井の頭歯科

「サマー・オブ・84」を観ました

2019年9月18日 (水) 09:54

フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセル監督     ブロードウェイ

『連続殺人犯も誰かの隣人だ』がキャッチコピーの、ホラー作品です。正直、私はあまりホラー作品に詳しくありません。ホラー作品文脈、というモノがある事を知っていますが、何が、ホラー作品文脈にあたるか、を知りません。ですので、一視聴者の勝手な感想(いや、今までのこのブログは全てがそうなのですが)です、もし不快に感じられる方がいる可能性があるので、先に言及させていただきます。

アテンションプリーズ!

あくまで個人的な感想ですが、この映画が好きな方には、ホラー作品が好きな方には、不快に感じられる表現が含まれる可能性が高いです。基本的にはネタバレ(決定的なモノ)は含みませんが、それでも読みたい方が読む分には構いません。

84年の夏、アメリカ郊外の町に暮らす15歳のデイビーは、近郊で繰り返される、子供ばかりが狙われる連続殺人者の事件に興味が湧き・・・というのが冒頭です。

予告編

とても面白そうな予告編です。が、正直全然面白くなかったです、個人的今年のワーストが出てしまった印象です・・・

色々な人の感想を読んで回ったのですが(あまりにも納得出来なくて・・・)グーニーズ感とスタンドバイミー感と、言われてるみたいですけれど、私には1%もリチャード・ドナー監督作品『グーニーズ』の雰囲気が感じられませんでした、子供が冒険するだけじゃなく、成長したりするし、淡い恋もあったり、お兄ちゃんとの確執含んだ憧れもあり、それぞれの関係性がもっと細やかに描かれていると思います。いろいろな要素があるけど、この作品にはそれは無いと感じます・・・薄っぺらいのです。

それでは他の方の感想に多かった、ロブ・ライナー監督作品『スタンド・バイ・ミー』感かというと、これも1%も無かったように感じます。まず、この4人組の中で何故デイビー(主役)がリーダーなのか?全然理解出来ません。この子のポジションは傍観者ポジションだと思います。普通は両親が不仲な子が『スタンドバイミー』ならリバーフェニックスが演じていたリーダーを演じるはずです。なのでデイビーが声掛け役、主導役のリーダーなのか?全然納得出来ませんでした。『スタンドバイミー』もかなり様々な事柄を扱っていますし、ローティーンの様々な内面を扱っています、一見子供に見えても、かなり考察しているのが、傍観者の語りべからも語られていますし、論理的です。端的に深みがありません、今作には。


あと、なんで84年なのか?ちっともワカラナイんです・・・全然85年でも、83年でもいいんじゃないかな?と感じました。84年という年にしかない、空気感、出来事、音楽、グッズが何一つ出てきていないんです。逆に80年代っぽさは確かにありますよ、でも84年っぽさは全然見当たらないんです、それこそ84年を生きてない人が作り上げた84年感しかありませんでした・・・なんか理由があって、それがわかるのであれば、まだ理解出来るんですけれど、音楽も服装も文化もテレビ番組やその当時のエポックメイキングな出来事も、何も見当たりませんでした、全然84年感ゼロに感じます。

もちろん、版権の問題があって、お金が無いから当時の音楽が使えなかった、という理由もあるとは思います。でもそれなら、何故そこから努力しないのか不明です。84年当時の曲のパクリでも、オマージュが感じられる曲を作って流せばいいじゃないですか?それって自主映画レベルでもやってる事ですよ?私の大好きな首藤凛監督作品「また一緒に寝ようね」では、大変重要な人物の登場場面に、明らかにある有名な歌手の、有名な曲がかかりますけれど、クレジット見ると、全然違うのが分かります、これ大変高い水準ですが、あくまで学生映画の話しですから・・・

小物もトランシーバーが唯一そうなのかも知れませんけれど、それは先に「ストレンジャーシングス」が使ってますし、それはあくまで80年代感であって、決して84年ジャストなものではありません。流石にそれだけじゃ無理だと思います・・・

また、同じ劇場にいらっしゃったすっごく若い方々が良かった、と劇場で言ってる声を結構聴きました・・・いいんですよ、若い人なら・・・誰だって初回性という既にたくさん模倣されてる出来事でも、その人にとっての初めてには価値があると思います。しかし、そういう人だけを、この映画は対象にしている訳じゃないと思うのです・・・そういう人を私はプロとは言えないと思います。ジョエル・シュマッカー監督作品『オペラ座の怪人』の前・支配人が去り際につぶやく一言『アマチュア!』と私も言いたい。

もしかすると、ホラー文脈が分かってなくて、汲み取れてない部分があるのかも知れません。だから、もし、どなたか、この映画の良かった部分教えてください・・・

ここからはネタバレを含んだ感想になります、映画を未見の方はご遠慮ください。

繰り返しになってしまいますが、本当に分かんないのが、何で84年設定にしたのか?です。音楽、服装含む美術、小物、乗り物含む大道具やセット、どうしても84年じゃなきゃいけない要素が私にはゼロでした・・・

それと、割合多い意見がキャラが立っている、という意見を見ましたが、全然キャラ立ってないと思うんですけれど・・・ぽっちゃり、メガネ、不良、普通、そこまでで終わってないすか?まずこのグループでリーダーと言えば、しかも84年くらいなら、間違いなく不良がリーダーだと思います。しかも主人公がみんなを巻き込むばかりで、その巻き込み方が、俺は間違ってない、俺を信じろ、の一点張りです。正直頭の悪い妄想にしか見えません。だからすっごく傲慢で聞き分けが無い、自己中心的な、思い込みの強いヤツ、に見えて、全然魅力的じゃないんですよ・・・だって推理が妄想なんだもん、そんな奴の話しがたまたま本当だったとして、それが町の人気者になるわけがない・・・ また絡んでくる隣の女の子が、なんで主人公にこんなに好意的なのか?全然意味不明ですよ・・・すっごく都合良く、肯定感をだしてくれてる・・・超ご都合展開じゃないっすか?なんか彼女に主人公はしましたっけ?ただ覗いてる隣りの根暗じゃないすか?全然この女の子の行動も意味不明なんですよね・・・

そして、隣りのシリアルキラーはもう私には、ジョン・ゲイシーにしか見えないんですけどね、でもピエロにはならないんですよね・・・しかもジョン・ゲイシーの事件は70年代・・・84年だとゲイリー・リッジウェイかとも思ったんですが(中州が現場)だとしてもなんか腑に落ちない(リッジウェイは子供を狙っていない)。自分の幼少期の部屋を再現しているのは良いけど、じゃそれがこのシリアルキラーの子供の殺人に繋がるリンクが何もない、雰囲気で出しただけ、に、見えるんですよ。 途中の演出も、すっごくくだらないんですよ、驚かそうとしてるのが見え見えで、そこが浅いしペラッペラなんです、演出も間延びしてるからこの映画106分しかないのに、体感時間はOnce Upon a Time In Hollywoodの2倍はあったと感じてます、映画館で眠気と戦った記憶って遥か昔にウォーレン・ベイティー監督「ディック・トレイシー」を見た時以来です、1990年公開だから29年ぶりです・・・

家の中のシリアルキラーを見張ってる画角は、本当にでドリフのコントかと思う程、それ見えちゃってますよ、的な感じにしか見えません・・・安い、安すぎます、いくらなんでも・・・

1番全然理解出来ないのは、まぁ主人公の妄想が正しかったところまで100歩譲りましょう、そこまではイイでしょう、映画なんだし。でも、警察が捜査してるんですよ?(あ、このシリアルキラーが犯人を捕まえた事実をテレビで放送するのも、すっごくご都合主義的なタイミングで流れるし、そもそもこのシリアルキラーが犯人逮捕しなくても良かったんじゃないですかね?それこそリスクしかないと思います。あとなんで家に入ってまで電話しようとして、うかつにも自宅に電話ってどれだけ無警戒なんでしょう?この少年は自分を疑ってきてるんですよ?)それも恨みを持つべき主人公一家の家を警戒してないってどういう事なんでしょう・・・

さらに100歩譲ってそこはイイとしましょう、映画の中でも良く見る展開ですし。でも、もしシリアルキラーさんが合理的なら、既に両親はもちろん殺害してますよね?騒がれたら大変だし。しかもなんでわざわざぽっちゃりくんと主人公を捕まえて別の場所まで連れてってるのかが不明です、どうして主人公宅じゃダメだったのでしょうか?

さらに100歩譲りますよ、車で移動してて後ろに子供2人乗っけてて警察何してんの?でもそこも韓国映画の警察並だとしてさらに100歩譲りましょう、でも、なんで自力で縄ほどけさせたり、わざわざ逃がして鬼ごっこするのか本当に訳が分かりません・・・もう何歩譲ったのか分かりません、途中のゆるい演出、驚かせ描写の連発だって、多分1000歩くらい譲ってます・・・

そして最大の謎、何故主人公は殺されないのか?問題 です。確かに生きて、いつ再会するかワカラナイ恐怖は、大変なものです。 またこの映画の肝は  殺人者も誰かの隣人 という事に尽きると思います。私も単純に殺すよりも、恐怖を植え付ける、理解出来ます。でも、なんでわざわざぽっちゃりくんを運んできて、喉ざっくりなんですかね?最初の寝袋のところで刺せばよかったはず。  主人公に私なら生活レベルが下がるくらいの刻印を作りますね。指とか、顔に大きな傷が残るようにするとか、片目が無くなるとか、そういう事を全くしないで、主人公だけ、ぽっちゃりくんはあっさり殺しておいて、生き延びさせるのってどう好意的に考えても全然理解出来ません。 あと何歩譲ればいい所が出てくるんでしょうか?

この映画を既に観ている人、教えてください・・・ 本当にこの映画の良い所教えてください・・・

カテゴリー: 映画 感想 | 1 Comment »
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