井の頭歯科

「ファーザー」を観ました

2021年10月19日 (火) 09:45

フローリアン・ゼレール監督     ショーゲート
2021年公開映画なのに、もうU-NEXTなら観られる!という事で、アンソニー・レクター博士・ホプキンスの主演作品ですから、期待大です。いろいろな方もオススメしていたので。
2000年代のロンドン、と思われるフラット(部屋)に暮らすアンソニー(アンソニー・ホプキンス)はかなり癖の強い老人です。娘のアン(オリビア・コールマン)が何とか父を支えようとするのですが・・・というのが冒頭です。
もう、とにかく、アンソニー・レクター博士・ホプキンスの演技が、演技に見えない!自然!
認知症、誰もが避けたい病気の一つだと思います。
そしてもっと多くの人が同意してくれるであろう、老いる事への恐怖を、主演であり、自覚があるのか、無いのか、ある種の信用ならざる語り手であるアンソニーの目線で捉えた作品。
個人的には、多くの人が目をそらさずに観て、そして備えて欲しい作品で、現代のほとんどの人が、ピンピンコロリを目指しているのでしょうけれど、それは統計的にみて1割弱の人だけで、それ以外の人はなんらかの介護を経験していますし、その事実をあまりに知らなさすぎで、そのうちどうにかなるだろう、と思って生きているような気がします。
アンソニーの気持ちに寄り添って介護や生活をささげる事の、いかに徒労感が伴い終わりが無いのか?を比較的綺麗に見せてくれますし、程よいショックを与える映画作品として良い思います。
現実は、排せつ問題から、転倒問題、そこからの痛みに関する緩和問題、徘徊問題から、入浴含む清潔問題まで、様々な事柄があり得ます。
その中でも本人には、詐称している自覚が無い、という事がいかに恐ろしい事か?が描かれた作品。大変悪くない。
しかし、このアンソニーの自己評価高めの人間の末路の恐ろしさ、特に男性の社会的地位が高かったことにプライドを置いていたタイプの人間の陥りやすい、凄く上から目線の結果は、正直、あまり憐みの気持ちが起こりませんでした、可愛そうではあるけれど、娘アンの、下の妹と比べられつつも蔑まれた場合こそが、家庭内暴力に繋がっていく事も十分に考えられます。やはり、私は家族最高とは思えないんですね。有名なトルストイの名作「アンナ・カレーニナ」(の詳しい感想は こちら )の冒頭「幸せな家族はどれもみな同じに見えるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」に通じるものをアメリカンな単純な家族万歳映画や脚本を見ると、常々思うのです。家族最高、という事にしておかないと辛い、という現実を誰もが知っていて、わざわざ知らせないで、と言っているように感じるんですね。なぜなら「家族の中の地獄は逃げ場がない」からなんです。そういう意味で、家族に対してどのように接してきたか?は介護を受ける際には、大変、非常に大きく、影響されるでしょう。
自分の記憶さえも疑わなくてはならない状況をどう接すればよいのか?はプロに任せるのが1番だと思います。
この映画の最も嫌な部分は、ラストです。そっちか、結局そっちにいくのか・・・男性は本当に困った存在ですね・・・
アンソニー・ホプキンスの新たな傑作である事には変わりないです、あの、挙動不審な感じの目の演技が素晴らしい。得意になって饒舌に嫌味が言える脚本も素晴らしいのですが、それを生の言葉に出来るのは流石名優、アンソニー・ホプキンス!しかも役名と本名を一致させる凝り方!
老いてしまうすべての人にオススメ致します。

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