラはある映画だとは思いますけど。

全然「バーニング」や「シークレット・サンシャイン」の方が素晴らしい映画だと思うんだけど、それは私に軍隊経験が無いからなんでしょうか?

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