井の頭歯科

「懲罰大陸★USA」を観ました

2020年5月29日 (金) 08:39

ピーター・ワトキンス監督     キングレコード

高橋ヨシキさんのディストピア映画の本(の感想は こちら )に出ていたので、ずっと観たかったのですが、DVDがなかなか無くて・・・でもAmazonprimeにあって助かりました。

1971年、私が生まれた翌年の公開映画、つまりおよそ50年前の映画です。

ですが、凄くブラックな映画だと思いますし、ベトナム戦争のさなかの、その時代の空気を切り取っています。

注!とはいえ、ドキュメンタリー調ではありますが、フェイク・ドキュメンタリー作品です。ですから、大変、悪意に満ちた、とも言えますし、こういう未来が来ないとも限らない、という警告でもあったと思います。

そして、再三思うのですが『人は自分が正義だ、と思い込む事で、どこまでも残酷になれる』という事です。

争い事の多くは、正義対正義だと思うんですけれどね・・・

映画の冒頭のナレーションを、文字起こししました。

もうこれだけで、不穏な空気しか感じられません。

原題「punishment park」もうこれだけで何をかいわんや、です。

1950年国内治安法通称『マッカラン法』第2部によると米大統領は議会の承認なしに以下の決定をする権限を持つ

米国内に内乱が生じた際”国内治安の緊急事態”を宣言する事が出来る

大統領はその際危険人物を逮捕し拘禁する権限を持つ

危険人物とは、正当な根拠のもと破壊活動をする恐れがあるとみなされた者を指す

逮捕されたものは審理にかけられる

保釈は認められず、証拠は不要である

審理のあと 逮捕者は 拘置所に拘束される

この冒頭のナレーション後に、カットバックしながら、被疑者の集団に、略式簡易裁判が行われます。

しかも、ほぼ反論の余地が無く(この辺りの描写が、秀逸!裁判官が相手側に明らかに立っている裁判を裁判とは呼ばないと思うんですが)、懲役刑10年以上 か 懲罰公園に3日間の奉仕行動に行くのか?を選択させられます。

全くヒドイ2択なんですけれど、まぁ自らが選んだ、という刻印を押す訳です。この辺が周到なんですよね・・・

懲罰公園に向かった先については、映画をご覧いただくしかないんですけれど、まぁ地獄です。

つまり、このようなディストピアを想起させ、映画を作らせるくらい、ベトナム戦争が、いかにアメリカに暗い影を落とし、どれほど世論を二分したのか?が分かる作品。

正義の名の元の暴力、に興味のある方にオススメ致します。

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