https://www.youtube.com/watch?v=U0AD6cjivRw
リー・ヤン監督 スタジオカナル Stranger
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 36/97
友人がオススメしてくれたので、観に行きました。
1990年代の中国。大学を卒業した白雪梅(バイ・シューメイ)は仕事を求めて、女性の友人とその上司である製薬会社の仕事で、地方に漢方の薬草を探してくれる方を探す為に田舎に来ましたが・・・というのが冒頭です。
かなりの衝撃作品です。
いわゆる人身売買が行われていた、という事なのですが、だとしても酷いですし、これが1990年代の中国か、とも思います。
映画製作は2007年公開、2007年のカンヌのある視点部門で受賞しています。が、2007年の話しで、その時の1990年代の話し、です。つまり10年以上前の話しですが、2025年からだと、30年近く前の話し、になります。現在は分かりません。当たり前ですが、フィクションです、恐らく事実を基にしているでしょうけれど。
そしてなんで今日本公開になったのか?も謎。この辺の事情知りたいですね。
ただ、だとて、です。全然、恐らくどの国でも、そして田舎に行けば、近い事、行われているのでしょうね・・
主人公女性、悲惨で可哀想だと、私も思います。ですが、その夫も、ある種の地獄。
主演の女性以外、そして恐らく最後に出てくる警察官2名は演技経験者だと思います。が、それ以外はすべて、本当の村人で、演技未経験の方が、出演されています。ドキュメンタリーではなく、作劇されているわけです。
嫌なのは、人身売買、法治、というのがある、そういう建前ではあるけれど、都合の悪い、閉鎖された地域、空間であれば、そんなものは無いし、1990年代の話しじゃなく、現在でも、そして、今のうちの国でも、なんなら地方の田舎ではなく、都会の核家族家庭内でも、程度は違えど、同じ事が起こっていると思います。
ネタバレを避けての感想なので、何を言っているのか?となるかも知れませんが、結論として、何が悪いのか?というと、儒教なんじゃないか?と思うのです・・・儒教全てが悪いわけではもちろんありませんが、儒教OSをインストールしている東アジアの国、地域、そこで暮らす人に、個はあるのか?と思います。
しかし、それを知るには、学問なり教育が必要。
その教育が無い場合、何が選択肢としてあるのか?と言われると、非常に厳しい・・・
あと、食事シーンは秀逸です、恐らく、絶対に、お金を払ってだと食べられない料理っぽさがありました。美味しそうではあります。
女性の方、そして女性と関りのある男性に、オススメします。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想ですので、未見の方はご遠慮ください。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
で、監督の意図が、分かるけど分からないんです。
果たしてこの映画の脚本はどう書かれたのであろうか?
モデルケース、合ったのかも知れませんし、なかったのかも。また、取材を行ったかも知れませんし、していないでエモーショナルにしたのかも。どこまで意図が、恣意的に行われたのか?不明です。
だから、極度に主人公女性を苦しめる感覚なのかも、とも思います。まぁ実際に酷いんですけれど。
そして、どう考えても、学習が無い事が大きな問題なんですけれど、高卒は村に1名しかいなくて、しかもその高卒が学校の先生で、列車を見た事が無い、と言っている・・・
子供は学校である程度の学習が受けられるけれど、孔子のような儒教思想を学んでいる・・・
近隣の病院では、料金の先払いが無いと、治療行為を行わない様子が描かれています・・・
この地域では、学問、知識が更新もされなければ、忌避されています、なんなら読書すら不要でそれよりも働け、と言われる世界・・・恐らく、本当に余暇が無い、余裕が無い生活なんだと思います。
ここが地獄に見える。
法治も届かない、村人全員が共依存関係。田舎怖い、の上位存在。地獄です。
唯一の知識がある先生、登場時から、まぁダメなんだろうな雰囲気が醸し出されていましたが、ダメにしてもここまでとは・・・
主人公の学びの無さも気になる事ながら、果たして、村人たちの、つまりずっとこれまでもこうやってきた、だからそれ以外を知らない。
恐らく文盲の可能性、高いので、書籍(といっても、画像で確認出来たのは全て雑誌・・・)をしている人を、嘲笑しているし、文盲の自分たちを蔑まれているのではないか?という被害者意識もかなり高そう・・・
普通に、まず、地図を手に入れたり、自動車、自転車等の移動装置を手に入れる機会を探るべきなんですが、まぁかなりの監視下の中では難しいのかも。
この完全に詰んだ状況で、最初、恐らく普通程度に優しい、しかも妻を金で購入している関係からか、ある程度の優しささえ最初は見せていた夫ですが、家族、周囲の村人に、教えられるまま、暴力という解決手段を用います。学んだから、です。それ以外の考えが及ばない。
この夫の状況、というかこの村の状況で、仮にその中の村人、あるいは両親が妻を購入した夫の立場で、何が変えられるのか?私には何も思い浮かばないです。
学習する機会さえないのですから。
その中での唯一の解決策が、暴力。そしてもう1つが、儒教です。
暴力は、まぁ理解できます、何でも暴力で解決してきたホモサピエンスの歴史がありますし。しかし、儒教の、目上の人を敬う、という、アプリオリに年齢で権威を取れる合意形成、万人の闘争状態を抜け出す為に出来る数少ない無知のままでも行ける手段なのかも知れません・・・が、だからこそ、社会科学や歴史や学習、必要なのに、これだけ閉ざされた社会だと、本当に詰んでると思います。
映画や本の中でも、田舎で嫁を娶ると、牛馬の様に働かせる、みたいな文言を、うちの国でももちろん使っていたし、そこには何らかの階層を感じさせるニュアンスもありました。いわゆる男尊女卑思想ですね。さらに、人身売買とは程度の違いはあるモノの、共働きの兼業主婦だけが、家事の負担率が高い事、別に同じリアリティーだと私は感じますし、男尊女卑思考≒儒教思想≒封建制度、という事なので、まぁ、自らを保守と語る方のほとんどは、今現在も同じだと思いますね。理解がある、ように見えていて、実際に自分の権威や立場を、実際に自分の場合には、そう簡単に手放そうとはしないでしょう。もちろん私も男性なので、そういう無自覚に振る舞っている事、多いんでしょう、それに気付けないのが恐ろしい。気づけているようで、ワカラナイのが、恐ろしい。
私は、ラスト、惨劇がついに始まるんだ、と思いました。いわゆる昭和残侠伝よろしく、殴り込みが始まるんだと。
始まりはしたけれど、あの後、どうなるんでしょうか。ある意味、解決方法は無いのであれば、こちらも、暴力を出すしかないのでは、と感じました。
コメントを残す