井の頭歯科

「パラサイト 半地下の家族」を観ました

2020年1月14日 (火) 09:22

ポン・ジュノ監督      ビターズエンド

ポン・ジュノ作品が普通なわけないわけですけれど、これは大傑作!さらに、子供を除けば、どんな層にも受けると思われます、そういう意味でも凄いです。

半地下に住むキム一家は失業中の父(ソン・ガンホ)、同じく失業中の母、大学受験に失敗続きの失業している兄、美大に進学したかったけれど出来なかった手先の器用なやはり失業中ね妹の4人家族です。その兄の友人から富豪の高校受験の家庭教師の代わりを頼まれ、大学生と偽って向かうのですが・・・というのが冒頭です。

ポン・ジュノ監督作品は「オクジャ」を見逃していますが、多分大体観ていますが、今作は、今までで一番どんな層にも受ける傑作だと思います。私はよりダークな『殺人の追憶』が好みですが、完成度は今作の「パラサイト 半地下の家族」が上な感じがします。

ストーリィがまず秀逸!かなり予想出来ないですし、ワクワクする感じの上に、新鮮な驚きに満ちていて、ユーモアがあって、さらにある種のホラー要素もあります。このような、複雑な感情を想起するのは、コーエン兄弟作品のクライムサスペンスコメディや、タランティーノ作品のサスペンスコメディなどがありますが、より複雑な感覚で、さらに上質だと思います。世界は段々と複雑になっていきますね。

また、格差社会を扱った作品が大変増えていて、さらにそこに家族、それも疑似家族を取り入れた作品が増えていると感じます。是枝監督作品「万引き家族」(の感想は こちら )しかり、ミヒャエル・ハネケぁん徳作品「ハッピーエンド」(の感想は こちら )しかりです。

役者さんがどなたも素晴らしく、名前を知っているのはソン・ガンホさんだけでしたが、兄を演じた方の、ちょっと影があり、尚且つお茶目な感じも素晴らしかったですが、一番光っているのは妹役のパク・ソダムさんです。この人を喰ったキャラクターの大胆さと、変わり身の早さ、愛嬌は、ちょっと比較出来る人が思いつかないです。とても自然でいて、有無を言わさぬ力強さも秘めている眼の演技が素晴らしく、シリアスにもコメディにもリアルを感じられてイイですね。私にとってはこの妹役が主役な感じがしました。また、受験を控える高校生役のチョン・ジソさんが、この時期にしか無い可愛さと美しさを十分に出せていて素晴らしかったです。美人ってのは後からどんどん出てきますね。

また、富豪一家の嫁役のチョ・ヨジョンさんの、人の良さという抜け加減が絶妙で、リアルさが高くてたまりません。凄くいそうな感じがします。実在感という奴ですね。

また、忘れられないセリフが『リスペクト』です。暫くはリスペクトという単語には不謹慎な笑い、のニュアンスを含んで感じてしまいそうです。

あ、またまた、韓国警察の、映画内描写が・・・韓国映画に登場する警察は、いつも(私が見た事ある韓国映画では、必ず・・・と言えます・・・)かなり抜けています、本当の韓国警察は大丈夫なんでしょうか・・・心配になるレベルです。そして、ここまでの描写をする、という事に何か暗喩的な意味があるのかも知れないな、と感じてきました。が、本当のところ、どうなんでしょうか。

ポンジュノ監督が自ら、ネタバレ禁止!とおっしゃっているので、ネタバレは極力避けての感想ですけれど、この映画は匂いの映画だとも思っていて、私は嗅覚を大事にする映画って好きです。いつか、原田宗典著『スメル男』が実写映画化すれば良いのに、と思っています。きっと面白い映画になるのに。

多分私の中の2020年の軸になる作品、この作品より良かったら、間違いなくベスト3には入るでしょう。というか、もう今年のベストでも良い感じがします。

映画が好きな方に、そして普段映画をあまり見ない方でも、笑ってしまうシーンが必ず1つはあると思うので、そんな方に、オススメ致します。

“「パラサイト 半地下の家族」を観ました” への1件のコメント

  1. […] 韓国映画の先進っぷりは、ポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」(の感想は こちら )でいやがおうにも知る由となった訳ですけれど、その他にもナ・ホンジン監督「チェイ […]

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