井の頭歯科

「女帝 小池百合子」を読みました

2020年9月23日 (水) 09:12

石井妙子著    文藝春秋
ピカレスクロマンとして面白いよ、と同世代よりチョイと年下の友人からオススメして頂いた作品。ベストセラーになっていますね。私の趣味の世界や興味のある事から、割合『政治』がどんどん離れて行っている事に最近気づかされますし、私が読みたい作品がベストセラーになっている率がどんどん低くなっているのですが、たまには、と思い手に取りました。
小池百合子都知事が、幼少期からどのような家庭環境で育っていったのか?なぜカイロ大学なのか?その入学や卒業はどのようなモノであったのか?カイロ時代にルームメイトだった方の話し、その方の日記、さらに事実とは何か?に至る大変読ませる本でした。ほぼ1日で読める内容です。
確かに、ピカレスクロマンとして、ここまでヒドイのか・・・という感覚があります。家庭環境を選べる子供はいませんけれど、それにしても、な父親で、多分この人が元凶だと思いますが、正直とてもよく見かける元凶タイプに見えます。大変破天荒で、政治の世界には何もかもを解決出来るパワーや権力がある、と思い込んでいる上に、何故だかワカラナイが自己認識能力が異常に高く設定されているのに実力が乏しく乖離が大きすぎるのに反省や省みるという行為は皆無。周囲に迷惑をかけ、いや、かけ続け、一発逆転を願い続ける人生。そんな父親の基で育つというのがどういう事なのか?には興味があります。
何故自分の実力を測る事が出来ずに、肥大した自己認識を改める事が出来ず、その上失敗の責任を他者に押し付ける、ここまでくると会話が成り立たないと思うのですが、時々見かけますし、圧倒的に、何かしらの重大事件の犯人の親に、よく見かけるタイプだと思います。
途中までは気づけてたと思うんです、自分には実力も実力を得る為の努力もしていない事を。しかし、取り返しがつかないPoint of Noretumを過ぎた後は無自覚に、きっと自分でついた嘘を、嘘ではない真実と思い込む(思い込むのは得意と思われます、実力をつけるよりもずっと)ようになっていったと思うのです。私が興味があるのは、このポイントがどこであったのか?という事なんですけれど、この本の中では語られませんでした。
確かに、この本の通りなのであれば、小池百合子東京都知事には、人として問題があるし、経歴詐称の疑いが濃いですし、政治家としての能力は著しく低い、と言わざるを得ないです。
ただ、日本の政治家になる人で、この手のタイプじゃない人を探す方が大変じゃないですかね(あくまで個人の実感ですし、国政レベルでは。もちろん優れた人もいらっしゃるのでしょうけれど)。もちろんレベルに違いこそあれ。対比される石原慎太郎もそうでしたし、選挙の顔である党首のその時の勢い、雰囲気で勝敗が決まり、なおかつ、その党首の人気や雰囲気に左右される事が分かっても、実力をつけて議論するのではなく所属する党利党略で当選が決まる傾向が強くて、しかも有名であるほど選挙に強いわけです。
多分間接議会制民主主義を行うには、その国民、主権者たる国民の民度、レベルが上がらないと、難しいのが民主主義なんですけれど、でも国民が政策のプロの判断が出来るわけじゃないのも当然なので、この辺が難しいです。それでも、この状況だと、この人だけにはなって欲しくない、という消極的な選択になってしまいそうです・・・政治家はその国民のレベルでしか出てこないですし。
だからこそ、野党の議員が都民ファーストに移籍したがったり、選挙を戦って当選した後に政党から離れたり、そういう不信をずっと行っている気がします。
民主主義ってすごく煩雑で手間がかかります。その過程で、何処かでボロがでるからこそ、この過程を端折る事は、民主主義の否定になってしまうと思います。でも、非常にまだるっこしいと、人の常として、もっとスムーズでスピード感のある、結果に結びつく、とか思うわけですけれど、これが多分民主主義の否定の第1歩だと思います。
自分の考えに近い人間に、独裁を行ってもらう事を、恐らく人は望むもので、特に国家的な祝祭、イベント(それが戦争という負にもなりうるものであっても)、を経て、大変狂乱的に、その他の想いがあるマイノリティを排除していく失態を、国家レベルでも、数人のグループでも、嫌と言う程見てきているのに、人の願望は変わらないものだなぁ、と思いますし、熱狂、怖いと思いますね。特にオリンピックのように国威発揚に使うのが簡単なイベントを来年に、一応、控えているので。
そもそもその最大の失敗がナチスドイツで、民族浄化まで行ってしまっているし、怖いのはこのホロコーストが無かった、と言い出す人が増えている事に、怖さを感じます。
そう言えば、国会議員が『国民の為の内閣』って言わなければいけない状況が、大変『明るい農村』問題を含んでいて、凄いディストピアに住んでるなぁ、と思う次第。
都政は私個人とも切っても切り離せないわけで、でも、私が小池百合子に投票しなくても、結果が当選なら従うしかないわけで・・・この本がベストセラーになっても、変わらないような気がしますけれど、どうなんでしょうね。
東京都民の方々に、オススメ致します。

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