井の頭歯科

「働かないアリに意義がある 社会性昆虫の最新知見に学ぶ、集団と個の快適な関係」を読みました

2023年5月26日 (金) 09:24
長谷川英祐著    メディアファクトリー新書
BSの番組の少子化についてのニュース番組に出演されていた方が、なかなか面白い発言をしていて、専門は進化生物学、と聞いて俄然興味が出ました。なので少し調べてみたら、出てきたのがこの本だったので、読みました。
少子化問題は、個人的には既に手遅れですし、ゆるゆると衰退していくのは既定路線だと思います。また、少子化対策と言われている事の、ほぼ全てが、あまり効果が出ないでしょうし、実際に、出ていない。恐らくですけれど、既婚者に向けた少子化対策だけでは無理でしょうし、そもそも、婚姻関係や戸籍、家制度という家族像の変化に制度が追い付いていないのに、保守的である、という事が政治的な意味を持つ(もっと言うと、左派、というだけで嫌悪する人がいたり、右派を蛇蝎のごとく嫌ったり・・・兼ね合いの問題だと思うんだけれど・・・)現在、少子化対策は多分保守派には無理。そして保守的な家族観を持つ人を増やすのも、多分無理、なぜなら人は自由(堕落含む)な傾向を好む生き物だと思います。そうでなかったなら、核家族化は進まなかったはずです。
だから、自由度を損なわない中で、少子化対策をしないといけないし、それは保守政権を自負すると難しいでしょうし、恐らく衰退していくでしょうし、もう既に始まってますよね。
とは言え、世界の人口は増えているわけで、地球環境で生きられる人間の人口にも限りがある。それに、ピーク時と比べて少子化、あるいは高度経済成長期と出生数を比べたら、それは少子化でしょうし人口の減少なんでしょうけれど、江戸時代の人口と比べたら、現在でも増えすぎているくらいですし、いつのデータ、実数と比べているのか?なので、どうとでもいえると思います。
もっと言えば、幸せな家族像の中で育まれた子供は自然と結婚して子供を成すのでしょうけれど、両親の不和や不仲にも原因の遠因はあるように思われます。なかなか根深いし、既に少子化の世代が一回りしている感覚があり(生涯出生数、生涯未婚率は49歳までで、この世代が既に少子化)手遅れなんじゃないかな?と思う次第です。
人口減少しても社会的資源を有効に活用できるよう、システムを変えていかないといけないけれど、多分それが無理なんで、どうにもならないですね。
閑話休題
進化生物学、とても興味がありますし、所謂昆虫の中での社会性がある生き物の研究から、進化を捉えるのはなかなか面白そうです。
長谷川先生の入門的な新書ですし、とても読みやすく、しかも驚きの事実がたくさんありました・・・
いわゆるクローンという染色体レベルで同一という存在は、既に自然界では普通にあるのを知ったのは結構衝撃的でした。働きアリはある種クローンが存在している種がありますし、これは福岡伸一著「できそこないの男たち」でも言及されていましたけれど、オスの役割って本当に微々たるものなんだな、と思います。
さらに利己的と利他的の関係性の機微、フリーライダーの存在、そしてなにより働かないアリ、働かない働きアリの存在の意味については、本当に驚愕。そしてなるほど、と思いました。
長谷川先生の考える、フラットな科学、そしてある種の哲学への考え方、当たり前ですけれどデータをとってくる事の重要性、その姿勢に共感を持ちました。もう少し他の著作も読んでみたいです。
進化生物学に興味のある方に、オススメ致します。

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