井の頭歯科

「平成くん、さようなら」を読みました

2022年8月5日 (金) 08:57
古市憲寿著     文春文庫
映画「PLAN75」を観たので(の感想は こちら http://www.inokashira-dental.jp/blog/?p=5201 )安楽死を扱った作品、と聞いて手に取りました。でも、あんまり安楽死の問題というよりは、凄くSFな作品で、パラレルワールドのような話しでした。設定は面白いのですが、平成くん、あんまり人には好かれないのでは?とも思いました・・・著者もその事を理解しているからこそ、平成くんの彼女視点の1人称で語られています。多分、この平成くんは著者がモデルなんじゃないでしょうか。よく知らなかったのですが小説家ではなく、社会学者の方のようです。社会学者にもいろいろな方がいますね。

安楽死が合法化された架空の日本を舞台に、平成元年生まれの男性でテレビのコメンテーターをしている平成くんと暮らす著名な漫画家の娘で同じ生年月日の愛さんの1人称で語られる物語です。
巻末には用語解説がついていましたが、気付かづに、いちいち固有名詞をネットで調べてしまいました、全然知らない単語、固有名詞がたくさん出てきます、そのどれも多分、流行り、最先端のモノなんでしょうけれど、分からない事が多い上に、ネットで調べても、その説明文が良く分からないという、本当に自分がモノを知らない上に、取り残されている、と感じる事が多かったです。
安楽死となっていますけれど、恐らくは『医療的な自殺ほう助』と思っていただいて良いかと思います。合法化された後のずるずると適応範囲が広がっているように感じるのが、良くも悪くもとても日本的だと感じました。
凄く極端な意見な気もしますし、ある秘密を告白されてからは、余計に、残念に感じました。でも、とても読みやすい文章。
また、猫が出てくるのも良いポイントの1つです。
本文中も言及されていますし、まぁそうですね、と思いますがリチャード・フライシャー監督『ソイレント・グリーン』のホームです。これ以上分かりやすい元ネタは無いと思います。
新しいけれど(と言っても2018年の作品ですから4年前)、古くなるのも早そうな感じがしました、普遍的なテーマを扱っているのに残念。
自死を選ぶ理由に平成くんらしさ、が無いので説得力が無いのだと思います。急に普通になった感じです。
流行が好きな方にオススメ致します。

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