井の頭歯科

「ピーナッツバター・ファルコン」を観ました

2020年3月18日 (水) 10:46

タイラー・二ルソン マイケル・シュワルツ監督     イオンエンターテイメント

何となくタイトルの音の響きにカッコよさを、そして予告編での、ロードムービー的な面白さを予感したので、吉祥寺アップリンクに足を運びました。
ザック(ザック・ゴッサーゲン)はダウン症を患っている20代の青年です。しかし、州の予算不足により、何故か老人施設に入居しています。そんなザックはプロレスラーになる事を夢見ているので、施設を抜け出したいのですが・・・というのが冒頭です。
まず、単純に面白かったです。これは北村紗衣先生のブログの感想で書いてあったので引用になりますけれど、そう、とても「ハックルベリー・フィンの冒険」なんです、現代版の。だからとても面白かったですし、本当にダウン症を患っているザック・ゴッサーゲンさんが自然で、素晴らしかったです。
ダウン症の方が演技をしている、という風には見えずに、本当にリアルに、演技ではなく、そのままを撮っている、という感じに見えたのが、まず、凄かった。バリー・レヴィンソン監督映画「レインマン」のダスティ・ホフマンの時のサヴァン症候群の演技も、ベニー・マーシャル監督映画「レナードの朝」のロバート・デ・ニーロのパーキンソン病の演技も素晴らしかったですけれど、やはり頭のどこかで、だって、ダスティ・ホフマン(ロバート・デ・ニーロとか名優とされる人)だもんな、というのがありますけれど、ザック・ゴッサーゲンさん含む主演3名を見た事が無かったので、新鮮に、そしてリアルに感じました。
いわゆるバディ・ロード・ムービーなのですが、そのバディを務めるのが、大変衝動的で、これまた世捨て人のようなタイラーを演じているシャイア・ラブーフさんです。私はおそらく初めて観ていると思いますが、なかなか良い印象を持ちました。
さらに、そこへヒロイン(?)エレノア役のダコタ・ジョンソンさんが混じってきて、この方も多分初めて観ますけれど、顔だち以上に演技も自然でした。まぁちょっと整い過ぎていて、しかもかなり聞き分けのイイ子なのが、もうひとつなんですけれど・・・脚本で気になったのは、この人周りの、テンポを重要視するあありに、割合簡単になんでも受け入れちゃうのが、少々気になりました。が、演技というよりもこれは脚本の問題、この人の顔立ち、結構好きかもです。
また、役者で言えば、まさに冒頭にザックと相部屋のおじいちゃんにブルース・ダーンが居て、とても安定感ある演技ですし、コミカルで素晴らしかった。この映画の中でも忘れられないキャラクターです。
そしてもう1人が、出てきた瞬間に分かった「手遅れの過去」(の感想は こちら )主演ジョン・ホークスさんです。とても怖い役なんですけれど、素晴らしかった、存在感ありますね。
まさにハックルベリー・フィンのように自作のいかだまで出てきて、自然光溢れる絵の中で進む、様々な定住生活では味わえない瞬間で出来上がっていて、とても良かったです。本当に映像は素晴らしいですし、個人的に大好きな夕焼けシーンも多くて好きです。
ただ、私がプロレスに詳しくないので、プロレス的な『アングル』の話しがあるのかも知れません。その辺はプロレス好きの人から見ると、また違った楽しさがあるのかも知れません。
そして、最近刺激を受けた先生との会話で出てきた「自己決定」について、とても考えさせられ話しで、その点も大変面白かったです。後半をもう少し、映画のテンポからすると間違いなのかも知れなくても、もう少し丁寧に時間を割いても良かったと思います。
果たして自己決定とはなんなのか?の中でも、夢や目標や希望に届かなかった時ひとつのケースとして。最近の映画でも漫画でも多いのは、この目標や夢を設定した、あるいは善き事として契約した後に、知られざる善き事を行う上でのリスクや払う対価の大きさを、フック(観客のこの先が知りたい!と思わせる事)になっている作品が多い中、同じような設定とも言えます。
ハックルベリー・フィンの冒険が好きな方に、自己決定とは何か?が気になる方に、そしてプロレスが好きな方に、オススメします。

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